監督・脚本:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン
出演:バルドル・エイナルソン(ソール)、ブラーイル・ヒンリクソン(クリスティアン)、ディルヤゥ・ワルスドッティル(ベータ)、カトラ・ニャルスドッティル(ハンナ)
ソールとクリスティアンは幼なじみで、何をするのも一緒の大親友だった。ソールは母親と個性的な二人の姉と暮らしている。母親がほかの男に女の顔を見せるのが嫌でたまらない。クリスティアンは支配的な父親を怖れ、気弱な母親は夫に従うばかりだ。けれどもソールにはそんなところは見せず、いつも優しい。
ソールは同級生の少女ベータが気になっているが、気持ちを伝えられない。クリスティアンが後押ししてくれて、少し前進することができた。ベータの友達のハンナがクリスティアンに想いを寄せて、4人は一緒に出掛けるようになる。
アイスランドから届く映画を何本か観ましたが、どれも心に沁みてきました。思春期にさしかかった少年たちのこの物語もその一つ。チラシ画像のこちらを見据える少年がソール、彼を見守るようなまなざしを向けているのがクリスティアンです。アイスランドを地球儀で見ると(南北が広がっているメルカトル図法の地図では大きくなってしまいます)北大西洋のグリーンランド寄りにぽつんとある島国(北海道と四国を足したくらいの広さ)です。約31万人が住んでいます。人口密度は3人/km2。
自然だけは豊かな小さな漁村で、少年たちは思春期を迎え、大人に近づいていきます。しかし大人の世界に楽しそうな要素が見当たりません。
小さな村では人の出入りが少なく、どの人も長い付き合い、家の事情もお互いに知られています。そういう村で異分子とされたら、住み続けることができません。人に埋もれてしまう都会の孤独も辛いでしょうが、狭い社会で好奇と嫌悪の視線にさらされる辛さも相当なものでしょう。通らねばならない道だと思っても、ソールとクリスティアンの友情と愛情の切なさに胸が痛みました。出演している少年たちの情報がなにもありませんが、1982年生まれの監督の青春時代の思い出が色濃く反映されているそうです。(白)
2016年/アイスランド、デンマーク/カラー/シネスコ/129分
配給・宣伝:マジックアワー
http://www.magichour.co.jp/heartstone/
★2017年7月15日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー