2016年02月21日

もしも建物が話せたら   原題:Cathedrals of Culture

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製作総指揮:ヴィム・ヴェンダース
監督:ヴィム・ヴェンダース、ミハエル・グラウガー、マイケル・マドセン、ロバート・レッドフォード、マルグレート・オリン、カリム・アイノズ

WOWOWの国際共同制作ドキュメンタリー第1弾
「もしも建物が話せたら、彼らは何を語るだろう?」というテーマで6人の監督たちが、有名な建物たちに語らせます。

ベルリン・フィルハーモニーコンサートホール(ドイツ・ベルリン)
監督:ヴィム・ヴェンダース
*まだ冷戦時代の1963年に、西ベルリンの端、東を刺激する位置に建てられて50年。
オーケストラをホールの中心に配置した初めてのホール。

ロシア国立図書館(ロシア・サンクトペテルブルク)
監督:ミハエル・グラウガー
*1795年に皇帝エカチェリーナ2世によって建てられた図書館。宗教が弾圧されていた時代には隠されていたキリスト教関係の貴重な書物が、今や最前列に並ぶ。

ハルデン刑務所 (ノルウェー・ハルデン)

監督:マイケル・マドセン
*高い壁に囲まれた広々とした敷地の中には何でも揃い、小さな村のよう。小奇麗な個室に、こんな刑務所なら入ってもいいと思うほど。でも、凶悪犯の独房は、やはり凄まじい。
教会に絨毯が何枚も敷かれていって、最後には十字架の置いてある祭壇も絨毯で隠されました。モスクに早変わり! 思えば、絨毯の向きが斜めでした。(メッカの方向に向いて敷かれたのですね!)

ソーク研究所 (アメリカ・ラホーヤ)
  
監督:ロバート・レッドフォード
*建築家ルイス・I・カーンによって設計された、青い海と空に映える美しい対象形の建物。カリフォルニア大学サンディエゴ校のキャンパスの隣に位置する生物医学系の研究所。この美しい環境が、多くのノーベル賞学者を生み出したのですねぇ。
ロバート・レッドフォードが、ここを選んだのは、自身が11歳の時に罹ったポリオのワクチンを発見したジョナス・ソークによって創設された研究所だから。

オペラハウス (ノルウェー・オスロ)
 
監督:マルグレート・オリン
*フィヨルドの淵に建つオスロの新しいオペラハウスは、まるで海面からそそり立つ氷山のよう。緩やかなスロープになった屋根の上を歩く人、バレエの練習をする人・・・ なんだかとても開かれた空間。
★『バレエボーイズ』(ケネス・エルヴェバック監督、日本公開2015年8月29日)の3人の少年たちが練習していたのが、このオペラハウス。あの3人も、屋根の上で踊ったことがあるのかなぁ〜
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(C)Oystein Mamen

ポンピドゥー・センター (フランス・パリ) 
監督:カリム・アイノズ
*むき出しのパイプとガラス面で構成された外観は、製油所の様、ジャングルジムの様という人たちも。「私はカルチャー・マシン」と語らせているように、ここは現代美術、現代音楽、ダンス、映画などの複合的な文化施設。図書館もある。ここから遠くに見えるエッフェル塔だって、出来た当時は異質な建造物と思われたが、今やパリのシンボル。このいかついポンピドゥー・センターも、20世紀のパリを象徴する建物として親しまれるようになるのでしょう。

製作・提供:株式会社WOWOW
配給・宣伝:アップリンク
2014年/ドイツ、デンマーク、ノルウェー、オーストリア、フランス、アメリカ、日本/165分/英語/Color/16:9/DCP
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/tatemono
★2016年2月20日(土)渋谷アップリンクほか全国順次公開
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2015年12月20日

消えた声が、その名を呼ぶ   原題:THE CUT

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監督・脚本:ファティ・アキン
共同脚本:マルディク・マーティン(『レイジング・ブル』)
撮影:ライナー・クラウスマン(『ヒトラー 〜最期の12日間〜』)
美術:アラン・スタースキー(『戦場のピアニスト』)
音楽:アレクサンダー・ハッケ(『クロッシング・ザ・ブリッジ』)
出演:タハール・ラヒム(『預言者』『ある過去の行方』)、シモン・アブカリアン、マクラム・J・フーリ

1915年、オスマン帝国末期のトルコ東部の町マルディン。ある夜、アルメニア人鍛冶職人ナザレットは突然現れたトルコ人憲兵によって、妻や双子の娘と引き離され強制連行される。灼熱の砂漠で奴隷のように働かされるアルメニア人の男たち。その脇を女子どもや老人たちが憲兵に追い立てれるように疲れ果てた顔で歩いていく姿があった。
ある日、男たちは集められ次々に殺されていく。そんな中、ナザレットはナイフで喉を切られ、声を失いながらも、奇跡的に生き延びる。娘たちが生きていると耳にして、レバノンからキューバ、そしてアメリカのミネアポリスへと娘たちを探す果てしない旅が始まる・・・
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トルコではタブーとなっているアルメニア人虐殺を背景にファティ・アキン監督が描いた映画と知って、大いに期待して早々に試写に足を運びました。しかも、主演は『預言者』以来気になっているタハール・ラヒム! 
映画の冒頭に出てくるマルディンの町は、様々な宗派の教会がある美しい町。トルコでは撮影していないのですが、眼下にメソポタミア平原が広がるマルディンの雰囲気がとてもよく出ていました。
時は第一次世界大戦下。夜、家族団らんの場で、戦争の情勢や、よその町でアルメニア人が突然姿を消したらしいと話しているところに、トルコ人憲兵が突然押し入ってきます。家族と恐らくアルメニア語で話していたナザレットは、トルコ語で憲兵に答えます。多民族が共存している地ならではの光景。
今、東トルコにアルメニア人はほとんどいません。1915年に犠牲になったアルメニア人は150万人とも言われています。かつて、東トルコを旅した時に、各地で立派なアルメニア教会をいくつも観ました。一番ショックを受けたのは、ヴァン湖近くの丘の上から眼下を眺めた時に、広大な森の中に大きな教会の廃墟二つを見たときのことでした。そこにアルメニアの人たちが暮らしていた証。トルコ政府は虐殺ではなく戦争中の悲劇と位置付けているようですが、実際、どのようにアルメニア人は消されてしまったのでしょう。真実は当事者のみが知ること。
見解が分かれる出来事を背景にしている故に、ドイツ在住のトルコ移民の家庭で生まれ育った監督だからこそ作れた映画。ですが、本作はトルコでも公開されています。監督の意図は、アルメニア人の悲劇の真実を暴くことではなく、生き別れた家族の思いを描くことだったと感じます。
娘たちを必死に捜し求めるナザレットの姿を通して、1915年に運命を変えられたアルメニアの人々に思いを馳せると共に、世界各地で戦争などのために家族が離散した人たちのことにも思いが至りました。
本作の背景や、監督の思いについては、公式サイトをぜひご覧ください。(咲)


第71回ヴェネチア国際映画祭 コンペティション部門正式出品
2014年/ドイツ・フランス・イタリア・ロシア・カナダ・ポーランド・トルコ/シネマスコープ/138分
c Gordon Mühle/ bombero
提供:ビターズ・エンド、ハピネット、サードストリート
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/kietakoe/
★2015年12月26日(土)角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー !
posted by sakiko at 15:03| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月10日

ヒトラー暗殺、13分の誤算(原題:Elser)

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監督:オリヴァー・ヒルシュビーゲル
脚本:レオニー=クレア・ブライナースドーファー
出演:クリスティアン・フリーデル(ゲオルク・エルザー)、カタリーナ・シュットラー(エルザ)、ブルクハルト・クラウスナー(アルトゥール・ネーベ)、ヨハン・フォン・ビューロー(ハインリヒ・ミュラー)

1939年11月8日、ドイツ。ミュンヘンのビアホールで恒例の記念演説を行ったヒトラーは、予定より早く会場を後にした。降壇した13分後、演壇そばに仕掛けられていた時限爆弾が爆発する。死傷者が出るが、ヒトラーは難を逃れた。ゲシュタポ(秘密警察)は犯人探しに躍起になり、家具職人ゲオルク・エルザーをつきとめる。平凡な職人のエルザーが一人でやったことと主張しても、大きな組織の仕業と睨むゲシュタポは一層責め立てるばかり。しかし同じ供述を繰り返すエルザーの背後には誰の影も浮かんでは来なかった。

ゲオルク・エルザーは実在の人物ですが、暗殺未遂事件は英国情報部によるものと発表され、真実はドイツ政府により長く伏せられていたそうです。ヒトラーが台頭しドイツの救世主と国中が熱狂しているときに、早々と戦争突入の危険性を見抜いて行動を起こした人がいたなんて驚きです。
オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督は『ヒトラー〜最期の12日間〜』を2004年に発表していますが、このときに本作の構想もあったんでしょうか?ナチスの時代に自由を守ろうとした人々が戦後見直され、映画化などで知られるのは貴重で必要なことですね。
エルザーのクリスティアン・フリーデルとブルクハルト・クラウスナーは『白いリボン』(2009年/ミヒャエル・ハネケ監督)でも共演しています。エルザーの恋人を演じたカタリーナ・シュットラーの笑顔が麻生久美子さんにそっくりでした。(白)


2015年/ドイツ/カラー/シネスコ/114分
配給:ギャガ
(C)2015 LUCKY BIRD PICTURES GMBH,DELPHIMEDIEN GMBH,PHILIPP FILMPRODUCTION GMBH & CO.KG (C)Bernd Schuller
http://13minutes.gaga.ne.jp/
★2015年10月16日(金)TOHOシネマズ シャンテ、シネマライズ他全国順次公開
posted by shiraishi at 19:44| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年10月03日

顔のないヒトラーたち  英題:LABYRINTH OF LIES

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監督:ジュリオ・リッチャレッリ
出演:アレクサンダー・フェーリング(『ゲーテの恋』、フリーデリーケ・ベヒト(『ハンナ・アーレント』、アンドレ・シマンスキ、ゲルト・フォス

1958年、フランクフルト。第2次世界大戦終結から10数年、復興の進んだ西ドイツではナチスドイツ時代のことを忘れつつあった。野心溢れる若き検事ヨハン(アレクサンダー・フェーリング)が扱うのは交通違反ばかり。そんな折、ジャーナリストのグニルカがアウシュヴィッツ強制収容所で親衛隊員(SS)だったシュルツという男が、その過去を隠して違法に教師をしていることを突き止め、検察庁に進言しにくる。誰も耳を貸さない中、ヨハンはただ一人、調査に乗り出す・・・

強制収容所でホロコーストに関わった22人を、ドイツ人自身によって裁き、ドイツの歴史認識を大きく変えることとなったフランクフルト・アウシュヴィッツ裁判。1963年12月20日に初公判が行われるまでの経緯を描いた物語。
強制収容所の生存者たちから証言を得て、次々に元親衛隊たちを逮捕していくが、誰一人謝罪の態度を示す者はいなかったという。時代がそうさせたということか。
やがて、ヨハンはいまだ戦争捕虜として戻ってこない父もまたナチ党員だったことを母から聞かされる。それ以前に、上司から「君の父もナチス」と言われた時に、「いえ、違う」と否定したヨハン。誰だって、自分の親が惨いことをした加害者だとは思いたくない。
そして、なんらかの形で戦時中に加害者側になった人たちにとっては忘れたいし、自分がしたことを知られたくないだろう。特に、わが子には。
アウシュヴィッツ裁判の初公判が行われた1963年といえば、ちょうど私が「アンネの日記」を読んで、ナチスのユダヤ人迫害を知った頃。世界の多くの人が知っている事実だと思っていたけれど、当事国であるドイツでは、戦後かなり経つまで、多くを語られず隠されてきたようだ。事実を明らかにして否を認め、歴史を繰り返さないことが大事だと思う。でも、現実は世界の各地で争いが絶えない。どうしたら、地上から争いごとをなくすことができるのだろう・・・ (咲)


2014年/ドイツ/123分/シネマスコープ/ドルビーSRD/DCP
提供・配給:アットエンタテインメント
公式サイト:http://kaononai.com/
★2015年10月3日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国で順次公開
posted by sakiko at 17:22| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年09月22日

サム・ペキンパー 情熱と美学 英題:PASSION & POETRY: THE BALLAD OF SAM PECKINPAH

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監督:マイク・シーゲル
製作:マイク・シーゲル、エルマー・バーガー、パトリック・グリーソン
出演:サム・ペキンパー、アーネスト・ボーグナイン、ジェームズ・コバーン 他

映画製作に一生を捧げたバイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパーの生涯を追った待望のドキュメンタリー。監督を務めたのは映画史家であり、やはり映画製作者でもあるマイク・シーゲル。監督自身の膨大なコレクションを売り、その資金と情熱だけで撮り上げた-- ペキンパー自らが語っている映像はもちろん伝説的な俳優陣が語る数々のエピソードも見どころ。

生誕90周年・没後30年、故サム・ペキンパー監督の生涯がリアルに感じ取れる日本初上映のドキュメンタリー作品です。『荒野のガンマン』『戦争のはらわた』『コンボイ』などなどタイトルを聞けば誰もが知っている映画ばかり。59歳、心臓発作で亡くなっていたとは… ワイルドな風貌が故・立川談志師匠に似てる…。「血まみれサム」の異名を持つかたわら、なんと映画仲間に愛された監督だろう。狂気と愛は表裏一体なのだ。 (千)

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(C)2005-2015 El Dorado Productions. All rights reserved.


2005年/ドイツ/120分
配給:太秦
公式サイト
★9月26日より渋谷イメージフォーラムほか全国順次公開



posted by chie at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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