2018年11月24日
オンネリとアンネリのふゆ(原題:Onnelin ja Annelin talvi)
監督:サーラ・カンテル
原作:マリヤッタ・クレンニエミ
脚本:サーラ・カンテル、サミ・ケスキ=バハラ
撮影:マリタ・ヘルフォルス
音楽:アンナ・マリ・カハラ
出演:アーヴァ・メリカント、リリャ・レフト、エイヤ・アフヴォ、ヤッコ・サアリルアマ、ヨハンナ・アフ・シュルテン、エリナ・クニヒティラほか
クリスマスの近づくある日、バラの木夫人から買った小さなかわいい家で暮らすオンネリ(アーヴァ・メリカント)とアンネリ(リリャ・レフト)のもとに、小人の一族・プティッチャネンの家族がバラの木夫人を訪ねてきた。家をなくした小人の家族は、彼らをつかまえようとする悪い人間たちから逃げているという。そこでふたりは、夫人の居場所が分かるまで、ふたりのドールハウスに家族をかくまうことに。しかし、お金に困っているガソリンスタンド店の夫婦が小人の家族の存在に気づいてしまう。はたして、ふたりは彼らを守ることができるのか。
フィンランドの児童文学を原作とする作品の映画化第2弾。
クリスマスが近いある日、女の子の夢が詰まったかわいい家に住むオンネリとアンネリが小人一家に助けを求められ、一緒に過ごす数日間のハートウォーミングな顛末を描く。
雪と氷に閉ざされるフィンランドの冬を白やブルーを基調に明るく表現。小人一家の存在を隠す2人と一儲けを企み、探りを入れる女性との攻防戦が微笑ましい。全てが丸く収まるラストにホッとした。多様性の受け入れをさりげなく描いているところがいい。(堀)
ふたりがなぜおうちを持っているのかは、『オンネリとアンネリのおうち』の紹介をどうぞ。続編を楽しみにしていたところでした。前回も楽しい隣人が登場し、ふたりは問題を見事に解決しました。今回はドールハウスにぴったりの大きさの小人さん一家を手助けします。
小人さん一家といえばイギリスの作家メアリー・ノートンの「床下の小人たち」から始まる小人の冒険シリーズが有名です。わくわくしながら岩波少年文庫を読み続けました。ジブリのアニメ作品『借りぐらしのアリエッティ』(2010/米林宏昌監督)をご覧になった方も多いでしょう。小人さんはファンタジーだけれど、現実でもそんな風に生き抜く人たちが世界中にいることにハッとしました。(白)
2015年/フィンランド/フィンランド語/カラー/ビスタサイズ/81分
配給:アットエンタテインメント
(C) Zodiak Finland Oy 2015 All rights reserved.
http://www.onnelianneli.com/
★2018年11月24日(土)公開
2018年10月21日
テルマ (原題:THELMA)
監督・脚本:ヨアキム・トリアー
出演:エイリ・ハーボー、カヤ・ウィルキンス、ヘンリク・ラファエルソン、エレン・ドリト・ピーターセン
ノルウェーの人里離れた田舎町で、信仰心が深く抑圧的な両親のもとに育った少女テルマ。なぜか彼女には、幼少期の記憶がない。オスロの大学に通うため一人暮らしを始めたテルマは、同級生のアンニャと初めての恋におちる。募る欲望と罪の意識に引き裂かれながらも、奔放な彼女に強く惹かれていくテルマ。だが、それは封印されたはずの“恐ろしい力”を解放するスイッチだった―。 テルマは不可解な発作に襲われるようになり、その度に周りで不気味な出来事が起こる。そんな中、アンニャが忽然と姿を消してしまう。果たして、テルマの発作とアンニャ失踪の関係は? 両親が隠し続けてきたテルマの悲しき過去が明かされる時、自分すら知らない“本当の自分”が目覚め始める―。
父が幼い娘に銃を向ける。作品冒頭から不穏な空気が漂う。大学生になった少女にてんかんの発作が起こると、人知を超えた能力が目覚め、北欧の風景をスタイリッシュに切れ割くように怪奇現象が現れる。少女は神か、悪魔か。じわじわと蝕むように広がる不安感。静謐な不気味さが画面を支配する。抑圧的な親から解放された本人的ハッピーエンドの先に阿鼻叫喚の修羅場が見えた。(堀)
2017 年/ノルウェー・フランス・デンマーク・スウェーデン/カラー/シネスコ/5.1ch デジタル/116 分
配給:ギャガ・プラス
(C) PaalAudestad/Motlys
https://gaga.ne.jp/thelma/
★2018年10 月 20 日(土) YEBISU GARDEN CINEMA、ヒューマ ントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開
2018年09月01日
ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男(原題:Borg/McEnroe)
監督:ヤヌス・メッツ
脚本:ロンニ・サンダール
撮影:ニルス・タストゥム
出演:スヴェリル・グドナソン(ビヨン・ボルグ)、シャイア・ラブーフ(ジョン・マッケンロー)、ステラン・スカルスガルド(レナート)、ツバ・ノボトニー(マリアナ)、レオ・ボルグ(ビヨン・ボルグ/少年時代)
1980年、ウィンブルドンの決勝。世界ランク1位のテニスプレイヤー、ビヨン・ボルグには歴史的記録となる5連覇の偉業がかかっている。端正な外見、冷静沈着な試合内容から「氷の男」と呼ばれていたが、大きなプレッシャーに耐え続けて神経をすり減らしていた。子どものころからボルグの指導を続けてきたコーチのレナートと、婚約者のマリアナだけがそんな彼の姿を知っている。
ボルグへの挑戦者は、アメリカの悪童とマスコミにバッシングをうけているジョン・マッケンロー。世界ランク第2位だが、審判に激しく抗議し、観客に悪態をつく問題児と見られている。彼は弁護士の父に誉められたい、認めてもらいたい一心でこれまで真剣勝負をしてきたのだ。
テニスが趣味で、当時の試合を見た方々は、もう一度当時の興奮が甦るでしょう。何の知識がなくても(私のように)、手に汗握って見続けることができます。2人がそこにたどりつくまでどんな人生を送ってきたのか、その軌跡も描かれます。死闘の末、2人が無二の親友となったというのに胸が熱くなります。試合当時、ボルグは24歳、マッケンローは21歳。こんなに若くして、テニス界の頂点に来てしまった二人。
ボルグ役を『ストックホルムでワルツを』(2013)のスベリル・グドナソン、マッケンロー役を『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフが演じました。どちらも本人の雰囲気、外見によく似ています。別々に過酷なトレーニングを続けて試合を再現した2人、それぞれの代表作になったんじゃないでしょうか。ボルグの少年時代を演じているのは実の息子のレオくん。ヤヌス・メッツ監督は、子どもの頃に見た試合が忘れられなかったそうです。どのスタッフも大事ですが、特に迫力の試合を再現したカメラマン、編集さんたちと、完成した作品に大喜びされたのでは。(白)
2017年/スウェーデン・デンマーク・フィンランド合作/カラー/シネスコ/108分
配給:ギャガ
(C)AB Svensk Filmindustri 2017
http://gaga.ne.jp/borg-mcenroe/
★2018年8月31日(土)ロードショー
2018年06月09日
オンネリとアンネリのおうち(原題:Onneli ja Anneli)
監督:サーラ・カンテル
原作:マリヤッタ・クレンニエミ「オンネリとアンネリのおうち」(1985年/福音館書店刊)
脚本:サーラ・カンテル
音楽:アンナ・マリ・カハラ
出演:アーバ・メリカント(オンネリ)、リリャ・レフト(アンネリ)、エイヤ・アフボ(バラの木夫人)、ヤッコ・サアリルアマ(リキネン)、ヨハンナ・アフ・シュルテン(ウメ・ボーシュ)
仲良しのオンネリとアンネリはいつも一緒。オンネリは9人きょうだいで、ちいさな家におしあいへしあいして暮らしている。一人っ子のアンネリは、お父さんとお母さんが離婚して両方の家を行ったりきたり。
ある日、バラ通りで封筒を拾い、警察に届けにいくと、封筒にはたくさんのお金と「正直者にあげます」という手紙が入っていた。2人はそのお金でバラの木夫人から水色のおうちを買うことになった。まるで2人を待っていたかのように、おうちの中には2人にピッタリの洋服やオモチャや家具が揃っていた。
フィンランドで大人気の同名の児童文学作品の映画化。この年頃の子どもたちが、指をくわえて羨ましくなるような夢や憧れがいっぱい詰まったお話です。もう50年以上も読み継がれています。
忙しすぎる大人が、少しも2人を気にせずにいる間に、オンネリとアンネリは2人だけのおうちを手に入れます。この衣装や美術を担当した方々はさぞ楽しかったことでしょう。自分が夢見たものを現実化していくことができるんですもん。私もやりた〜い。
2人の家族は娘たちに無関心でしたが、不思議なバラの木夫人、魔法が使えるお隣のおばさん姉妹に出会います。いいことづくめのような始まりですが、ちゃあんと事件が起きました。でもご近所の協力を得てみごとに解決できました。本国では大ヒットシリーズとなって、サーラ・カンテル監督は今4作目を準備中だそうです。この続きが早く観たいですね。
図書館には「オンネリとアンネリのおうち」(1966年)「オンネリとアンネリのふゆ」(1968年)の2冊がありました。挿絵も可愛いです。(白)
2014年/フィンランド/カラー/ビスタ/80分
配給:アットエンタテインメント
(C)Zodiak Finland Oy 2014. All rights reserved.
http://www.onnelianneli.com/
★2018年6月9日(土)よりロードショー
2017年11月26日
ムーミン谷とウィンターワンダーランド(原題:Moomins and the Winter Wonderland)
監督:ヤコブ・ブロンスキ、イーラ・カーペラン
原作:トーベ・ヤンソン
主題歌:サラ・オレイン
ナレーション:神田沙也加
声の出演(日本語吹き替え):宮沢りえ(ムーミントロール)、森川智之(ムーミンパパ/スナフキン/ヘムレン/郵便配達員/めそめそ)、朴ろ美(ムーミンママ/リトルミイ/リス/ミムラねえさん/ガフサ夫人/フィリフヨンカ/ニブリング/おしゃまさん/茶髪ホムサ/金髪ホムサ/ホムサ祖母/サロメ/リトル・ウッディ)
落ち葉の季節、ムーミントロールの親友、スナフキンの旅立ちが近くなりました。スナフキンは冬の間中、このムーミン谷を離れて遠くへ行き、春になったら戻ってきます。ムーミンママたちは今冬眠の準備に大忙し。たくさん美味しいものを食べて暖かいベッドで眠りについていると…「ムーミン起きろ!クリスマスがやってくる!」冬中眠っているムーミンたちはクリスマスを知りません。「クリスマスさんってどんな人?」「たくさんおもてなしをしなくちゃ」初めてのクリスマス、さてさてどうなるのでしょう??
日本語吹き替え版のみの上映で、宮沢りえさんがムーミンの声を当てています。ベテラン声優の森川智之さんは5役、朴ろ(王へんに路)美さんは13役も!七色の声どころではありません。朴さんは初めて台本を見た時に、自分の名前がいくつもあるので誤植かと思ったそうです。実際の撮影で使われたパペット、セットの模型や関連資料などの展示も銀座で始まります。ぜひお子さんと一緒に映画と両方お楽しみください。(白)
2017年/フィンランド、ポーランド合作/カラー/ビスタ/86分
配給:東映
(C)Filmkompaniet / Animoon
Moomin Characters TM
http://www.moominswonderland.jp/
★2017年12月2日(土)よりロードショー
☆映画公開記念「MOOMIN パペット・アニメーション展」
2017年11月28日(火)−12月11日(月)<入場は閉場の30分前まで・最終日は17:00閉場>
松屋銀座 8Fイベントスクエア
入場料 一般500円、小中学生300円
前売券は11月27日(月)まで販売(Lコード34133、セブンコード059-147)
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