2016年04月29日
カルテル・ランド(原題:Cartel Land)
監督:マシュー・ハイネマン
製作総指揮:キャスリン・ビグロー
メキシコでは凶悪な麻薬カルテルによる犯罪により、過去10年で10万人以上もの死者を出したと言われている。ミチョアカン州の町医者ホセ・ミレレスが、麻薬カルテル「テンプル騎士団」に対抗するため、市民に呼びかけて自警団を組織した。国境のアメリカ側のアリゾナ砂漠オルター・バレーでは、米退役軍人ティム・フォーリーらがメキシコの麻薬密輸を阻止するため動き出していた。
『ハート・ロッカー』のキャスリン・ビグロー監督が製作総指揮にあたり、新鋭のマシュー・ハイネマン監督が、命がけで麻薬カルテルに立ち向かう人々を取材したドキュメンタリー。麻薬戦争の現場にあって、映画を地で行く映像をつきつけられます。自警団の正義はしだいに力を増していきますが、暴力も過激になり、麻薬組織との癒着が起こり…と悪との境界があいまいになっていきます。麻薬の争奪戦が起こるのはそれを高く買う顧客がいるからです。害があると知って作るもの、一時の快楽におぼれるもの、媒介して甘い汁を吸うもの、それに群がるものの構図が続くかぎりなくなることはないのでしょう。(白)
2015年/メキシコ・アメリカ/カラー/シネスコ/100分
配給:トランスフォーマー
(C)2015 A&E Television Networks, LLC
http://cartelland-movie.com/
★2016年5月7日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国で公開
2016年02月11日
火の山のマリア 原題:IXCANUL (VOLCANO)
監督・脚本:ハイロ・ブスタマンテ
出演:マリア・メルセデス・コロイ、マリア・テロン、マヌエル・アントゥン
グアテマラの高地、火山のふもと。17歳になるマヤ人のマリアは、農業を営む両親と暮らしている。借地での農業は農作物が収穫できなければ追い出されてしまう。両親はマリアを地主でコーヒー農園の主任であるイグナシオに嫁がせようとする。しかしマリアは、コーヒー農園で働く青年ぺぺに恋していて、アメリカに行くというぺぺに一緒に連れていって欲しいとせがむ。味見させてくれればと言われ処女を捧げるが、ぺぺは一人で行ってしまう。やがて身篭ったことを知るマリア。一方、農場では蛇の被害に悩まされていた。妊婦には蛇を追い出す力があるという迷信を信じて儀式を行うが・・・
古代マヤ文明が栄えたグアテマラ。昔ながらの習慣や伝統を守るマヤの人たちの暮らしが垣間見える。マリアの両親はスペイン語がわからず、地主のイグナシオは自分に都合のいいように通訳をします。さて、マリアの身篭った子はどうなるか・・・
原題は『火山』。監督はマリアの人物像を火山と同義語になることを目指したそうです。低い位置に置かれながら、自己を爆発させようとするマリア。神々しい雰囲気も感じさせてくれる映画。(咲)
第65回ベルリン国際映画祭 銀熊賞(アルフレッド・バウワー賞)
2015年PKO OFF CAMERA映画祭 クラクフ映画賞
2015年ART FILM FEST 最優秀作品賞、最優秀女優賞(マリア・テロン)
2015年カルタヘナ国際映画祭 作品賞
2015年/グアテマラ・フランス/スコープサイズ/93分/カラー/1:1.85/5.1chデジタル/DCP/スペイン語・カクチケル語
字幕翻訳:八杉 佳穂/日本語字幕:西村美須寿
提供 ギャガ,新日本映画社/配給・宣伝 エスパース・サロウ
c Celine Croze
公式サイト:http://hinoyama.espace-sarou.com/
★2016年2月13日(土)、岩波ホールほか全国順次公開