2017年02月05日

たかが世界の終わり  原題:Juste la fin du monde

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監督・脚本:グザヴィエ・ドラン (『Mommy マミー』『わたしはロランス』)
原作:ジャン=リュック・ラガルス「まさに世界の終わり」
出演:ギャスパー・ウリエル、レア・セドゥ、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、ナタリー・バイ

若手人気劇作家のルイ(ギャスパー・ウリエル)は、12年ぶりに実家に向かっていた。重い腰をあげたのは、家族に「もうすぐ死ぬ」と伝えるためだ。
母マルティーヌ(ナタリー・バイ)は、息子の好きな料理を食卓に並べている。妹シュザンヌ(レア・セドゥ)は、小さい頃に別れた兄の記憶はないが、お洒落をして待ち構えている。一方、兄アントワーヌ(ヴァンサン・カッセル)は、久しぶりに会う弟に素っ気ない。兄の妻カトリーヌ(マリオン・コティヤール)とは初対面。ぎこちない雰囲気の中で、カトリーヌは気をつかって、話題を探してルイに話しかける。
デザートを食べ終わったら、皆に話そうと思っていたルイだが、タイミングを逸してしまう・・・

12年も帰郷してなかったルイ。どこかぎくしゃくした家族の会話。過去に何があったのか?
一番印象に残ったのは、話し下手なのに、一生懸命ルイに話しかけようとするカトリーヌを演じたマリオン・コティヤール。映画ごとに違った顔を見せてくれて、驚かされる。
プレス資料に、グザヴィエ・ドランが本作を撮ろうと思ったのは、カンヌ国際映画祭でマリオン・コティヤールに出会ったのがきっかけだったとあった。鬼才ドランが引き出したマリオン・コティヤールの違った魅力。
それにしても、なんとももどかしい家族の風景! (咲)



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(C)Shayne Laverdiere, Sons of Manual


第69回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作品、若き天才ドラン監督の最新作。映画のタイトルどおり、愛が終わることに比べたら、たかが世界の終わりなんて… 共感することこの上ない。ましてや家族なんだし… 夫婦なら離婚できるけど家族はそうそう別れられない。私も昔、実兄と喧嘩した時に「兄弟は他人のはじまり」と言われ大変ショックを受けたことを思い出し、つくづく血が繋がっている家族より赤の他人とのほうが分かり合えるなんて、と複雑な気持ちを抱いたことがあり、それは今でもトラウマになっている。これって世界共通のフラグだったのか…。 (千)


2016年/カナダ・フランス/99分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル
配給:ギャガ
提供:ピクチャーズデプト、ギャガ、ポニーキャニオン、WOWOW、鈍牛倶楽部
後援:カナダ大使館、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本
公式サイト:http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/
★2017年2月11日(土)新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA 、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国順次ロードショー



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2017年01月31日

すべての政府は嘘をつく  原題:ALL GOVERNMENTS LIE - Truth, Deception, and the Spirit of I.F. Stone

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オリバー・ストーン製作総指揮
監督:フレッド・ピーボディ
出演:ノーム・チョムスキー(マサチューセッツ工科大学名誉教授)、マイケル・ムーア(映画監督)、エイミー・グッドマン(報道番組『デモクラシー・ナウ!』創設者)、カール・バーンスタイン(元『ワシントン・ポスト』記者)、グレン・グリーンウォルド(元『ザ・ガーディアン』記者/ニュースサイト『ジ・インターセプト』創立者)、ほか

◇2016年トロント国際映画祭正式招待
◇2016年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭正式招待

公益よりも私益に走り、権力の欺瞞を追及しない大手メディア。それに抗い、鋭い調査報道で真実を伝えるフリー・ジャーナリストたちが今、世界を変えようとしている。彼らに多大な影響を与えたのが、1940〜80年代に活躍した米国人ジャーナリストのI. F.ストーンだった。I. F.ストーンは「すべての政府は嘘をつく」という信念のもと、組織に属さず、地道な調査によってベトナム戦争をめぐる嘘などを次々と暴いていった。本作はそんな彼の報道姿勢を受け継いだ、現代の独立系ジャーナリストたちの闘いを追ったドキュメンタリーである。

【クロスメディアによる一斉公開スケジュール】
◆2/1(水)・2(木)NHK BS1 「BS世界のドキュメンタリー」(23:00〜)にて放映
http://www6.nhk.or.jp/wdoc/

◆2/3(金)アップリンク・クラウドにて配信スタート
予約受付中
視聴価格:1,200円/1年間(10%OFFの予約割引あり。1,200円→1,080円)
予約割引プロモーションコード:ALLGOVSLIE10 (2/3(金)13:59まで有効)
http://www.uplink.co.jp/cloud/

◆2/4(土)、2/15(水)、2/24(金)アップリンク渋谷にて劇場プレミア上映
3/18(土)より本上映スタート
http://www.uplink.co.jp/movie/2017/47397

【公開記念シンポジウム】
[日 時] 2月4日(土) 開場18:15/上映18:30〜20:05/シンポジウム20:10〜22:00
[会 場] アップリンク渋谷(東京都渋谷区宇田川町37-18 トツネビル)
[ゲスト] 岩上安身(IWJ代表/ジャーナリスト)、津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)、竹下隆一郎(ハフィントンポスト日本版編集長)
[司 会] 浅井隆(アップリンク 代表)

★シンポジウムのみ2月4日20:10からIWJにてライブストリーミング中継されます。ご視聴はこちらから。
<YouTube>
https://www.youtube.com/user/IWJMovie/videos?shelf_id=4&view=2&sort=dd&live_view=501
<CAS>
http://twitcasting.tv/iwakamiyasumi

2016年/92分/カナダ/英語/5.1ch/日本語吹替
配給・宣伝:アップリンク
c 2016 All Governments Lie Documentary Productions INC.
公式サイト:www.uplink.co.jp/allgovernmentslie
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2017年01月08日

天使にショパンの歌声を  原題:La Passion D'Augustine

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監督:レア・プール(『天国の青い蝶』『翼をください』)
出演:セリーヌ・ボニアー、ライサンダー・メナード、ディアーヌ・ラヴァリー、ヴァレリー・ブレイズ、ピエレット・ロビタイユ、マリー・ティフォ、エリザベス・ギャニオン

1960年代、カナダ、ケベック州の広野にたたずむ修道院の運営する女子寄宿学校。音楽教育に力を入れ、ピアノコンクール入賞者も輩出する名門校だが、政府の進める近代化で公立学校が増え、存続の危機に見舞われていた。そんな折、校長オーギュスティーヌの姪アリスが転校してくる。両親に見捨てられたと思い込んで心を閉ざすアリスだが、彼女にピアニストとしての才能を見出した校長は、学校存続の鍵にもなると彼女を中心にイベントを企画する。ところがイベント前夜、アリスはクラスメイトをかばって頑固なシスターと喧嘩し、怒りのあまり無断外出してしまう・・・

カナダの女性監督、レア・プールが、長編映画監督デビューから35年となる2015年に製作した渾身の最新作。
ケベック州は、カナダの中で唯一のフランス語文化圏。カトリック教会が大きな力を持ち、教育も従来教会の支配下に置かれていた。1960年の選挙で革新的な自由党が勝利し、産業・社会・教育・宗教など多岐にわたって「静かなる革命」が行われる。特に学校教育は政教分離の大改革が行われ、教会や修道会が直接運営してきた学校の多くが公立学校として世俗化された。
本作は、その時代を背景にした物語。
原題『La Passion D'Augustine(オーギュスティーヌの情熱)』の通り、校長オーギュスティーヌの教育に捧げる情熱を描いた物語。カナダでも、1960年代は、まだまだ女性の権利や自由、社会進出が認められていなかった時代だそうです。
音楽の力を信じて、学校を救おうと権力に立ち向かうシスターや女生徒たちの姿が眩しいです。そして、修道服を脱ぎ捨て、スーツ姿で現れるシスターたちの潔さ! 
ショパンを初め、リスト、バッハ、ドビュッシー、モーツァルト、ベートーヴェン等々、クラシックの名作の数々が心地よく響きます。
中でも、学校閉鎖の危機を救おうと開く記者会見で歌われるドビュッシーの「家なき子たちのクリスマス」は、第一次世界大戦勃発後の1916年に、ドイツ軍の侵攻で家を失いクリスマスを迎えられなくなった戦災孤児のためにドビュッシーが作詞作曲した合唱曲とプレス資料にありました。ぜひ歌詞に注目してご覧ください。(咲)


2015年/カナダ/フランス語/カラー/103分
配給:KADOKAWA
公式サイト:http://tenshi-chopin.jp/
★2017年1月14日(土)より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
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2016年10月23日

手紙は憶えている(原題:Remember)

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監督:アトム・エゴヤン
脚本:ベンジャミン・オーガスト
撮影:ポール・サロシー
音楽:マイケル・ダナ
出演:クリストファー・プラマー(ゼヴ・グットマン)、マーティン・ランドー(マックス・ザッカー)、ヘンリー・ツェニー(チャールズ・グットマン)、ディーン・ノリス(ジョン・コランダー)、ブルーノ・ガンツ(ルディ・コランダー)

90歳になったゼヴはケア施設に住んで、1週間前に亡くなった妻を毎日呼んでいる。もう憶えていられないほど老いが進んでいるのだった。そんな彼を支えているのは、友人のマックスから受け取った手紙だ。記憶が薄れていくゼヴのために“二人はアウシュビッツ収容所での生存者であること、家族はナチスに殺されたこと、その犯人のナチス兵士が身分を偽り、今も生き延びていること”が記されていた。身体が不自由になり、もう外出もかなわないマックスは、旅の手筈を整え、犯人の“ルディ・コランダー”への復讐をゼヴに託したのだ。様々なキーワードを頼りに、ゼヴはそっと施設を抜け、70年ぶりの復讐の旅に出る。

要介護度の高そうなお爺ちゃんの一人旅、それも復讐のため!?ホロコースト関連作品はいくつも観てきましたが、思いがけない設定でした。大柄でいかにも頑健そうなクリストファー・プラマーが、足取りも覚束ない90歳のゼヴを演じています。朝起きるたびに自分がなぜここにいるのか、忘れてしまっている人なのです。知らない土地を訪ねての複雑な旅程なのに、大丈夫なのか?とそっちのほうで先にハラハラしてしまいました。ゼヴが手紙を確かめながら、ジョン・コランダーと同姓同名の人を次々と訪ねるたびに一波乱あります。少しずつ明らかになる真実を積み重ねながら、ラストへと持っていくサスペンス劇でもあります。
アトム・エゴヤン監督は多くの作品が高い評価を受け、映画祭の審査員も勤めていますが、ベンジャミン・オーガストはこれが、脚本家デビュー。クリストファー・プラマーを頭に浮かべながら脚本を書いていたそうです。ぴったりなのも納得です。加害者も被害者も一様に年を重ねて、次第にいなくなっていく今だからこそできた作品。(白)


2015年/カナダ、ドイツ合作/カラー/ビスタ/96分
配給:アスミック・エース
(C)2014, Remember Productions Inc.
http://remember.asmik-ace.co.jp/
★2016年10月28日(金)TOHOシネマズ シャンテ他全国ロードショー
posted by shiraishi at 18:53| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月17日

ディーン、君がいた瞬間(とき)(原題:Life)

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監督:アントン・コービン
脚本:ルーク・デイビス
撮影:シャルロッテ・ブルース・クリステンセン
音楽:オーウェン・パレット
出演:デイン・デハーン(ジェームズ・ディーン)、ロバート・パティンソンデニス・ストック)、ジョエル・エドガートン(ジョン・モリス)、ベン・キングズレー(ジャック・ワーナー)、アレッサンドラ・マストロナルディ(ピア・アンジェリ)

1955年、気鋭の写真家、デニス・ストックはまだ無名の新人俳優ジェームズ・ディーンに出会った。恋人の女優の方が話題になる彼に、デニスは特別の輝きを見つける。フォトエッセイを作りたいとかけあうが上司はいい顔をしない。しかしストックはディーンに密着、ロサンゼルス、ニューヨークでの彼を撮影し、ディーンに誘われて彼の故郷インディアナまで旅をする。デニスはこれまで誰も撮らなかったディーンの素顔、取り戻せない一瞬をカメラに収めていった。

あまりにも早く駆け抜けて行ってしまったジミーこと、ジェームズ・ディーンとカメラマンとの2週間のふれあいに的を絞った作品。コートの襟を立て、くわえ煙草で寒そうに肩をすぼめて歩くジミーの写真をどこかで目にしたことはありませんか?このときにデニス・ストックが撮影し、「LIFE」に掲載された写真のうちの一枚です。
「伝説」と呼ばれる、今も皆の心の奥にいるジミーを演じるのに、ひるまない俳優がいるでしょうか? 自身もジミーのファンだというデイン・デハーンが監督の申し出を5回も断ったというのも無理ありません。デニス役のロバート・パティンソンも「僕はやらない。彼は勇気があるよ」と言っているほどです。
できるだけ似せたとしても、どうしても本人にはなれないのですから、俳優にできるのはどれだけ魂を近づけていけるかということでしょう。インディアナに向かう車中で、ジミーが死んだ母親について語るシーンが出色です。ポートレイトカメラマンでもあるアントン・コービン監督が細かく指示したのでは、と思ったシーンでした。デイン・デハーンの美しい瞬間もここに刻まれています。 (白)


東京国際映画祭の特別招待作品として上映された折に、アントン・コービン監督が来日。
ドキュメンタリー映画『アントン・コービン 伝説のロック・フォトグラファーの光と影』を観て、アントン・コービンの撮る写真にぐっと惹かれた私。ぜひ、本人に会いたい!と舞台挨拶に駆け付けました。身長190cm以上! さすが、オランダ人、背が高いです。
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10月24日(土)11時 新宿バルト9にて

監督を依頼された時の思いを聞かれたアントン・コービン、「私はカメラマンとして40年。正直いってジェームズ・ディーンよりも写真家のデニスのほうに興味がありました。デニスに共感し、デニスと被写体との関係にも興味を持ちました。それがジェームズ・ディーンなので、さらに面白い作品になったと思います」と語りました。 実は私もジェームズ・ディーンよりもアントン・コービンが監督したことに興味があって映画を観ました。ジェームズ・ディーンが短い人生の中で思い切り輝いた裏で寂しい思いもしていたことを感じて切なくなりました。写真家デニス・ストックの思いもきめ細かく描いたのは、やはりアントン・コービン自身が写真家だからこそでしょう。
フォトセッションの時に、MCから「どうぞ笑ってください」と言われ、「私は被写体に笑って〜と一度も言ったことがありません」とアントン・コービン。そう! 彼の撮る被写体は、キッと正面を睨みつけていて、ぞくっとさせられるのです。なるほど〜 笑ってと言わないんだ! 舞台挨拶に行った甲斐がありました。(咲)


2015年/カナダ・ドイツ・オーストラリア/カラー/シネスコ/112分
配給:ギャガ
http://dean.gaga.ne.jp/
Photo Credit: Caitlin Cronenberg,(C)See-Saw Films
★2015年12月19日(土)シネスイッチ銀座他全国ロードショー
posted by shiraishi at 13:10| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする