2017年05月21日

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)

koutetu.jpg

監督:ガブリエーレ・マイネッティ
脚本:二コラ・グアッリャノーネ
撮影:ミケーレ・ダッタナージオ
音楽:マッシミリアーノ・ストュリアーレ
出演:クラウディオ・サンタマリア(エンツォ)、イレニア・パストレッリ(アレッシア)、ルカ・マリネッリ(ジンガロ)

現代のイタリア郊外。街のチンピラのエンツォは、追っ手から逃れるために汚れた川に入る。その後これまでになかった超人的なパワーを得たことがわかった。喜んだエンツォはATMを破壊して現金を盗むなどやりたい放題。監視カメラの映像が出回って大騒ぎになってしまう。世話になっていたオヤジが殺され、生き残ったエンツォはオヤジの一人娘アレッシアの面倒を見る羽目になった。アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的なファンで、怪力のエンツォを「ジーグ」の主人公である司馬宙(しばひろし)と呼ぶ。アレッシアに頼りにされ彼女を守るため、エンツォは正義に目覚めていった。極悪組織のリーダー、ジンガロがエンツォの能力を手に入れようと接近してくる。

なぜイタリア映画で「鋼鉄ジーグ」??と疑問でしたが、75年にテレビで人気だった永井豪原作のアニメが79年にイタリアでも放映され、ガブリエーレ・マイネッティ監督が大ファンなのだとか。それまで短編を発表していた監督が大好きなヒーローを主人公に、満を持しての初長編作品。
3月に来日した折に、永井豪氏、アニメソングの水木一郎氏に会えて大感激されたようです。当時永井氏原作のヒーローもの(グレンダイザー、マジンガーZなど)は一世を風靡していて、私も主題歌まで覚えています。
主人公エンツォ役に『ジョルダーニ家の人々』(2012)『緑はよみがえる』(2016)のクラウディオ・サンタマリア。ゴロツキっぽくするためか髯と太めの体形(20s増量!)ですぐには見分けられず。敵のジンガロ役のルカ・マリネッリは切れっぷりが凄くて、開いた口がふさがりません。エンツォとのガチバトルが見ものです。アレッシア役のイレニア・パストレッリは“すきっ歯”が可愛く、傷ついた娘を好演。イタリアで受賞多数、ハリウッド映画をおさえて大ヒットしたそうなので、続編も観られるのではないでしょうか。(白)


2015年/イタリア/カラー/シネスコ/119分
配給:ザジフィルムズ
(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. ? Rome, Italy. All rights Reserved.
http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/
★2017年5月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月11日

おとなの事情   原題: Perfetti Sconociut

otonano jijoo.jpg

監督:パオロ・ジェノヴェーゼ 
出演:ジュゼッペ・バッティストン、アルバ・ロルヴァケル、ヴァレリオ・マスタンドレア、カシア・スムトゥニアク

整形外科医のロッコは、妻エヴァが自分のことをほんとに愛してくれているのか不安だ。年頃の娘のことも全く理解できない。そんなある日、ロッコとエヴァの夫妻は3組の友人たちを家でのディナーに招く。新婚のビアンカとコシモ。夫婦仲がすっかり冷え切っているレレとカーロッタ。失業中で仕事を探しているぺぺ。彼女を連れてくるはずが、病気で来られなくなったという。食事も佳境に入り、エヴァが突然、「ゲームをしない?」と提案する。スマホをテーブルに置いて、メールがきたら読み上げる、電話がかかってきたらスピーカーにするというのがルールだ。
面白そうと、全員、スマホをテーブルに置く・・・

身に覚えのある者は、内心冷や冷や。こんな時に、あの人から電話がかかってきたらどうしよう、メールが入ったら・・・それでも、こんなゲームは嫌だと抜けられない雰囲気。
実は、この映画を観たころ、同級生の男性が癌で亡くなりました。その男性の親友は、彼がスマホにロックをかけているのを知っていて、メールに返事がないので、そろそろ天に召されるのではと、奥様宛に何かあった時には、この電話番号に連絡をとハガキを出したそうです。奥様から亡くなったとの電話があって、連絡をいただいてなければ、スマホが解除できなくて友人関係の連絡先がわからなかったとのこと。亡くなった男性は、もちろん、奥様に見られたくなかった情報があるからロックをかけていた次第。
かたや、私の知人は、スマホにロックをかけていなかった為、亡くなったあと、いろんなことを奥さんに知られることとなりました。ま、存命中でなくてよかったかもですが。
手の平に入る小さな機器が、人間関係に大きな問題を起こすこともある! そんな『おとなの事情』。いろんな顛末に思わず笑ってしまいますが、他人事とは思えなくて、笑えないエピソードもあるかも? (咲)


公開を前に来日したパオロ・ジェノヴェーゼ監督のオフィシャルインタビューは、こちらで! 

☆イタリアのアカデミー賞と言われるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で作品賞・脚本賞をW受賞

2016年/イタリア/96分/ビスタ/5.1ch
配給:アンプラグド 
公式サイト:http://otonano-jijyou.com
★2017年3月18日(土) 新宿シネマカリテ他全国ロードショー
posted by sakiko at 21:01| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年02月05日

海は燃えている イタリア最南端の小さな島  原題:FUOCOAMMARE 英題:FIRE AT SEA

umi moeteiru.jpg

監督:ジャンフランコ・ロージ(『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』)

イタリア最南端にある小さな島、ランペドゥーサ島。
12歳の少年サムエレは、今日も友だちと手作りのパチンコで遊んでいる。男たちは海に漁に出て、女たちは料理をしたり刺繍をしたり、のどかな島の暮らし。
一方、島で唯一の医師ピエトロ・バルトロのところには、今日も島にたどり着いた難民を乗せた船からの病人が担ぎこまれている。船に赴き、死体を確認することもある。
小さな島なのに、医師以外の島の人たちは、島の片隅の難民キャンプにいる大勢の人たちと交わることもない・・・

チュニジアの海岸から東へわずか113kmに位置するランペドゥーサ島。数多くの難民が押し寄せるのに、島の人たちが彼らと接することもないという現実。映画を観ていて、両者が決して交わることがないことに、最初は不思議な思いがしていたけれど、実はこれが世界の縮図なのだと思いました。私とて、ニュースを見ていて、故国を逃げ出すしかない人たちのことを気の毒だと思っても、結局、何の行動も起こしていません。
誰だって、難民などになりたくないはず。解決策が見つからないのが、ほんとに悲しい。

原題FUOCOAMMAREは、“海の炎”の意。サムエレのおばさんマリアが、悪天候続きで漁に出れない日々が続いている時に、天気の回復を祈ってラジオ局にリクエストする曲のタイトル。 悪天候続きということは、難民を載せた船も、無事にたどり着いているのかしらと、ふと心配になりました。(咲)


第66回ベルリン国際映画祭金熊賞

2015年/イタリア・フランス/114分/イタリア語・英語/ドキュメンタリー
配給:ビターズ・エンド
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館 
協力:国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日事務所
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/umi/
★2017年2月11日(土)より、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー!
posted by sakiko at 20:35| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月23日

ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル ―イタリア・ネオレアリズモの軌跡― 『郵便配達は二度ベルを鳴らす』『若者のすべて』『揺れる大地』

visconti.jpg

名門貴族の末裔であるルキーノ・ヴィスコンティ(1906〜76)。中・後期の作品はその出自ゆえ創り得た絢爛豪華なもの。一方、前期には自身の階級と相反する社会の底辺の人たちが必死に生きる姿を描いている。今回上映される3作品は前期のもの。庶民の悲哀がずっしりと迫ってくるが、圧倒的な映像美は初期から一貫している。

(製作年度順)
『郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版』(1942年製作)★監督デビュー作
『揺れる大地 デジタル修復版』(1948年製作)
『若者のすべて デジタル修復完全版』(1960年製作)

以下、上映日程順に紹介します。

◆『若者のすべて デジタル修復完全版』
原題:ROCCO E I SUOI FRATELLI
出演:アラン・ドロン、レナート・サルヴァトーリ、アニー・ジラルド、他
音楽:ニーノ・ロータ

今回上映される「179分完全修復版」は、マーティン・スコセッシ設立のザ・フィルム・ファンデーションとグッチの資金提供によりフィルムを4Kで修復、2015年に完成した「デジタル4Kリマスター版」。劇場では4K完全修復版マスターから変換した2Kで上映。
2015年第68回カンヌ国際映画祭カンヌ・クラシックスにてワールドプレミア上映。

父が亡くなり、南の村から長男の住むミラノにやってきた母親と四人の息子たち。長男は都会の女性と婚約し当てにならない。折りしもの大雪に雪かきで日銭を稼ぐしかない兄弟。
大都会で生きる術を模索する姿や、兄弟の愛憎を描いた大河ドラマ。

原題は、『ロッコと彼の兄弟たち』。アラン・ドロンが演じた三男ロッコが、物語の核となっている。ドゥオーモ(ミラノ大聖堂)の屋上で、愛する彼女との別れを決意するロッコ。アラン・ドロンの目から一筋の涙がこぼれる様の何と美しいこと!

1960年/イタリア=フランス/179分/モノクロ/ヨーロピアン・ヴィスタ/モノラル
日本初公開:1960年12月27日(イタリフィルム配給 旧・日比谷映画劇場)
完全版/1982年6月8日(東宝東和配給 俳優座劇場)
★2016年12月24日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で順次開催


◆『郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版』
原題:OSSESSIONE
原作:ジェイムズ・ケイン 
音楽:ジュゼッペ・ロザーティ
出演:クララ・カラマイ、マッシモ・ジロッティ、フアン・デ・ランタ、他

現存する最良の35mmネガコピーと、近年発見されたオリジナル・ネガから現像されたポジフィルムを元に、CSC-CINETECA NAZIONALE(ナショナル・フィルム・アーカイヴ)と、Ripley’s Film、Viggoのコラボレーションにより修復され、2016年6月に完成した「デジタル2Kリマスター版」

監督デビュー作。ジェームズ・M・ケインの原作を、舞台を北イタリアの田舎町に置き換えて製作。食堂を営む初老の夫と年の離れた女ざかりの妻。精悍な流れ者に妻が惚れたことから起こる悲劇。

1942年/イタリア/126分/モノクロ/スタンダード/モノラル
日本初公開:1979年5月26日(インターナショナル・プロモーション配給 有楽シネマ)
★2017年1月7日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で順次開催


◆『揺れる大地 デジタル修復版』 
原題:LA TERRA TREMA (EPISODIO DEL MARE)
原案・脚本:ルキーノ・ヴィスコンティ
出演:アントニオ・アルチディアコノ、ジュゼッペ・アルチディアコノ、アントニオ・ミカーレ、他
音楽選曲:ルキーノ・ヴィスコンティ、ヴィリー・フェッレロ

CSC-CINETECA NAZIONALE (ナショナル・フィルム・アーカイヴ)と、Ripley’s Film、Viggoのコラボレーションにより、2016年3月に完成した「デジタル2Kリマスター版」。

シチリアの漁村。父を海で亡くし一家を支える長男。仲買人に搾取されていることに疑問を持ち、家を抵当に入れて船を買う。大漁の鰯に喜び、家族総出で鰯加工に勤しむが、嵐の日に海に出て船を失ってしまう。
家を差し押さえられ、行き場のなくなった一家の悲哀がずっしり迫ってくる。
どこかで観たと思ったら、『ニュー・シネマ・パラダイス』で、映画館でこの映画が上映されている場面がありました。
シチリア、アーチ・トレッツァの漁村で撮影。出演者もすべて住民からキャスティング。台詞はシチリア方言で標準語字幕をつけて上映という徹底したリアリズムにこだわった力作。

1948年/イタリア/160分/モノクロ/スタンダード/モノラル
日本初公開:1990年1月19日(日本ヘラルド映画配給 銀座文化劇場)
★2017年1月21日(土)から新宿武蔵野館ほか全国で順次開催


ルキーノ・ヴィスコンティ 生誕110年 没後40年メモリアル
配給:アーク・フィルムズ/スターキャット
公式サイト:http://www.visconti-neo.com/
posted by sakiko at 13:59| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月05日

人間の値打ち(原題:Il capitale umano)

ningen.jpg

監督・脚本:パオロ・ビルツィ
原作:ステファン・アミドン
脚本:フランチェスコ・ブルーニ、フランチェスコ・ピッコロ
撮影:ジェローム・アルメーラ
音楽:カルロ・ヴィルズィ
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(カルラ・ベルナスキ)、ファブリッツィオ・ベンティボリオ(ディーノ・オッソラ)、マティルデ・ジョリ(セレーナ・オッソラ)、ファブリツィオ・ジフーニ(ジョヴァンニ・ベルナスキ)、バレリア・ゴリノ(ロベルタ)

クリスマスの近づいた夜、仕事を終えて家路を急いでいた自転車の男が事故に遭う。はねた車は逃げ去り、男は病院に収容される。
半年前。上流階級に憧れる不動産業者のディーノは、娘セレーナのボーイフレンドが投資家ジョヴァンニの息子と知り、丘の上に住む富豪の父親に接近する。リスクの高いファンドを扱っているジョヴァンニはディーノの下心に気づき釘をさすが、ディーノはウソでかためて多額の借金をして儲け話に乗る。
ジョヴァンニの妻カルラは何不自由ない生活を送りながら満たされず、空しい毎日を送っていた。高校生のセレーナはボーイフレンドとの付き合いに迷い始め、継母の勤める病院で出会ったルカに惹かれていく。

冬に起きる冒頭の事故から半年前にさかのぼり、登場人物たちそれぞれの視点から見せています。富裕層、中流層、貧困層の三家族の暮らしと欲望を描きながら、事故がなぜ誰によって起きてしまったのか真相を明らかにします。同じ場面を別の方向から見直す観客は、笑顔の裏での本音や隠された事情を知っていくことになります。この構成がうまくて緊張がゆるみません。
欲望がむき出しでわかりやすいのは最初に登場するディーノ、やり手のジョヴァンニは本心を見せず、紳士然としながら妻を少しも尊重していません。実際にイタリアの名家の出身というヴァレリア・ブルーニ・テデスキが、富豪の妻カルラを演じてさすがの品格。着こなすファッションや邸宅の美術も素敵です。ベテラン勢に加えて新進の俳優も魅力的です。お金がどれだけあればいいのか、幸せはお金で買えるのか、自分の幸せはなんだろうかとちょっと真面目に考えてしまいました。
イタリアのアカデミー賞と呼ばれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、最優秀作品賞など7部門受賞。(白)


2013年/イタリア・フランス合作/カラー/シネスコ/109分
配給:シンカ
http://neuchi-movie.com/
★2016年10月8日(土)Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 11:32| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする