2017年01月16日

ブラインド・マッサージ (推拿 Blind Massage)

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監督:ロウ・イエ
原作:ビー・フェイユィ 脚本:マー・インリー 撮影:ツォン・ジエン
音楽:ヨハン・ヨハンソン 編集:コン・ジンレイ 
出演:ホアン・シュアン、チン・ハオ、グオ・シャオトン 他

『スプリング・フィーバー』ロウ・イエ監督の、南京の盲人マッサージ院を舞台にした劇場公開新作。2014年、福岡で開催されたアジアフォーカスでも上映された http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/404154699.html 幼少期に事故に遭い視力を失った青年、目が不自由だが見合いを繰り返す院長、美人すぎる盲人マッサージ師など、様々な視覚障害者の人間模様を描く。目の不自由な人たちにとって美とは?愛とは?生きるとは?

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『スプリング・フィーバー』に比べたら多少明るく思える今回のロウ・イエ作品。とは言え相変わらず暗いし黒いし雨降りシーンが多い…。そのドシャ降りシーンに切なく流れるヨハン・ヨハンソンの音楽が印象的。中国のひとりっこ政策により現在、国内に約1億人いるといわれるセクシャル・マイノリティだが盲人もマイノリティであり、その立場は非常にあやういようだ。しかし、目が見えないからこそ、そのひとの本当がわかると言う。そして日常生活を送り、生きてゆく。障害は先天的なものと後天的な場合とがある。私の母も0歳の時、水の事故で聴覚を失い、右耳が少し聴こえるだけで、ほぼ先天的な障害者。けれども「むしろ、これで充分」だと昔から言っていた。しょうがいとは障害なのか?健常者とは何者を指すのか?聴覚障害者の子どもである私は健常者なのか?私は小さい頃から、このことについてずっと疑問に思っていた。自分の中で答えが見つからないのだ…いまだに…。ヘレン・ケラーの言葉 ”闇は不滅の魂の躍進を阻むものではありません” が思い起こされた。原作も是非読んでみたい。
劇場公開初日にロウ・イエ監督の大ファンを公言しているサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんによるトークショーが約15分ほどあり参加したので、その模様はスタッフBLOGに近々UPします!! (千)


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この作品、曽我部さんが言われるように、「美しいもの」に辿り着くまでが重い…。ひたすら重い…。重すぎて、 目をそむけたい。オラはこんなの見るのヤダ、耐えきれん、どうにかしてっ!と叫んでみてもどうにもならず、見る端から忘れたいのに、なぜ かいつまでも忘れられないような…ホントに嫌になる映画でした。嫌なんだけど、これは大傑作と言われると、「なるほどーそうかーそうかも なーそうなんだべなー、んだんだ、そうにちげえねー」と、潜在意識のほうから認めてしまいそう。そんなに美しくなくてもいいから、こんな につらくなければいいのにー。 (せ)




2014年/中国、フランス/115分/中国語/カラー/1:1.85/DCP
日本語字幕:樋口裕子 配給・宣伝:アップリンク
http://www.uplink.co.jp/blind/
★2017年1月14日より渋谷アップリンク他、全国順次公開





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2017年01月07日

人魚姫(原題:美人魚 Mermaid)

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監督・脚本・製作:チャウ・シンチー
出演:ダン・チャオ(リウ)、リン・ユン(シャンシャン)、キティ・チャン(ルオラン)、ショウ・ルオ(タコ兄)

底辺からのし上がってきた若き実業家のリウは、ルオランに出資させ香港郊外の美しい自然保護区をまんまと買収する。周辺海域の生物を強力なソナーで追い払い、リゾート地にする計画だった。
この海域には古くから人魚族が住んでおり、今は陸上の人間達の引き起こす環境破壊により海を追われ、難破船の中でひっそりと暮らしている。ソナーで傷つき、外海にも出られず、絶滅の危機に瀕した人魚族は、リーダーのタコ兄の指揮のもと、リウの暗殺計画を立てた。まずは人魚のシャンシャンを人間に仕立てて、リウに接近することに成功した。美人だけれど強引なルオランをはじめとした、周りの女達に飽き飽きしていたリウは、純真なシャンシャンに惹かれていく。何度か暗殺のチャンスがあったものの、どうしてもリウを殺す気になれないシャンシャンも自分の気持ちに戸惑っていた。

シャンシャン役はオーディションで12万人の中からチャウ・シンチーに大抜擢された新人女優リン・ユン。天然な笑顔やしぐさが可愛らしく、これにはリウばかりかたいていの男性がコロリと参りそうです。いつものシンチー監督のギャグが炸裂して中国で大ヒット。彼のギャグはちょいと苦手なのですが、タコ兄のリアルな動きと捨て身の演技には、爆笑してしまいました。演じるショウ・ルオは台湾の歌手でもあります。『西遊記 はじまりのはじまり』 (13)では空虚王子役で出演していました。ダン・チャオと一緒にこれからチェックしなくては。
ロマンスだけではなく環境破壊の問題もさりげなく加えて、笑いながらもチクりとささるところも。シンチー監督はいつも奇想天外な設定で楽しませてくれますが、今回もご本人の登場はありません。いつかまた俳優・チャウ・シンチーを観られる日が来るのを心待ちにしています。(白)


2016年/中国・香港合作/カラー/94分
配給:ツイン
(C) 2016 The Star Overseas Limited
http://www.ningyohime-movie.com/
★2017年1月7日(土)東京・シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
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2016年07月23日

ラサへの歩き方〜祈りの2400km 原題 岡仁波斉

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監督・脚本:張楊(チャン・ヤン) 
撮影:郭達明(グオ・ダーミン) 
出演:チベット巡礼の旅をする11人の村人たち

チベット自治区の東の端にあるプラ村から西に1200km先にある聖地ラサを経由して、さらに1200km西のカイラス山まで、2400kmを五体投地で巡礼に出る村人たち。ラサに巡礼したいと思っていたのに行けないまま亡くなった兄。弟のヤンベルは思い残すことなく自分は死ぬ前にラサに行きたいと思う。叔父の思いをかなえようと兄の長男ニマは考えた。それならば私もラサに行きたいと願い出た村人たち。老人、妊婦、そして幼い少女を含め総勢11人で巡礼に。五体投地とは、両手・両膝・額(五体)を地面に投げ伏して祈る、仏教でもっとも丁寧な礼拝の方法で、チベットでは五体投地で礼拝しながら、長い時間をかけて聖地巡礼する人々が今もいる。
プラ村の人たちも、テントやストーブ、寝具や食料を積んだトラクターと共に1年かけて巡礼を続ける。途中、妊婦の出産や、落石で怪我人が出たり、車に追突されてトラクターが壊れてしまうなどの出来事もあったが、そのたびに助け合いながら聖地を目指す。途中で出会う人々との交流、さりげない会話や行動の中から「他者のために祈る」というチベット仏教の考え方を知った。過酷な巡礼の道中、祈り、歩く、テントを張って眠るというシンプルな映像の繰り返しの中から、チベットの人たちの生き方が伝わってくる。実際の村人が自分自身の役を演じ、五体投地で巡礼するドキュドラマ。
『こころの湯』『胡同のひまわり』『帰郷』『グォさんの仮装大賞』の張楊監督が20年来のチベットへのあこがれを映画化した。
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漢族である張楊監督が描いたチベット族の人たちのラサ巡礼。中国政府はチベット族の宗教や習慣、文化へ制約をしているが、一般の国民の中には、張楊監督のようにチベットの文化に興味を持つ人も多い。また、チベットの景色を撮って写真集を出している漢族の写真家もいる。56の民族があるという中国の多様性。
私もいつかラサに行ってみたい(暁)。


まさにドキュメンタリーのようなのに、本作は張楊監督が細部まで書き込んだフィクション。監督が思い描いていた登場人物を、老人から若者、さらに妊婦まで、奇跡的に一つの村の3家族で構成することができたそうです。だから、なおさらドキュメンタリーのように見えるのでしょう。
トラクターが事故で壊れて修理するために車で先のほうに移動した時には、また事故地点まで戻って五体投地を続けます。ズルをすることは、自分の中で許されないこと。
ラサにたどり着いたものの、事故があったりしてカイラスに行くお金がなくなってしまいます。それを知った宿の女主人が自分のかわりに10万回の五体投地をしてくれれば宿代はいらないと言ってくれます。
1991年にラサを訪れたことがあります。大勢の人が祈るチョカン寺で、見よう見真似で五体投地をしてみましたが、地面に身体を投げつけるという祈りの方法は生易しいものではないことを実感しました。それを他人の代わりに10万回! 
そういえば映画を観ていて気になったのが、夜、チョカン寺の正面の祈りを捧げる場が閉ざされていたことです。私が行った時には、広場に面してお寺はオープンで、門などなかったと記憶しています。
ポタラ宮の前も綺麗に整備され、立派なホテルも増え、私が見たラサとはまるで違った姿になっています。鉄道が通じて楽にラサに行けるようになったところで、信心深いチベットの人たちには、それはありがたいことではないでしょう。
大谷寿一監督の『天空の大巡礼を行く』(チベットの東の聖山アムニ・マチェンの12年に一度行われる大巡礼を追ったドキュメンタリー)で、巡礼路の3分の1位に沿うように高速道路を建設中で、チベットの人たちが五体投地で巡礼しているそばで工事が進んでいる様子が映し出されていました。
観光誘致はできるかもしれないけれど、チベットの人たちの心を踏みにじるような開発に胸が痛みます。(咲)

*2016年7月23日〜 シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

配給 ムヴィオラ
115分/中国/2015/COLOR/チベット語/DCP/16:9/ DOLBY 5.1 
 英語題 PATHS OF THE SOUL
公式サイト  www.moviola.jp/lhasa
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2015年08月23日

僕たちの家(うち)に帰ろう   原題:家在水草豊茂的地方 英題:River Road

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監督・脚本・編集・美術:リー・ルイジュン(李睿珺)
出演:タン・ロン(湯龍)、グオ・ソンタオ(郭嵩濤)、バイ・ウェンシン(白文信)、グオ・ジェンミン(郭建民)、マ・シンチュン(馬興春)

中国北西部で暮らすユグル族の兄弟。両親は放牧できる土地を求めて奥地の草原に移住したため、兄バーテルは祖父のもとで暮らし、弟アディカーは学校の寮に住んでいる。夏休み、父親が迎えにこないため、二人は駱駝に乗って奥地の草原を目指す。兄は弟が母親の愛情を独占していると思い、弟はいつも兄のお下がりばかり着せられていると、お互い嫉妬心で仲が悪い。父から川に沿ってくればいいと教わっていたが、目印のはずの川が干上がってしまっている・・・・

2014年の東京国際映画祭で『遥かなる家』のタイトルで上映された作品。コンペティションの中で一番気に入った作品で、嬉しい公開となりました。
『家在水草豊茂的地方(我が家は水草茂るところにある)』という原題には、近代化で喪失した自然への思いを込めたそうです。
厳しい自然の中で、仲の悪かった兄弟が次第に分かち合えるようになる姿も見どころです。
記者会見で、監督にユグル族について伺ったところ、監督より「9世紀には河西回廊に強大なウィグル王国がありました。多くがイスラーム化した中、仏教を守った人たちがユグル族。今は、1万4千人しかいません。90%が自分たちの言葉である突厥語をしゃべれません。できるだけ言葉を入れようと私も勉強しました。私が言葉や駱駝の乗り方を教えないといけない状況でした。彼らの文化を映画に残したいと思いました」との説明がありました。
漢字で書いた場合、ユグルもウィグルも同じと聞きました。私にとっては、イスラーム化しないで仏教を守ってきた人たちが少数ながらいることを知り驚きました。
近代化や政権の都合で、自然も伝統文化もないがしろにされてきたことを憂うばかりです。
今からでも遅くない、わずかに残された伝統を守りつつ、近代化をはかってほしいものだと思います。(咲)


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製作スタッフ 右から2番目リー・ルイジュン(李睿珺)監督、3番目ファン・リー(方励)プロデューサー(2010東京国際映画祭にて 撮影:宮崎暁美) 

2014年/中国/テュルク語、北京語/103分/カラ―
配給・宣伝:マジックアワー
公式サイト:http://www.magichour.co.jp/uchi/
★2015年8月29日(土) シアター・イメージフォーラム他全国順次ロードショー
posted by sakiko at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月21日

20歳よ、もう一度   原題:重返20岁

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監督:レスト・チェン(『花蓮の夏』)
出演:ヤン・ズーシャン(『So Young 〜過ぎ去りし青春に捧ぐ〜』)、グァ・アーレイ(『ウェディング・バンケット』)、チェン・ボーリン(『台北に舞う雪』)、ルハン

70歳になるモンジュン(グァ・アーレイ)は、大学教授の息子と、プロのミュージシャンを目指す孫のチェンチン(ルハン)には甘いが、ほかの家族には口うるさい頑固なおばあちゃん。そのせいで嫁が倒れて入院してしまう。困った家族がモンジュンを老人ホームに入れようと相談しているのを知って、家を飛び出す。通りがかった写真館に飾られている写真に惹きつけられて中に入り、「一番綺麗だった頃を思い出して」と言われ写真を撮ってもらうと、なんと、そこには20歳の頃の自分がいた。人生をやり直そうと、名前もテレサ(ヤン・ズーシャン)と変える。
ある日、老人の集う馴染みのカフェで熱唱していたら、居合わせた音楽プロデューサーの ズーミン(チェン・ボーリン)に見込まれ、ちょうどボーカルがいなくて困っていた孫のチェンチンのバンドに加わることになる・・・

おばあちゃんが、突然20歳に!  
記憶にも新しい韓国映画『怪しい彼女』(2014年)と同じシチュエーション。
中国テイストでリメイクした本作、グァ・アーレイ演じるおばあちゃんは、なかなか上品。『怪しい彼女』のナ・ムニ演じる、いかにもの意地悪ばあさんとは一味違います。
シム・ウンギョンが20歳なのに、実は70歳という役を、歩く後姿で見事に体現していましたが、本作のヤン・ズーシャンはいかに? 
つい『怪しい彼女』と比べてしまいますが、なにより嬉しかったのは、チェン・ボーリンの登壇でしょうか・・・ 若い人には、韓国と中国で活躍する男性グループ「EXO(エクソ)」の元メンバー、ルハンの方ですね。
さて、私が今、20歳に逆戻りしたら、まず一番に何をしようかな・・・ (咲)



配給:CJ Entertainment Japan 
2015年/中国/132分
公式サイト: 20again-movie.jp 
★2015年6月12日(金)よりTOHOシネマズ新宿にて先行公開、6月19日 (金)より TOHOシネマズ日本橋その他で全国ロードショー
posted by sakiko at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする