監督:ロバート・フラハティ
共同監督:フランシス・フラハティ、リチャード・リーコック
100年前のモノクロ無声映画が、音と色で生き生きと蘇った!
南太平洋サモアの自然豊かな島で、のどかに暮らすペンガー家。
長男モアナと次男ペアは、常食のタロイモ採りや、野獣の生け捕りをして日々暮らしている。珊瑚礁の岸辺では魚や貝や海老もとれる。母親は、息子たちのとってきた食材で食事を作ったり、桑の木の皮を剥いで布を作ったりして、家族の帰りを待っている。
長男モアナと婚約者ファアンガセとの結婚式の日が近づく。モアナは痛みに耐えながら入れ墨を施され、大人となる。ほら貝の音を皮切りに、太鼓が打ち鳴らされ、村の人々総出で歌と踊りで二人の結婚を祝う・・・
1922年に製作した『極北のナヌーク』によって、ドキュメンタリー映画の始祖と呼ばれるロバート・フラハティ監督。第二作として1926年に公開された『The Love Life of a South Seas Siren(南海の美女の愛の生活』は、1923年に家族と共に訪れたサモアの人々の自然豊かな暮らしを映像に収めたもの。およそ半世紀後の1975年に娘のモニカが現地で民謡や会話を録音。父の撮った映像に音を重ね、『モアナ』(サウンド版)として1980年に完成させる。そして、本作は、それをデジタル復元作業を経て、100年前の映像に色や音を加えて、より美しく蘇らせたものである。
テレビもインターネットもなく、自分たち以外の社会の姿を知ることもなく、祖先から受け継いだ風習や儀式を大切に守ってきた時代が長く続いてきたことに思いが至った。
この100年のめざましい科学技術の発展が、このようにかつての映像に音や色までつけてしまったのは、ちょっと皮肉でもあるけれど、独自の伝統を知る貴重な資料。失われてしまうかもしれない風習や儀式を映像に収めたいというロバート・フラハティ監督の思いが、ひしひしと伝わってくる。(咲)
『モアナ』の上映が始まったとたん、『あまねき旋律』(2017年インド、2018年10月6日公開予定)を思い出した。山のタロイモ畑での刈り取り作業の時も、海での漁の時も、島の人たちは作業に合わせて歌を歌っていた。そして、約100年後の映画『あまねき旋律』でも歌をうたいながら農作業をしている光景がたくさん出くる。今はほとんどの国でほとんど歌われなくなってきている労働歌だけど、原点ともいえる映画の中でもそういう光景が残されていたとは。嬉しかった(暁)
★『モアナ 南海の歓喜』公開記念前夜祭
『アラン島の小舟』上映とトーク
日時:2018年9月14日(金)19時より(開場18時)
場所:Loft9 Shibuya(渋谷・ユーロスペースのあるキノハウス1階)
【上映作品】
『アラン島の小舟』(2011/アイルランド=イギリス/監督マック・ダラ・オー・クライン/84分)
2013年山形国際ドキュメンタリー映画祭クロージング上映作品
トーク 20:30〜
【ゲスト】
阿武野勝彦(東海テレビプロデューサー)
伊勢真一(映画監督)
北條誠人(ユーロスペース支配人)
【進行役】
渡辺勝之(Japan Docs)
予約¥1200 / 当日¥1500
※学生¥1000
※別途ドリンク代(¥500から)が必要です。
予約ページ→ロフト9渋谷
1926、1980、2014年/アメリカ/98分/スタンダード/サモワ語/モノクロ/モノラル
配給:グループ現代
協賛:福岡アジア文化センター/後援:日本オセアニア学会/宣伝:スリーピン
公式サイト:https://moana-sound.com/
★2018年9月15日(土)岩波ホールにて公開