2018年09月18日

ダウンレンジ(原題:Downrange) 

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監督:北村龍平
脚本:ジョーイ・オブライアン
撮影:マティアス・シューバート
音楽:アルド・シュラク
出演:ケリー・コンネア(ジョディ)、ステファニー・ピアソン(カレン)、ロッド・ヘルナンデス=ファレラ(トッド)、アンソニー・カーリュー(エリック)、アレクサ・イェイムズ(サラ)

1台の車が荒野を走っている。突然タイヤがパンクして、何もないところで立ち往生してしまった。乗っていたのは6人の男女。結婚して引越し途中の若い夫婦に相乗りした大学生たちだ。携帯も繋がらず、一人が慣れない手つきでタイヤ交換をする羽目になった。タイヤを外したときにコトリと落ちたのは銃弾。パンクではなく、撃たれたのだった。車の陰で休んでいたものはタイヤがころがっていくのを見る。反対側に回ると夥しい血が流れ、仲間が倒れていた。なんの理由か、誰かが、どこからか自分たちを狙っていると気づく。

いや、怖かった。北村流容赦のない映画なので、こころして観に行ってください。同じころに試写で観た映画の悪霊や呪いよりも、真に恐ろしいのは人間の悪意でした。理不尽に狙われる無防備な大学生たちが、もし自分だったら?
『ザ・ウォール』(2017)は凄腕スナイパーに狙われ、壁に隠れつつ戦う兵士の話でした。しかし、それは戦闘中の兵士の話。こちらはただの大学生。武器もスキルも持ちません。ただ一人軍人の娘が、サバイバル術をいくらか心得ていますが、焼け石に水。じわじわと襲ってくる恐怖で絶望のどん底に突き落とされます。猛暑の季節にぞっとするにはぴったり。涼しくなってしまいましたがどうぞ。ゲームじゃないのでリセット不可。あなたならどう戦いますか。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/90分R15+
配給:ジェンコ、エレファント・ハウス
(C)Genco. All Rights Reserved.http://downrangethemovie.com/
★2018年9月15日(土)新宿武蔵野館2週間限定レイトショー、9月22日(土)大阪第七藝術劇場にて
posted by shiraishi at 15:01| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ザ・プレデター(原題:The Predator)

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監督:シェーン・ブラック
脚本:フレッド・デッカー、シェーン・ブラック
撮影:ラリー・フォン?
音楽:ヘンリー・ジャックマン
出演:ボイド・ホルブルック(クイン)、トレヴァンテ・ローズ(ネブラスカ)、ジェイコブ・トレンブレイ(ローリー)、キーガン=マイケル・キー(コイル)、オリヴィア・マン(ケイシー)

元特殊部隊員の傭兵クインは、メキシコのジャングルで墜落した宇宙船に出くわす。傭兵仲間はみな正体不明のエイリアンに殺されてしまい、クインは宇宙船から回収したものをアメリカの離婚した妻の家に送る。クインの息子ローリーは父から届いた荷物をあけてしまう。クインは宇宙船や地球外生命体の存在を隠したい政府に拘束される。クインが出会ったエイリアンは征服でなく「狩り」を目的とした「プレデター」と呼ばれる獰猛な戦闘種族だった。
天才的な頭脳を持つローリーは、好奇心のままにエイリアンの装置を作動させ、それと知らずにプレデターを呼び寄せるシグナルを放ってしまう。クインは一緒に拘束された戦闘スペシャリストたち“ルーニーズ”と脱走する。息子の元へと駆けつけプレデターに立ち向かうのだが。

“プレデター”初登場は1987年。アーノルド・シュワルツェネッガーの戦った最強の人気キャラクターです。ドレッドヘアー(風)に黒尽くめのクールな外見、ハイテク装備、女子どもや武器を持たないものは相手にせず、強い相手のみと戦い、狩ることを楽しむハンター。記念に首を持ち帰るのにゲッと思いましたが、地球の動物ハンターたちもそうやって首を剥製にして飾っているんでした。
シェーン・ブラック監督はその1作目に俳優として出演していたのだそうです。その後、アクション映画の脚本を手がけ『アイアンマン3』(2013)『ナイスガイズ!』(2016)の監督を経て、この映画を監督・共同脚本。
プレデターは30年経ってさらに進化。クインとはみだし者たちが壮絶な戦いを繰り広げます。意外に笑ったり、ほろりとしたりとても楽しめました。女性学者の活躍場所もありますが、なんといってもキーパーソンはクインの息子ローリー。主演のボイド・ホルブルックほか大人の俳優たちに引けをとらないジェイコブ・トレンブレイくん今回もすごい!初めて彼を観る方は『ルーム』『ワンダー 君は太陽』も追ってご覧下さい。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/107分
配給:FOX
(c)2018 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved
http://www.foxmovies-jp.com/the-predator/
★2018年9月14日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 14:05| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月09日

モアナ 南海の歓喜    原題:MOANA with Sound

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監督:ロバート・フラハティ
共同監督:フランシス・フラハティ、リチャード・リーコック

100年前のモノクロ無声映画が、音と色で生き生きと蘇った!

南太平洋サモアの自然豊かな島で、のどかに暮らすペンガー家。
長男モアナと次男ペアは、常食のタロイモ採りや、野獣の生け捕りをして日々暮らしている。珊瑚礁の岸辺では魚や貝や海老もとれる。母親は、息子たちのとってきた食材で食事を作ったり、桑の木の皮を剥いで布を作ったりして、家族の帰りを待っている。
長男モアナと婚約者ファアンガセとの結婚式の日が近づく。モアナは痛みに耐えながら入れ墨を施され、大人となる。ほら貝の音を皮切りに、太鼓が打ち鳴らされ、村の人々総出で歌と踊りで二人の結婚を祝う・・・

1922年に製作した『極北のナヌーク』によって、ドキュメンタリー映画の始祖と呼ばれるロバート・フラハティ監督。第二作として1926年に公開された『The Love Life of a South Seas Siren(南海の美女の愛の生活』は、1923年に家族と共に訪れたサモアの人々の自然豊かな暮らしを映像に収めたもの。およそ半世紀後の1975年に娘のモニカが現地で民謡や会話を録音。父の撮った映像に音を重ね、『モアナ』(サウンド版)として1980年に完成させる。そして、本作は、それをデジタル復元作業を経て、100年前の映像に色や音を加えて、より美しく蘇らせたものである。

テレビもインターネットもなく、自分たち以外の社会の姿を知ることもなく、祖先から受け継いだ風習や儀式を大切に守ってきた時代が長く続いてきたことに思いが至った。
この100年のめざましい科学技術の発展が、このようにかつての映像に音や色までつけてしまったのは、ちょっと皮肉でもあるけれど、独自の伝統を知る貴重な資料。失われてしまうかもしれない風習や儀式を映像に収めたいというロバート・フラハティ監督の思いが、ひしひしと伝わってくる。(咲)

『モアナ』の上映が始まったとたん、『あまねき旋律』(2017年インド、2018年10月6日公開予定)を思い出した。山のタロイモ畑での刈り取り作業の時も、海での漁の時も、島の人たちは作業に合わせて歌を歌っていた。そして、約100年後の映画『あまねき旋律』でも歌をうたいながら農作業をしている光景がたくさん出くる。今はほとんどの国でほとんど歌われなくなってきている労働歌だけど、原点ともいえる映画の中でもそういう光景が残されていたとは。嬉しかった(暁)


★『モアナ 南海の歓喜』公開記念前夜祭
『アラン島の小舟』上映とトーク

日時:2018年9月14日(金)19時より(開場18時)
場所:Loft9 Shibuya(渋谷・ユーロスペースのあるキノハウス1階)

【上映作品】
『アラン島の小舟』(2011/アイルランド=イギリス/監督マック・ダラ・オー・クライン/84分) 
2013年山形国際ドキュメンタリー映画祭クロージング上映作品

トーク 20:30〜
【ゲスト】
 阿武野勝彦(東海テレビプロデューサー)
 伊勢真一(映画監督)
 北條誠人(ユーロスペース支配人)
【進行役】
 渡辺勝之(Japan Docs)

予約¥1200 / 当日¥1500
※学生¥1000
※別途ドリンク代(¥500から)が必要です。

予約ページ→ロフト9渋谷


1926、1980、2014年/アメリカ/98分/スタンダード/サモワ語/モノクロ/モノラル
配給:グループ現代
協賛:福岡アジア文化センター/後援:日本オセアニア学会/宣伝:スリーピン
公式サイト:https://moana-sound.com/
★2018年9月15日(土)岩波ホールにて公開






posted by sakiko at 21:23| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

プーと大人になった僕(原題:Christopher Robin)

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監督:マーク・フォースター
キャラクター原案:A.A.ミルン、E.H.シェパード
出演:ユアン・マクレガー(クリストファー・ロビン)、ヘイリー・アトウェル(イヴリン)、ジム・カミングス(プー声/ティガー声)

クリトファー・ロビンが寄宿学校に行くことになった。それまで毎日遊んでいた“100エーカーの森”に住んでいる親友のプーや仲間たちと別れなくてはならない。いつまでも忘れないよ、戻ってくるよと約束したのだけれど。クリストファー・ロビンは大人になり、忙しい毎日を送っている。無理難題を押し付けられて、奥さんと娘と週末に過ごす約束も破ってばかり。一人公園のベンチでぼんやりしていると、なんと背中合わせにプーが座っていた!「森に誰もいなくなってしまった、一緒に探して」という。プーと森に入って懐かしい仲間たちに再会したが、すぐ仕事に戻らなくてはいけない。慌てたクリストファー・ロビンは大事な書類入りの鞄を置き忘れてしまう。プーは仲間と一緒にロンドンへ忘れ物を届けにいく。

ぬいぐるみのプーさんの物語はミルンが自分の息子のクリストファー・ロビンのために書いたお話です。出版された後ディズニーがアニメーションにして大ヒット。世界中の子どもたちの友だちになりました。私は絵本の挿絵が大好きです。
本作は仕事と家族の間にはさまれて、疲労困憊している大人のクリストファー・ロビンが主人公です。昔と少しも変わらないプーさんは、彼に何がほんとうに大事なのか、気づかせてくれます。生活のために頑張って無理してきたけど、生活って何? これが一番したかったこと?と自分に問い直すのはなんだか辛い。目をつむって流されていても一日は一日。ネジ巻かないで何にもしない一日を作ってみたら、肩の凝りも目の疲れも頭の痛いのも少しは良くなるかも。

公式サイトにプーさんのひとことがアップされています。
「何もしないって、最高の何かにつながるんだ」
「何もしないって無理っていうけど、僕は毎日何もしない、をやってるよ」
プーさんと仲間のピグレット、ティガー、イーヨー、カンガルーのぬいぐるみとE.H.シェパードが描いたオリジナルの水彩画が、現在ニューヨーク公立図書館にあるそうです。
主演のユアン・マクレガーが先日初来日して、吹替え版で声をあてた堺雅人さんと並んだ画像をHPのニュースで拝見。ちょと見てみたかったなぁ。(白)


2018年/アメリカ/カラー/シネスコ/104分
配給:ディズニー
(C)2018 Disney Enterprises, Inc.
https://www.disney.co.jp/movie/pooh-boku.html
★2018年9月14日(金)ロードショー

本人を本名で登場させたばっかりに、クリストファー・ロビンはずーっと大変な思いをしたようです。
そのストーリーが実写版映画化され、日本ではDVD発売されています。
タイトル『グッバイ・クリストファー・ロビン』出演:ドーナル・グリーソン、マーゴット・ロビー
単行本も8月24日より発売。
グッバイ・クリストファー・ロビン:『クマのプーさん』の知られざる真実  アン・スウェイト著/国書刊行会
posted by shiraishi at 17:03| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ペギー・グッゲンハイム アートに恋した大富豪(原題:Peggy Guggenheim: Art Addict)

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監督:リサ・インモルディーノ・ヴリーランド
撮影:ピーター・トリリング
音楽:スティーブン・アーギラ
インタビュー出演:ペギー・グッゲンハイム、ジャクリーン・ボグラッド・ウェルド、ラリー・ガゴシアン、ハンス・ウルリッヒ・オブリスト、マリーナ・アブラモヴィッチ、ロバート・デ・ニーロ、マーセデス・ルール、アーネ・グリムシャー、ジョン・リチャードソン、ニッキー・ハスラムほか

ペギー・グッゲンハイム(1898〜1979)は、アメリカで当代随一の影響力を持った現代美術のコレクターであり、芸術家の支援者であり、紹介者であった。大富豪の祖父を持って、父はタイタニック号の事故で死亡。巨額の財産を継いだペギーは、ヨーロッパで生涯の大半を過ごした。パリに住んでロンドンとニューヨークにギャラリーを、ヴェネツィアに邸宅を構える。彼女が収集し続けたアート作品は「ペギー・グッゲンハイム・コレクション」として開放。近代美術を集めた重要な美術館となった。彼女の華やかで奔放な半生を、多くの人間が語っている。

登場するアーティストも綺羅星のごとし。ペギーが見い出し、支援したことで後に名声を得た人々が多々。サミュエル・ベケット、コンスタンティン・ブランクーシ、アレクサンダー・カルダー、パブロ・ピカソ、サルバドール・ダリ、マルセル・デュシャン、マックス・エルンスト、アルベルト・ジャコメッティ、ピエト・モンドリアン、ジャクソン・ポロック、フレデリック・キースラーほか。
現代アートのどこがいいのか私にはさっぱりわかりませんが、ペギーは慧眼であったのでしょう。彼女の資産は35億とか(ブルゾンちえみさんを思い出しますね)、それを入れるだけの器を持たない庶民には到底使い道も思いつかない額です。ないところへただ寄付したり、物資を送ったりするのでなく、才能ある人を支援するというのはいいなぁ。あなただったら何をしますか? 想像するのにお金はかかりません。さあどうぞ。(白)


2015年/アメリカ/カラー/DCP/96分
配給:SDP
(C)Roloff Beny / Courtesy of National Archives of Canada
http://peggy.love/
★2018年9月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by shiraishi at 16:32| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする