2018年09月02日

いのちの深呼吸   原題:The Departure

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監督・製作:ラナ・ウィルソン
挿入曲: クリスチャン・フェネス + 坂本龍一、他
登場人物:根本一徹 (臨済宗妙心寺派大禅寺住職、「いのちに向き合う宗教者の会」代表)

岐阜県関市にある大禅寺。「旅立ち」という自殺志望者たちのためのワークショップが開かれている。取り仕切るのは、この寺の住職、根本一徹(46)。
参加者たちに、自分にとって大切なものを小さな紙片に書かせ、少しずつ捨てさせ、最後に残った一番大事なものも捨てさせる。「これが死です」と告げる。一番失いたくないものに心を向けてもらうための試みだ。

本作の監督は、ニューヨークを拠点にドキュメンタリー映画を製作しているアメリカ人女性ラナ・ウィルソン。「ニューヨーカー」誌で僧侶の根本一徹さんが、独特の方法で自殺願望者たちと向き合っていることを知り、3年にわたり密着取材したドキュメンタリー。

サラリーマン家庭に生まれ、若い頃は奔放な暮らしを送っていた根本一徹さんが、仏門に入ったきっかけは、新聞の「僧侶募集。経験不問」の求人広告。試写の折に会場にいらした根本一徹さんにお伺いしたら、それは現在住職を務める大禅寺ではなく、坊主が60人もいる大きなお寺。「僧侶というより会社員ですよ。でも、それがこの道に入るきっかけにはなりました」と笑う。
僧侶という立場で自殺防止活動に取り組む根本さんは、若い頃に身近な人が3人自殺した経験を持っている。若者(15〜34歳)の死因が病死や事故を抜き、自殺が1位という日本。なんとか思い止まらせたいと、メールや電話で届くSOSに対応する根本さん。
誰にも明かせなかった心のうちを聞いてもらえる人のいることが、いかに大切か・・・
人との繋がりがいかに人生を豊かにしてくれるかにも思いが至りました。(咲)


2017年/アメリカ/日本語/デジタル/87分
配給:パンドラ
公式サイト:http://xn--n8jyctbb4296bwlar58l.com/
★2018年9月8日(土)よりポレポレ東中野ほかロードショー





posted by sakiko at 09:04| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月01日

アントマン&ワスプ(原題:Ant-Man and the Wasp)

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監督:ペイトン・リード
撮影:ダンテ・スピノッティ
音楽:クリストフ・ベック
出演:ポール・ラッド(スコット・ラング/アントマン)、エバンジェリン・リリー(ホープ・ヴァン・ダイン/ワスプ)、マイケル・ペーニャ(ルイス)、ウォルトン・ゴギンズ(ソニー・バーチ)、ボビー・カナベイル(ジム・パクストン)、ミシェル・ファイファー(ジャネット・ヴァン・ダイン)、ローレンス・フィッシュバーン(ビル・フォスター)、マイケル・ダグラス(ハンク・ピム)、ハナ・ジョン=カーメン(ゴースト/エイヴァ)

アベンジャーズに組した戦いで、FBIの監視下に置かれることになったアントマンことスコット。足首に居所を示すセンサーつきのバンドをつけられている。娘にも会えず、悶々とした日々をすごしていたところ、アントマンスーツの考案者であるピム博士にあることを依頼された。その任務を達成するため、バディとなるのは博士の娘のホープ。新しいワスプに変身できる最強のヒロインだが、家族の問題を胸に抱えていた。

ワスプ(Wasp)は何かの略語ではなく、単純にスズメバチのこと。アントマンは体長1,5cmのアリに変身できるけれど、移動は走るだけ。とてつもなく遠い道のりを背中に乗せて飛んでくれるというありがたい味方ができました。おまけに天才で、強くて、見た目も中味もすばらしいというデキル女性。飾り物でない女性ヒーローが増えて嬉しいかぎり。今後はギャラも男優の何分の一というのでなく、ちゃんとそれなりの額が出ますように。
ミシェル・ファイファーはホープの母親役。彼女のためにアントマンは命がけの旅をするはめになります。このあたりの背景がまあすごい。想像力がかなり必要です。面倒なことはおいといて、荒唐無稽なアクションをただ楽しむのもあり。いろんなものが大きくなったり小さくなったりするだけでも面白い。キティちゃんペッツの出現はきっとお子様が喜びます。
そして敵方にも強力なキャラ登場。ものを通り抜けるゴーストは『レディ・プレイヤー1』で巨大企業IOIに勤めるフナーレ役だったハナ・ジョン=カーメン。マーベルの登場人物たちにはそれぞれにドラマがあって、どの人にもファンがつくだろうなぁと納得。
今作のある“小さな”事件は、次のアベンジャーズにつながるのだとか、いったいどれのことかしら?なにしろ事件だらけ。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/118分
配給:ディズニー
(C)Marvel Studios 2018
https://marvel.disney.co.jp/movie/antman-wasp.html
★2018年8月31日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 17:33| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月05日

タリーと私の秘密の時間(原題:Tully)

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監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コディ
撮影:エリック・スティールバーグ
音楽:ロブ・シモンセン
出演:シャーリーズ・セロン(マーロ)、マッケンジー・デイヴィス(タリー)、マーク・デュプラス(クレイグ)、ロン・リヴィングストン(ドリュー)、アッシャー・マイルズ・フォーリカ(ジョナ)、リア・フランクランド(サラ)

仕事と子育てを両立してきたマーロに3人目の子供が生まれた。夫はあてにできず、完璧にしたい家事も子育ても負担になって、すっかり疲れてしまった。マーロの兄はそんな妹を心配して、ベビーシッターをプレゼントしてくれた。半信半疑で迎え入れたシッターはまだ若いイマドキ女性のタリー。夜だけやってきて子どもの面倒を見、散らかっていた部屋も片付けて夜明け前に帰る。タリーは自分のことを少しも語らなかったが、その仕事ぶりと屈託のない人柄に、マーロは心を開いていく。やっと子どもたちと向き合う余裕もできてきた。

これを観て「マーロは私だ」と思う人がきっとたくさんいるでしょう。あ、子育て中のママは劇場に来ることは難しいですね。映画を観た後は、マーロのように疲れ果てている家族や友人や同僚に思いをはせてください。マーロは将来の貴女かもしれません。
子育てに1人奮闘するママの孤独、というのが主軸。もうひとつ、障害のある子どもの周りのエピソードもあります。対応が学校によって違いました。その子にぴったりの学校と先生に会えるのは僥倖です。
冒頭にマーロが息子の身体をブラシでやさしくマッサージする場面が疑問でした。子どもにはママの手で“手当て”するのが一番いいです。それと同じに妻の身体も夫がゲーム機から手を離してマッサージしてほしいものです(夫も妻にそう思っているかな)。それだけでもうんと癒される、救われるはずです。振り返るとたくさん積もり積もった問題を一つずつ解決して、ちょっと煙にまきながらも希望を見せてくれる作品でした。
美人の誉れ高いシャーリーズ・セロン、『モンスター』(2003)で役に合わせて激太りして驚かされましたが、今回は臨月の母親役なので、もっと増やしています。あのたぷたぷのお腹の贅肉は自前です。そしてちゃんと元の体型に戻すのですから、驚異的!(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:キノフィルムズ=木下グループ
(c)2017 TULLY PRODUCTIONS.LLC.ALL RIGHTS RESERVED.
http://tully.jp/
http://www.7-taizai-movie.net/
★2018年8月17日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 18:30| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

オーシャンズ8(原題:Ocean's Eight)

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監督:ゲイリー・ロス
脚本:ゲイリー・ロス、オリヴィア・ミルチ
撮影:アイジル・ブリルド
音楽:ダニエル・ペンバートン
出演:サンドラ・ブロック(デビー・オーシャン)、ケイト・ブランシェット(ルー)、アン・ハサウェイ(ダフネ・クルーガー)、ミンディ・カリング(アミータ)、オークワフィナ(コンスタンス)、サラ・ポールソン(タミー)、リアーナ(ナインボール)、ヘレナ・ボナム・カーター(ローズ・ワイル)、
ジェームズ・コーデン(ジョン・フレイジャー)、リチャード・アーミテージ(クロード・ベッカー)

ダニー・オーシャンの妹、デビーは5年間の刑務所暮らしからようやく仮出所にこぎつけた。服役中に練りに練った犯罪計画を実現するために、まず旧知のルーを訪ね、その道のエキスパートたちを集める。ターゲットは世界の衆目を集めるファッションの祭典“メットガラ”。NYメトロポリタン美術館にセレブ6000人が集まり、世界中にテレビ中継される。そこでハリウッド女優が身につけている1億5千万ドルの宝石を手に入れようというのだ。不可能と思われる計画に女性ばかりの新生オーシャンズが挑んでいく。

『オーシャンズ11』(2001)『オーシャンズ12』(2004)『オーシャンズ13』(2007)に続くシリーズ最新作。3作の監督だったスティーヴン・ソダーバーグは、本作の製作にあたり『ハンガーゲーム』のゲイリー・ロスがメガホンを取りました。
舞台となる“メットガラ”については2016年のドキュメンタリー『メットガラ ドレスをまとった美術館』を観ていただけるとよくわかります。そちらにメインゲストとして呼ばれていたリアーナが、この映画では犯罪ドリームチームの一員、凄腕のハッカーとして活躍しているのも面白い趣向です。
『オーシャンズ11』も超豪華な出演陣に目を見張りましたが、本作でもリーダーのサンドラ・ブロックをはじめ主役級の女優さんばかり。それぞれの特技を駆使して、綿密な計画をひとつひとつ大胆に決行していくのにワクワクしました。ゴージャスな舞台設定ですが、彼女たちのオーラも負けていません。人目につかないように地味にしていたメンバーが、ここぞというときに豪華な衣装を身にまとって登場するシーン、彼女たちの輝きに注目してください。いやぁ眼福、眼福。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:ワーナー・ブラザース
(c)2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC., VILLAGE ROADSHOW FILMS NORTH AMERICA INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC
http://wwws.warnerbros.co.jp/oceans8/
★2018年8月10日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:53| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年07月29日

インクレディブル・ファミリー(原題:Incredibles 2)

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監督・脚本:ブラッド・バード
音楽:マイケル・ジアッキーノ
声の出演:クレイグ・T・ネルソン(ボブ/Mr.インクレディブル)、ホリー・ハンター(ヘレン/イラスティガール)、サラ・ボーウェル(ヴァイオレット)、ハック・ミルナー(ダッシュ)、サミュエル・L・ジャクソン(フロゾン)、ブラッド・バード(エドナ・モード)、ソフィア・ブッシュ(ヴォイド)

あまりも強大なパワーを持つヒーローたちに非難ごうごう。しばらく活動禁止となり、ひっそりと暮らしていたインクレディブル一家に、名誉回復のチャンスが到来する。しかーし、そのミッションを遂行するのはたった一人、イラスティガールことママだけだった。がっくりするパパはママをニッコリと送り出し、慣れない家事と育児に奮闘する毎日。出張中のママは生き生きと元気にヒーローとして活躍中。パパは内心羨ましくてたまらない。そんなある日、末っ子のジャック・ジャックの能力が突然覚醒した。

『Mr.インクレディブル』は 2004年の公開でした。ファミリーでいろんな能力を持つヒーローアニメってほかにないなぁ、それにしても派手にビルやら乗り物やら壊すこと!大惨事だよ〜などと突っ込みつつ、一緒に観ていた5歳男児は今や大学生です。早っ!当時小学生くらいかと思っていたダッシュくんは年を取らずにいますが、今回は末っ子のベビーがついに覚醒。ただしまだ制御することができません。さて、どんな能力?
ヒーローお休み中の地味な日常生活は、我々一般ピープルと同じ。面倒な悩みも同じ。留守番であたふたするパパの姿に自分を見る方もいますよね。日本語吹き替え版は三浦友和さん、黒木瞳さん、綾瀬はるかさん、前回と同じ。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/118分
配給:ディズニー
(C)2018 Disney/Pixar. All Rights Reserved.
https://www.disney.co.jp/movie/incredible-family.html
★2018年8月1日(水)ロードショー
posted by shiraishi at 20:38| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする