2018年12月02日

セルジオ&セルゲイ 宇宙からハロー!  原題:Sergio&Sergei

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監督・脚本:エルネスト・ダラナス・セラーノ
出演:トマス・カオ、ヘクター・ノア、ロン・ パールマン

1991年、ベルリンの壁が壊され、ソ連をはじめ社会主義国家の体制が次々に崩れ、経済危機がキューバにもおよんでいた頃のお話。
大学で教鞭を執るエリート共産主義者のセルジオ(トマス・カオ)だが、幼い1人娘のマリアナと母の食費にも事欠く日々。アマチュア無線愛好家の彼は、ニューヨークの無線仲間ピーター(ロン・パールマン)からキューバでは報道されない不都合な情報を入手して、生き残る道を探っていた。そんなある日、宇宙ステーション「ミール」滞在中の宇宙飛行士セルゲイ(ヘクター・ノア)と無線交信するようになる。実は、セルゲイは、ソ連崩壊のあおりを食って、地球への帰還が無期延期を宣言されていた。セルジオは、冷戦時代には熾烈な争いを繰り広げていたアメリカを巻き込み、セルゲイ救出作戦に乗り出す・・・

物語のモデルは、実在する元宇宙飛行士で“最後のソビエト連邦国民”と呼ばれたセルゲイ・クリカレフ。ソ連崩壊で、地球帰還が何度も延期され、最終的にアメリカのスペースシャトルで新生ロシアに帰還した人物。
経済危機で貧困に苦しむ大学教授と、宇宙で先の見えない孤独な日々を過ごす宇宙飛行士が無線で励ましあうという、ありそうでありえないハートフルな物語に、ほっこり♪(咲)

冷戦下の殺し合いやスパイ合戦の映画ばかり観てきたので、この国も政治も大気圏も越えた友情物語にぐっときました。しかも曲者揃いの俳優さんたちがとても楽しそうに演じています。とても解決しそうにない難題を智恵を絞ってクリアしていきます。憎みあうより愛し合うほうが演じるのも観るのも嬉しいはず、急に寒くなったこのごろ、この作品を観て心ほっこり暖めてきてください。(白)

2017年/スペイン・キューバ/スペイン語・ロシア語・英語/93分/ビスタ/5.1ch
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:http://sergiosergei.com/
★2018年12月1日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!





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2018年07月29日

ラ・チャナ(原題:La Chana)

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監督・制作:ルツィヤ・ストイェビッチ
撮影:サミュエル・ナバレテ
出演:ラ・チャナ、アントニオ・カナーレス、カリメ・アマヤ

ラ・チャナ(本名アントニア・サンティアゴ・アマドール)は1946年スペインのバルセロナで生まれた。早くからフラメンコダンサーとして才能を現し、父親に反対されるながらも14歳から店で踊り始める。フラメンコ・ギタリストに求愛され、18歳で結婚。19歳で一人娘を授かる。独特のリズムと気迫みなぎるダンスは世界中を魅了し日本でも公演している。ピーター・セラーズ主演映画『無責任恋愛作戦』にも出演。ハリウッドに招かれるが夫に許されず、表舞台から姿を消してしまう。
もう一度彼女が舞台に復帰したのは、夫が借金だけを残して家を出てからだった。

試写を見逃してしまい、劇場に行ってきました。撮影当時71歳のラ・チャナは、とてもチャーミングなおばあちゃんです。一回り太って糖尿病と膝に故障をかかえているので、支えられてゆっくりと歩きます。2番目の夫は優しく気のいい男性で、嫉妬にかられて暴力まで振るった最初の夫とはまるで違いました。夫婦仲睦まじく、愛犬とのんびり暮らしているようすによかったね、と思います。合間に古い映像で、若いときに出演したテレビ番組での彼女の踊りが挿入されます。倍賞美津子さんにちょっと似たラ・チャナは、考えられないようなスピードでステップ(彼女はコンパスと呼ぶ)を踏みます。その力強い踊りに見とれました。後ろでギターを弾いている眉毛の濃い男性が最初のDV夫です。男性優位のヒターノ(ジプシー)社会で、女性は黙って従うしかなかったというラ・チャナは、踊っているときだけは自由で、自分自身に戻れたと言います。つくづくそのころの舞台を生で見たかったと思います。
今は膝に負担がないように、椅子に座りドレスを短くしてステップを見せ、上半身で踊ります。え?と思うでしょうが、それでもすごい迫力で胸が熱くなりました。フラメンコ教室が人気のようですが、習っている方は必見!そうでない方もぜひどうぞ!その生き方と彼女自身に魅了されます。(白)


2016年/スペイン、アイスランド、アメリカ合作/カラー/86分
配給:アップリンク
(C)2016 Noon Films S.L. Radiotelevisión Española Bless Bless Productions
http://www.uplink.co.jp/lachana/
★2018年7月21日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷アップリンクほかにて公開中
予告編はこちら
posted by shiraishi at 16:20| Comment(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月04日

ロープ 戦場の生命線   英題:A PERFECT DAY

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監督:フェルナンド・レオン・デ・アラノア
出演:ベニチオ・デル・トロ、ティム・ロビンス、オルガ・キュリレンコ、メラニー・ティエリー

1995年、停戦直後のバルカン半島。
とある山間の村で、唯一の井戸に死体が投げ込まれ、水が汚れてしまう。
“国境なき水と衛生管理団”のマンプルゥたちは、なんとか死体を引上げようと試みるが、死体があまりに巨漢でロープが切れてしまう。死体が腐敗しないうちに一刻も早く引き上げないと、水の浄化ができなくなってしまう。
マンプルゥは、ベテラン職員のビー、紛争地帯に初めて派遣されてきた新人女性ソフィー、現地通訳ダミールの4人でチームを組んで活動していた。二組に分かれ、1本のロープを求めてさまよう。停戦合意したとはいえ、この地帯にはまだ武装解除が徹底しておらず、さらに、あちこちに地雷が埋まっている危険地帯。果たして、ロープを見つけ、無事死体を引き上げることはできるのか・・・

最初に見つけたのは国旗を掲揚しているロープ。でも、この国旗を降ろさせてしまっては、その地に危険が及びます。欲しくても貰うわけにいきません。
マンプルゥは、道中、銃を持った不良少年グループに襲われてサッカーボールを奪われてしまった少年ニコラを助けます。ニコラが家にロープがあるというので、彼の案内で家に行くのですが、そこで衝撃の場面を見てしまいます。

戦争が人々にもたらす厳しい現実を、時にユーモアを交えて描いた作品。争いごとがなければ、人々は笑顔で平穏な人生を送れることをつくづく感じさせてくれます。
世界の各地で絶えない争い。その中で、危険を顧みず人々のために働く人たち。頭がさがります。“国境なき水と衛生管理団”の新人女性職員ソフィーを演じたメラニー・ティエリーや、本部職員で現地視察にやってくるカティヤを演じたオルガ・キュリレンコが、実にカッコよく活動家を体現しています。(咲)


2015年/スペイン/106分/カラー/シネマスコープ/英語・セルビア語・スペイン語・フランス語・ボスニア語
配給:レスペ   提供:レスぺ、中央映画貿易
★2018年2月10日(土)新宿武蔵野館、渋谷シネパレスほか全国順次公開




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2018年01月28日

THE PROMISE/君への誓い 英題:THE PROMISE

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監督:テリー・ジョージ(『ホテル・ルワンダ』)
出演:オスカー・アイザック、シャルロット・ルボン、クリスチャン・ベイル、ジェームズ・クロムウェル、ジャン・レノ

1914年の南トルコの村シルーン。医師を志すアルメニア人の青年ミカエル(オスカー・アイザック)は、裕福な家の娘マラル(アンジェラ・サラフィアン)と婚約。彼女の持参金を学資にして、オスマン帝国の首都コンスタンチノープルの医科大学に入学する。
ミカエルは父の従弟メスロブ(イガル・ノール)の邸宅に下宿する。メスロブの娘の家庭教師アナ(シャルロット・ルボン)や、彼女の恋人でアメリカ人ジャーナリストのクリス・マイヤーズ(クリスチャン・ベイル)と親しくなる。
第一次世界大戦が始まりトルコも参戦。招集を受けたミカエルは医学生として徴兵免除を申請するが、アルメニア人だからと受け付けてもらえない。大学で親しくなった大物政治家の息子エムレが役人に賄賂をつかませて救ってくれる。
戦意高揚とともにトルコ人の民族主義が高まり、アルメニア人への差別が横行し始める。ミカエルとアナは、アルメニア人を狙う暴徒の群れと遭遇。怪我を負ったミカエルはアナと一緒に近くのホテルに避難。いつしかお互いに心を寄せていた二人は、その夜、初めて結ばれる。東トルコの取材から戻ったクリスは、アナの心がミカエルに向いていることに気づきながら、東トルコで目にしたアルメニア人弾圧の事実を世界に発信することに力を注ぐ。
その後、多くのアルメニア人が拘束され、ミカエルもその一人として強制労働に就かされる。なんとか脱走し、故郷の村に戻るが、老人と女子供しか残っていない。マラルと結婚し、山中の小屋に潜伏する・・・

第一次世界大戦中の1915〜16年にオスマン帝国統治下で起こったアルメニア人の悲劇を背景にした4人の男女の友情や愛憎を描いた壮大な物語。
テリー・ジョージ監督が『ホテル・ルワンダ』製作中に知ったアルメニア人の追放問題。現在のトルコ共和国政府は、戦争中の悲劇として、大虐殺を認めていません。真実は当事者のみ知ることですが、私自身、東トルコを旅した時に、今は使われていない立派なアルメニア教会をいくつも観ました。そこにアルメニアの人たちが暮らしていた証だと思いました。どういった経緯で、アルメニア人は故郷を追われたのでしょう・・・   
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公開を前に来日したテリー・ジョージ監督にお話を伺いました。この映画を作るのにあたって、細心の注意を払って調査を重ねたことを語ってくださいました。インタビューの詳細は後日お届けします。(咲)


2016年/スペイン・アメリカ/2時間14分/カラー/シネマスコープ
配給:ショウゲート
後援:アルメニア共和国大使館
公式サイト:http://www.promise-movie.jp/
★2018年2 月3日(土)新宿バルト9ほか全国ロードショー





posted by sakiko at 21:16| Comment(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月30日

スターシップ9(原題:Orbiter 9)

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監督・脚本:アテム・クライチェ
出演:クララ・ラゴ(エレナ)、アレックス・ゴンザレス(アレックス)、ベレン・ルエダ(シルビア)、アンドレス・パラ(ヒューゴ)

近未来の地球は汚染され、人間は移り住むことのできる新たな星を探している。エレナはあるときから一人旅となった。両親の姿を映像でくりかえし見つめ、スターシップの音声だけを相手に長い旅を続けている。毎日決まったルーティンをこなし健康に気を付けていたが、給気システムに不具合が起きた。酸素不足の救援信号を送ると、その要請にこたえてエンジニアのアレックスが到着する。両親と分かれて以来の人間だった。急速にアレックスに惹かれたエレナは食事をふるまい、作業疲れで眠っているアレックスの部屋に入っていく。

長い間独りぼっちで過ごしていた年頃の女の子の前に、頼りがいのあるイケメンが現れたらそりゃあもうこの展開になりますね。それにしてもエレナのメンタルは強い!!『パッセンジャー』(3月公開)のクリス・プラットはアンドロイドのアーサーがいても孤独に耐えきれなかったではないですか。音声だけを相手に何年も一人ってひどすぎる!と半ば憤慨していたら、なんとストーリーが思わぬ方向へ動いていきました。ネタバレすると面白さ半減なのでここまで。
試写会に登壇したアテム・クライチェ監督も「事前情報や先入観を持たずに観て」と力説。もともとジャンルにとらわれず、初めのスト―リーが転換して身近な問題を現していくストーリーが好きなのだそうです。
人間が住めなくなっている地球は格差社会がさらに進んでいるという設定です。そのロケ先に選んだのがコロンビアの都市メデジン。林立する近代的なビル群の地域と、壊れそうな家が密集する地域とが同居している街が近未来を現すのにぴったりだったとか。初めて訪れたアレックスが顔を見せるシーン、大きな目を見開いて期待いっぱいで見つめるエレナの表情がいいです。よかったね、タイプで>エレナ(白)



2016年/スペイン、コロンビア合作/カラー/95分
配給: 熱帯美術館
(C) 2016 Mono Films, S.L. / Cactus Flower, S.L. / Movistar + / Orbita 9 Films, A.I.E
http://starship9.jp/
★2017年8月5日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 16:29| Comment(0) | TrackBack(0) | スペイン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする