2018年01月21日

ロング,ロングバケーション(原題:The Leisure Seeker)

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監督・脚本:パオロ・ヴィルズイ
原作:マイケル・ザドゥリアン「旅の終わりに」(東京創元社刊)
脚本:ステファン・アミドン、フランチェスコ・ピッコロ、フランチェスカ・アルキブージ
撮影:ルカ・ビガッツィ
出演:ヘレン・ミレン(エラ)、ドナルド・サザーランド(ジョン)、ジャネル・モロニー(ジェーン)、クリスチャン・マッケイ(ウィル)、ダナ・アイビリリアン

ジョンとエラはもう50年も連れ添ってきた。子どもたちが呆れるほど仲がいい。しかしジョンはアルツハイマーが進行し、エラは末期がんで先は長くない。エラは病院での治療を打ち切り、最愛の夫とキャンピングカーで旅に出るつもりだ。残りの人生は自分たちの好きなようにしたい。元教師だったジョンは敬愛するヘミングウェイの家に行くのが夢だった。フロリダ・キーウェストを目指して二人は出発する。母を病院に、父を施設にと考えていた娘と息子は大パニックだが、心配することしかできない。ジョンの記憶はときどき混乱し、また元に戻り、と不安定だ。エラは知らずにいた秘密をジョンの口から知ってしまう。

ドナルド・サザーランドとヘレン・ミレン、大ベテランの名優2人が夫婦!広いアメリカを南北に横断するキャンピングカーの旅!イタリアで脚本を手にしたパオロ・ヴィルズィ監督は、物語は気に入ったものの、アメリカまで来たくなくて「ドナルド・サザーランドとヘレン・ミレンが出てくれるなら映画を作る」と(当然無理だと思って)プロデューサーに約束したそうです。そしたら2人が出演を快諾した(脚本と監督が気に入って)ので、動かずにいられなくなったとか。そんな相思相愛のスタッフ・キャストから生まれた愛とユーモアに満ちた作品です。ジョンの運転にハラハラし、痛みをこらえるエラに闘病中の友人を思いました。このラストにはいろいろ感想が出るでしょうが、ジョンとエラには相応しいと思いました。皆様はいかがでしょう?(白)

2017年/イタリア、フランス/カラー/シネスコ/112分
配給:ギャガ
(C)2017 Indiana Production S.P.A.
http://gaga.ne.jp/longlongvacation/
★2018年1月26日(金)TOHOシネマズ 日本橋他全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 17:58| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月09日

歓びのトスカーナ(原題:La pazza gioia)

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監督:パオロ・ヴィルズイ
脚本:フランチェスカ・アルキブージ、パオロ・ヴィルズイ
出演:ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ(ベアトリーチェ)、ミカエラ・ラマッツォッティ(ドナテッラ)

イタリア トスカーナ州。心に問題を抱える女性の診療施設“ヴィラ・ビオンディ”で、ブランド服を着こなし、女主人のようにふるまっているのはベアトリーチェ。虚実混ぜた絶え間ないおしゃべりで煙たがられている。新入りのドナテッラが入所した。体中にタトゥーをほどこしているが、沈んだ顔をして誰とも関わらない。ベアトリーチェは強引に同室にして何かと世話を焼く。息子と離されてしまったドナテッラの事情を知ったベアトリーチェは、「二人で息子に会いに行こう」と外出先で車を盗んで走り出す。

2013年『人間の値打ち』のパオロ・ヴィルズイ監督が再びヴァレリア・ブルーニ・テデスキを主演に、妻である女優ミカエラ・ラマッツォッティを助演に作り上げた作品。前作と同じくダビッド・ディ・ドナテッロ賞に多数ノミネート、作品賞、監督賞、主演女優賞など5部門を受賞したヒット作。正反対な二人の女性が破天荒な旅をしているうちに、深い友情をはぐくんでいく様子が描かれています。嘘が暴かれてもしたたかなベアトリーチェは、寂しがり屋。おしゃべりは愛情不足で空っぽの心を埋めるためだったようです。そんな彼女が今にも壊れそうなドナテッラの支えになります。
女性二人のドライブというと1991年の『テルマ&ルイーズ』(リドリー・スコット監督/スーザン・サランドン、ジーナ・デイヴィス)を思い出します。同じく友情は固く結ばれますが、殺人もジャンプもありませんのでご安心ください。(白)


2016年/イタリア、フランス/カラー/シネスコ/116分
配給:ミッドシップ
(C)LOTUS 2015
http://yorokobino.com/
★2017年7月8日(土)よりシネスイッチ銀座ほかにて全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 16:43| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月28日

ローマ法王になる日まで   原題:Chiamatemi Francesco - ll papa della gente

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監督・原案・脚本:ダニエーレ・ルケッティ
主演:ロドリゴ・デ・ラ・セルナ、セルヒオ・エルナンデス、ムリエル・サンタ・アナ、メルセデス・モラーン

現ローマ法王フランシスコの半生を描いた物語。
2013年3月、第266代ローマ法王に就任したホルヘ・マリオ・ベルゴリオは、イタリア移民2世のアルゼンチン人。266代にして、史上初のアメリカ大陸出身のローマ法王。

コンクラーベ(法王選挙)のためにバチカンを訪れたベルゴリオは、自身の半生を振り返る。
1960年、ブエノスアイレス。大学で化学を学んでいたベルゴリオは、神に仕えることが自分の道と確信し、イエズス会に入会する。35歳の若さでアルゼンチン管区長に任命される。時は、ビデラ大統領による軍事独裁政権。多くの市民が反政府として捕らえられ、謎の失踪を遂げる。
ベルゴリオのもとに、家族が行方不明になった一般市民や彼らを支援する神父たちが相談に訪れるが、神学校にも軍のスパイの神父がいて、安全な場ではなかった。ベルゴリオは行方不明者の家族の訴えに耳を傾けるオリベイラ判事に助言を求めるが、彼女も軍に目を付けられて、職場を追われる。恩師エステルの妊娠中の娘も失踪したと知り、ベルゴリオはたった一人でビデラ大統領官邸を訪れる。やがて、行方不明者家族の会のメンバーとして活動していたエステルと友人たちも、密告により逮捕されてしまう・・・

カトリック世界を描いた宗教的な物語かと思っていたら、1970年〜80年代のアルゼンチンの独裁政権時代を中心に描いていて、過酷な時代を経てきたことが、法王フランシスコの弱者への温かい眼差しを作ったことをずっしり感じさせてくれるものでした。
『チリの闘い』(パトリシオ・グスマン監督)や、『アルジェの戦い』(ジッロ・ポンテコルヴォ監督)を彷彿させられる内容で、独裁政権に対して果敢に闘う市民の物語にもなっています。なおかつ、独裁政権が、いかに卑劣な手段で市民を抹殺したかも描かれていて、胸が痛みます。

選挙運動中に、「メキシコ国境に壁を作る」と発言したトランプに、「壁ではなく橋を」と苦言を呈したフランシスコ法王。この度、トランプ大統領との対談が実現しましたが、成金のトランプに、清貧のフランシスコ、二人きりの場で、どんな会話がなされたのか気になるところです。(咲)


2015/イタリア/スペイン語、イタリア語、ドイツ語/カラー/113分/2.39:1/ドルビーデジタル
提供・配給:シンカ・ミモザフィルムズ
後援:駐日バチカン市国ローマ法王庁/在日アルゼンチン共和国大使館/イタリア大使館/イタリア文化会館/セルバンデス文化センター東京
推薦:カトリック中央協議会広報
公式サイト:http://roma-houou.jp/
★2017年6月3日(土) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA 他にて全国公開
posted by sakiko at 21:50| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

Viva!イタリアVOL.3 『日々と雲行き』『Viva!公務員』『マフィアは夏にしか殺(や)らない』 

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今年で3回目となる≪Viva! イタリア≫。
過去に「イタリア映画祭」で紹介された作品が3本上映されます。
どれも、いかにもイタリアらしい作品です。

◆『日々と雲行き』 
原題:GIORNI E NUVOLE  英題:DAYS AND CLOUDS 
監督:シルヴィオ・ソルディーニ 
出演:マルゲリータ・ブイ/アントニオ・アルバネーゼ

 一人娘が成人し、豪邸で仲睦まじく暮らす ミケーレとエルサの中年夫婦。妻のエルサは、フレスコ画の研究に打ち込む日々。だが、夫のミケーレが共同経営者から外されてしまい失職してしまう・・・

イタリア・アカデミー賞 最優秀主演女優賞・最優秀助演女優賞/モスクワ国際映画祭 最優秀主演女優賞/ゴールデンCIAK賞 最優秀主演女優賞/
イタリア映画記者協会賞 最優秀主演女優賞/ローマ映画祭 特別賞
イタリア映画祭2008上映作品

2007年/イタリア・スイス・フランス共同製作/デジタル/117分


◆『Viva!公務員』
原題:QUO VADO? 英題:Where Am I Going? 
イタリア映画祭2016上映時の邦題『オレはどこへ行く?』)
監督・原案・脚本:ジェンナーロ・ヌンツィアンテ 
主演:ケッコ・ザローネ 

イタリア映画歴代興行収入トップの大記録を打ち立てたコメディ。
子供のころからの夢だった安定した終身雇用の職=公務員に就いて15年のケッコ。
だが、ある日、政府による公務員削減の対象になってしまう。
地方に飛ばしてもなかなか辞めると言わないケッコを、リストラ担当者はついに北極圏に転勤させるが・・・

会社が傾いて希望退職した私にとって、ちょっと身につまされる話でしたが、決して屈しないケッコに大笑い。最後はハッピーな気持ちに♪ 人生、何が転機になるかわからない!(咲)

イタリア映画記者協会賞 最優秀プロデューサー賞/ゴールデンCIAK賞 最優秀助演女優賞/ナストロ・ダルジェント賞 最優秀プロデューサー賞/
バリ国際映画祭 最優秀助演女優賞/イタリア・コンテンポラリー映画祭 観客賞

2015年/イタリア/デジタル/86分

◆『マフィアは夏にしか殺(や)らない』 
原題:La mafia uccide solo d'estate 英題:The mafia kills only in summer 
監督:ピエルフランチェスコ・ディリベルト 
出演:ピフ/クリスティアーナ・カポトンディ 

イタリア・アカデミー賞新人監督賞・青少年審査員賞/イタリア・ゴールデングローブ賞 最優秀脚本賞/イタリア映画記者協会賞 新人監督賞・最優秀脚本賞/
トリノ映画祭 観客賞/ゴールデンCIAK賞 脚本賞・編集賞/バンピ・ペリ映画祭 作品賞・話題賞/ブストアルシツィオ映画祭 観客賞・脚本賞/
バリ国際映画祭 作品賞/アヌシー・イタリア映画祭 グランプリ
イタリア映画祭2014上映作品

2013年/イタリア/デジタル/90分
提供:オンリー・ハーツ


公式サイト:http://www.vivaitaly3.com/
★2017年5月27日 (土)ヒューマントラストシネマ有楽町にて公開!
posted by sakiko at 21:48| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年05月21日

皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ(原題:Lo chiamavano Jeeg Robot)

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監督:ガブリエーレ・マイネッティ
脚本:二コラ・グアッリャノーネ
撮影:ミケーレ・ダッタナージオ
音楽:マッシミリアーノ・ストュリアーレ
出演:クラウディオ・サンタマリア(エンツォ)、イレニア・パストレッリ(アレッシア)、ルカ・マリネッリ(ジンガロ)

現代のイタリア郊外。街のチンピラのエンツォは、追っ手から逃れるために汚れた川に入る。その後これまでになかった超人的なパワーを得たことがわかった。喜んだエンツォはATMを破壊して現金を盗むなどやりたい放題。監視カメラの映像が出回って大騒ぎになってしまう。世話になっていたオヤジが殺され、生き残ったエンツォはオヤジの一人娘アレッシアの面倒を見る羽目になった。アレッシアはアニメ「鋼鉄ジーグ」の熱狂的なファンで、怪力のエンツォを「ジーグ」の主人公である司馬宙(しばひろし)と呼ぶ。アレッシアに頼りにされ彼女を守るため、エンツォは正義に目覚めていった。極悪組織のリーダー、ジンガロがエンツォの能力を手に入れようと接近してくる。

なぜイタリア映画で「鋼鉄ジーグ」??と疑問でしたが、75年にテレビで人気だった永井豪原作のアニメが79年にイタリアでも放映され、ガブリエーレ・マイネッティ監督が大ファンなのだとか。それまで短編を発表していた監督が大好きなヒーローを主人公に、満を持しての初長編作品。
3月に来日した折に、永井豪氏、アニメソングの水木一郎氏に会えて大感激されたようです。当時永井氏原作のヒーローもの(グレンダイザー、マジンガーZなど)は一世を風靡していて、私も主題歌まで覚えています。
主人公エンツォ役に『ジョルダーニ家の人々』(2012)『緑はよみがえる』(2016)のクラウディオ・サンタマリア。ゴロツキっぽくするためか髯と太めの体形(20s増量!)ですぐには見分けられず。敵のジンガロ役のルカ・マリネッリは切れっぷりが凄くて、開いた口がふさがりません。エンツォとのガチバトルが見ものです。アレッシア役のイレニア・パストレッリは“すきっ歯”が可愛く、傷ついた娘を好演。イタリアで受賞多数、ハリウッド映画をおさえて大ヒットしたそうなので、続編も観られるのではないでしょうか。(白)


2015年/イタリア/カラー/シネスコ/119分
配給:ザジフィルムズ
(C)2015 GOON FILMS S.R.L. Licensed by RAI Com S.p.A. ? Rome, Italy. All rights Reserved.
http://www.zaziefilms.com/jeegmovie/
★2017年5月20日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 20:32| Comment(0) | TrackBack(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする