2018年01月27日

ゴーギャン タヒチ、楽園への旅  原題:Gauguin Voyage de Tahiti

gauguin.jpg

監督:エドゥアルド・デルック
出演:ヴァンサン・カッセル(『ブラック・スワン』『美女と野獣』)、ツイー・アダムス、マリック・ジディ、プア・タウ・ヒクティニ

株式仲買人だったゴーギャンは、ピサロなど印象派の画家たちとの親交を経て画家への道を志す。1876年にはサロンへの入選も果たすが、次第に近代主義全盛のパリに嫌気がさす。マルティニーク島やパナマへの旅を経て、ついに見つけた楽園がタヒチだった。詩人マラルメの働きかけで政府から渡航費も工面し、妻の実家コペンハーゲンから妻と5人の子どもたちを呼び寄せたが、妻子からは同行を拒まれる。ゴーギャンは一人で旅立つが、タヒチに着いた彼は病に罹り、白人医師のもとに運ばれる。入院を勧められるが、初心を貫こうと画材一式を持って島の奥地へと向かう。森の奥の部落で客人として迎えられ、少女テフラを妻にもらう。彼女に野生の美しさを見出したゴーギャンは、彼女をモデルに一日中絵を描き、村の暮らしにも馴染んでいく。しかし、タヒチの奥地にも西洋文明が忍び寄り、テフラも皆と同じように白い服を着て教会に行きたいと言い出す・・・

ゴーギャンといえばタヒチ。南太平洋で見つけた楽園で、のどかな後半生を過ごしたというイメージを持っていましたが、本作を観て、決してゴーギャンにとってタヒチは最後まで楽園ではなかったことを知りました。帰国を決意するも、飛行機で十数時間で飛んで帰れる今と違って、故国に帰るには日数も費用もかかった時代。どんな思いだったでしょう。ゴーギャンの描いたタヒチが、以前と違った印象で語りかけてくるように感じます。(咲)

2017年/フランス/102分/シネスコ/DCP
配給:プレシディオ
後援:タヒチ観光局
公式サイト:http://gauguin-film.com/
★2018年1月27日(土)よりBunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ他 全国順次ロードショー




posted by sakiko at 20:59| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月21日

ライオンは今夜死ぬ  原題:Le lion est mort ce soir

lion konya sinu.jpg
監督・脚本 :諏訪敦彦(『M/OTHER』『ユキとニナ』)
出演:ジャン=ピエール・レオー、ポーリーヌ・エチエンヌ、モード・ワイラー、アルチュール・アラリ、イザベル・ヴェンガルテン

南仏コート・ダジュール。年老いた俳優ジャンが死の瞬間をどう演じるか悩んでいた矢先、相手役の女優の準備が整わず撮影は延期となる。ジャンは赤いグラジオラスの花束を抱えて、かつて愛した女性ジュリエットの住んでいた古い屋敷を訪ねる。美しい姿のまま現われるジュリエット。これは現実なのか、夢なのか。ジャンがベッドで横たわっていると、屋敷に忍び込んだ地元の子どもたちから、自分たちが撮る映画に出て欲しいと頼まれる。子どもたちは脚本を作り、ジャンも気に入り、撮影が始まる。数日後、いよいよラストシーンを撮るために皆で湖に向かう途中、ジャンは上機嫌で「ライオンが今夜死んだのだ」と歌いだす・・・

大男のジャンに、最初はおっかなびっくりの子どもたち。ジャンも子どもたちを脅かして楽しんでいます。やがて始まる映画作り。子どもたちが伸び伸びと映画を撮る姿に、自由な心で表現することの素晴らしさを感じさせてくれます。この映画が撮影されたのは、映画の父であるリュミエール兄弟の作品の舞台であるラ・シオタ。諏訪監督がここをロケ地に選んだのも、映画の原点を感じたかったからでしょうか。
諏訪監督が名優ジャン=ピエール・レオーと知り合ったのは、2012年のラ・ロシュ・シュル・ヨン映画祭。ジャンに映画的なポエジーを感じた諏訪監督は、いつか彼を主役に撮りたいと思ったのが、この映画の発端。その後、ジャンが来日した折に、好きな歌は?と尋ねたところ、「ライオンは今夜死ぬ」を歌ってくれて、タイトルがひらめく。さらに、劇中でジャンがこの歌を歌うことも決め、そこから物語を作っていったそうです。
かつて愛したジュリエットは実はもう亡くなっていて、ジャンの前に現われるのは幻。子どもたちの中に、7歳の時に父親を交通事故で亡くした少年がいて、「思えば会える」と語りかけます。誰もが直面する「死」についても考えさせられる物語。
諏訪監督の前作『ユキとニナ』のユキを演じたノエ・サンピが、成長した姿を一瞬ですが見せてくれます。どうぞお見逃しなく。(咲)


2017年/フランス・日本/103分
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/lion/
★2018年1月20日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて 全国順次公開



posted by sakiko at 19:38| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月07日

ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!   原題:RENEGADES

navy seals.jpg

監督:スティーブン・クォーレ(『 イントゥ・ザ・ストーム』)
製作:リュック・ ベッソン、ラファエル・ベノリエル
原案:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン、リチャード・ウェンク
出演:サリバン・ステイプルトン、J・K・シモンズ、シルヴィア・フークス、ディミトリー・レオニダス、チャーリー・ビューリー、ディアミッド・マルタ、ジョシュア・ヘンリー、ユエン・ブレンナー

1995年、サラエボ。ボスニア紛争解決の為に送り込まれたアメリカ海軍の特殊部隊ネイビーシールズ。マット率いる5人組は、戦車で大暴走し、敵の将軍を拉致と大活躍。チーム一番の色男スタントンは、恋に落ちたウェイトレスのララから、かつてナチスが隠した金塊を水没した村から拾い出して、戦争で被害を受けた避難民を助けて欲しいと頼まれる。敵陣真っ只中の湖底から、重さ27トンの金塊をどうやって運び出すのか? タイムリミットは8時間。前代未聞の奪還作戦が始まる・・・

冒頭、モノクロ映像で、1944年8月のパリが映し出されます。戦禍を避けるためルーブル美術館から運び出される絵画の数々。そんな中、ナチスは金塊の山を運び出し、ユーゴスラビアのサラエボ近くの山間の村に隠します。それを見ていた少年がララの祖父。1944年当時10歳位としたら、1995年の時点で、60代前半! 若いお祖父さん!・・・と、つい余計な計算をしてしまいましたが、少年の目の前でダムの水が放流され村が水没していくさまは圧巻。水没した町は、マルタでセットを組んで撮影。その他ドイツ、クロアチア、フランスで撮影。風情あるボスニアをなかなかうまく再現しています。
米軍特殊部隊のネイビーシールズのメンバーを演じた5人の俳優は、全員アメリカ人ではなく、いかに米軍っぽく見せるか工夫したそう。ま、アメリカ人といっても、ルーツはあちこちですから! 地上、水中で繰り広げられるネイビーシールズの活躍に手に汗握りました。激しいアクションの合間に時折こぼれるユーモア溢れる会話もみどころ。(咲)


2017年/フランス・ドイツ/カラー/106分/スコープサイズ/5.1chサラウンド
配給:アスミック・エース
公式サイト:http://renegades.asmik-ace.co.jp/
★2018年1月12日(金)TOHO シネマズ 六本木ヒルズ他にて全国ロードショー




posted by sakiko at 16:36| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月10日

アランフエスの麗しき日々   原題:Les beaux jours d'Aranjuez

aranfes.jpg

監督・脚本:ヴィム・ヴェンダース
原作:ペーター・ハントケ「アランフエスの麗しき日々 夏のダイアローグ」(論創社)
出演:レダ・カテブ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイヴ

古い家に置かれているジュークボックスから流れてくる昔懐かしい曲。
書斎では、男がタイプに向かっている。
庭先の町を見晴らす木陰には、男と女が座っている。
男が女に初体験のことを聞く。
相手は男じゃなかったと語る女。
子ども時代の話から、男と女の本質の違いなど、とりとめもない会話が続く中、男がアランフエスに行った思い出を語る。
タホ河が流れる小さな町。夏の宮殿があるが、自分が観たかったのは、農夫の家。
でも、それは王宮より手入れが行き届いているもう一つの宮殿にすぎなくて、壁の農夫を描いたフレスコ画から来ている名前とわかった。
板小屋を期待していたのかなとつぶやく男・・・

女性の語る内容が、小難しくて、いかにも部屋でタイプを打っている男が作り出した言葉という感じ。女性の心からの言葉じゃない作り物。彼女がなんとも堅い話をしているのに、男は初体験のことをまた尋ねたりと、なんともかみ合わない会話劇。
そして唐突に語られるアランフエスの思い出。
タイトルからスペインのアランフエスを期待していたら、見事に裏切られました。思い出話に出てくるだけ。
木立ちに囲まれた高台に建つ古い家は、遠くにパリの町が見晴らせる位置にあって、望遠鏡で眺めたときに、パリの高層ビルが連なっているのが、ぼぉ〜っと見えます。
手打ちのタイプライターに、ジュークボックスと、いつの時代?と、くらくら。
そして、唐突にピアノの弾き語りをする男。有名なミュージシャン、ニック・ケイヴ。(すみません、私は知らなかった!)
なんとも不思議な余韻の残る映画。
なにより、男を演じたレダ・カテブが渋いです。
DSCF8172 PIGAR 320.jpg
2016年の東京国際映画祭コンペティション部門で『パリ、ピガール広場』が上映された折に来日したレダ・カテブ(上記写真)にぐっと惹かれました。父親はアルジェリア出身の俳優マレク・エディーヌ。レダ・カテブ自身は1977年フランス・イヴリ=シェル=セーヌ生まれ。
ジャック・オーディアール監督作『預言者』でのジプシー青年ジョルディ役で注目を集めたそうですが、『預言者』では、タハール・ラヒムにしか目がいきませんでした。
そのほか、『愛について、ある土曜日の面会室』『不機嫌なママにメルシィ!』にも出ていたそうなのですが記憶になく・・・ 11月25日から公開されている『永遠のジャンゴ』でも、伝説のジャズギタリスト、ジャンゴ・ラインハルトを素敵に演じていて、ちょっとマイブームのレダ・カテブなのです。(咲)


2016年/フランス・ドイツ・ポルトガル/97分/カラー/DCP
配給:オンリー・ハーツ
公式サイト:http://aranjues.onlyhearts.co.jp/
★2017年12月16日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開



posted by sakiko at 20:00| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年12月03日

女の一生(原題:Une vie)

onnano.jpg

監督・脚本:ステファヌ・ブリゼ
原作:ギイ・ド・モーパッサン
撮影:アントワーヌ・エベルレ
音楽:オリビエ・ボーモン
出演:ジュディット・シュムラ(ジャンヌ)
ジャン=ピエール・ダルッサン(男爵:ジャンヌの父)
ヨランド・モロー(男爵夫人:ジャンヌの母)
スワン・アルロー(ジュリアン)、ニナ・ミュリス(ロザリ)

男爵家のひとり娘、17歳のジャンヌは親の決めた子爵ジュリアンと結婚が決まった。何不自由ない暮らし、仲睦まじい若夫婦…幸せな人生を送るはずだったが、女中のロザリがジュリアンの子を宿していることがわかった。乳姉妹だったロザリが自分の夫と密通していたと知り、ジャンヌは深く傷つく。ロザリが出て行き、ジュリアンは許しを乞い、元のさやに戻るがジュリアンの浮気はそれからも重なった。愛する母が死に、一人息子ポールは溺愛が過ぎたか、ジャンヌの期待を悉く裏切っていく。

修道院で教育を受けてきた清純な10代から数十年に渡り、運命に翻弄され続けた女性の一生。女性が主体的に生き方を選べなかった時代ではありますが、それにしても不幸の種は昔も今も変わりません。
原作の「女の一生」は1883年、モーパッサン33歳のときの作品です。Wikipediaによると両親が不仲で離婚し、母親に育てられた人だそうですが、苦難の多い女性の物語なので、もっと年取った作家の著作だと思っていました。そんなに若いときの作品だったと今回初めて知りました。20代から作家の道に進みましたが、先天性梅毒を病み苦しんだようです。43歳で没するまでに長編6作のほか、多くの中・短篇を残しています。波乱の人生だったんですね。監督・脚本は『母の身終い』『ティエリー・トグルドーの憂鬱』のステファヌ・ブリュゼ。3度目のタッグとなる撮影監督のアントワーヌ・エベルレの映像が美しいです。(白)


2016年/フランス/カラー/スタンダード/119分
配給:ドマ、ミモザフィルムズ
(C)TS PRODUCTIONS (PHOTO MICHAEL CROTTO)-AFFICHE NUITDECHINE
http://womanslife.jp/
★2017年12月9日(土)より岩波ホールほか全国順次公開
posted by shiraishi at 18:50| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする