2017年08月27日

新感染 ファイナル・エクスプレス  原題:釜山行き  英題:Train to Busan ...

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監督: ヨン・サンホ
出演: コン・ユ、チョン・ユミ、マ・ドンソク、キム・スアン、キム・ウィソン

早朝5時半、ソウル駅発プサン行き高速鉄道KTX。
証券マンのソグ(コン・ユ)は、プサンで別居中の妻のもとに幼い娘スアンを送り届けるべく、KTX 3号車に乗り込んだ。列車は、試合に向かう野球部員の学生たちや、臨月で実家に向かう夫妻など、早朝から大勢の乗客で混みあっていた。
発車間際、足から血を流した女が12号車に駆け込む。女は、何者かに足を噛まれ、人間を凶暴化させるウィルスに感染していて、突然発作を起こし、女性乗務員に噛み付く。たちまち感染し、11号車に乗っていた野球部員たちも次々に凶暴化していく。パニック状態が、やがて4号車まで押し寄せ、スアンを4号車のトイレに連れて行ったソグは大慌てで3号車に戻る。その時、ソグは感染者が自力ではドアを開けられないことに気付く。ソグは、無事、スアンをプサンまで送り届けることができるのか・・・

感染して次々とゾンビと化していく中で、なんとか自分は襲われないようにと身を守る人々。エゴ丸出しで、まだ襲われていない人までも締め出そうとする男も。離れ離れになり、感染してしまった姉を見守るしかない妹。身重の妻を守る頑強な夫(このところ、あちこちの映画で活躍のマ・ドンソクさんが好演)。危険が身に迫る中、これまで仕事人間で家族を省みなかったことを思うソグ・・・。様々な人間模様が繰り広げられます。
発車間際に駆け込んだ足から血を流した様子の変な女を演じているのは、映画『怪しい彼女』のシム・ウンギョン。なのですが、変わり果てた姿に、彼女だとわかりませんでした。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚にあたるアニメーション映画『ソウル・ステーション/パンデミック』(9月30日公開https://pandemic-movie.com/)で、夜を彷徨う女性ヘスンの声を担当しているのがシム・ウンギョン。
本作を観たあと、先に作られた『ソウル・ステーション/パンデミック』を観たのですが、アニメで描いたゾンビの動きを、忠実に実写で再現したのがわかって、そっくりな動きに思わず笑ってしまいました。ぜひ見比べてみてください。(咲)


2016年/韓国/118分
配給:ツイン
公式サイト:http://shin-kansen.com/
★2017年9月1日(金)新宿ピカデリー他全国公開



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2017年07月09日

ハートアンドハーツ コリアン・フィルムウィーク

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人と人をつなぎ、心と心をつなぐ、強いメッセージを持った韓国の4作品が、
「ハートアンドハーツ コリアン・フィルムウィーク」と題して、上映されます。
シネマート新宿:7月22日(土)〜8月11日(金)
シネマート心斎橋:7月29日(土)〜8月11日(金)

『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』監督イ・ジュニク(『王の男』)
『あの人に逢えるまで』監督カン・ジェギュ(『シュリ』『ブラザーフッド』)
『春の夢』監督チャン・リュル(『キムチを売る女』)
『バッカス・レディ』監督イ・ジェヨン(『スキャンダル』)

◆『空と風と星の詩人~尹東柱の生涯~』
第52回百想芸術大賞 新人男優賞(パク・チョンミン)受賞
第37回生龍映画賞 脚本賞&新人男優賞(パク・チョンミン)受賞 ほか
今年生誕100周年となる韓国の国民的詩人の生涯を美しい詩とモノクロ映像で初めて映像化。
詳細はこちらで 

◆『あの人に逢えるまで』
監督カン・ジェギュ(『シュリ』『ブラザーフッド』)
出演ムン・チェウォン、コ・ス
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(C) 2014 Big Picture

南北の国境イムジン河沿いを行くバス。楽しみにしていた離散家族面談は突然中止される。あの人の好きなものを詰めたお弁当を持ってきたのにとがっかりするヨニ。韓屋の家並みの美しい北村に住むヨニは、夫を送り出した日を思い出す・・・ 
分断の悲劇がメルヘンのように描かれた物語

第38回香港国際映画祭正式出品
第19回釜山国際映画祭正式出品
2014年/韓国映画/28分


◆『春の夢』

監督チャン・リュル『キムチを売る女』『境界』
出演ハン・イェリ(『海にかかる霧』『ハナ〜奇跡の46日間』)、ヤン・イクチュン(『息もできない』)、ユン・ジョンビン(『悪いやつら』)、パク・チョンボム(『ムサン日記』)
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(C) 2016 LU FILM,ALL RIGHT RESERVED

チンピラのイクチュン。金持ちだが少し頼りない大家のジョンビン。北朝鮮出身で、いつも深くお辞儀している純朴な男ジョンボム。3人はいつもつるんで、車椅子生活の父を抱えたイェリの営む居酒屋に入り浸っている。ある日、新たなオトコが店にやってくる・・・
中国出身のチャン・リュル監督が、仲のいい監督3人を役者として迎えて描いた青春物語。

第21回釜山国際映画祭オープニング上映作品
第46回ロッテルダム国際映画祭正式出品
2015年/韓国映画/101分


◆『バッカス・レディ』
監督イ・ジェヨン(『スキャンダル』『世界で一番いとしい君へ』)
出演:ユン・ヨジョン、ユン・ゲサン
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(C) 2016 KOREA FILM COUNCIL ALL RIGHT RESERVED

食べるために続けている生業。60代の売春婦ソヨンが混血の少年を保護したのにも訳があった。シェアハウスの住人たちも事情を抱えている。いろいろと切ない作品。

第66回ベルリン国際映画祭パノラマ出品
第20回モントリオール・ファンタジア国際映画祭 主演女優賞&脚本賞 受賞
2016年/韓国映画/111分
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空と風と星の詩人 尹東柱(ユン・ドンジュ)の生涯   原題:ドンジュ  英題:Dongju:The Portrait of a poet

監督:イ・ジュニク(『王の男』『ラジオスター』『ソウォン』『王の運命』)
脚本:シン・ヨンシク
出演:カン・ハヌル(『20歳』ドラマ「未生−ミセン」) パク・チョンミン(『オフィス』ドラマ「応答せよ1988」) キム・インウ(『暗殺』)

死して、韓国の国民的詩人となった尹東柱。
1917年12月、当時の満州国間島の明東村(中国吉林省東南部)で生まれる。従兄の宋夢奎(ソン・モンギュ)も同年9月に生まれ、二人はその後、平壌の中学校、ソウルの延禧専門学校(現・延世大学校)、そして、日本留学と共に人生を歩む。
ドンジュは、カトリック系の中学校時代から詩作を始める。父は医師になっても詩は書けると医科に進むことを願うが、詩人になりたい思いを貫き文科に進む。
1942年、立教大学に進学。日本留学を前に、やむなく創氏改名に応じ平沼姓を名乗る。戦時体制の気風が高まり、半年後、同志社大学に転学。京大に在籍していたモンギュと同じ下宿に移り住む。
1943年7月、独立運動に身をやつしていたモンギュが逮捕される。ドンジュも逮捕され、詩や日記は押収される。治安維持法違反で2年の懲役となり、二人は福岡刑務所に投獄される。1945年2月、ドンジュ獄死。3月にモンギュも獄死。
 1948年に遺作を集めた詩集「空と風と星の詩」が刊行される。非業の死を遂げた人生と共に、抒情詩人・民族詩人・抵抗詩人として知られるようになり、今や韓国の誰もが知る国民的詩人である。
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c2015Megaboxplusm Luz y Sonidos All Right Reserved.

ドラマ「未生−ミセン」で、端正なエリート新人サラリーマンを好演したカン・ハヌルが、詩人ユン・ドンジュを体現しています。イ・ジュニク監督は、遺されたユン・ドンジュの写真に雰囲気の似たカン・ハヌルを抜擢。また、韓国の人たちのモノクロ写真のユン・ドンジュのイメージを崩さないよう、映画もモノクロで製作したそうです。

日本留学を前に、やむをえず創氏改名に応じたドンジュですが、母国の文化は忘れてはならないと母国の言葉で詩を綴り続けています。逮捕された日、ドンジュの机には帰郷するための切符が残されていたそうです。
 この映画を観て以来、ずっと重いものが心の中にのしかかっています。ドンジュの非業の死は、日韓併合時代が生んだ悲劇の一つ。あの戦争の時代、韓国人だけでなく、多くの日本人も無念の死を遂げたことにも思いが至ります。そして、今も世界の各地でやりたいことを好きなようにできないでいる人たちがいることにも。言いたいことを言えない時代がまた押し寄せてくるのではと不安にもなります。
こんな風に自由に感想を書ける幸せを大切にしなければとつくづく思います。(咲)


2015年/韓国映画/110分/B&W/2.39:1
配給:スプリングハズカム
「ハートアンドハーツ コリアン・フィルムウィーク」の1作として上映される。
★2017年7月22日(土)〜8月11日(金) シネマート新宿
7月29日(土)〜8月11日(金)  シネマート心斎橋

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2017年06月25日

ラスト・プリンセス 大韓帝国最後の皇女   英題:THE LAST PRINCESS

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監督:ホ・ジノ(『八月のクリスマス』『春の日は過ぎゆく』『四月の雪』『きみに微笑む雨』)
出演:ソン・イェジン(『四月の雪』『私の頭の中の消しゴム』)、パク・ヘイル(『殺人の追憶』、ユン・ジェムン、ペク・ユンシク、ラ・ミラン、戸田菜穂

「朝鮮」から「大韓帝国」へと国号が変わり、李氏朝鮮第26代国王・高宗(コジョン)が初代皇帝の座についていた日本統治時代。高宗(コジョン)の娘である徳恵翁主(トッケオンジュ)の激動の人生を描いた物語。
7歳の時、目の前で父を毒殺される。わずか13歳で日本に留学させられ、大学卒業後も祖国への帰国を許されない日々を過ごす徳恵(ソン・イェジン)の前に、かつて父が結婚相手に考えていたジャンハン(パク・ヘイル)が現われる。大日本帝国軍少尉である一方、密かに朝鮮独立運動に尽力していた。徳恵と対馬藩主の子息・宗武志(キム・ジェウク)との政略結婚が決まり、残された道は亡命のみ。甥のイ・ウ王子(コ・ス)やジャンハンが上海臨時政府に亡命させようとするが失敗する。その時を最後に徳恵とジャンハンは引き離されてしまう。
宗武志と結婚し、娘も出産するが、やがて徳恵は心を病んで入院する。そして、日本敗戦。だが、韓国初代大統領となった李承晩は徳恵の帰国を許さなかった。1961年、朴大統領が就任し状況が変わる。新聞記者となったジャンハンは、徳恵を帰国させようと日本に赴く・・・

日本統治時代、政略結婚で韓国の王室に嫁がれた方子(まさこ)さまのことは知っていましたが、逆の立場の皇女さまがおられたことを、この映画を通じて初めて知りました。実は、韓国でも徳恵翁主のことは、あまり知られていないそうです。一方、方子さまは奉仕活動もされて、韓国ではいいイメージで受け止められて、尊敬されている方と監督から伺いました。宮家のご出身で気品のある方子さまを演じた戸田菜穂さんも気品があって適役だったと監督。戸田菜穂さんは、日本でリメイクされた『八月のクリスマス』に出演していて、ご縁があるとも監督は語りました。★監督インタビューは本誌100号 および 特別記事でお届けします。

徳恵翁主の人生を、ドラマティックに脚色して描いていますが、日韓併合時代を生きた人たちの様々な運命にも思いの至る物語です。(咲)


2016年/韓国/127分/カラー/5.1chデジタル
配給:ハーク
公式サイト:http://www.lastprincess.info
★2017年6月24日(土) シネマート新宿ほか全国順次公開
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2017年05月21日

マダム・ベー ある脱北ブローカーの告白 英題:MRS. B, A NORTH KOREAN WOMAN

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監督:ユン・ジェホ
撮影:ユン・ジェホ、タワン・アルン
プロデューサー:ギョーム・デ・ラ・ブライユ、チャ・ジェクン
音楽:マシュー・レグノー
編集:ナディア・ベン・ラキド、ポーリーン・カサリス、ソフィ・プロー、ジャン=マリー・ランジェル

マダム・ベーは、北朝鮮の中国国境近くで暮らしていたが、10年前、家族のため1年間だけの出稼ぎのつもりで中国にわたる。だが、気がついた時には、騙されて、中国の貧しい農村に嫁として売り飛ばされていた。最初は中国の夫と義父母との生活を受け入れられないでいたが、そこで生き抜くために脱北ブローカーとなる。中国の夫と生きて行く決意をした彼女だが、北朝鮮に残してきた息子たちの将来を案じて、息子と共に北朝鮮の夫も脱北させる。やがて、北朝鮮の夫や息子たちと国境を越えタイ経由で韓国に行く。韓国のパスポートが取れれば、正式に中国の夫と結婚できると信じて・・・

衝撃の予告編は、こちらで! 

とにかく、マダム・ベーのパワフルな姿に引き込まれます。監督は、脱北を背景にした家族の物語を撮ろうと思って、中国に住む脱北者を取材する中で、マダム・ベーと知り合い、やがて彼女から自分のドキュメンタリーを撮らないかと提案されたそうです。
韓国で暮らすうちに、どんどん綺麗になっていくマダム・ベー。監督にうかがったところ、今は、どちらの家族とも暮らさず、独立されているとのこと。たくましく一人でお店を切り盛りしている姿が目に浮かぶようです。
体制に翻弄されて、引き裂かれてしまった大事な人との関係。いつか、幸せな日を迎えてほしいものです。(咲)


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ユン・ジェホ監督インタビューは、特別記事で!


カンヌ国際映画祭ACID部門正式出品
2016年モスクワ国際映画祭、チューリッヒ国際映画祭で最優秀ドキュメンタリー映画賞受賞

配給:33 BLOCKS 
2016年/韓国・フランス/72分/DCP/ドキュメンタリー
(C)Zorba Production, Su:m
公式サイト:http://www.mrsb-movie.com
★2017年6月10日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by sakiko at 15:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする