2017年09月10日

スクランブル(原題:Overdrive)

scramble.jpg

監督:アントニオ・ネグレ
脚本:マイケル・ブラント、デレク・ハース
撮影:ローラン・バレ
出演:スコット・イーストウッド(アンドリュー・フォスター)、フレディ・ソープ(ギャレット・フォスター)、アナ・デ・アルマス(ステファニー)

兄のアンドリューは頭脳、弟のギャレットはメカニック、それぞれ得意分野を担って華麗に高級クラッシクカーのみを盗むフォスター兄弟。今日はオークションで落札された37年型ブガッティを移動中に横取りする計画だ。今回もうまくいくはずだったが失敗。しかもマフィアのモリエールが落札者だったために捕まってしまう。殺されないための条件は、モリエールと敵対するマフィアのクレンプの62年型フェラーリ250GTOを盗み出すこと。それも1週間以内に。兄弟は新しい仲間を集め、強奪作戦を練り始める。

車に詳しい人なら垂涎の超高級車ばかりが登場します。二人のマフィアがカーマニアという設定なので、ガレージに並ぶ車たちに目を見張ります。初めに登場するブガッティは本物の修復のための鋳型を借りて作ったレプリカ、62年型フェラーリ250GTOはリクリエーションモデルだそうですが、ほかは全てコレクターから撮影のために借りた本物だとか。世の中にはほんとにお金持ちがいるんですねー。
車ばかりでなく兄弟が知恵と仲間のチームワークで、マフィアの裏をかきながら繰り広げるカーアクションも見どころ。主演のスコット・イーストウッドは名前と見た目のとおり、クリント・イーストウッドの実の息子。いまや堂々たる巨匠の若き頃とそっくりです。七光りではないのは見てわかっていただけるはず。(白)


2017年/フランス/カラー/シネスコ/94分
配給:ギャガ
(C)2016 OVERDRIVE PRODUCTIONS - KINOLOGY - TF1 FILMS PRODUCTION - NEXUS FACTORY
http://gaga.ne.jp/scramble/
★2017年9月22日(金)TOHOシネマズみゆき座 他全国ロードショー
posted by shiraishi at 19:19| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

汚れたダイヤモンド(原題:Diamant noir)

yogoreta.jpg

監督:アルチュール・アラリ
脚本:アルチュール・アラリ、バンサン・ポワミロ、アニエス・フォーブル
撮影:トム・アラリ
音楽:オリヴィエ・マルグリ
出演:ニールス・シュネデール(ピエール・ウルマン)アウグスト・ディール(ガブリエル・ウルマン/ギャビー)、ハンス=ペーター・クロース(ジョゼフ・ウルマン)、ラファエル・ゴダン(ルイザ)、アブデル・アフェド・ベノトマン(ラシッド)

パリで窃盗・強盗を繰り返すピエールにある日父が死んだとの知らせがある。15歳で家を出て以来、音信不通だった父の身元確認に行く。ダイヤモンドを扱う商家に育ちながら、研磨作業の事故で手を失った父は精神を病んで、孤独な死を迎えたのだった。ピエールは、生家の財産を独り占めにして裕福な生活を送る叔父一家への復讐の思いがたぎっていく。強盗仲間のラシッドにうちあけ、叔父の元に入り込んでダイヤモンドを盗みだそうと計画する。

冒頭の手際の良い窃盗シーンに注目させられました。初長編だというアルチュール・アラリ監督、「つかみはOK」です。「ハムレット」を下敷きに考えたというストーリーは“父と息子”の繋がりを底に、ダイヤモンドの輝きに魅せられていく主人公を描きます。筆者にはこれからも無縁そうなダイヤモンドの研磨や取引の話も適度に入り、父譲りの才能を発揮していくピエールが方向転換するかと思いきや…。復讐の念に凝り固まったピエールはのっぴきならないところまで行き、観ているこちらは思わず「もうやめたら」と言いたくなりました。
主演のニールス・シュネデールは、本作でフランス映画アカデミー・セザール新人男優賞を獲得。『胸騒ぎの恋人』『ボヴァリー夫人とパン屋』での金髪・巻き毛の美青年役を覚えているのだけど、まだ新人??本作では全く別人に見えた黒髪・髯でナイフのような鋭さを感じさせます。『ポリーナ、私を踊る』(10月28日公開)ではバレエダンサー役とは楽しみ。強盗の指揮をとるラシッド役のアブデル・アフェド・ベノトマンは作家ですが、子どもの頃からの窃盗・強盗で獄中に15年とか。檻の中で書いた体験を元にした短篇が評判になって作家となった変わり種です。撮影後2015年に逝去しているそうです。(白)


2016年/フランス、ベルギー/カラー/115分
配給:エタンチェ
(c)LFP-Les Films Pelleas / Savage Film / Frakas Productions / France 2 cinema / Jouror Productions
https://www.diamantnoir-jp.com/
★2017年9月16日(土)より、ユーロスペースほかにて公開
posted by shiraishi at 16:34| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あさがくるまえに   原題:Réparer les vivants

asaga kurumaeni.jpg

監督:カテル・キレヴェレ
出演:タハール・ラヒム、エマニュエル・セニエ、アンヌ・ ドルヴァル、ドミニク・ブラン、ギャバン・ヴァルデ

海辺の町ル・アーブル。夜明け前、 シモンはまだ寝ている彼女を起こさないように、そっとベッドを抜け出し、窓から出てスケボーで坂を下りて行く。友人たちと落ち合い、サーフィンを楽しんだ帰り道、シモンたちの乗った車が交通事故にあってしまう。病院に運ばれたシモンは脳死と判定される。シモンの両親に、移植コーディネーターのトマはシモンが蘇生する可能性は低く、移植を待つ患者に臓器提供をしてもらえないかと打診する。
一方、パリでは心臓移植を待つ音楽家のクレールに、担当医からドナーが見つかったと連絡が入る。若くはないクレールは、移植をしてまで延命すべきかどうか悩んでいる矢先のことだった・・・

身体的には生きている息子の死をなかなか受け入れられない肉親の思い。方や、臓器移植を受けることができれば生き長らえる人がいる。移植コーディネーターの双方に対する複雑な思いが交錯する様を、タハール・ラヒムが静かに体現していました。
ジャック・オディアール監督の『預言者』で初めて観て以来、注目していたタハール・ラヒム。その後、ロウ・イエ監督、アスガル・ファルハディ監督、ファティ・アキン監督、そして黒沢清監督と、さまざまな国の名だたる監督に起用されてきましたが、本作は久しぶりにフランスの監督、しかも女性監督。
移植コーディネーターという微妙な立場にいるタハール・ラヒム演じるトマだけでなく、息子が脳死判定された両親、ドナーが現われるのを待つクレール等々、それぞれの感情を丁寧に描いていて、自分がその立場だったら・・・と、どの人物にも寄り添えました。(咲)


監督:カテル・キレヴェレ Katell Quillevere
1980年、父の赴任先であるコートジボワール生まれ。その後、パリに戻り、フェネロン高校で映画を学び、パリ第8大学で哲学を修め、映画の修士号を取得。2004年にセバスチャン・バリーとともにブレィヴ・ヨーロッパ中編映画祭を創設。2005年に初の短編映画『À bras le Corps』がカンヌ国際映画祭監督週間に出品され、 2007年のセザール賞にノミネートされた。2010年に『聖少女アンナ』で長編デビュー。再びカンヌ映画祭監督週間に出品され、ジャン・ヴィゴ賞を受賞。2013年、2作目の長編『スザンヌ』を発表。(フランス映画祭東京2014で上映) カンヌ国際映画祭国際批評家週間のオープニング作品に選ばれた。興行的にも成功した本作は、セザール賞5部門にノミネートされ、アデル・エネルが最優秀助演女優賞を獲得。今、フランスで最も注目されている女性監督の一人。(プレス資料より抜粋)

原作:2014年に発表されたメイリス・ド・ケランガルの、カンマを多用し、まるで呼吸するような独創的な文体が話題となったベストセラー小説”Réparer les vivants“ (日本未翻訳)。

2016年/フランス=ベルギー/カラー/104分/スコープ・ サイズ/DCP
配給:リアリーライクフィルムズ、コピアポア・フィルム
公式サイト:https://www.reallylikefilms.com/asakuru
★2017年9月16日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開



posted by sakiko at 09:11| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月03日

旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス 原題 Journal de France

2017年9月9日 シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開!

6277e83e7bfb7979_R.jpg
(C)Paimeraie et desert-France 2 Cinema


監督 レイモン・ドゥパルドン クローディーヌ・ヌーガレ
製作 クローディーヌ・ヌーガレ
撮影 レイモン・ドゥパルドン
編集 シモン・ジャケ
キャスト
レイモン・ドゥパルドン
クローディーヌ・ヌーガレ
アラン・ドロン(アーカイブ映像)
ジャン=リュック・ゴダール(アーカイブ映像)
エリック・ロメール(アーカイブ映像)

フランスを代表する写真家の
“ガイドブックには決して載らない” 世界旅行記

フランスの写真家レイモン・ドゥパルドン(1942-)。マグナム・フォトに所属し世界中を飛び回って、20世紀の変革が起きた現場で取材を続け、スチールと映像で記録してきた。フランス国内でも、大統領選挙、裁判所、精神病院、警察といった国家機関の内部を市民目線で描くドキュメンタリーを製作。カンヌ映画祭をはじめ国内外で高い評価を得た。近年はフランスの伝統的な農業を続ける家族を追った作品など、「ガイドブックに載らない」風景を40年以上に渡って撮影した作品を発表。今日も彼は愛車のワゴンに写真機材を詰め込み、フランス中を走り回って写真を撮っている。
フランス、ヌヴェールの古びたタバコ屋の前で、ビューカメラと呼ばれる大型のカメラをかついで撮影しているレイモン・ドゥパルドン。「露出が1秒だから、車や歩行者は困るんだ」「その人が通ったら撮影」と言い、シャッターを切る。撮影しているのは50年代のおもむきを残すタバコ屋や食料品店、カフェや家など、人物ではない。ごく普通の人々が生活を共にするものばかり。
世界中の紛争地帯、独裁政権、傭兵、アフリカ、砂漠など、レイモンはそれまで発表してきた映像ではなく、撮ったけど使わなかった映像を使って一本の映画を作ることを試みた。その作品が、この『Journal de France=旅する写真家 レイモン・ドゥパルドンの愛したフランス』である。
レイモンの撮影してきた数々のフィルムの断片の合間に、フランス中を回って、大型カメラで撮影を続けるレイモン・ドゥパルドンの姿が挿入される。
共同監督を務めたのは、妻であり、映像作品の製作・録音を担当してきたクローディーヌ・ヌーガレ。「倉庫に眠る膨大なアウトテイクをつないで、一本の映画にしたい」というレイモンの夢を叶え、レイモン・ドゥパルドンの仕事の集大成作品を作った。

製作年2012年 製作国フランス 配給アンプラグド
公式HP

写真を始めて約45年。ベトナム戦争の頃(1970年代)には、ロバート・キャパ、石川文洋、沢田教一、一ノ瀬泰造らの撮った写真を見て、報道写真家を目指したこともあった。大石芳野、南條直子、古居みずえなど、ベトナム、カンボジア、アフガニスタン、パレスチナなど紛争地の写真を撮ってきた日本の女性写真家もいるが、私はとうとうそういう写真家にはなれなかった。なりゆきでそういう写真を撮るようになったという人もいるけど、それなりの覚悟と勇気がなければ、紛争地の写真を撮れるような写真家にはなれない。それは男の人だってそうだったろう。
そんな私だけど、マグナムに参加していたというレイモン・ドゥパルドンを知らなかった。この映画で彼のことを知った。ワゴン車でフランス中を廻り、8×10(バイテン)の大型カメラで、景色を撮影している映像が出てきて、今でもバイテンのカメラで撮っている人がいる!と驚いた。この映像の合間に映し出されるかつて撮影した映像だけど、あまりにも短すぎて、何の場面なのか、どこなのか、誰なのか、把握しきれなかった。人でわかったのはアラン・ドロンとネルソン・マンデラだけだった。ロメールとかジスカールデスタン大統領などは解説があってわかったけど、ゴダールは見逃した。そのくらい一瞬しか出てこなかったりする。歴史上の人物とか、事件、フランスの映画人などに詳しい人が観たらすぐわかるかも。何が出てくるか、誰が登場するかと思いながら観るのも楽しいのではないだろうか。
私にとってはアフリカに興味があり、アフリカの映像が多くて興味深かった。1960年代はアフリカの国々の独立が多かったので、フランスのジャーナリストとしてはやはり、多く出かけたのかもしれない。(暁)

レイモン・ドゥパルドン、日本初の個展「DEPARDON / TOKYO 1964-2016」開催中!
場所:シャネル・ネクサス・ホール
東京都中央区銀座3-5-3 シャネル銀座ビルディング 4F
http://chanelnexushall.jp/about/access/
9月1日(金)〜10月1日(日)12時〜20時(入場無料・無休)
1964年の東京オリンピックから現在までの東京がテーマ。2017年秋は、まだ日本国内ではあまり知られていないドゥパルドンの魅力を堪能できそうです
posted by akemi at 21:19| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月20日

エル ELLE(原題:ELLE)

elle.jpg

監督:ポール・ヴァーホーヴェン
原作:フィリップ・ディジャン
脚本:デヴィッド・バーク「エル ELLE」早川書房
撮影:ステファーヌ・フォンテーヌ
音楽:アン・ダッドリー
出演:イザベル・ユペール(ミシェル)、ロラン・ラフィット(パトリック)、アンヌ・コンシニ(アンナ)、シャルル・ベルリング(リシャール)、ヴィルジニー・エフィラ(レベッカ)、ジュディット・マーレ(イレーヌ)、クリスチャン・ベルケル(ロベール)、ジョナ・ブロケ(ヴァンサン)

ミシェルはゲーム会社の辣腕社長。夫とは離婚、気の強い女に掴まった息子とも離れ、猫が家族の気楽な一人暮らしを楽しんでいる。ある日突然押し入った黒づくめの覆面男にレイプされてしまうが、一人で後始末をし友人たちとのディナーで打ち明ける。通報しないミシェルを元夫や友人たちは怪訝に思うが、周りの誰もが疑わしい。いつも監視されているようなメールや嫌がらせの電話が届くのだ。ミシェルは犯人を探し、自ら報復しようと武器を買い集める。

イザベル・ユペールは20年以上前から観ているのに、いつ見ても変わらない気がする女優さんです。芯が強くてぶれない女性という印象で、この作品ではそれに加えて“肉食系女子”でした!若い恋人を連れ込む母親を嫌っているようすも出てきますが、「いやいや貴女もそうなりそう」と内心つぶやいてしまいました。子どもの頃の体験から自分で自分を守るすべを身につけねばならなかった、と映画が進むにつれわかります。それにしてもいろいろと強い女性です。夫や息子が彼女を越えられそうもなく、情けなく見えてしまいます。初めて観たジョナ・ブロケはこの息子役でセザール賞にノミネート、先が楽しみな若手俳優です。お向かいの御主人パトリック役のロラン・ラフィットは『ミモザの島に消えた母』 (2015年)で、母の死の真相を探る兄役でしたね。コメディアンなのだそうですが、シリアスな役いけるではありませんか。
最後の重要なセリフや表情にご注意ください。(白)


2016年/フランス/カラー/シネスコ/131分
配給:ギャガ
(C)2015 SBS PRODUCTIONS - SBS FILMS - TWENTY TWENTY VISION FILMPRODUKTION - FRANCE 2 CINEMA - ENTRE CHIEN ET LOUP
★2017年8月25日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 14:42| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする