2017年01月15日

太陽の下で 真実の北朝鮮  原題:V paprscich slunce 英題:UNDER THE SUN

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監督・脚本ヴィタリー・マンスキー
出演リ・ジンミ

北朝鮮の平壌で模範労働者の両親と共に暮らす8歳の少女リ・ジンミを、ロシア出身のドキュメンタリー映画の巨匠ヴィタリー・マンスキー監督が1年にわたって密着取材した作品。

冒頭、「北朝鮮は朝日が一番早く昇る地球の東にある美しい国」と紹介するジンミ。
授業風景、友人との会話、舞踊の練習風景、家での生活などが映し出されていく。
金日成の生誕記念「太陽節」で舞踊を披露する朝鮮少年団にジンミが入団することが決まる。両親が職場で全職員からお祝いを受ける場面を撮影する段になり、父親はジャーナリストなのに、縫製工場のエンジニアに仕立てられていることを知る。母親もまた、乳製品工場の職員を演じさせられている・・・

ベールに包まれた北朝鮮の庶民の暮らしを伝えたいと、撮影許可を得るまで2年。ようやく密着取材を始めたものの、当局の深い介入を感じた監督は、撮影前から密かにカメラに電源を入れることで、当局が理想の家族を演出した実態を映し出すことに成功したとのこと。
このことて思い出したのが、『シネマパラダイス★ピョンヤン』(2012年 / シンガポール、監督:ジェイムス・ロン、リン・リー )のことでした。
やっと北朝鮮当局から撮影許可を獲得した時の条件は二つ。
1.外出する際は、必ず案内員が同行する。
2.撮影したものは、その日毎に検閲に出す。
まさに、当局のスタンスは本作の監督が経験したのと同じ。その監視体制をいかに突破したものを撮るかが、どちらの監督も狙ったことでした。
一糸乱れぬ舞踊の様子や、金日成像に深々と礼をする人々の姿は、これまでにも観たことのある光景ですが、今回、印象に残ったのは、故障したトロリーバスを皆で黙々と引っ張る様子。従順な庶民の姿。でも、実際、胸の内はどうなのでしょう。

ジンミの教室で、敬愛する首領金日成元帥様が、日本と日本人の手下を倒した話が語られます。敵を倒したところで大きな拍手をと、前もって指示が出ます。やらせも問題だけど、この手の話を小さい時から聞かされ続けたら、日本もその協力者(韓国?)も、悪者だと心に植えつけられてしまうのも仕方ないなぁと。ジンミは、どんな女性に成長するのでししょう。10年後、20年後のジンミが知りたいと思いました。(咲)


2015年/チェコ・ロシア・ドイツ・ラトビア・北朝鮮/110分/カラー
配給:ハーク
公式サイト:http://www.taiyouno-shitade.com
★2017年1月21日(土)シネマート新宿ほか全国ロードショー
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2016年11月20日

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち  原題:Nicky's Family

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監督・脚本・製作:マテイ・ミナーチュ
製作・脚本:パトリック・パッシュ  
音楽:ヤヌシュ・ストクロサ
出演:ニコラス・ウィントン、ヴェラ・ギッシング、アリス・マスターズ、ベン・アベレス、クラーラ・イソヴァー、エリ・ヴィーゼル、ダライ・ラマ14世
ナレーション:ジョー・シュレシンジャー

ナチスの迫害から669人の子どもたちを救ったニコラス・ウィントンの物語。

1938年、第二次大戦開戦前夜のチェコスロヴァキア。ナチス・ドイツによる迫害の危機が迫り、イギリスのビジネスマン、ニコラス・ウィントンが中心となって、ユダヤ人の子どもたちを安全な国に疎開させる<キンダートランスポート>の活動を始める。だが、多くの国が協力を拒否し、唯一子どもたちの入国を受け入れたのはニコラスの母国イギリスだけだった。ニコラスはイギリスで里親を探し、書類を偽造して、子どもたちを次々と列車で出国させるが、1939年9月1日の第二次世界大戦勃発によって中止を余儀なくされてしまう。彼が救った669人の子どもたちはホロコーストを生き延び、各国でさまざまな職に就き、その子孫はいまや約6000人におよぶ。
ナレーションを務めたジョー・シュレシンジャーも、ウィントンに助けられた子どもたちの一人。

多くの子どもたちを救ったニコラス・ウィントンですが、彼はそのことを家族にさえ一切話していませんでした。本人は偉業を成し遂げたという意識はなく、それよりも受け入れ先の里親も決まっていたのに、戦争勃発で救えなかった子どもたちのことを思うと胸が痛み、とても口に出せなかったようです。
50年後の1988年、ウィントンの奥様が屋根裏部屋で当時のことを克明に記録した一冊のスクラップブックを見つけたことから、ウィントンの偉業が世に知らされ、ウィントンに救われた当時の子どもたちとの再会が実現します。
感心したのは、ウィントンが一人一人の記録をきちんと整理し、戦争が終わった後、親子が再会できるようにしていたことです。
ニコラス・ウィントンは、2015年7月1日、子どもや孫たちに囲まれながら106歳で亡くなられました。この映画をどんな思いでご覧になったのでしょう。(咲)


2011年/チェコ+スロヴァキア合作/101分/英語/カラー&BW/1:1.85ビスタ
後援: チェコ共和国大使館、チェコ・センター、スロヴァキア共和国大使館 
配給:エデン+ポニーキャニオン  
公式サイト:http://www.nicholaswinton.jp
★2016年11月26日(土)からYEBISU GARDEN CINEMAほか全国で順次公開
posted by sakiko at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月17日

クーキー (原題:Kuky se vraci )

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監督・製作・脚本:ヤン・スベラーク
撮影:ブラディミル・スマトニー 音楽:ミハル・ノビンスキ
出演:オンジェイ・スベラーク(声)、ズデニェク・スベラーク(声)
オールドリッチ・カイザー 他

『コーリャ 愛のプラハ』で第69回アカデミー外国語映画賞を受賞したチェコのヤン・スベラーク監督の、オリジナル脚本によるパペットアニメーション。ゴミ捨て場に捨てられたテディベアが繰り広げる不思議な冒険をパペットや精巧なミニチュア、VFXを駆使して描いた。ぜんそく持ちの男の子オンドラは、テディベアのクーキーとずっと一緒に暮らしていた。ところがオンドラの母親がゴミと一緒にクーキーを捨ててしまう…ゴミ捨て場へと運ばれたクーキーは、ショベルカーに潰されそうになった瞬間、突然動き出して森の中へと逃げ込んだ。しかし森の中には邪魔者が沢山いて、クーキーの行く手を阻む…はたしてクーキーは大好きな少年オンドラの待つ家に辿り着くことができるのか?!!

チェコのアカデミー賞4部門受賞、世界的ゲーム・クリエイター集団アマニタ・デザインによるユニークな森のキャラクターたちも話題のパペットアニメーションです。小さな頃、私も眠る時に必ず一緒だったぬいぐるみがありました。いつの間にか母親に捨てられて号泣しましたが、この作品の冒頭も同じ!! きっと世界中の誰もが、こんな経験をしているんだと心温まりました。チェコ伝統のマリオネット技術(パペット)を駆使し、実写とCGで創りあげられた魔法の世界。川本喜八郎など日本の人形アニメーション作家に多大なる影響を与えた東欧のアニメ王国チェコから可愛くて、ちょっと奇妙で切ない大人も楽しめる物語が届きました!! (千)

2010/チェコ/95分
配給:アンプラグド
公式サイト
★8月22日より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー



posted by chie at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | チェコ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする