2018年06月09日

オンネリとアンネリのおうち(原題:Onneli ja Anneli)

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監督:サーラ・カンテル
原作:マリヤッタ・クレンニエミ「オンネリとアンネリのおうち」(1985年/福音館書店刊)
脚本:サーラ・カンテル
音楽:アンナ・マリ・カハラ
出演:アーバ・メリカント(オンネリ)、リリャ・レフト(アンネリ)、エイヤ・アフボ(バラの木夫人)、ヤッコ・サアリルアマ(リキネン)、ヨハンナ・アフ・シュルテン(ウメ・ボーシュ)

仲良しのオンネリとアンネリはいつも一緒。オンネリは9人きょうだいで、ちいさな家におしあいへしあいして暮らしている。一人っ子のアンネリは、お父さんとお母さんが離婚して両方の家を行ったりきたり。
ある日、バラ通りで封筒を拾い、警察に届けにいくと、封筒にはたくさんのお金と「正直者にあげます」という手紙が入っていた。2人はそのお金でバラの木夫人から水色のおうちを買うことになった。まるで2人を待っていたかのように、おうちの中には2人にピッタリの洋服やオモチャや家具が揃っていた。

フィンランドで大人気の同名の児童文学作品の映画化。この年頃の子どもたちが、指をくわえて羨ましくなるような夢や憧れがいっぱい詰まったお話です。もう50年以上も読み継がれています。
忙しすぎる大人が、少しも2人を気にせずにいる間に、オンネリとアンネリは2人だけのおうちを手に入れます。この衣装や美術を担当した方々はさぞ楽しかったことでしょう。自分が夢見たものを現実化していくことができるんですもん。私もやりた〜い。
2人の家族は娘たちに無関心でしたが、不思議なバラの木夫人、魔法が使えるお隣のおばさん姉妹に出会います。いいことづくめのような始まりですが、ちゃあんと事件が起きました。でもご近所の協力を得てみごとに解決できました。本国では大ヒットシリーズとなって、サーラ・カンテル監督は今4作目を準備中だそうです。この続きが早く観たいですね。
図書館には「オンネリとアンネリのおうち」(1966年)「オンネリとアンネリのふゆ」(1968年)の2冊がありました。挿絵も可愛いです。(白)


2014年/フィンランド/カラー/ビスタ/80分
配給:アットエンタテインメント
(C)Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.
http://www.onnelianneli.com/
★2018年6月9日(土)よりロードショー
posted by shiraishi at 22:47| Comment(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月26日

ムーミン谷とウィンターワンダーランド(原題:Moomins and the Winter Wonderland)

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監督:ヤコブ・ブロンスキ、イーラ・カーペラン
原作:トーベ・ヤンソン
主題歌:サラ・オレイン
ナレーション:神田沙也加
声の出演(日本語吹き替え):宮沢りえ(ムーミントロール)、森川智之(ムーミンパパ/スナフキン/ヘムレン/郵便配達員/めそめそ)、朴ろ美(ムーミンママ/リトルミイ/リス/ミムラねえさん/ガフサ夫人/フィリフヨンカ/ニブリング/おしゃまさん/茶髪ホムサ/金髪ホムサ/ホムサ祖母/サロメ/リトル・ウッディ)

落ち葉の季節、ムーミントロールの親友、スナフキンの旅立ちが近くなりました。スナフキンは冬の間中、このムーミン谷を離れて遠くへ行き、春になったら戻ってきます。ムーミンママたちは今冬眠の準備に大忙し。たくさん美味しいものを食べて暖かいベッドで眠りについていると…「ムーミン起きろ!クリスマスがやってくる!」冬中眠っているムーミンたちはクリスマスを知りません。「クリスマスさんってどんな人?」「たくさんおもてなしをしなくちゃ」初めてのクリスマス、さてさてどうなるのでしょう??

日本語吹き替え版のみの上映で、宮沢りえさんがムーミンの声を当てています。ベテラン声優の森川智之さんは5役、朴ろ(王へんに路)美さんは13役も!七色の声どころではありません。朴さんは初めて台本を見た時に、自分の名前がいくつもあるので誤植かと思ったそうです。実際の撮影で使われたパペット、セットの模型や関連資料などの展示も銀座で始まります。ぜひお子さんと一緒に映画と両方お楽しみください。(白)

2017年/フィンランド、ポーランド合作/カラー/ビスタ/86分
配給:東映
(C)Filmkompaniet / Animoon
Moomin Characters TM
http://www.moominswonderland.jp/
★2017年12月2日(土)よりロードショ

☆映画公開記念「MOOMIN パペット・アニメーション展」
2017年11月28日(火)−12月11日(月)<入場は閉場の30分前まで・最終日は17:00閉場>
松屋銀座 8Fイベントスクエア 
入場料 一般500円、小中学生300円
前売券は11月27日(月)まで販売(Lコード34133、セブンコード059-147)

詳細はこちら
posted by shiraishi at 20:23| Comment(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年11月25日

希望のかなた   原題:Toivon tuolla puolen  英題:The Other Side of Hope

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監督・脚本: アキ・カウリスマキ
出演:シェルワン・ハジ サカリ・クオスマネン イルッカ・コイブラ

フィンランドの首都ヘルシンキの港。船に積まれた石炭の中から男が這い出してくる。内戦で家をミサイルで破壊され、シリアから逃れてきた青年カーリドだ。ハンガリー国境まで来たところではぐれてしまった妹ミリアムを探して、ここまでたどり着いたのだった。警察で難民申請したカーリドは収容施設に入り、イラク人マズダックと親しくなる。
やがてトルコに送還されることが決まったカーリドは収容所を脱出する。とあるレストランのゴミ捨て場で寝泊りしていたところ、その店の主ヴィクストロムに雇い入れられる。
ヴィクストロムは酒浸りの妻に愛想をつかして、それまでの仕事をやめレストラン「ゴールデン・パイント」を買い取ったものの経営が思わしくなかった。寿司屋に鞍替えしてみるも、見事に失敗。試行錯誤するうち、カーリドや従業員たちと不思議な連帯感が生まれていく。
やがて、マズダックから、妹ミリアムがリトアニアの難民センターで見つかったと連絡がくる。カーリドは無事ミリアムと再会できるのか・・・

アキ・カウリスマキ監督は、前作『ル・アーヴルの靴みがき』(2011年)に始まる港町3部作を、難民3部作と自ら呼称を変えた第2作が『希望のかなた』。

監督が世界を覆いつくす不寛容に最初に声をあげたのは、2002年のニューヨーク映画祭に招かれた時のこと。一緒に招かれたアッバス・キアロスタミ監督が、前年に起こった同時多発テロの影響でイラン人というだけでビザが発行されず入国できないとわかりボイコット。 その時の声明が実にウィットに富んでいます。
「世界中で最も平和を希求する人物の一人であるキアロスタミ監督に、イラン人だからビザが出ないと聞き、深い悲しみを覚える。石油すらもっていないフィンランド人はもっと不要だろう。米国務長官は我が国でキノコ狩りでもして気を静めたらどうか。世界の文化の交換が妨害されたら何が残る? 武器の交換か?」

『希望のかなた』でも、監督は辛辣なユーモアで不寛容な世界に声をあげています。

スキンヘッドのネオナチ集団が出会いがしらに「このユダヤ野郎」とカーリドを殴ります。相手がどういう人物であるか理解もせず、ただ異質なものを排除しようという、今の社会を象徴しているようでした。
仮想敵を作ることで、権力を誇示したい者がいる限り、平和共存は実現しないとつくづく思う場面でした。
トルコから船でギリシャに渡り、歩いていくつもの国境を越え、新たな安住の地を求めるカーリドは、今、世界に何百万といる難民の一人。彼らが平穏に暮らせることに手を差しのべるどころか、入国さえ拒否しようとする風潮に暗澹たる気持ちになります。(咲)


主演のシリア難民を演じたシェルワン・ハジさんが9月末、難民映画祭にあわせて来日。
お話を伺いました。
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★スタッフ日記『希望のかなた』でシリア難民を演じたシェルワン・ハジさんは、シリアのクルド人 →こちら

★特別記事 シェルワン・ハジさん インタビューは、こちら!

2017年 第67回ベルリン国際映画祭最優秀監督賞

2017年/フィンランド/フィンランド語、英語、アラビア語/98分/DCP・35o/カラー
配給: ユーロスペース
公式サイト:http://kibou-film.com/
★2017年12月2日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー!



posted by sakiko at 11:25| Comment(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年06月23日

好きにならずにいられない(原題:Fusi)

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監督・脚本:ダーグル・カウリ
撮影:ラスムス・ビデベック
制作:バルタザール・コルマウクル、アグネス・ヨハンセン
音楽:スロウブロウ
出演:グンナル・ヨンソン(フーシ)、リムル・クリスチャンスドッティル(シェヴン)、シガージョン・キャルタンソン(モルドゥル)

フーシは43歳独身。アイスランドの首都レイキャビクの空港で荷物係をし、母親とアパートで暮らしている。身体は大きいけれど気は小さく、女友達もいない。単調な仕事をこなした後は、カーステレオでヘビメタを聞き、ラジオにリクエストする。ジオラマ作りが趣味で、有名な「エル・アラインの戦い」を小さな兵士や戦車のフィギュアを使って再現している。母親はそんなフーシを心配して、誕生日にダンス教室のクーポンをプレゼントしてくれたが、フーシは気が進まない。いやいや出かけるが中に入れない。車の中でいつものようにラジオを聞いていると、小柄な女性が声をかけてきた。ダンス教室に通うシェヴンだった。

フーシ役のグンナル・ヨンソンはお相撲さんのような巨体で200sあるそうです。長髪にヒゲで、体形はほとんどベイマックスかトトロか?
フーシは、恋愛経験もなく純情で、オタク少年のまま中年になってしまった人。出会いのチャンスを、とママがプレゼントしてくれたダンス教室のクーポンは、功を奏するのですが。シェヴンの優しさに舞い上がったり、隣に引っ越してきた父子家庭の少女ヘラと遊んでやって誘拐と間違えられたリ、散々です。大きな事件は起きませんが、シャイなクマさんのようなフーシを「ネジでもあったら巻いてやりたい」気持で見守りました。ほぼ母親の心境です。
ダーグル・カウリ監督は『氷の国のノイ』(2003年)で長編デビューした方。別名義で音楽も担当しています。この優しい大男が主人公の映画は、北欧の映画祭をはじめ世界各地で様々な賞を受けました。フランシス・フォード・コッポラ監督のコメント「フーシ、君のような人が増えたなら、世界はもっと幸せになれるのに」に同意。(白)


2015年/アイスランド・デンマーク合作/カラー/シネスコ/94分
配給:マジックアワー
http://www.magichour.co.jp/fusi/
★2016年6月18日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 10:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月01日

1001グラム ハカリしれない愛のこと(原題:1001grams)

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監督・脚本・製作:ベント・ハーメル
出演:アーネ・ダール・トルプ(マリエ)、ロラン・ストケル(パイ)、スタイン・ヴィンゲ(アーンスト・アーンスト)

科学者のマリエはノルウェー国立計量研究所に勤めている。あらゆる計測に関するエキスパートだが、実生活では結婚に破れ、離婚手続き中。人生では規格ハズレになっている。そんなとき父親が倒れ、代理としてパリの国際セミナーに出席することになった。重さの基準となる「キログラム原器」を肌身離さず携えていかねばならない。

普段の生活でなにげなく使っている重さの規格の大元になるものを「原器」というんですね。聞いたことはあっても見たのは、この映画が初めてです。マリエの勤め先「ノルウェー国立計量研究所」と、マリエが出席する会議が開かれるパリ郊外の「国際度量衡局」は、撮影が許可されたほんもの。
にこりともしないマリエは、四角い部屋を丸く掃いたりはしないだろう、クールな理系女子なんだろうとつい思ってしまいます。ところが、パリで出会った男性パイのおかげですこしずつ表情がほぐれていき・・・。
『キッチン・ストーリー』『ホルテンさんのはじめての冒険』で、男性を主人公にしたベント・ハーメル監督。規則遵守、決まりきった日常からちょっと外れてしまうところにドラマが生れましたよね。この作品は規格そのものの「原器」を抱えた女性。なんということもないシーンにクスっと笑える種がまかれていました。(白)


2014年/ノルウェー、ドイツ、フランス/カラー/シネスコ/91分
配給:ロングライド
BulBul Film, Pandora Film Produktion, Slot Machine (c)2014
http://1001grams-movie.com/
★2015年10月31日(土)よりBunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 20:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 北欧 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする