2018年04月15日

タクシー運転手 約束は海を越えて    原題, A Taxi Driver

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監督:チャン・フン(『映画は映画だ』、『義兄弟〜SECRET REUNION』)
出演:ソン・ガンホ、トーマス・クレッチマン、ユ・ヘジン、リュ・ジュンヨル

1980年5月、日本特派員として仕事をしていたドイツ人記者ユルゲン・ヒンツペーターは、韓国・光州で事件が起こったことを知る。戒厳令下の厳しい言論統制で 何が起きているのか一切ニュースが入ってこない。ヒンツペーターは、躊躇なく韓国に飛ぶ。

ソウル。タクシー運転手のマンソプは、男手一つで子育てをしていて、滞っている家賃に頭を抱えていた。「通行禁止時間までに光州に行ったら大金を支払う」という話に飛びつき、英語もできないのにドイツ人記者を乗せて光州に向かう。
検問を切り抜けて、時間ぎりぎりに光州にたどり着く。マンソプは、早くお金を受け取りたいと、ソウルに戻ろうと促すが、取材する決意のかたいヒンツペーター。英語のできる大学生のジェシクや、地元光州のタクシー運転手ファンに道案内してもらうことになる。民主化運動に立ち上がった光州の市民が当局に弾圧されている様子を必死でカメラに収めるヒンツペーター。なんとかこのフィルムを世界に発信しなくてはならない。マンソプは地元のタクシー運転手たちと連携して、検問を潜り抜け、ソウルへと急ぐ・・・

韓国の誇る名優ソン・ガンホや、ユ・ヘジンの確かな演技に、重くなりがちな話題を軽やかに受け止めることのできた137分でした。
このヒンツペーターの取材で、世界は光州で何が起こっているかを知ることができました。
ヒンツペーターは、光州に自分を運んでくれた勇気あるタクシー運転手マンソプにお礼がしたいと、別れるときに貰った電話番号に連絡しますが繋がりませんでした。
映画の最後に、ヒンツペーター氏ご本人が、その後も見つけることのできなかった彼と会いたいと語る場面が出てきます。この映画がきっかけで再会できるといいなと思いましたが、ヒンツペーター氏は亡くなられてしまいました。

光州事件と聞いて思い出すのが、映画『光州5・18』(監督:キム・ジフン/2007年)です。
果敢に立ち向かう市民の姿が思い出されます。あらためて、内容を確認してみたら、光州のタクシー運転手カン・ミヌ(キム・サンギョン)が主人公でした。
「ミヌが働くタクシー会社の社長パク・フンス(アン・ソンギ)は、かつては空挺特別部隊予備役大佐であった。彼は、道庁の地下倉庫に保管されている大量の武器を手に、ミヌらと市民軍を編成、光州を死守することを誓いあう」とあらすじにありました。
『タクシー運転手 約束は海を越えて』では、ユ・ヘジンたちが演じている光州のタクシー運転手たちの活躍が描かれていたのだと、あらためて気が付きました。
勇気ある人たちによって、社会は変えられる。そして、そのことを身の危険も顧みず発信する人がいて、世界は真実を知ることができる。
今、混迷を極めるシリアの内情も、多くの勇気ある人たちによって、何が起こっているかが発信されていることに思いが至ります。(咲)


2017年/韓国/137分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:クロックワークス
公式サイト:http://klockworx-asia.com/taxi-driver/
★2018年4月21日(土)シネマート新宿ほか全国ロードショー




posted by sakiko at 10:48| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年03月04日

THE KING ザ・キング  英題:THE KING

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監督・脚本:ハン・ジェリム(『観相師―かんそうしー』
出演:チョ・インソン、チョン・ウソン、ペ・ソンウ、リュ・ジュンヨル

木浦(もっぽ)で暮らす喧嘩好きの不良学生パク・テス(チョ・インソン)。暴力的な父が、窃盗で捕まるたびに、検事の前では平身低頭な姿を見て、検事になる決意をする。猛勉強の末、検事となり、金持ちの令嬢と結婚し、一気に富裕層に上り詰める。
新人検事として仕事をこなす中、ある暴行事件で、元国会議員の父のコネで罪をもみ消す卑劣な行為を目の当たりにする。正義感に溢れるテスは、懲役刑に持ち込もうとするが、ソウルの戦略部に推薦する代わりに、暴行事件から手を引いてくれと先輩からほのめかされる。結局、正義よりも出世の道を選んだテスは、戦略部で国家権力との繋がりを強く持つ部長検事ハン・ガンシク(チョン・ウソン)のもとで働くことになる。ガンシクは、目をつけた政財界の大物や芸能人を必ず起訴に持ち込む敏腕検事として恐れられ、派手な生活を謳歌していた。テスもいつかガンシクのような成功者になりたいと野心を燃やす中、大統領選が始まる。戦略部の検事たちは昇進や保身をかけて、支持候補を当選させようと手段選ばず突進する・・・

冒頭、車の中で、「安東(アンドン)の仮面はなぜ笑顔か知ってるか?」と問うチョン・ウソン演じる男。チョ・インソン演じる若い男と、もう一人の男がその理由を聞いているところで交通事故に巻き込まれる。瀕死の状態の脳裏に、様々な政治の舞台やソウルオリンピックなどの光景が走馬灯のように駆け巡る。
1980年から2010年の韓国現代史を背景に、金と権力のために動く検事たちを描いた物語。

楽しそうに悪徳エリート検事を演じるチョン・ウソンですが、悪人にはどうしても見えないイイ男!  
チョ・インソンは、ドラマ「バリでの出来事」や映画『卑劣な街』で、ちょっと切れたチンピラ風の男のイメージが強いですが、私が初めて彼を観た『ラブストーリー』で、颯爽と登場した時、チョン・ウソンに雰囲気が似ていると思ったものでした。
「チョ・インソン2009ファンミーティング」を取材した時に、「歌手を夢見ていましたが、『アスファルトの男』のチョン・ウソン先輩を観て、ほんとにカッコイイな、歌手じゃない、俳優だ! と、長い間の夢だった歌手を捨てて俳優になることを夢見るようになりました」と語っていたのを思い出します。
その憧れのチョン・ウソンとの初共演。しかも、チョ・インソンの方がトップに名前の出る主役。どんな思いでいるのかなと、胸の内を聞いてみたいです。(咲)


チョ・インソン2009ファンミーティング
-Thanks a Million〜 感謝を込めて-
http://www.cinemajournal.net/special/2009/joinsung/index.html

2017年/韓国/韓国語/カラー/シネマスコープ/5.1chデジタル
配給:ツイン
公式サイト:http://theking.jp
★2018年3月10日(土)シネマート新宿他、全国順次ロードショー!




posted by sakiko at 14:52| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月07日

エターナル 

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監督:イ・ジュヨン 脚本:イ・ジュヨン
出演:イ・ビョンホン,コン・ヒョジン,アン・ソヒ 他

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エターナル(永遠)の愛を誓う イ・ビョンホン史上最高のラブ・サスペンス
証券会社の支店長カン・ジェフン(イ・ビョンホン)は英語教育のため息子と妻をオーストラリアに留学させ、自身は家族のために仕事に励んでいた。しかし会社が膨大な不良債権を出した末に破綻…お金も地位も人としての信用も失ってしまった。そんな失意の中、家族が暮らすシドニーへと飛ぶ-- シドニーでの妻子の暮らし、隣家のシングル・ファザー親子との親密な姿を目の当たりにしたカンは落胆…そして妻と子の秘密を探り始めるが……

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「10年ぶりに素晴らしい小説を読んだかのような心に深く響く作品」とイ・ビョンホンが惚れこんだ衝撃のシナリオは新人監督イ・ジュヨンがイ・チャンドン監督のもと、八ヶ月間にわたり練り上げたそうです。そして、この物語のキーパーソンには
『新感染 ファイナル・エクスプレス』
http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/453014310.html
で注目を浴びたアン・ソヒさんが好演。オースト・ロケでは過去10年間、撮影が許可されなかった「オペラハウス」内部の撮影(韓国映画初の快挙)なども貴重です。久しぶりにスクリーンでイ・ビョンホン様を拝見しましたがアラ50に見えなーーい!! あいかわらず爽やかイケメンです。 (千)

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(C)2017 WARNER BROS ENT. ALL RIGHT RESERVED
2017/韓国/97min/配給ハーク
公式 http://hark3.com/eternal/
2018年2月16日(金)よりTOHOシネマズ新宿ほか全国順次公開


posted by chie at 00:00| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年02月03日

コンフィデンシャル 共助(英題:Confidential Assignment)

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監督:キム・ソンフン
脚本:ユン・ヒョンホ
出演:ヒョンビン(イム・チョルリョン)、ユ・ヘジン(カン・ジンテ)、キム・ジュヒョク(チャ・ギソク)、イム・ユナ(ミニョン)

北朝鮮のエリート刑事イム・チョルリョンは、任務遂行中に上官チャ・ギソンの裏切りで仲間と妻を殺されてしまった。ギソンは犯罪グループを率いて機密を盗むこの機会を狙っていたのだった。悲しみを胸に秘めて復讐に燃えるチョルリョンは、国家の密命を受け、逃亡したギソンを追って韓国へ入る。異例の要請で“南北共助捜査”を行うことになった韓国側では、庶民派刑事カン・ジンテが選ばれ、にわかバディとなった。タイムリミットは3日間。

『王の涙 イ・サンの決断』(2014)のヒョンビンが北のクールなエリート刑事、どの作品に出演していても印象に残る名脇役ユ・ヘジンが韓国側の熱血刑事。それぞれの思惑があって、最初はぎこちない2人。特にぶつくさ文句を垂れ流すジンテのセリフや行動がいちいち笑いを呼びます。ヒョンビンは今回カーチェイスをはじめ、ロシアの戦闘術“システマ”を駆使した接近戦などこれまでにないハードなアクションシーンを披露しています。身長差もあり、まさに凸凹コンビが次第に心を開いて共闘していく過程にぜひご注目ください。
チョルリョンを裏切る冷徹な上司役キム・ジュヒョクは、この作品で第1回THE SEOUL AWARDSの最優秀助演男優賞を受賞しました。ところがその3日後の2017年10月30日、運転中の心筋梗塞による交通事故のため逝去。享年45歳だったそうです。これからまだまだ活躍できるというのに、本当に惜しいですね。合掌。(白)


2017年/韓国/カラー/シネスコ/125分
配給:ツイン
(C)2017 CJE&M CORPORATION,ALL RIGHTS RESERVED
http://kyojo-movie.jp/
★2018年2月9日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 19:00| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年01月21日

消された女(原題:Insane)

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監督・脚本:イ・チョルハ
撮影:キム・ミン
出演:カン・イェウォン(カン・スア)、イ・サンユン(ナ・ナムス)、チェ・ジノ(ジャン院長)

大都会の白昼、一人で歩いていたカン・スアが何者かに車に押し込められ、拉致された。彼女は患者として精神病院に監禁される。どんな訴えも取り上げてもらえず、病棟での過酷な日々を手帳に記録し始めた。
一年後、テレビプロデューサーのナ・ナムスの元にびっしりと書き込まれた手帳が届いた。精神病院の火災事故のただ一人の生存者であり、警察署長殺害の容疑者カン・スアのものだった。

“精神保健法 24 条”は「保護者2人の同意と精神科専門医1人の診断があれば、患者本人の同意なしに「保護入院」という名の強制入院を実行できる」という法律です。それを悪用して病気でないものが拉致・監禁される事件が多発していました。重要な人権問題だとして製作に入った本作がきっかけになり、2017年4月公開後、興行的にも成功したうえ、この理不尽な法律が広く認知されました。9月には裁判所から“精神保健法 24 条”について「精神疾患患者の強制入院は、本人の同意なければ憲法違反である」との判決が下されました。監督も国会に行ったり証言したりされたそうです。「映画製作者として社会に貢献できて嬉しい」とオフィシャルインタビューで語っています。これからも社会に対して問題提起をするような意味のある作品を作りたいとか。「皆最近はスマホに夢中ですが、もっと周りを見渡して他人を思いやり、なにかあったときには励ましあえるような気持ちを持ってほしい」とイ・チョルハ監督から観客へのメッセージです。(白)

2016年/韓国/カラー/シネスコ/91分
配給:太秦
(C)2016 OAL, ALL RIGHTS RESERVED
http://www.insane-movie.com/
★2018年1月20日(土)より、シネマート新宿・シネマート心斎橋ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 17:54| Comment(0) | 韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする