2018年07月22日

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス(原題:Buena Vista Social Club: Adios)

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監督:ルーシー・ウォーカー
製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース
出演:オマーラ・ポルトゥオンド(ボーカル)、マヌエル・“エル・グアヒーロ”・ミラバール(、トランペット)、バルバリート・トーレス(ラウー)、エリアデス・オチョア(ギター、ヴォーカル)、イブライム・フェレール(ヴォーカル)

『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』(99)で一世を風靡した伝説のバンドは当時平均70歳だった。18年たった今、平均90歳。メンバーの何人かが亡くなり、病気になり、いよいよ最後の「アディオス(さよなら)」コンサート・ツアーをすることになる。専属の医師を伴い、曲の合間に酸素吸入をする。認知症になって会話はおぼつかなくなったけれども、ピアノに手を触れれば往年の超絶技巧が甦ってくる。天国へ旅立ったメンバーを偲びながら、最後まであきらめず、観客を楽しませるプロフェッショナルなプレイヤーたち。こんな風に年を取れたら何も言うことはない。なんてカッコイイんだ!!(白)

2017年/イギリス/カラー/ビスタ/110分
配給:ギャガ
(c)2017 Broad Green Pictures LLC
http://gaga.ne.jp/buenavista-adios/
★2018年7月20日(金)ロードショー
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2018年06月03日

ビューティフル・デイ(原題:You Were Never Really Here) 

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監督・脚本:リン・ラムジー
原作:ジョナサン・エイムズ「ビューティフル・デイ」(早川書房)
撮影:トム・タウネンド
音楽:ジョニー・グリーンウッド
出演:ホアキン・フェニックス(ジョー)、ジュディス・ロバーツ(ジョーの母)、エカテリーナ・サムソノフ(ニーナ)、ジョン・ドーマン(ジョン・マクリアリー)、アレックス・マネット(ヴォット議員)

元兵士のジョーは、行方不明者を捜索するスペシャリストとして、手段を選ばずに解決していく。子どものころ父に虐待され、一緒に耐え忍んだ母と暮らしている。頭の中ではいつも爆音とあらゆる苦痛が渦巻き、それから逃れられる死を渇望していた。ある日の依頼は州上院議員からだった。彼の10代の娘ニーナが売春組織に囚われているので、取り戻してほしいという。奪還を約束し、ハンマーを片手に娼館に向かい、感情が欠落し無表情で横たわっていたニーナを救い出す。しかし、まもなくニーナはまた何者かに拉致されてしまった。

リン・ラムジー監督の前作は『少年は残酷な弓を射る』(2012)。母親と望まぬ妊娠で生まれた長男との愛憎を描いて、エズラ・ミラーの美しさと共に忘れられない作品です。6年ぶりの新作は、トラウマを抱えた中年男が美しい少女を娼館から救い出す話。せっかくのハンサムな顔の半分がヒゲに覆われて、むさ苦しいことこの上ないホアキン・フェニックス、おまけにおなかも出ているし、と『ウォーク・ザ・ライン 君につづく道』(2008)のスマートなホアキンが好きなので、最初ちょっと残念でしたが、これは全く爽快さとは無縁なストーリー。思い切り暗くて不穏な、しかしスタイリッシュな画面にジョニー・グリーンウッド(レディオ・ヘッド)の音楽がガンガン被さって、ひきずりまわされた感覚でした。残酷な場面は始まりと結果だけ、アクションもセリフもできるだけ省いています。ヒゲも体型も全て役のため。寡黙なジョーはその肉体に語らせているということ。ホアキンはラムジー監督に会う前に出演を決め、早くから役作りのために監督と話し合ったとか。宣伝のためにこんなに露出することも珍しいそうで、お気に入り作品なのですね。ホアキンファンは必見。カンヌ国際映画祭で脚本賞と男優賞の2冠を獲得しました。(白)

2017年/イギリス/カラー/シネスコ/90分
配給:クロックワークス
Copyright (C) Why Not Productions, Channel Four Television Corporation, and The British Film Institute 2017. All Rights Reserved. (C) Alison Cohen Rosa / Why Not Productions
http://beautifulday-movie.com/
★2018年6月1日(金)新宿バルト9 ほか全国ロードショー
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2018年05月13日

ピーターラビット(原題:Peter Rabbit)

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監督:ウィル・グラック『ANNIE/アニー』
原作:ビアトリクス・ポター
脚本:ロブ・ライバー、ウィル・グラック
撮影:ピーター・メンジース・Jr.
音楽:ドミニク・ルイス
出演:ローズ・バーン(ビア、声:あひるのジマイマ、パドルダック)
ドーナル・グリーソン(トーマス・マクレガー、声:かえるのジェレミー・フィッシャーどん)
サム・ニール(マクレガーおじさん)
デイジー・リドリー(カトンテール声)
エリザベス・デビッキ(モブシー声)
マーゴット・ロビー(フロプシー声)
ジェームズ・コーデン(ピーターラビット声)

ウサギのピーターはたくさんの仲間と楽しく暮らしている。両親はなくなってしまったけれど、大親友の画家ビアがいる。けれどもマグレガーおじさんの後にロンドンからやってきた若いマクレガーは、動物嫌いで潔癖症。畑に入ったピーターはさっそく追い掛け回された。おまけにマクレガーはピーターの大事なビアが気になるらしい。あんなヤツにビアを取られたくないっ!これまでの幸せを守るために、ピーターは立ち上がった。小さくても動物でもできることはある!ってね。

ビアトリクス・ポターが子どものために描いた小さな絵本「ピーターラビット」シリーズは日本でも福音館書店から発行されて、我が家にも5,6冊あります。本作は実写と3DCGアニメの融合作品で、ふわふわモフモフの動物の毛も再現されています。どうやって作っているのでしょう。メイキングが見たいものです。舞台は原作者のポターが愛してやまなかった湖水地方。目の前に広がる絵本の世界にひたり、ビアの住居の可愛らしい調度品や描きあげられた絵にもご注目ください。
レニー・ゼルウィガーがポターを演じた伝記映画『ミス・ポター』(2006年)も未見の方はぜひどうぞ。(白)


2018年/オーストラリア、アメリカ、イギリス合作/カラー/シネスコ/95分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
http://www.peterrabbit-movie.jp/

★2018年5月18日(金)ロードショー
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2018年04月22日

アンロック 陰謀のコード(Unlocked)

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監督:マイケル・アプテッド
脚本:ピーター・オブライエン
撮影:ジョージ・リッチモンド
音楽:スティーヴン・バートン
出演:ノオミ・ラパス(アリス・ラシーン)、オーランド・ブルーム(ジャック・オルコット)、マイケル・ダグラス(エリック・ラッシュ)、トニ・コレット(エミリー・ノウルズ)、ジョン・マルコビッチ(ボブ・ハンター)

ロンドンの地区センターの職員として働くアリス・ラシーン、実はCIAのエージェント。有能な女性審問官だったが、パリのテロ事件を阻止できず犠牲者を出してしまった。このことに責任を感じ、第一線から身を引いていたが、バイオテロ計画の容疑者の審問のために復帰せよと命じられる。重要な供述を得る寸前に、この任務が罠だったことが判明する。容疑者は殺され、アリスは英国とアメリカ両政府から犯人として追われるはめになってしまった。

『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』(2009)のリスベット・サランデル役が強烈な印象を残したノオミ・ラパス。その後もアクション、サスペンスと姿を見てきましたが、本作は両方が楽しめるアクション&ミステリー。CIAの内部の裏切り者に陥れられ、自分の身を守りつつ、真犯人を探していきます。芸達者な俳優達が揃って、誰もがあやしく見えてしまいます。
オーランド・ブルームが妙な出会いから相棒となるジャック。『ロード・オブ・ザ・リング』三部作(2001〜2003)からはや15年、いつまでも金髪のレゴラスではないのでした。98分という短い時間で刻々と変わる状況をスピーディに混乱なく伝えて、緊張感を失わせずラストへなだれ込みます。え、もう終わったの?!ですよ。(白)


2017年/イギリス/カラー/シネスコ/98分
配給:キノフィルムズ
(c)2017 UNLOCKED DISTRIBUTION LIMITED
http://unlock-movie.jp/
★2018年4月20日(土)ロードショー
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2018年04月01日

ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル(原題:Jumanji:Welcome to the Jungle)

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監督:ジェイク・カスダン
脚本:クリス・マッケーナ、エリック・ソマーズほか
撮影:ギュラ・パドス
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演:ドウェイン・ジョンソン(スペンサー/スモルダー・ブレイブストーン博士)
ケビン・ハート(フリッジ/ムース・フィンバー)
ジャック・ブラック(ベサニー/シェリー・オベロン教授)
カレン・ギラン(マーサ/ルビー・ラウンドハウス)
リス・ダービー(ナイジェル)
ボビー・カナベイル(ヴァン・ベルト)
ニック・ジョナス(アレックス/シープレーン)
アレックス・ウルフ(高校生スペンサー)
サーダリウス・ブレイン(高校生フリッジ)
マディソン・アイスマン(高校生ベサニー)
モーガン・ターナー(高校生マーサ)

1996年。父が見つけてきたボードゲーム「ジュマンジ」をほったらかしていた高校生の息子。ある夜、太鼓の音に誘われて箱をあけ、中にあったカセットテープをセットしてみた・・・。

現代。居残りの高校生が校長の命令で倉庫の片づけをさせられていた。ゲームオタクのひ弱なスペンサー、アメフト選手だけれど頭はいまいちのフリッジ、美人をはなにかけるべサニー、ガリ勉で暗いマーサの4人。飽きてしまって棚にあった古いテレビゲーム「ジュマンジ」で遊ぶことにした。それぞれがプレイヤーを選んでスタートすると、なんとゲームの中に吸い込まれてしまった!
気づけば周りはジャングル、自分の身体ではなく選んだゲームのアバターになっていた!中味はそのまま、真逆のキャラに動転、とまどう4人の前に案内役のナイジェルが現われる。ジュマンジの世界に呪いがかけられ、それを解くには悪人に奪われた宝石を奪い返し、聖なるジャガー像の眼に戻さなければならない。4人はゲームキャラの持つスキルを駆使して、ゴールまでたどり着かねばここから出られない。現実世界に戻るにはとにかくゲームをクリアするのだ!

ロビン・ウィリアムズ主演の『ジュマンジ』(1995/ジョー・ジョンストン監督)はもう20年以上前になりました。元気なロビン・ウィリアムズの姿に胸を痛めつつ、懐かしく観直しました。少年のときにジュマンジに吸い込まれたアランが、26年後にたまたまボードゲームを見つけた姉弟に発見されます。その姉役がキルスティン・ダンスト。大人になったアランがロビン・ウィリアムズでした。たくさんのCGの動物たちが出現して話題になったようです。
それから20年後と設定された続編の本作はボードゲームでなく、時代に合わせてビデオゲームに変更。昨年12月に全米公開され、ロングランの上に2月になって全米トップを獲得。こんな快挙は『タイタニック』以来だとか。ゲームに巻き込まれた高校生たちが似ても似つかぬゲームキャラに変身する意外さに加え、敵キャラが強く目的が明確にあります。それもリセットし放題の甘いものではなく「ライフは3つ限り。なくなったら永久に戻れない」という縛りもきいています。何も共通項のなかった4人が、自分と全く違うキャラに変わり、その能力を使い、力を合わせて難題に挑みます。年齢問わずRPGのキャラになったつもりで楽しめる作品。ラストも良いです。
ソニーの最先端テクノロジー「ハプティックベスト」を装着して楽しむ「超体感シネマ『マジジュマンジ』」は3月29日〜4月5日限定、TOHOシネマズ日比谷で通常料金で上映されます。ちょっとやってみたい。(白)


2017年/アメリカ/カラー/シネスコ/119分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
http://www.jumanji.jp/
★2018年4月6日(金)ロードショー 生きて帰れ!
posted by shiraishi at 16:40| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする