2018年04月28日

マルクス・エンゲルス(原題:Le jeune Karl Marx)

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監督:ラウル・ペック
脚本:パスカル・ボニゼール、ラウル・ペック
撮影:コーリャ・ブラント
音楽:アレクセイ・アイギ
出演:アウグスト・ディール(カール・マルクス)、シュテファン・コナルスケ(フリードリヒ・エンゲルス)、ビッキー・クリープス(イェニー)、オリビエ・グルメ(ジョセフ・プルードン)

19世紀半ば。産業革命が社会にひずみを生み、貧困の嵐が吹き荒れたころ。ライン新聞の編集長だったカール・マルクスは、政府の封建主義を批判し続けたため、廃刊の憂き目に遭う。妻とともにドイツを追われたマルクスはパリに落ち着くことになった。一方資本家の息子として生まれ、家業を継ぐことを期待されていたフリードリヒ・エンゲルスは、仕事で訪れたケルンでマルクスに出会う。1944年パリで再会した二人は互いの著書を読み、相手を高く評価していた。ときにマルクス26歳、エンゲルスは24歳であった。

知の巨人カール・マルクスは1918年5月5日プロイセン王国トーリアで生まれ、今年は生誕200周年にあたります。本作は若き日のマルクスに焦点を当てた伝記映画。資本家と労働者の対立が拡大し、揺れ動く時代の中にあってマルクス、エンゲルスとその妻たちは深い友情を育んでいきます。2人の偉人の名前は知っているものの、著書はとても読みこなせる力も興味ももちませんでした。この映画で若き日の2人を見て、遠い遠い存在だったのが、少しだけ近づいたような気がしました。2人の共著「共産党宣言」は1948年に発表されています。出てくる人がたくさんのうえ、彼らの主張や思想がいろいろで、とても関係すら理解したとは言えませんが、興味深い作品ではありました。
ラウル・ペック監督は『私はあなたのニグロではない』(2016)で山形国際ドキュメンタリー映画祭で優秀賞を受賞しています。(白)


2017年/フランス、ドイツ、ベルギー/カラー/シネスコ/118分
配給:ハーク
(C)AGAT FILMS & CIE - VELVET FILM - ROHFILM - ARTEMIS PRODUCTIONS - FRANCE 3 CINEMA ? JOUROR ? 2016
http://www.hark3.com/marx/
★2018年4月28日(土)岩波ホールにてロードショー
posted by shiraishi at 14:08| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月31日

ヴァレリアン 千の惑星の救世主(原題:Valerian and the City of a Thousand Planets)

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監督・脚本:リュック・ベッソン
原作:ピエール・クリスタン(作)、ジャン=クロード・メジエール(画)
撮影:ティエリー・アルボガスト
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:デイン・デハーン(ヴァレリアン)、カーラ・デルヴィーニュ(ローレリーヌ)、クライヴ・オーウェン(フィリット司令官)、リアーナ(バブル)、イーサン・ホーク(客引きジョリー)、ハービー・ハンコック(国防長官)、クリス・ウー(ネザ軍曹)、サム・スプルエル(オクト=バー将軍)、ルトガー・ハウアー(世界連邦大統領)
声の出演:ジョン・グッドマン(アイゴン・サイラス)

西暦2740年。銀河パトロールの敏腕エージェント、ヴァレリアンとローレリーヌは、超巨大宇宙ステーショ“千の惑星の都市アルファ”に向かっていた。しかし水面下で銀河の存亡に関わる陰謀がうごめき、全種族が絶滅の危機に瀕していることを知る。真実を公にはできない。極秘で回避せよ、とのミッションが下る。それも10時間以内に解決しなくてはいけない。ローレリーヌを口説いている場合ではなくなった。

バンド・デシネ巨匠ジャン=クロード・メジエールの伝説的グラフィック・ノベル「ヴァレリアンとローレリーヌ」シリーズが原作。1967年に世に出たものだそうです。なんと斬新な!
リュック・ベッソン監督が長年の悲願だった実写映画化を実現。原作の持つ世界観を表現できる技術が追いつくまで、じっと待っていたのだとか。冒頭に登場する美しい惑星パールを始め、舞台となる様々な惑星、奇妙キテレツなクリーチャーたち、変幻自在のリアーナ・・・映像美とアクションがすばらしい!予算もさぞ膨大だったことでしょう。SFアドベンチャー大好きな方はぜひ!
ファンの皆様、チャラくて可愛いデイン・デハーンと賢く強いカーラ・デルヴィーニュの恋の駆け引きもたっぷり観られます。この超大作を2D、IMAX3D、4Dなどご予算に合わせてお楽しみくださいませ。日本語吹き替え版もあり。(白)


2017年/フランス/カラー/シネスコ/137分
配給:キノフィルムズ
(c)2017 VALERIAN S.A.S. - TF1 FILMS PRODUCTION
http://valerian.jp/
★2018年3月30日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 23:19| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月24日

BPM ビート・パー・ミニット 原題:120 Battements Par Minute

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監督・脚本:ロバン・カンピヨ
共同脚本:フィリップ•マンジョ
出演:ナウエル・ペレーズ・ビスカヤート、アルノー・ヴァロワ、アデル・エネル

1990年代初頭のパリ。“HIV/エイズ”が目に見えない形で広がり、政府も製薬業界も対策を講じない中、HIV感染者への偏見や差別が横行していた。そんな中、「ACT UP Paris」のメンバーたちはエイズ患者やHIV感染者への差別に対して、正しい知識を啓蒙するデモ行進、政府や製薬会社への抗議、高校での性教育など、さまざまな活動を行っていた。
新たなメンバーとして参加したナタンは、グループのカリスマ的存在で、積極的に行動するショーンに惹かれていく。ある日、女性学生にコンドームを渡そうとして「ゲイじゃないから」と差別的な言葉を浴びせられ、とっさにショーンはナタンにキスをする。それをきっかけに二人の距離は縮まるが、ショーンはHIV陽性で、やがて病魔が彼を襲う・・・

エイズへの偏見がはびこる中、社会や政府に向けて、啓蒙・抗議活動を精力的に繰り広げる若者たちの姿が眩しい。自身も感染している者にとっては、まさに命をかけての闘い。
『パリ20区、僕たちのクラス』などの脚本家ロバン・カンピヨが監督・脚本を手がけ、エイズ活動家団体ACT UPのメンバーだった自身の経験をもとに描いた若者たちのピュアな姿。
エイズの恐怖が世界を駆け抜けたのは、もう30年程前。当時の差別的雰囲気もよく覚えている。今や、あまり話題にならなくなったけど、決してエイズ対策が完璧になされているわけではないだろう。エイズだけでなく、様々なことに疑問や不安があっても、今、声高に抗議の声をあげる者も少なくなったように思う。この映画は、「立ち上がる勇気」を教えてくれる。 最後の強烈な抗議行動は、ちょっと真似してほしくないけれど、痛快!(咲)


2017年・第70回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞

2017年/フランス/フランス語/カラー/シネマスコープ/5.1ch/143分
配給:ファントム・フィルム
公式サイト:http://bpm-movie.jp/
★2018年3月24日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、ユーロ スペースほかにて全国ロードショー



posted by sakiko at 11:40| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月25日

ハッピーエンド  原題:HAPPY END

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監督・脚本: ミヒャエル・ハネケ(『愛、アムール』『白いリボン』)
出演: イザベル・ユペール、ジャン=ルイ・トランティニャン(『愛、アムール』)、マチュー・カソヴィッツ、ファンティーヌ・アルドゥアン、フランツ・ロゴフスキ、ローラ・ファーリンデン、トビー・ジョーンズ

カレーの瀟洒な邸宅。ブルジョワジーのロラン家の3世帯が暮らしている。家長のジョルジュ(ジャン=ルイ・トランティニャン)は建設業を営んでいたが引退し、今は娘アンヌ(イザベル・ユペール)が家業を継いでいる。アンヌの息子ピエール(フランツ・ロゴフスキ)は専務として母のもとで働いているが、ビジネスには不向きな性格だ。アンヌの弟トマ(マチュー・カソヴィッツ)は家業を継がず、医師として働いている。再婚した若い妻アナイス(ローラ・ファーリンデン)との間に幼い息子ポールがいる。幼い娘のいるモロッコ人のラッシドとその妻ジャミラが、使用人として住み込んでいる。
ある日、トマの別れた妻が薬物中毒で入院し、13歳の娘エヴがこの大家族に加わる。ほどなくジョルジュの85歳の誕生会が開かれる。あることをきっかけに、ジョルジュと孫娘エヴはお互いの秘密を打ち明けあう・・・

カレーといえば、ドーバー海峡をわたってイギリスに行こうとする難民・移民が多く滞在している町。でも、ロラン家は、彼らのことなど気にかけることもなく、それぞれが自分のことしか考えていない。大家族で食卓を囲んでも、会話がはずむわけでもない。映画の冒頭も、スマホで撮った動画から始まるが、今や、目の前にいる生身の人ではなく、スマホが対話の相手。この屋敷の中では、使用人のモロッコ人一家だけが、家族のぬくもりを感じさせてくれる存在。
ハネケ監督が描いたロラン家の人々は、まさに今の社会にはびこる、自己中心で、他人に無関心どころか、他者を排除する風潮を象徴したような一家。ブラックユーモアに満ちていて、タイトル『ハッピーエンド』の意味するところは何なのか、見終わって、しばし考えてしまいました。(咲)


2017年/フランス・ドイツ・オーストリア/107分/カラー/アメリカンビスタサイズ
配給・提供:ロングライド 提供:KADOKAWA
(C) 2017 LES FILMS DU LOSANGE - X FILME CREATIVE POOL Entertainment GmbH - WEGA FILM - ARTE FRANCE CINEMA - FRANCE 3 CINEMA - WESTDEUTSCHER RUNDFUNK - BAYERISCHER RUNDFUNK - ARTE - ORF Tous droits reserves
公式サイト:http://longride.jp/happyend/
★2018年3月3日(土)角川シネマ有楽町ほか全国順次公開




posted by sakiko at 09:35| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月27日

ゴーギャン タヒチ、楽園への旅  原題:Gauguin Voyage de Tahiti

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監督:エドゥアルド・デルック
出演:ヴァンサン・カッセル(『ブラック・スワン』『美女と野獣』)、ツイー・アダムス、マリック・ジディ、プア・タウ・ヒクティニ

株式仲買人だったゴーギャンは、ピサロなど印象派の画家たちとの親交を経て画家への道を志す。1876年にはサロンへの入選も果たすが、次第に近代主義全盛のパリに嫌気がさす。マルティニーク島やパナマへの旅を経て、ついに見つけた楽園がタヒチだった。詩人マラルメの働きかけで政府から渡航費も工面し、妻の実家コペンハーゲンから妻と5人の子どもたちを呼び寄せたが、妻子からは同行を拒まれる。ゴーギャンは一人で旅立つが、タヒチに着いた彼は病に罹り、白人医師のもとに運ばれる。入院を勧められるが、初心を貫こうと画材一式を持って島の奥地へと向かう。森の奥の部落で客人として迎えられ、少女テフラを妻にもらう。彼女に野生の美しさを見出したゴーギャンは、彼女をモデルに一日中絵を描き、村の暮らしにも馴染んでいく。しかし、タヒチの奥地にも西洋文明が忍び寄り、テフラも皆と同じように白い服を着て教会に行きたいと言い出す・・・

ゴーギャンといえばタヒチ。南太平洋で見つけた楽園で、のどかな後半生を過ごしたというイメージを持っていましたが、本作を観て、決してゴーギャンにとってタヒチは最後まで楽園ではなかったことを知りました。帰国を決意するも、飛行機で十数時間で飛んで帰れる今と違って、故国に帰るには日数も費用もかかった時代。どんな思いだったでしょう。ゴーギャンの描いたタヒチが、以前と違った印象で語りかけてくるように感じます。(咲)

2017年/フランス/102分/シネスコ/DCP
配給:プレシディオ
後援:タヒチ観光局
公式サイト:http://gauguin-film.com/
★2018年1月27日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ他 全国順次ロードショー




posted by sakiko at 20:59| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする