2014年12月19日

アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の2作品公開!

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エレナの惑い (原題:ELENA)
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
出演:ナジェジダ・マルキナ(エレナ)、アンドレイ・スミルノフ(ウラジミル)、エレナ・リャドワ(カテリナ)
エレナは、勤め先の病院で看護したのが縁で、資産家のウラジミルと再婚した。前の夫との息子はすでに家庭を持っていたが、働き口も意欲もなくエレナからの援助に頼っていた。ウラジミルには不快極まりなく「そんな義務はない」と突き放す。心臓発作で倒れたのを機に、ウラジミルは遺言書を作ると言い出す。疎遠になっていた一人娘のカテリナが父を気遣って訪れ、エレナは夫がどうするつもりなのか疑心暗鬼にとらわれる。

夫に尽くすエレナの住む家は広々とした豪華なマンションで、インテリアも雑誌のグラビアのようです。息子は郊外の低所得者向けの狭いアパートに親子4人で暮らして(再婚前はエレナも一緒だったのだろうか?)孫は不良になりかけています。
だらしない息子と違って、ウラジミルの娘は知的で自立しており、生活と教育の格差が見えてきます。この息子家族を背負うつもりなのか、と私などうんざりするのだけど、エレナの母心は暴走。冬木立が寒々しく、これから営まれる暮らしを暗示するようでした。エレナ役が高い評価を受けたナジェジダ・マルキナは、『ガガーリン 世界を変えた108分』で、ガガーリンの母親役で出演しています。
第64回カンヌ国際映画祭「ある視点部門」審査員特別賞を受賞。(白)


2011年/ロシア/カラー/109分
(C)NON-STOP PRODUCTIONS - IMP. LEVILLAIN RCS CRETEIL B 322 482 710

ヴェラの祈り(原題:IZGNANIE)
監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
原作:ウィリアム・サロイヤン「どこかで笑っている(The Laughing Matter)」
出演:コンスタンチン・ラヴロネンコ(アレックス)、マリア・ボネヴィー(ヴェラ)、アレクサンドル・バルーエフ(マルク)

アレックスは父親の遺した田舎の家に、妻と二人の子どもを連れて休暇を過ごしにきた。日ごろ仕事に忙しく、家族サービスのつもりだった。旧友の家族たちと食卓を囲み、子どもたちも楽しんでいる。ようやく二人になれたアレックスに、妻のヴェラは思いがけない告白をする。「妊娠したの。でもあなたの子じゃない」。動揺するアレックスは兄のマルクに相談する。

丘の上にポツンと建つ家と広い草原。絵のような風景に既視感がありました。説明を読んだら監督の念頭にはアンドリュー・ワイエスの絵があったのだそうです。ワンピースの女性が草原に半身を起こして、丘の上の家を見つめている後姿の絵が有名。灰色がかった壁に白いベッドの寝室、古びた窓枠など、克明な描写に寂寥感の漂う絵です。映画でも子どものいる情景は暖かいのに、ヴェラが母親の顔をやめると孤独がひたひたと寄ってくるようでした。ヴェラの告白にもナマの反応をしないアレックスですが、兄には取り乱して愚痴るのです。
帰り道に本屋さん店頭で「察しない男、説明しない女」という書名を見て、この映画そのものだ!と思ってしまいました。男女入れ替えた逆もまた真なんですけどね。
夫役のコンスタンチン・ラヴロネンコが第60回カンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞しています。(白)


2007年/ロシア/カラー/157分/スコープサイズ
配給:アイ・ヴィー・シー
(C)REN-Film
http://www.ivc-tokyo.co.jp/elenavera/
posted by shiraishi at 22:02| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月17日

ガガーリン 世界を変えた108分(原題:GAGARIN. PERVYY V KOSMOSE)

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監督:パヴェル・パルホメンコ
脚本:オレグ・カペネツ
撮影:アントン・アントノフ
音楽:ジョージ・カリス
出演:ヤロスラフ・ザルニン(ユーリー・ガガーリン)、ミハイル・フィリポフ(セルゲイ・コロリョフ)、オルガ・イワノワ(ヴァレンチナ)、ナジェジダ・マルキナ(母親)、ヴィクトル・プロスクリン(父親)

1961年4月12日、ロシア(旧ソ連)では、初の有人宇宙船ボストーク1号を打ち上げた。搭乗しているのは、ユーリー・ガガーリン27歳。3000人以上のパイロットの中から選抜された精鋭の候補生20人が厳しい訓練の日々を過ごし、最終的にユーリーが選ばれることになった。人工衛星の軌道を回るユーリーの眼下には、広大な宇宙とそこに浮かぶ美しい青い地球があった。

ユーリー・ガガーリン生誕80周年記念作品。
子どものころ初の宇宙飛行のニュースに沸き、「地球は青かった」というガガーリンの言葉が流行語になったのを覚えています。忠実に再現されたというこの作品によって、米ソの対立と激烈な宇宙開発競争のこと、この宇宙飛行も、まだまだ確固とした安全も保障されない中での命がけの挑戦であったことがよくわかりました。名誉とはいえ、まるで死地に赴く兵を送るように家族は不安を隠せません。50年以上も前の宇宙船や装備が現在と比べるとあまりにも素朴で、結果がわかっているのにハラハラしてしまいました。
お偉方の発言にカチンと来るところも多々ありますが、一躍英雄となったユーリー・ガガーリンをはじめ、宇宙飛行を夢見る若者たちが明るくまっすぐで、さわやかな感動を呼びます。(白)


2014年/ロシア/カラー/113分
配給:ミッドシップ
(C)2013. Kremlin Films All Rights Reserved.
http://www.gagarin.jp/
★2014年12月20日(土)より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする