2018年07月05日

ボリショイ・バレエ 2人のスワン(原題:Bolshoy)

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監督:バレーリー・トドロフスキー
脚本:アナスタシア・パルチコバ
音楽:パーベル・カルマノフ
出演:マルガリータ・シモノヴァ(ユリア・オルシャンスカヤ)、アンナ・イサエヴァ(カリーナ・クルニコヴァ)、アリーサ・フレインドリフ(ガリーナ・ミハローヴナ)、アレクサンドル・ドモガロフ(ウラジミール・ポトツキ)、ニコラ・ル・リッシュ(アントワーヌ・デュバル)

ロシアの名門、ボリショイのバレエ・アカデミーに入学したユリアとカリーナ。カリーナは富裕層の家に生まれて、何不自由なく育った。ユリアは貧しい炭鉱町の出身。酔いどれの元バレエダンサーに才能をかわれて、ここまでやってきたのだ。カリーナは講師の誰もが認める完璧な踊りと優雅さを身につけていたが、ユリアを認めたのは伝説のプリマだったガリーナただ1人。孤立無援のユリアにあれこれと援助する。ユリアとカリーナは過酷なレッスンに耐えてプリマの座を目指していく。

私たちが見るのは舞台上の優雅なプログラムですが、そこに立つまでの足跡が詳しく描かれています。子どものころから厳しい練習を積み、多くの競争相手の中から抜きん出ないと舞台に上がることができません。勝ち上がらねばならない点ではスポーツと変わりません。よほどの思いと才能が必要です。その他に財力も必須。この作品では全く違う環境で育った二人の少女が、バレエ学校という同じラインに立ったところから、熾烈な競争を重ね、プリマになるまでが描かれます。ユリア役のマルガリータ・シモノヴァは、30歳の現在もポーランド国立バレエ団在籍中の現役バレエ・ダンサー。カリーナ役のアンナ・イサエヴァは2013年までロシア・ナショナル・バレエ劇場で古典敵作品の全てに出演していましたが、現在は講師として活動中。
2人が憧れるエトワール、アントワーヌ・デュバル役はニコラ・ル・リッシュ。友人が大ファンでパリ・オペラ座の公演に行くのを楽しみに働いていたのを思い出します。『エトワール』(2000)で20代の彼の姿が観られます。
バレエというと思い出すのが昨年の7月に公開された『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』です。作品中で紹介される「Take Me To Church」を踊る彼を奏楽堂の舞台で見たのは宝物のような思い出です。(白)


2017年/ロシア/カラー/シネスコ/132分
配給:アットエンタテインメント
(C)Valery Todorovsky Production Company
http://bolshoi-ballet-movie.com/
★2018年7月7日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 15:28| Comment(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年04月01日

ラブレス(原題:Nelyubov)

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監督:アンドレイ・ズビャギンツェフ
脚本:オレグ・ネギン、アンドレイ・ズビャギンツェフ
撮影:ミハイル・クリチマン
音楽:エフゲニー・ガルペリン
出演:マリヤーナ・スピヴァク(ジェーニャ)、アレクセイ・ロズィン(ボリス)、マトヴェイ・ノヴィコフ(アレクセイ)、マリーナ・バシリエバ(マーシャ)、アンドリス・ケイシス(アントン)

一流企業で働くボリスと美容サロンを経営するジェーニャは離婚協議中の夫婦。12歳の息子アレクセイがいるが、2人には新しいパートナーがすでにいて早く新生活を始めたい。その前にどちらが息子を引き取るかでもめている。2人の言い争いを毎日聞いているアレクセイは、自分が両親には必要のない子どもだとわかってしまう。いつもの時間に学校へと向かったアレクセイは、そのまま戻らなかった。

おざなりな食事を出して、息子の顔を見もせず、いつもいつも手元の携帯に眼を落としている母親。父親の若い恋人は妊娠していて、父親はそちらに入りびたり、めったに家に帰りません。目下の心配は厳格な原理主義者の上司のこと。離婚がばれるとクビになるので戦々恐々としています。2人とも自分の都合ばかりで、目の前のアレクセイの幸せなどツメの先ほども考えていません。アレクセイが可哀想で、行方不明になる前から泣けてしまいました。
失踪した子どもを捜す市民ボランティアチームがいるということは、それだけ多いということなのでしょうか? 寒々しい風景にアレクセイを呼ぶ声が響いても、応える声は期待できずさらに冷え冷えとします。
アンドレイ・ズビャギンツェフ監督の作品はこれまでも『父、帰る』(2004)『ヴェラの祈り』『エレナの惑い』(2014)『裁かれるは善人のみ』(20015)を観てきました。心にぐっさりと刺さり、観終わって身体が重くなるのですが、観ずにいられません。どの作品も世界的に高く評価されています。この作品は昨年の第70回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞しました。
日本の行方不明者は年間8万人という数字(平成21年度)をネットで見つけましたが、98%が1年以内に見つかっているようです。見つからない人はどこに?(白)


行方不明になった息子を探す過程で、ジェ―ニャが身籠ったとき母親から中絶するよう言われたけれど、その母親から離れたいために妊娠を口実に結婚したことが明かされます。愛のない結婚。そして、我が子にも愛をそそがず、自分の幸せだけを求める身勝手さ。
ウクライナ侵攻のニュ―スが流れる中、高級マンションのバルコニーで自転車を漕ぐジェ―ニャ。戦争や災害でつらい思いをしている人たちがいても、自分に関係がなければ無関心な社会の風潮。いえ、自分さえよければいいという私自身の姿を見せつけられた思いがしました。(咲)


2017年/ロシア、フランス、ドイツ、ベルギー/カラー/シネスコ/127分
配給:クロックワークス、アルバトロス・フィルム、STAR CHANNEL MOVIES
(c)2017 NON-STOP PRODUCTIONS - WHY NOT PRODUCTIONS
http://loveless-movie.jp/
★2018年4月7日(土)新宿バルト9、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA他全国ロードショー
posted by shiraishi at 20:03| Comment(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月30日

アトラクション 制圧(原題:Attraction)

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監督:フョードル・ボンダルチュク
出演:イリーナ・ストラシェンバウム(ユリア)、アレクサンドル・ペトロフ(チョーマ)、リナル・ムハメトス(ヘイコン)

流星群が見えるという日。北欧の上空に突如未確認飛行物体・宇宙船が出現した。ロシアの首都モスクワに近づき、重ねての警告にも応答はない。領空を犯し接近してくるそれを迎撃すると、高層の建物をなぎ倒し墜落する。その間市民たちは逃げるところもなく、なんの防御もできなかった。
軍の大佐の娘ユリアは、厳しい父の目を盗んでボーイフレンドのチョーマとベッドの中だった。倒壊した建物に宙づりになるが九死に一生を得る。ロシア政府は戒厳令を発布し、多数の被害を出した宇宙船を取り囲む。異星人はあちこちに散り、母船に帰還しようとしていた。

2005年の戦争映画『スターリングラード』のフョードル・ボンダルチュク監督の新作SF作品。「カリコレ2017/カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2017」(17年7月15日〜8月18日)上映作品のひとつ。トップレベルの視覚効果スタッフ、アーティストを集めて完成した大作です。CGとわかっていても「うわあぁ」です。
これを観ると某国のミサイル攻撃に備えて屋内待機とか言ってるのは「無理×無駄」としか思えません。何かあったとき民衆にはなんの選択肢もありません。遠隔地からボタン一つでピンポイント爆撃ができるという映像はいやになるほど見て来ました。各大国トップの皆様には知恵を絞って地球人同士の対話につとめていただきたいものです。地球はひとつしかないんですから。
さて宇宙人の話でした。ユリアは宇宙人に遭遇し、会話をすることができました。地球に降り立ったというだけでも、地球人より数段優れた能力と知性があると思うべきですよね。地球人はまだ生物のいる星を見つけていませんし、『メッセージ』(2016)のようなコンタクトもとれません。
粗暴で俺様な彼氏のチョーマよりヘイコンが素敵だったので、ユリアのロマンスが許せます。(白)


2017年/ロシア/カラー/シネスコ/117分
配給:プレシディオ
(C)Art Pictures Studio
http://www.attraction-movie.com/
★2017年8月8日(火)新宿シネマカリテほか全国順次公開
posted by shiraishi at 18:06| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月31日

ハードコア  原題:HARDCORE HENRY

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製作・脚本・監督:イリヤ・ナイシュラー
出演:シャールト・コプリー(『第9地区』)、ダニーラ・コズロフスキー、ヘイリー・ベネット、ティム・ロス

目を覚ますと、そこは近未来的な研究室。
「ヘンリー、準備はいい?」と呼びかける美しい女性研究者エステル。
事故にあい、記憶と声、そして左側の手足を失ってしまった身体に、新しい身体の一部となる機械が接合されていく。声帯の処置にかかろうとした時、突然警報が鳴り、何者かが侵入してきて研究者たちを次々と惨殺していく。エステルと二人で研究室から脱出ポッドを使って離脱。二人はモスクワのハイウェイに墜落する・・・

次々に起こる事態に対処していく姿は、なんだかゲームのよう。
監督のイリヤ・ナイシュラーは、ロシアのパンクロックバンド「バイティング・エルボーズ」のフロントマン。映画製作者としては無名の方。
不思議な世界が体験できること、請合います! (咲)


2016年/ロシア・アメリカ/96分/DCP5.1ch/ビスタ/英語・ロシア語
配給:クロックワークス
公式サイト:http://hardcore-eiga.com/
★2017年4月1日(土) 新宿バルト9ほか全国ロードショー
posted by sakiko at 09:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月24日

神聖なる一族24人の娘たち   原題:Nebesnye zheny lugovykh mari  英題:Celestial Wives of the Meadow Mari

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監督: アレクセイ・フェドルチェンコ
出演:ユーリア・アウグ、ヤーナ・エシポビッチ、ダリヤ・エカマソワ、オリガ・ドブリナ

500年もの間、ロシア西部のヴォルガ河畔で独自の言語と文化を保ってきたMari(マリ)人たち。ロシア連邦の中でも際立って特異な民族で、どこにもない宗教や世界観を持つ彼らの住むマリ・エル共和国は、まるで魔法のような世界。
10代から老婆まで、O(オー)で始まる名前の24人の女性たちが、「生」や「性」にまつわる自分の物語を語る。
理想の夫を選ぶ目を養うためにキノコの形を丹念に調べるオシュチレーチェ、か細い身体を豊満にするための儀式を受けるオシャニク、夫の股間の匂いを嗅いで浮気の確証を得ようとするオーニャ、夫に恋した森の精霊に呪いをかけられてしまうオロプチー・・・

マリ人のことを初めて知り、興味津々でした。ウラル語族系民族で、「マリ」という語には、《夫、男》という意味があるそうです。マリ語は、フィンランド語やハンガリー語と同系統のフィン・ウゴル系。伝統的に、人間と自然とが密接に繋がっていると考える自然崇拝とのことで、日本人にも相通じるところがあるような気がします。

アレクセイ・フェドルチェンコ監督は、民俗学者で作家のデニス・オソーキンと組み、マリの伝承や慣習をモチーフに女性たちの物語を作り上げ、マリ・エル共和国に移り住んで1年かけて撮影。四季折々の風景の中で女性たちが語る話には、ちょっと大胆な性にまつわる話もあって、実におおらか。
O(オー)で始まる名前にこだわったのは、“O”という文字が、車輪のような形で、太陽のようにも見え、なんといっても単純に美しいからだそう。
なんとも摩訶不思議な世界でした。 (咲)


配給:ノーム
2012年/ロシア/106分/カラー/DCP
公式サイト:http://24musume-movie.net/
★2016年9月24日(土) シアター・イメージフォーラム他、全国順次ロードショー

posted by sakiko at 20:04| Comment(0) | TrackBack(0) | ロシア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする