2018年11月19日

おかえり、ブルゴーニュへ(原題:Ce qui nous lie)

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監督:セドリック・クラピッシュ
脚本:セドリック・クラピッシュ、サンティアゴ・アミゴレーナ
撮影:アレクシ・カヴィルシーヌ
音楽:ロイク・デュリー
出演:ピオ・マルマイ(ジャン)、アナ・ジラルド(ジュリエット)、フランソワ・シヴィル(ジェレミー)ほか

フランス・ブルゴーニュで、自らブドウ畑を所有し、栽培・醸造・瓶詰を一貫してワイン作りを行うドメーヌの長男ジャン(ピオ・マルマイ)は、10年前、世界を旅するために故郷を飛び出し、家族のもとを去った。その間、家族とは音信不通だったが、父親が末期の状態であることを知り、10年ぶりに故郷ブルゴーニュへと戻ってくる。
家業を受け継ぐ妹のジュリエット(アナ・ジラルド)と、別のドメーヌの婿養子となった弟のジェレミー(フランソワ・シビル)との久々の再会もつかの間、父親は亡くなってしまう。残されたブドウ畑や自宅の相続をめぐってさまざまな課題が出てくるなか、父親が亡くなってから初めてのブドウの収穫時期を迎える。 3人は自分たちなりのワインを作り出そうと協力しあうが、一方で、それぞれが互いには打ち明けられない悩みや問題を抱えていた・・・。

放浪していた兄、ワイナリーを継いだ妹、婿養子に出た弟。それぞれが問題を抱える。それを互いにそっと見守る距離感が絶妙。向こうに見える妹の会話を兄と弟が想像してしゃべるシーンは心が和む。離れて暮らしていてもひとたび顔を合わせれば気持ちを共有できる。長年培ってきた家族の絆があればこそ。
父亡き後、初めての収穫を迎えた。収穫日の判断が味を左右する。繊細なワイン作りの苦労を知る。また、先を見据えた畑の維持管理も必要。ワイン作りは一朝一夕にはできない。人間関係と同じ。弟が舅に対してはっきり意見を述べるシーンは思わず応援してしまう。自分の意見を伝えてこそ、家族となっていくのだ。(堀)


2018年/フランス/カラー/スコープサイズ/113分
配給:キノフィルムズ=木下グループ
(C) 2016 - CE QUI ME MEUT - STUDIOCANAL - FRANCE 2 CINEMA
http://burgundy-movie.jp/
★2018年11月17日(土)ロードショー
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2018年10月14日

アラン・デュカス 宮廷のレストラン(原題:La quete d'Alain Ducasse)

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監督:ジル・ドゥ・メストル
脚本:エリック・ルー、ジル・ドゥ・メストル
製作:ジル・ドゥ・メストル、ステファン・サイモン
製作総指揮:キャサリン・カンボード
撮影:ジル・ドゥ・メストル
録音:ヴィンセント・コソン
編集:ミシェル・ホランダー
音楽:アルマン・アマール
ポストプロダクション:ドリス・ヨバ
出演:アラン・デュカス

ミシュラン史上最年少で3ツ星を獲得し、今では18ツ星に輝くフランス料理界の巨匠アラン・デュカス。彼の新たな挑戦はヴェルサイユ宮殿内に宮廷レストラン〈オーレ〉をオープンさせること。開店準備をベースに、精力的に世界各地を訪れ、最高の食材と調理法を探し求めるアラン・デュカスを追ったドキュメンタリー作品。

ラフな服装で気軽に世界各地を巡る。アラン・デュカスの飽くなき好奇心と美味しいものを食べたときの喜びあふれる笑顔はまるで少年のよう。どれも食べてみたくなる。
その一方、若手を育て、厨房を任せながら18ツ星に輝く。その秘訣も作品の中で映し出す。料理人としてだけでなく、経営者としても学ぶべきことがたくさんあるようだ。
さらに、廃棄食品を利用したプロジェクトに協力し、フィリピンの恵まれない子供たちのための料理学校を創設する。幸せをみんなで分かち合おうとする精神に感服。

1年に4、5回は来日するという。本作でも東京と京都を訪れる。まずはNHKの人気番組にゲスト出演し、テレビカメラの前で、鮮やかな手さばきでオムレツを完成させた。最近では「料理は頭の中でする」ようになり、実は滅多に料理をしないので、とても貴重なシーンだろう。京都では、新京極にある鰻の老舗「京極かねよ」でランチをし、厨房を見学。夜は嵐山の近くにある「天ぷら 松」の割烹料理に舌鼓を打つ。フランス料理の巨匠が美味しいというお店が日本にあるうれしさ! 機会があったらぜひ堪能したい。(堀)


2017年/フランス/カラー/110分
配給:キノフィルムズ
(C) 2017 OUTSIDE FIMS - PATHÉ PRODUCTION - JOUROR FILMS - SOMECI.
http://ducasse-movie.jp/

★2018年10月13日(土)シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 13:00| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

負け犬の美学(原題:SPARRING)

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監督・脚本:サミュエル・ジュイ
出演:マチュー・カソヴィッツ、オリヴィア・メリラティ、ソレイマヌ・ムバイエ、ビリー・ブレイン

40代半ばを迎えたスティーブは盛りをすぎた中年ボクサー。これまでの成績は49戦13勝3分33敗。最後に勝ったのは3年前になる。たまに声のかかる試合とバイトで家族をなんとか養っていたが、ピアノを習ってパリの学校に行きたいという娘の夢を叶えたい一心で、誰もが敬遠する欧州チャンピオンのスパーリング・パートナーになることを決意する。
ボロボロになりながらも何度でも立ち上がり、スティーブはスパーリング・パートナーをやり遂げた。そして、ボクサー人生の有終の美を飾るチャンスを得る。

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主人公のスティーブを演じるのは『アメリ』(2001年)でヒロインが恋する相手を演じたマチュー・カソヴィッツ。スティーブがスパーリング・パートナーをつとめるチャンピオン役を元WBA世界王者のソレイマヌ・ムバイエが演じた。通常のボクシングシーンでは、ボクサーがどう動くか、細かく決まっている。しかし、本作ではマチュー・カソヴィッツが本格的にボクシングに入れ込み、振り付けもリハーサルもなしでファイトシーンに臨んだという。
ボクシングに限らず、スポーツの世界でトップになれるのは、ほんの一握り。しかし愛する家族に支えられながらリングに上がり続けることができるのも幸せである。本作で描かれているのは試合の勝ち負けではなく、ボクサーを職業に選んだ男の生き様。特に娘との関係が見どころになっている。
子どもは親の背を見て育つもの。スティーブの娘は父の背中からどんなメッセージを受け取ったのか。最後の試合が終わってからのスティーブたちに余白を残しつつ、モヤモヤ感は残らない演出は後味最高!(堀)


2017年/フランス/カラー/シネマスコープ/95分/ DCP5.1ch
配給:クロックワークス
(C)2017 UNITÉ DE PRODUCTION - EUROPACORP
http://makeinu-bigaku.com/

★2018年10月12日(金)シネマカリテほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 12:52| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年09月15日

顔たち、ところどころ   原題: Visages Villages

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脚本・監督・出演:アニエス・ヴァルダ、JR 
音楽:マチュー・シェディッド(-M-)

フランスの田舎町を旅する年の差54歳の男女二人。
ツートンカラーのおかっぱ頭の女性は、来春88歳になるアニエス・ヴァルダ。「ヌーヴェルヴァーグの祖母」と呼ばれる女性映画監督の先駆者。
サングラスを決してはずさない背の高い男性は33歳のJR(ジェイアール)。大きな写真を印刷できる装置付の「フォト・トラック」で、旅先に住む人たちの大きなポートレートを印刷して貼るという参加型アートプロジェクトを各地で展開している。
この旅では、アニエスと共に、気が向くまま元炭鉱の町、時が止まったような廃村、港町と巡っていく。
(注:年齢は撮影時)

大きく印刷された自分たちの顔が、建物の壁や、石などに貼られたのを楽しそうに見る人たち。そこで暮らす人たちの物語が、アニエスたちとの会話と写真で生き生きと語られる。ドイツ軍が残したトーチカには、悲しい歴史が蘇る。ル・アーヴルでは、ストライキ中の港湾労働者たちがコンテナを様々に並べ替えて、妻たちを被写体として表舞台に立たせて、微笑ましい。そして何より、アニエス・ヴァルダと、JRの会話のひとつひとつが楽しい。人生のヒントになる言葉もいっぱい!(咲)

2017年/フランス/89分/1.85:1/5.1ch/DCP
字幕翻訳:寺尾次郎 
配給・宣伝:アップリンク
公式サイト:http://www.uplink.co.jp/kaotachi/
★2018年9月15日(土)シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開






posted by sakiko at 17:39| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年08月12日

オーケストラ・クラス(原題:La Melodie)

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監督:ラシド・ハミ
脚本:ラシド・ハミ、ギィ・ローラン
製作:ニコラ・モヴェルネ
音楽:ブリュノ・クーレ
出演:カド・メラッド(シモン・ダウド先生)、サミール・ゲスミ(ブラヒミ先生)、アルフレッド・ルネリー(アーノルド)、ザカリア・タイエビ・ラザン(サミール)、シレル・ナタフ(ヤエル)、ユースフ・ゲイエ(アブ)

バイオリニストのシモン・ダウドは小学校の音楽講師をすることになった。子どもが苦手で気難しいが、生活のためにしかたなくやってきた。本物の楽器をはじめて手にする生徒たちは、6年生。遊び盛り、なまいき盛りで30秒も集中することができない。すっかり自信喪失し、やめる口実を考えるシモン。そのとき外から教室を覗き込む男子生徒に気づいた。招き入れてみると、アーノルドはバイオリンの才能の片鱗を見せた。ほかの生徒たちもアーノルドに触発されて、やっとやる気になってきた。他校との合同練習で恥かしい思いもしながら自主的に練習に打ち込むようになる。

ダウド先生が派遣される音楽教育プロジェクト「Demos(デモス)」。音楽に触れる機会の少ない子供たちに、無料で楽器を贈呈しプロの音楽家が音楽の技術と素晴しさを教えるものです。フィルハーモニー・ド・パリが運営するこのプロジェクトは終了後も約半分の生徒たちがその後も音楽を続けるそうです。この活動を紹介するドキュメンタリーを見たのがきっかけで、映画作品が生まれました。
生徒と一緒に目標に向かって努力するうち、頑なだった親や気難しかった先生も変わっていくという、王道の音楽映画です。生徒たちが目指すのは、パリ19区の公園内にあるフィルハーモニー・ド・パリのホールでのコンサート。19区はパリの東北部にある移民が多い地区で、教室の生徒たちの顔ぶれも様々。オーディションで選ばれた子どもたちが個性豊かで『パリ20区、僕たちのクラス』(2008)を思い出します。
ニコラ・モヴェルネは『コーラス』『幸せはシャンソニア劇場から』を製作したプロデューサーです。ラシド・ハミ監督はこれが長編2作目。俳優としても出演した監督第1作『Choisir d'aimer』(08)は日本未公開。(白)


2017年/フランス/カラー/シネスコ/102分
配給:ブロードメディア・スタジオ
(C)2017 / MIZAR FILMS / UGC IMAGES / FRANCE 2 CINEMA / LA CITE DE LA MUSIQUE - PHILHARMONIE DE PARIS
http://www.orchestra-class.com/
★2018年8月18日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
“夏休み親子割引き”を実施!
対象:高校生以下のお子様と保護者の方
料金:お二人で2,000円
posted by shiraishi at 20:38| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする