2016年07月03日

フィレンツェ、メディチ家の至宝 ウフィツィ美術館3D・4K(原題:Firenze e gli Uffizi 3D/4K)

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監督:ルカ・ビオット
出演:サイモン・メレルズ、アントニオ・ナターリ、マルコ・チアッティ

2月に公開した『ヴァチカン美術館4K3D 天国への入口』の製作陣が、メディチ家歴代のコレクションを収蔵するフィレンツェ、ウフィツィ美術館を紹介するドキュメンタリー。全体が美術館のようなフィレンツェの街の空撮は圧巻。様々な角度から芸術家たちが残した名画や彫刻にせまり、美しい映像でイタリア・ルネッサンスを間近に感じさせてくれる。

銀行業で巨万の富を築いたメディチ家のコジモ1世が建てた行政庁舎がこの美術館の元です。“ウフィツイ”はイタリア語でオフィスのことだそうです。
映画冒頭に登場するロレンツォ・デ・メディチはコジモの孫で、20歳でメディチ家の当主になった人物。遺産を引き継いで当時の芸術家、建築家をバックアップしたそうです。ミケランジェロ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ボッティチェリなどなど、1点海を渡って来ただけでも展覧会は激混みになりそうな作品ばかりです。日本にいながらにしてすぐそこで見ているような贅沢な時間を過ごせました。日本語版ナレーションは小林薫さん。(白)


2015年/イタリア/カラー/ビスタ/97分
配給:コムストック・グループ
(C)2015 SKY ITALIA SRL - all rights reserved
http://uffizi4k3d.com/
★2016年7月9日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国公開
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2016年04月10日

緑はよみがえる  原題:torneranno i prati

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監督:エルマンノ・オルミ (『木靴の樹』
撮影監督:ファビオ・オルミ
出演:クラウディオ・サンタマリア、アレッサンドロ・スペルドゥティほか

1917年冬、第一次世界大戦下の北イタリア、アジア―ゴ高原。雪深い山の尾根でナポリ民謡を歌うイタリア兵。鉄条網の向こうの塹壕の中からオーストリア兵がアンコールの声をかける。束の間の停戦のひと時。お互い塹壕の中で出撃命令を待っている。
鼠の走る劣悪な塹壕。唯一の楽しみは、家族や恋人からの手紙。カンテラの灯を頼りにむさぼり読み、返事を綴る兵士たち。
ある日、少佐が若い中尉と共に司令部の命令を携えてやってくる。通信が傍受されているので新たなケーブルを引けというが、山の起伏を考慮せずに地図に線を引いただけの理不尽な計画。大尉は命令を受けられないと軍位を返上する。後を任されたのは若い中尉。命令を果たすべく塹壕から出た兵士たちが狙撃兵にやられる。
「犠牲者の遺体は、雪の中にまとめて葬るのでなく、一人一人名前を確認して」と声がかかる。せめてもの礼儀。母への手紙に「生き延びた者も目にした死を忘れられない」と認める若い兵士・・・

本作は、83歳になるオルミ監督が、少年時代に父からよく聞かされた戦争のつらい体験を映画にしたもの。19歳で従軍した父は多くの死を目の当たりにし、そのことが一生忘れられなかったという。
「敵は鉄条網の向こうにいるのではない、理不尽な命令をぬくぬくとした部屋から発している上層部こそ戦地に送られた若者たちの敵だ」という言葉も、まさにそうだと心に残った。
100年前の戦争は、塹壕に潜んで機を狙ってお互いが殺しあうものだった。現在の戦争は攻撃する側は遠隔操作でボタンを押すだけ。我が身に危険は及ばない。敵の死も直接見るわけでないから心の痛みも少ない。これでは強い者が戦争をやめるはずがない。
戦争とは、人の命を意味なく奪うものであること、そして、いかに人間の尊厳を傷つけるものなのか、市井の人を殺人者にする権力者にこそ観て欲しい映画である。(咲)


2014年/イタリア/80分/1:1.85/5.1ch/DCP 
後援:イタリア大使館 特別協力:イタリア文化会館
配給:チャイルド・フィルム/ムヴィオラ
公式サイト:http://www.moviola.jp/midori/
★2016年4月23日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
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2016年03月13日

木靴の樹  原題:L'albero degli Zoccol

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監督・脚本・撮影・編集:エルマンノ・オルミ
出演:ルイジ・オルナーギ、フランチェスカ・モリッジ、オマール・ブリニョッリ

19世紀末、北イタリア、ベルガモの農村。厳しく搾取する大地主のもとで、肩を寄せ合うように暮らすバティスティ、アンセルモ、ブルナ、フィナールの4家族。彼らは貧しく、土地も住居も農具さえ地主のものだった。
バティスティ家の息子ミネクは、ドン・カルロ神父の勧めで小学校に通うことになる。当時の農村では異例のことだったが、6キロの道のりを歩いての通学。ある日、木靴が壊れてしまい、父親は川沿いのポプラの樹を切って木靴を作る。そのポプラもまた地主のものだった。
アンセルモ家は、夫に先立たれたルンク未亡人が洗濯女をしながら6人の子どもたちを育てている。畑仕事をしているアンセルモじいさんは、畑に鶏の糞を撒くとトマトが誰よりも早く収穫できることを末娘ベッティーナにこっそり教えている。
けちなフィナールは、とうもろこしの計量の日がくると、馬車の引き出しに小石を詰め込んでごまかしている。
ブレナ家の美しい娘マダレーナは勤務先の紡績工場で知り合ったステファノ青年に見初められて結婚する。新婚旅行でミラノに行った二人は、修道院にいる伯母を訪ね、捨て子を引き取り、その代償に養育費を受け取ることになる。
春が近づき、アンセルモじいさんのトマトが他の畑より1週間早く真っ赤に熟す。ベッティーナを連れて町にトマトを売りに行って帰ってくると、バティスティ一家がなけなしの家財道具を馬車に積み込んでいる。ポプラの樹を切ったことを地主からとがめられたのだ。日が暮れて農場を去るバティスティ一家を、ほかの3家族は家の中から息を殺すようにして見送るのだった・・・

1978年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞したエルマンノ・オルミ監督の名作が、最新作『緑はよみがえる』が4月23日(土)から公開されるのを記念して、リバイバル上映されます。
ベルガモ地方出身のオルミ監督が、小さい時に祖母から聞いた昔話をもとにした物語。出演者は全てベルガモの農民たち。
寒い冬の夜、4家族が一部屋に集まって語り合う場面に、貧しいながら隣人とささえあって暮らす人たちのあたたかい心を感じました。
それと対照的に、容赦なく搾取する地主。
小船に乗ってミラノの町に行った新婚夫婦が、雇用主に声をあげたために連行されていく労働者たちの姿を見かけます。
この場面にも、理不尽な思いをしている人たちへのオルミ監督の眼差しを感じました。
心に響く名作を再びスクリーンで観られることに感謝! (咲)


1978年/イタリア/カラー/スタンダード/187分/DCP
配給:ザジフィルムズ
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/kigutsu/
★2016年3月26日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー

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2016年02月28日

母よ、   原題:Mia Madre

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監督:ナンニ・モレッティ
出演:マルゲリータ・ブイ(『はじまりは5つ星ホテルから』)、ジョン・タトゥーロ(『バートン・フィンク』『ジゴロ・イン・ニューヨーク』)、ナンニ・モレッティ(『息子の部屋』)、ジュリア・ラッツァリーニ

新作映画に取り組む映画監督のマルゲリータ。別れたばかりの恋人が出演していて何かと気まずい。主演俳優のバリーがアメリカから到着し、撮影はいよいよ佳境に入るが、バリーはイタリア語の台詞を間違えてばかりで、思うように進まない。おまけに、離婚した夫との娘は反抗期だし、何より、入院中の母アーダが気がかりだ。兄ジョヴァンニが手作りの料理を差し入れたりして甲斐甲斐しく看病しているが、病院は嫌だ、家に帰りたいという。ラテン語の教師をしていた母だが、物忘れがひどくなり、あんなに聡明だった母がとマルゲリータはショックだ。そんな折、医師から母の余命がわずかだと聞かされる・・・

ナンニ・モレッティ監督が前作『ローマ法王の休日』の編集中に母親を亡くしたことから生まれた物語。監督としての本人の体験は、自身が演じている兄ジョヴァンニではなく、ヒロインの女性監督マルゲリータに投影。母親アーダにも、教え子に慕われた元教師でラテン語やギリシャ語に精通していた監督のお母様が投影されているそうです。

冒頭、病室で母親の食事を手伝う場面から、亡き母が入院していた時のことを思い出して、どっと涙が溢れました。誰しもが経験する肉親との別れ。余命宣言をされても、仕事を抱えていては、それを放り出してずっとそばにいることはなかなかできることではないでしょう。マルゲリータは、ある時、兄ジョヴァンニが仕事を辞めて母親に寄り添っていることを知ります。撮影の合間をぬって母に会いにいくと、あなたがそばにいてくれることが一番と言われます。ほんとうに、少しでも長く一緒にいたいと思います。現実はなかなか厳しいでしょう。私は仕事に就いてなかったので、その点、幸せだったとつくづく思います。
本作は、介護や親との別れといった普遍的なことを描く一方で、映画撮影の現場を生き生きと見せてくれます。主役に抜擢されてアメリカから呼ばれたのに、台詞を覚えられない大スター役をジョン・タトゥーロが実に楽しく演じています。まったく困ったちゃんなのですが、その大スターに気を使うスタッフたちや、長々と待たされるエキストラたちの姿も見せてくれます。そして、現場ですべてを把握して指示しないといけない監督。そうやって1本の映画ができあがるのですね。

それにしても、本作、マルゲリータを取り巻く男性たちの関係がちょっとわかりにくいです。俳優である別れたばかりの恋人は、娘の父親ではない。元夫かな?と一瞬思ったのは、ナンニ・モレッティ監督自身が演じる兄ジョヴァンニ。ま、世の中、人間関係は他人にはわからないものです。(咲)


2015年/イタリア・フランス/107分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://www.hahayo-movie.com/
★2016年3月12日(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて公開


posted by sakiko at 21:19| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年11月08日

ローマに消えた男(原題:Viva la liberta)

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監督・原作・脚本:ロベルト・アンドー
出演:トニ・セルヴィッロ(エンリコ・オリヴェーリ/ジョヴァンニ・エルナーニ)、ヴァレリオ・マスタンドレア(アンドレア)、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(ダニエル)、ミケーラ・チェスコン(アンナ・オリヴェーリ)、アンナ・ボナウイート(イブリーナ)、エリック・グエン(ムング)

エンリコ・オリヴェーリはイタリア最大の野党の書記長をつとめている。国政選挙が近いというのにこのごろ支持率は下がる一方、なんら解決の策も浮かばないまま党大会に出席した。その壇上で、客席から厳しい罵声を受けるが、返す言葉もなかった。翌日秘書のアンドレアが迎えにいくと「一人になりたい」と手紙を残してエンリコは姿を消していた。エンリコの妻アンナに相談したアンドレアは双子の兄弟がいるという情報を掴む。そのジョヴァンニはエンリコとは疎遠。哲学教授だったが、心の病で長く施設にいて、退院したばかり。アンナも会ったことはないという。アンドレアは藁にもすがる思いでジョヴァンニを訪ね、瓜二つの彼に替え玉作戦を持ちかける。
そのころ、ローマを出奔したエンリコは元恋人のダニエルを頼ってパリに身を隠していた。

イタリアで大ヒットし、昨年GWのイタリア映画祭で『自由に乾杯』のタイトルで上映された作品です。原題そのままの訳ですが、今度の邦題はミステリぽくしています。皮肉を含んだコメディ作品でもあり、え?というようなミステリーでもあり。とても見ごたえがあります。試写の後、あれれ?と宣伝さんに尋ねている方もいましたが、それは観た方それぞれが答えを出すものでしょうね。
トニ・セルヴィッロが双子のエンリコ、ジョヴァンニを一人二役で演じていますが、エンリコになったジョヴァンニも数えると3役?では最後に現われたのはどっちなのか?目を皿にして見守ってください。
友だちが双子なのを知らずにもう一人と会ったとき、すっごく驚いたことが2度ありました。一卵性の双子さんは、自分とそっくりなもう一人とどう向き合って生きていくのでしょう?(白)


2013年/イタリア/カラー/シネスコ/94分
配給:レスペ、トランスフォーマー
(C)Bibi Film (C)Rai Cinema
http://romanikieta-otoko.com/

★2015年11月14日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開
posted by shiraishi at 19:34| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする