2014年05月25日

罪の手ざわり   原題:天注定  英題:A TOUCH OF SIN  

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監督・脚本:ジャ・ジャンクー
出演:チャオ・タオ、チャン・ウー、ワン・バオチャン、ルオ・ランシャン

村の共同所有だった炭鉱の利益を独占してしまった同級生の実業家ジャオを訴えると怒る山西省・烏金山(ウージンシャン)の炭鉱夫ダーハイ。ある日、ジャオの手下に襲われたダーハイは、猟銃を手に役人たちのもとへ向かう。

出稼ぎと称して各地で強盗を繰り返し、重慶に残した妻と子に大金を送るチョウ。正月と母親の誕生祝いを兼ねて重慶に帰ってくる。山西省の山奥で自分を襲ってきた3人を殺してしまったことが頭をよぎる。

湖北省・宜昌(イーチャン)、妻帯者の恋人との関係を絶つべきか悩むシャオユー。風俗サウナで受付係として働く彼女は、ある日、男たちに執拗に相手をしろと言われ、思わず持っていたナイフで男を刺してしまう。

広東省の縫製工場で働く青年シャオホイは同僚を怪我させてしまい、高給を稼ごうと転職したナイトクラブでホステスの女性に恋をする。訳ありの彼女との恋に破れ、台湾企業に転職するが低賃金の上、給料日前に親から仕送りの督促が入る。そこへ縫製工場で怪我をさせた同僚が現れる・・・

山西省、重慶市、湖北省、広東省と、広い中国の離れた地で実際に起こった誰もが知る重罪事件を、ジャ・ジャンクー監督は登場人物をみごとに交差させて一つの映画として紡いでいます。
初監督作品『一瞬の夢』以来、現代社会の厳しさの中で生きる庶民の姿を描いてきたジャ・ジャンクー。本作も、その人の置かれた環境が罪を生み出すことをずっしり感じさせてくれました。
『罪の手ざわり』の試写を観たのは、ワン・ビン監督の『収容病棟』を観た直後でした。雲南省の精神病院に収容されている患者たちの姿を捉えたドキュメンタリー。精神異常として収容されている患者の中には、政治的な陳情行為をした人や、「一人っ子政策」に違反した人、宗教的に熱心すぎる人などもいました。
生まれながらの悪人はいません。社会の歪が、罪人や精神異常者を排出していることを強く感じた一日でした。もし私が中国で生まれていたら、とても生き抜けないと思いましたが、きっとどんな環境でも人間はなんとか生きていくのでしょうね。そこでいかにドロップアウトしないで済むかでしょうか・・・ (咲)


第66回カンヌ国際映画祭脚本賞 受賞
2013/中国=日本/129分/R15+
配給:ビターズ・エンド、オフィス北野
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/tumi
2014/5/31(土)より Bunkamuraル・ シネマほか全国順次ロードショー
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2014年03月22日

曹操暗殺 三国志外伝 (原題:銅雀台 英題:THE ASSASSINS)

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監督:チャオ・リンシャン
脚本:ワン・ビン、ワン・ハイリン
撮影:チャオ・シャオティン
美術監督:種田陽平
音楽:梅林茂
出演:チョウ・ユンファ(曹操)、リウ・イーフェイ(霊雎/貂蝉)、玉木宏(穆順)、アレック・スー(献帝)、伊能静(伏皇后)

劉備・孫権に破れた「赤壁の戦い」から12年後。曹操は復活し魏の実権を掌握、銅雀台に君臨していた。
ただの飾りとなってしまった後漢の献帝と彼を支持する人々は憤りを募らせていた。一方、混乱の中で騎馬隊に連れ去られた幼い子供達は、強いものだけが生き残れる過酷な環境で育ち、暗殺者として鍛え上げられていった。穆順(ぼくじゅん)は宦官として、霊雎(れいしょ)は美貌の侍女として、曹操の近くへと送り込まれる。

中国の歴史の一部として、また読み物や芝居として親しまれてきた三国志。冷血な悪役のイメージが強い曹操ですが、知将として人気が高いようです。長身のチョウ・ユンファが豪奢な衣裳をまとうと、辺りを払う貫禄があります。登場人物の多い歴史物は入り組んでわかりにくいことがありますが、本作は曹操にスポットを当て、高みへ上り詰めた人間の厳しさと孤独を垣間見せます。幼馴染として育つ男女に、中国のリウ・イーフェイと日本の玉木宏という意外な組み合わせ。目的を遂行するためにだけ育てられた2人の純粋さを体現して、泥の中に咲く蓮のような気高さがありました。(白)

2012/中国/カラー/108分/シネスコ
配給:アルケミーブラザース
(C)2012 CHANGCHUN FILM STUDIO GROUP CO,LTD.
http://sousouansatsu.com

★3月22日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開
posted by shiraishi at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年03月15日

ドラゴン・コップス-微笑(ほほえみ)捜査線-(原題:不二神探)

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監督:ワン・ジーミン
脚本:チャコール・タン 、チアン・チューヤン
武術指導:コリー・ユン
出演:ジェット・リー(ホアン・フェイホン)、ウェン・ジャン(ワン・プーアル)、ミシェル・チェン(アンジェラ)、リウ・シーシー(リウ・チンシュイ)、リュー・イエン(タイ・イーイー)スティーヴン・フォン(リウ・チュン)、ブルース・リャン(リウ・シン)

香港では不可解な死亡事件が3件連続して起こっていた。原因はそれぞれ異なるものの、どの遺体にも微笑みがうかんでいるのだ。ベテラン刑事のホアンは定年を間近にして株取引に夢中。腕はたつのに難事件に関わらずにすまそうという魂胆。かたや相棒として組まされたワンは気合はあるが、そそっかしくて女に弱い。彼らの上司アンジェラは、年若いキャリア組でこのデコボココンビが頭痛の種だ。この3人が「微笑み死亡事件」の担当となり、4人目の遺体に殺人事件の匂いをかぎつける。調べるうちに、売れない女優のリウ・チンシュイがこの4人の男性と付き合いがあったことがわかった。

『海洋天堂』(2010)の情愛深い親子役で、観客を泣かせたジェット・リーとウェン・ジャンが、今回は刑事コンビ。コリン・チョウ、ウー・ジン、ブルース・リャンとのアクションなど、見せ場たっぷり。このメンツでのバトルが観られるとは!アクションファンなら感涙ものです。
一方、チャラ男プーアルが引き起こす笑わせどころも多いです。『あの頃、君を追いかけた』の高校生役が今も印象に残っているミシェル・チェンも、ワイヤーワークに挑戦、ボケっぷりも可愛く癒し系。NGシーンもありますので、見逃さないよう最後までお席に。(白)
  

2013/中国/カラー/98分/シネスコ 
配給:東京テアトル、ハピネット 
(C)2013 BEIJING ENLIGHT PICTURES CO., LTD.HONG KONG PICTURES INTERNATIONAL LIMITEDALL RIGHTS RESERVED.

http://dragon-cops.com/

★3月21日(金・祝)シネマート六本木、シネマート新宿ほか、全国春休み大公開!
posted by shiraishi at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月09日

『グォさんの仮装大賞』    原題:飛越老人院 (英題:FULL CIRCLE)

監督・脚本:チャン・ヤン (『スパイシー・ラブスープ』『こころの湯』『胡同のひまわり』)
出演:シュイ・ホァンシャン、ウー・ティエンミン、リー・ビン、ワン・ダーシュン、ツァイ・ホンシアン、チャン・フアシュン
 

妻に先立たれたグォさん。妻の連れ子だった息子夫婦との同居は居心地悪く、友人チョウさんの入居している老人ホームで余生を過ごすことに。チョウさんは、老人ホームのリーダー的存在。引き篭りがちの皆の気持ちを盛り立てようと、人気テレビ番組「仮装大賞」への出演を申し込む。皆の猛練習が始まる。けれども、遠く離れた天津での大会に出演するのを、ホームの職員や家族たちは猛反対。なんとか抜け出して行くしかない! おんぼろバスを調達して、元バス運転手だった者の運転で天津を目指す・・・

 

2012年の東京国際映画祭「アジアの風」部門で『老人ホームを飛びだして』のタイトルで日本初上映された作品。その折、最初の30分しか観られず、老人ホームを飛びだす姿をいつか観たいと思っていました。おんぼろバスでモンゴル族の住む草原を抜けて天津に向かって行く一行の姿に大喝采。


グォさん役は、『孔子の教え』で老子を演じたシュイ・ホァンシャン。チョウさん役は、『古井戸』『變臉 この櫂に手をそえて』の監督で俳優としても活躍するウー・ティエンミン、アルツハイマーでチョウさんを夫だと思い込んでいるリー夫人役に、『初恋のきた道』のおばあさん役のリー・ビン。老練俳優たちの名演技にうなります。
guosan.jpg@
 2012 Desen InternationalMedia Co., Ltd

「病院で死にたくない。笑って死にたい」「目標がなくなれば終わり」など、いずれ人生の終末を迎える身に染みる言葉の数々・・・。グォさんの老人ホームの仲間たちは、それぞれに身体が思うように動かなかったり、家族との亀裂など悩みを抱えているけれど、仮装大賞に向かって突き進みます。好きなことをして、いつまでも笑って過ごしたい! ()
 

2012/中国/北京語/104/シネマスコープ/カラー/ドルビーデジタル/

配給:コンテンツ・セブ
 

2014111日シネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次公開!

公式ホームページ http://guosan.jp/

☆公開を前にチャン・ヤン監督から届いたコメント
「両親との関係が良好でなかった私は、家族、特に父子関係について問う作品をつくってきました。しかし彼らが年老いた今、身近な高齢者である両親が何を考えてきたのか、理解したいと強く思うようになってきました。伝統的な家族の形を失いつつある今の中国で、その受け皿である老人ホームは、まだまだその役割を果たせていません。子供と過ごすことを望むお年寄りたちと、個人主義が広がる家族との間には溝が生まれ、孤立したお年寄りの中では孤独死も起きています。だからこそ、彼らの思いに触れたこの作品で、高齢者問題にスポットを当てたいと思いました。」

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楽しいポスターも届きました!



posted by sakiko at 09:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする