2017年01月07日

愛を歌う花  原題:解語花(ヘオファ)   英題:Love,Lies

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監督:パク・フンシク(『メモリーズ 追憶の剣』『私にも妻がいたらいいのに』  
出演:ハン・ヒョジュ(『ビューティー・インサイド』「トンイ」)、ユ・ヨンソク(『尚衣院−サンイウォン−』『ビューティー・インサイド』)、チョン・ウヒ(『サニー 永遠の仲間たち』)、パク・ソンウン(『新しき世界』『鬼はさまよう』)

日本統治末期の1943年。京城唯一の妓生養成学校で学ぶソユル(ハン・ヒョジュ)とヨニ(チョン・ウヒ)。幼馴染の二人は、共に美声と美貌に恵まれた親友どうし。ソユルは、愛する作曲家ユヌ(ユ・ヨンソク)の作曲した「朝鮮の心」を歌うことで、妓生ではなく歌手になりたいと願う。ところが、ユヌは偶然耳にしたヨニの歌声に魅了され、「朝鮮の心」をヨニに歌わせレコードを出す。そのことを知って激しく嫉妬するソユル。3人の運命が大きく狂い始める・・・

原題『解語花』(直訳「人の言葉を理解する花」)は、美しさと強さ全てを持つ女性という意味。妓生を例える言葉。
大衆歌謡が黄金期を迎えた終戦前夜。“券番”と呼ばれる妓生養成学校に所属する妓生の中から、民衆の心を癒す歌を歌いたいと次々と歌手がデビュー。一方で、日本軍は民族意識を扇動したという理由で大衆歌謡を抑圧したそうです。
そんな時代背景の中で、一人の男性をめぐる二人の女性の思いが描かれていて、切ないです。
純情なイメージの強いハン・ヒョジュが嫉妬に狂うさまも絶品。(咲)


2016年/韓国/120分/カラー/ビスタ/5.1ch
配給:クロックワークス
公式サイト:http://aiuta-movie.com
★2017年1月7日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほかロードショー
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2017年01月06日

The NET 網に囚われた男  英題:THE NET

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監督:キム・ギドク
出演:リュ・スンボム、イ・ウォングン、キム・ヨンミン、チェ・グィファ、イ・ウヌ

韓国との国境近くの村で妻と幼い娘と共に貧しいながらも平穏な日々を送る漁師ナム・チョル。いつものようにモーターボートで漁に出るが、網がエンジンに絡まってしまい、思うように船を操縦できず韓国側に流されてしまう。韓国の警察に拘束され、スパイ容疑で厳しい尋問を受ける羽目になる。あげく、脱北させようと、ソウルの繁華街・明洞に連れて行かれる。目を閉じて、決して周りを見ないようにするチョル。
チョルの監視役である若い警護官オ・ジヌは、チョルの様子を見ているうちに、スパイなどではなく、真に家族の元に帰りたがっている漁師だと信じるようになる・・・

東京フィルメックスの折に、時間的に映画を観ることができなかったのですが、キム・ギドク監督のQ&Aに参加しました。「憂鬱な映画をお見せして申し訳ない。これが南北の現実です」と開口一番。北と南、どちらがいい悪いを描いたわけでもなく、暴力的なシーンの裏に語りたい真実があるとも語っていました。キム・ギドク監督作品を初めて観た友人からは、あまりにつらい場面が続いて、目を閉じていたとも聞かされていました。きっと重く残忍な映画なのだろうと思っていました。実際に映画を観てみたら、これまでのキム・ギドク作品に比して、それほど暴力的でも残忍でもなく、物語の流れも実にわかりやすいものでした。
確かに執拗に尋問する場面が続いて、つらいものがありました。この尋問にあたっているのが、キム・ギドク作品でお馴染みのキム・ヨンミン。嫌な奴を実にうまく演じています。
そして、本作で何より癒されたのが、チョルを温かく見守る若い警護官オ・ジヌ。先日、韓国KBSワールドの「芸能街中継」を見ていたら、オ・ジヌを演じたイ・ウォングンが若手注目俳優として取り上げられていて、本人も出演。「カンヌでレッドカーペットを歩けたのが嬉しかった」と無邪気に語り、キム・ギドク監督と共に歩く姿が映し出されました。ドラマや映画に引っ張りだこで、私も今後注目したい俳優です。

さて、本作ですが、繁華街に連れていかれたチョルは、裏通りで逃げ惑う若い女性に出会います。家族を養うため、身を売るしかない事情を知ります。自由に見える資本主義社会の抱える闇の部分。
やがてチョルはスパイ容疑が晴れて、北に帰ることができるのですが、南を見てきたことで、北でも執拗な取調べを受けることになります。政治に翻弄される庶民を象徴しているようでした。
かつて、韓国を旅した時に、イムジン河越しに北朝鮮を眺めたことがあります。
韓国のガイドさんから、こちらから見える部分の家は綺麗に作ってあると説明を受けました。いかに酷い状況かも語られましたが、同じ民族のことを、そこまで悪く言うとはと悲しくなりました。南北統一どころか、南北分断による歪みはいつになったら修復することができるのかと暗澹たる気持ちになったのを思い出しました。(咲)


第17回東京フィルメックス上映時の記録は、こちらでどうぞ!
*舞台挨拶およびQ&A(テキスト)
http://filmex.net/2016/news/the_net

*舞台挨拶(動画)
http://filmex.net/2016/news/broadcast/1119the_net_ba

*Q&A(動画)
http://filmex.net/2016/news/broadcast/1119the_net_qa

配給:クレストインターナショナル
2016年/韓国/112分/カラー/1:1.85/5.1 SRD
公式サイト:http://www.thenet-ami.com
★2017年1月7日(土)よりシネマカリテほか全国順次公開
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2016年12月11日

フィッシュマンの涙   原題:突然変異 英題:Collective Invention

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監督・脚本:クォン・オグァン
エグゼクティブ・プロデューサー:イ・チャンドン
プロデューサー:キム・ウサン
出演:イ・グァンス、イ・チョニ、パク・ボヨン

パク・グ(イ・グァンス)は、大学を出て定職につけないままフリーターを続けていた。高報酬目当てで製薬会社の新薬のテストに参加し、副作用で上半身が魚になってしまう。
彼が魚人間として一躍有名になったのは、テレビ局の見習い記者サンウォン(イ・チョニ)が目にとめた「私の彼は魚人間」というネットの投稿がきっかけだった。サンウォンは書き込みをしたジン(パク・ボヨン)に会いに行く。一夜限りの関係を結んだパク・グが、魚人間になってしまい逃げ場を求めてジンのところにやって来たが、ジンは製薬会社に彼を売ってしまったという。製薬会社に忍び込み、魚人間の存在をスクープしたサンウォンは正式にテレビ会社に採用される。魚人間もまた時代の寵児として一世を風靡する。しかしそれも束の間、製薬会社の悪意の証言で世の中から葬られてしまう・・・

大学を出て、公務員を目指すもなかなか試験に受からないパク・グ、一流大学を出ていない為、やっと見つけた職場でも肩身の狭いサンウォン。日本よりさらに就職難で学歴重視の韓国社会の現状がひしひしと伝わってくる物語でした。
歴史大河ドラマ「トンイ」で愛敬のある宮廷楽師を演じていたイ・グァンス主演とのことで、楽しみにしていたのですが、ずっと顔は魚のままで素顔が観られませんでした。(一瞬素顔が出たのかも) 長身の彼が大きな魚の頭なので目立つことこの上なし。
見習い記者サンウォンを演じたイ・チョニは、ドラマ「オンリー・ユー」でハン・チェヨン演じるイタリア料理店見習いシェフに片思いするシェフ役や、ペ・ドゥナ主演ドラマ「グロリア」でナイトクラブの用心棒役で、暗い男のイメージが強かったのですが、本作では、三流大学出ながら真実を伝えたい記者を好演していました。

新薬開発といえば、私の同級生に製薬関係の仕事に就いている人がいて、やはり実験に参加することがあるそうで、危険度の高いほど報酬が高いとのこと。
新薬開発のための実験台というテーマは、アル・パチーノとアンソニー・ホプキンスに加えイ・ビョンホンも出演している『ブラック・ファイル 野心の代償』(2017年1月7日公開)でも取り上げられています。これまで治癒できなかった病のための新薬開発が、多くの人の勇気ある実検によって成されてきたことを再認識させられました。(咲)


2015/韓国/92分/カラー/シネスコ/ドルビー 5.1
配給:シンカ 
公式サイト:http://fishman-movie.jp
★2016年12月17日(土)よりシネマート新宿、HTC渋谷ほかロードショー
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2016年11月13日

華麗なるリベンジ(原題:A VIOLENT PROSECUTOR)

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監督・脚本:イ・イルヒョン
撮影:チェ・チャンミン
音楽:ファン・サンジュン
出演:ファン・ジョンミン(ピョン・ジェウク)、カン・ドンウォン(ハン・チウォン)、イ・ソンミン(ウ・ジョンギル)、パク・ソンウン(ヤン・ミヌ)、シン・ソユル(ハナ)、ハン・ジェヨン(チャン・ヒョンソク)、キム・ウォネ(ヨンチョル)

熱血検事ピョン・ジェウクは持ち前の正義感が時に暴走、容疑者につい手荒い取り調べをしてしまうこともあった。そんな性格につけ込み、ワナにはめたヤツがいた。リゾート開発について取り調べ中に容疑者の男が急死し、ジェウクは無実を証明できないまま懲役15年の刑で投獄されてしまったのだ。
大きな権力を持った黒幕がいると睨んだジェウクは、獄中で知り合ったハン・チウォンにそのヒントを見出して接近する。チウォンはイケメンを武器に詐欺を繰り返す前科9犯、調子が良いが頭も切れる男だった。ジェウクに「復讐に協力してくれるなら外に出してやる」と持ち掛けられ、チウォンは了承。まんまと出所した後、ジェウクから届く指示に従って調査を開始する。

またも熱血ファン・ジョンミン刑事の出番です。『ベテラン』(2015)では 財閥の御曹司ユ・アインを向こうに回し、双方大活躍でした。カン・ドンウォンは『オオカミの誘惑』(2004)で初めてその端正な容姿を目にしました。『デュエリスト』 (2005)での来日会見にかけつけ、その立ち姿の美しいのにもほれぼれしたものです。善悪どちらでもいける演技力も伴った俳優さんに成長しています。主演の二人はともに出演作の途切れない人気スター、顔合わせはこの作品が初めてです。長編デビューだというイ・イルヒョン監督、正反対の二人がコンビを組むストーリーにいろいろな素材をうまく合わせて料理、目の離せない作品にしあげています。白)

2015年/韓国/カラー/ビスタ/126分
配給:ツイン
(C)2016 SHOWBOX, MOONLIGHT FILM AND SANAI PICTURES CO,. LTD ALL RIGHTS RESERVED.
http://www.kareinaru-revenge.com/
★2016年11月12日(土)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 10:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年10月23日

戦場のメロディ  原題:오빠생각(兄思い)

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監督:イ・ハン (『優しい嘘』『ワンドゥギ』)
出演:イム・シワン(『弁護人』「未生 -ミセン-」
)、コ・アソン(『スノーピアサー』)、イ・ジュニュク、パク・スヨン、イ・ヒジュン(『海にかかる霧』

1950年6月に勃発した朝鮮戦争。ハン・サンヨル少尉は、家族を失い、最前線で戦友の死を間近で経験し、1952年、失意のうちに釜山に転属になる。任務は軍部が建設した孤児院の管理。孤児院の若き女性院長パク・ジュミは、戦争孤児たちが“カギ爪の男”カルゴリに意のままに働かされていることに心を痛めていた。大学で音楽を専攻していたサンヨルは、音楽を通して戦争孤児たちの心を癒そうと、「ソルリン児童合唱団」を結成する。選考会を経て、約30人の孤児たちが合唱団のメンバーとなり、サンヨルの指導のもと、米軍司令部幹部の前でお披露目をするまでになる。子どもたちの歌声は評判を呼び、上官から前線での慰問公演を命じられる。サンヨルは子どもたちを危険にさらすことはできないと合唱団の解散を発表する・・・

合唱団を解散させないで〜とせがむ子どもたち。戦争で親を失った子どもたちにとって、合唱団は今や大事な家族。自分たちの歌声が前線の兵士たちの慰めになればという思いに、じ〜んとさせられました。
本作は、朝鮮戦争中は戦場や軍の病院などの慰問公演を行い、1953年7月27日の休戦後はアメリカ、日本、東南アジア、ヨーロッパに巡演した実在の児童合唱団をモデルにした物語。
サンヨル少尉を演じたイム・シワンは、K−POPアイドルグループ「ZE:A」のボーカル。なのですが、私は歌っている姿は見たことがなく、もっぱらドラマで静かに光るシワン君を見てきました。長身の俳優が多い韓国ドラマ界の中で、170cmちょっとと小柄。
韓国で社会現象を巻き起こしたというドラマ「ミセン-未生-」(2014年)での真面目な見習い新入社員がはまり役。初めてシワン君を認識したのは爆笑ラブコメの「スタンバイ」だったけど、そこでも彼一人、真面目なキャラでした。生き別れになった3兄弟を描いた「トライアングル」では、カジノ王の養子になり後継者として育てられた、ちょっと生意気な若造を演じていて、こんな役も出来ると驚きました。映画は、ソン・ガンホの『弁護人』での存在感ある脇役を経て、本作で初主演。これからが楽しみな俳優です。(咲)


2015年/韓国/124分/カラー
配給:ハーク
公式サイト:http://senjo-melody.info/
★2016年10月29日(土)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
posted by sakiko at 17:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする