2014年11月30日

チェイス!   原題:DHOOM: 3

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監督 : ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演:アーミル・カーン、カトリーナ・カイフ、アビシェーク・バッチャン、ウダイ・チョープラー

1990年、シカゴ。サーカス団を率いる父イクバールの下で子役として活躍するサーヒル。ある日、ウエスタン銀行から融資を断られた父が拳銃で自殺してしまう。
20数年後、シカゴ市内でウエスタン銀行の支店が次々と襲われる。金庫を破り、紙幣を舞い散らしながら黒いバイクで立ち去る犯人。警察とカーチェイスを繰り広げるが、最後には1本のワイヤーの上をバイクで渡って走り去ってしまう。
シカゴ警察は、現場に残されたヒンディー語のメッセージから、犯人はインド系と推定。インドからバイクを使った犯罪に詳しいジャイ・ディークシト刑事(アビシェーク・バッチャン)と、アリー・アクバル刑事(ウダイ・チョープラー)を招く。
ある日、ジャイとアリーの二人の刑事は、逃げる犯人の肩に銃弾を撃ち込み追いかけていき、サーカス団を率いるサーヒル(アーミル・カーン)が犯人だと断定する。ところが、彼の肩に打ち込んだはずの銃弾の跡がない・・・

主役サーヒルを演じたのは、昨年日本でヒットした『きっと、うまくいく』で、実年齢よりぐっと下の大学生を演じたアーミル・カーン。10月29日、東京国際映画祭の特別招待作品として『チェイス!』が上映され、アーミルがヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ監督と共に来日。シャー・ルク、サルマンと共にボリウッドの3大カーンと呼ばれる大物の舞台挨拶の報が流れると、チケットは完売。当日の会場にはサリーやシャルワール・カミーズなど民族衣装の女性たちが目立ちました。
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上映に先立ち記者会見に登壇したアーミル。キラキラ輝く眼がまさにスターでした。「妻と3歳の息子と共に来日。妻の計画に従って1週間東京界隈を楽しみます」と良き夫ぶり。

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ダンディなヴィジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ監督は、「黒澤監督と三池監督のファン。侍になってみたい」と初来日がとても嬉しそうでした。


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『チェイス!』は、シカゴで興行するインドのサーカス団を舞台にしたアクション大作。マジックとダンスで繰り広げる華麗なショーも見事です。一方で、アーミルが「心の琴線に触れる作品」と語ったように、私も思いもかけずほろっとさせられた素敵な作品です。 原題が『DHOOM: 3』とある通り、DHOOM(爆音)シリーズの第3弾ですが、DHOOM1 とDHOOM2を観ていなくても、単独の作品として完結しています。またオリジナルバージョンより短縮されていますが、オリジナルを知らない私には、それなりに楽しめました。でも、どんな場面がカットされたのか気になります。(咲)


配給:日活/東宝東和  ★GOLDEIN ASIA 第 2弾
インド/2013年/147分(インターナショナル版)/シネスコ/ドルビーデジタル
公式サイト:http://chase-movie.jp
★2014年12月5日(金)TOHOシネマズみゆき座ほか全国ロードショー
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2014年08月07日

バルフィ!人生に唄えば   英題:BARFI!

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原作・脚本・監督:アヌラーグ・バス
出演:ランビール・カプール、プリヤンカ・チョープラー、イリアナ・デクルーズ 

バルフィ(ランビール・カプール)は耳が不自由で話もできないけれど、目で語ることのできる陽気な青年。インド北東部の避暑地ダージリンのお金持ちの家の運転手である父親と二人暮らし。
1972年のある日、バルフィはコルカタから遊びに来た美女シュルティ(イリアナ・デクルーズ)に一目惚れ。大胆にも初対面で求婚するが、「婚約者がいるの」と言われてしまう。時計を15分戻して「求婚はなかったことに。友達で!」とメッセージを送るバルフィ。文字通り、友達として楽しい日々を過ごすバルフィとシュルティ。
1978年、既婚者となったシュルティの目の前でバルフィが逮捕される。銀行強盗の上、父親が勤めていた家の孫娘ジルミル(プリヤンカ・チョープラー)を誘拐したというのだ。バルフィの父は金持ちの雇い主が亡くなり失業。病に倒れ手術代が必要で、亡き祖父の財産を受け継いだジルミルを誘拐しようとしたけど、ジルミルは行方不明。その後、バルフィとジルミルは偶然再会する。自閉症のジルミルは幼馴染のバルフィには心を開いていて、警察に追われているバルフィにくっついてきて、コルカタで一緒に暮らし始める。そこには、裕福だけど空虚な結婚生活を送るシュルティがいた。バルフィを巡る二人の女性の恋の行方は?

物語は、老婦人の回想で始まります。かつては美女だったと思われるこの老婦人は、バルフィが一目惚れして求婚したシュルティ。時代が交錯するので、ちょっと戸惑いましたが、いつしか私もジルミルやシュルティ同様、目で語りかけるバルフィの魅力にはまっていました。演じたランビール・カプールは、超人気者の若手俳優。そして、バルフィにしっかりくっついているジルミルを演じたのは、ミスワールド2000の栄冠に輝き、その後女優の道を歩んでいるプリヤンカ・チョープラー。シュルティを演じたイリアナ・デクルーズは、テルグ語映画(インド中央、デカン高原のハイダラバードを中心に作られている映画)で人気を確立している女優さん。本作でボリウッドデビュー。バルフィをどこまでも追いかける警部(ソウラブ・シュクラー)も、なかなか楽しいキャラです。
私にとっては、ダージリンといえば、『ラジュー出世する』の冒頭、シャー・ルク・カーンがトイ・トレインで踊る姿に惹かれ、思わず行ってしまったところ。本作では、トイ・トレインもたっぷり出てきました。そして、ダージリンへの行き帰りに泊まったコルカタで観た大きな鉄橋も、バルフィたちの住む家のすぐ後ろに見えていました。
踊りはほとんど出てきませんが、ダージリンやコルカタの町を背景に、たっぷり歌を聴かせてくれます。観終わって、こんな人生(って、どんな人生かは映画を観て感じてくださいな)をおくりたいときっと思うはず! (咲)


第85回アカデミー賞外国語映画賞インド代表
配給:ファントム・フィルム
2012年/インド/151分
公式サイト:http://barfi-movie.com
★2014年8月22日(金)よりTOHOシネマズシャンテ、 新宿シネマカリテほか全国にて公開
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2014年07月20日

バードシャー テルグの皇帝(原題:BAADSHAH)

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監督:シュリーヌ・ヴァイトラ
出演:NTRジュニア(ラーマ・ラオ)、カージャル・アグルワール(ジャーナキ)、ケリー・ドルジー(サードゥ・バーイ)、ナブディープ(警官アーディ)

ラーマ・ラオは“バードシャー(王の中の王)”の異名をとる暗黒街の切れ者。元は警官志望だったが、死んだと聞かされていた父親がマフィアのボス、サードゥ・バーイの手下だったため、不採用になって希望は叶わなかった。サードゥ・バーイによって窮地に陥った父を助け出し、テロの巻き添えで死んだ兄の復讐のため立ち上がるバードシャー。

アクション映画かと思いきや、人助けに燃える美しい娘ジャーナキとの恋愛もからんでいました。164分の間にさまざまなストーリーが詰め込まれ、ホラー映画の監督やら裏の顔を持つ警官やら、覚え切れないほど登場人物が多いです。有名映画のパロディもそこかしこにあり、色とりどりの幕の内弁当のような映画。
イタリア、スペイン、香港、マカオと世界各国で撮影、そこでの大人数でのダンスと歌のシーンもたっぷり。テルグ語映画史上最大の制作費をかけた作品だそうで、見るからにお金がかかっているのがわかります。NTRジュニアはテルグ語映画界カリスマの孫で、歌と踊りのうまさで人気だとか。テルグ映画のマイケル・ジャクソン?(白)


2013年/インド/カラー/164分/テルグ語/
配給:太秦
http://www.u-picc.com/Baadshah/
★8月9日(土)よりシネマート新宿 ほか全国順次公開予定
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めぐり逢わせのお弁当  原題:Dabba  英題:THE LUNCHBOX

監督・脚本:リテーシュ・バトラ(長編初監督作品)
出演:イルファーン・カーン、ニムラト・カウル、ナワーズッディーン・シッディーキー 

大都会ムンバイで、125年も続いている家庭から仕事場へのお弁当配送サービス。5千人ものダッバーワーラー(お弁当配達人)が人海戦術で毎日20万個ものお弁当を配送しているが、誤配は6百万個に一つとのバーバード大学の調査結果。本作は、奇跡的に間違って届いたお弁当を巡る物語。

結婚して数年、夫の気持ちがほかの女性に向いているのを感じているイラ。お弁当配達人が取りに来る時間に向けてお弁当を作っていると、上の階に住むおばから、「秘伝の心を取り戻すスパイスを入れなさい」と、籠が降りてくる。秘伝のスパイスを仕上げにひとつまみ。その日、なめたように綺麗な空のお弁当箱が戻ってくる。なのに、夫は「カリフラワーが美味しかった」と入れてもいないオカズを褒めるばかりで素っ気ない。誤配されたと気づいたイラは、お弁当にそっと手紙をしのばせる。

イラのお弁当を受け取ったのは、保険会社に勤めるサージャン。妻に先立たれ、お昼は食堂の仕出し弁当だ。いつになく美味しい弁当が届く。早期退職を決めた彼は、食堂に辞める日を伝えに行ったついでに今日の弁当を褒める。翌日、チャパティの下に手紙を見つけ誤配を知る。二人の手紙の交換が始まる・・・
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(C) AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm-2013

夫の気持ちをなんとか取り戻そうとするイラ。
亡き妻をもっと理解してあげればよかったと悔やむサージャン。
退職するサージャンの後任シャイクは、孤児。恋人の父親がなかなか結婚を認めてくれない。
上の階からイラに助言を送るおばは、寝たきりの夫の為に自家発電機を買ってまで介護中。
イラの父が亡くなり、死んだらどうしようと思っていたのに空腹しか感じないという母・・・
イラとサージャンを中心に、人生に起こる様々な問題をたっぷり盛り込んであって、観る人の誰もが、きっとどこかで自分に重ね合わせてみることができるでしょう。
イラは顔も知らないサージャンと手紙をやりとりする内に、国民総幸福量の高いブータンに行く夢を抱き始めます。男になんか頼らない! 自分の人生を歩もうとするイラを俄然応援したくなりました。
そして何より、ダッバーワーラーたちが列車の中で歌う姿にじ〜んときました。時間との勝負で家庭からお弁当をピックアップして、自転車や歩きで駅まで運び、ほっとするひと時。今日もムンバイの町の喧騒の中を彼等は汗だくになって、妻と夫を繋ぐお弁当を運んでいるのでしょうね。そして、一つ一つのお弁当に、人生のドラマがあるのですねぇ。
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(C) AKFPL, ARTE France Cinema, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm-2013

イラがいつもつけているネックレスは、マンガラ・スートラといって、婚姻の証なのだそうです。
ぜひ胸元に注意して映画をご覧ください。(インド通の友人から教えていただきました。もう一度、観なくては!の私です。)(咲)


松岡環さんの「アジア映画巡礼」にも、映画の背景がたっぷり紹介されています。とても参考になります。
お弁当誤配のヒントも映画の中にあったとか。まったく、何を観ていたのか・・・の私です。
http://blog.goo.ne.jp/cinemaasia/e/4ffb3a938538fdb3dc60aa6553021be7


2013年/インド=フランス=ドイツ/1時間45分/英語、ヒンディー語
後援:インド大使館 提供:東宝、ロングライド 配給:ロングライド 
コピーライトマーク AKFPL, ARTE France Cinéma, ASAP Films, Dar Motion Pictures, NFDC, Rohfilm−2013
公式サイト:http://lunchbox-movie.jp/
★2014年8月9日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
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2014年07月19日

あなたがいてこそ(原題:MARYADA RAMANNA)

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監督・脚本:S・S・ラージャマウリ
撮影:C.ランプラサード 
音楽:M.M.キーラワーニ
出演:スニール(ラーム)、サローニ(アパルナ)、ナジ二ドゥ(ラミニドゥ)、ヴェーヌゴーパール(パイレッディ)

1982年、対立する家系の抗争でラミニードゥの弟がラーガワ・ラーオに殺され、傷を負ったラーオも帰り着くなり死んでしまった。ラーミニードゥは幼い息子2人とともに弟の復讐を誓い、怖れたラーオの妻は赤ん坊のラームと都会へ逃げ出した。
28年後、ラームはオンボロ自転車で配達業をしていた。母が亡くなったので相続した土地を売ろうと(因縁の)村へ行ってみることにした。列車の中で出会った美しい娘アパルナは、ラミニドゥの娘だったのだが、何も聞かされずに育ったラームは知る由もない。アパルナが忘れたスケッチブックを手に家を訪ね、ラームが仇の息子だと気づいた一家に命を狙われることになってしまった。

簡単に言ってしまえばインド版ロミオとジュリエットのような映画なのですが、主演のラームがのんきな男なので(スーパーマリオ兄弟のような髭でなんとも愛嬌があります)シリアスな場面がみなコメディに変わります。狙われていると知ったラームは、ラミニードゥの家の中にいさえすれば殺されないと気づき、あの手この手でかわしていく場面が大笑いです。おまけにアパルナの思いにもなかなか気づきません。なんとか彼を救おうとアパルナが必死になるあたりから悲恋の様相が現れてきます。
アパルナは現代的な可愛い系美人。ラームに惹かれるのは、彼女の生き方や好みをわかってくれるから。同じものが好きって大事ですもんね。蠅の復讐劇『マッキー』で笑わせてくれたS・S・ラージャマウリ監督、今度は喋る自転車を出演させています。冒頭で登場して姿を消した後、大事な場面でまた現れるのでお楽しみに。(白)


2010年/インド/カラー/125分/テルグ語/
http://www.u-picc.com/anataga/
配給:太秦
★2014年7月26日(土)よりシネマート六本木ほか
posted by shiraishi at 16:56| Comment(0) | TrackBack(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする