2017年06月11日

レイルロード・タイガー(原題:鉄道飛虎 Railroad Tigers)

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監督・脚本:ディン・シェン
出演:ジャッキー・チェン(マー・ユェン)、ホアン・ズータオ(ダーハイ)、ワン・カイ(ファン・チュアン)、ワン・ダールー(ダーグォ)、ジェイシー・チェン(ルイ)、池内博之(山口)

1941年、第2次世界大戦下の中国。マー・ユェンは鉄道の仕事をしながら、仲間たちとしばしば日本軍の物資を盗み出していた。日本軍にはゲリラ隊「レイルロード・タイガース」と知られていたがまだ尻尾をつかませず、うまく立ち回って妨害していた。日本軍との攻防で辛くも生き残った中国軍の若い兵士ダーグォを助けたマーは、ダーグォがしかけようとしていた鉄橋の爆破計画を知る。仲間たちとダーグォの遺志を継ごうとするが、日本軍の指揮官山口らが立ちはだかり、決死の闘いを繰り広げる。

監督・脚本のディン・シェンはジャッキーと『ラスト・ソルジャー』 (2010)『ポリス・ストーリー/レジェンド』 (2013)、本作と合作が続いています。今回は武術の達人でも警察官でもない、普通の男でいなければならなかったので逆に大変だったかも。列車の内外でのアクションは相変わらず凄いです。何事もよく気がつくジャッキーのことだから、主演だけでなくスタント・チームや若い俳優への気配りもきっとしたはず。
ジャッキーの実子のジェイシー・チェンのほか注目の若手がたくさん出演しています。人気K-POPグループ「EXO」の元メンバー、ホアン・ズータオは元仕立て屋のダーハイ。武器はハサミ。中国兵役のワン・ダールーは読み方が違いますが、『私の少女時代』(2016/台湾)のダレン・ワンです。ラストにも特別出演の人がいますので、お見逃しなく!池内博之は『イップ・マン 序章』(2011)『スイートハートチョコレート』(2016)と中国作品に登場しています。2018年に公開の『追捕 MANHUNT』(ジョン・ウー監督)にも出演するとか。
「鉄道飛虎」で動画サイトを検索すると、ジャッキーと若手俳優たちが主題歌を歌っているようすが見られます。楽しそう。(白)


2016年/中国/カラー/シネスコ/124分
配給:プレシディオ
(C)2016 BEIJING SPARKLE ROLL MEDIA CORPORATION SHANGHAI FILM GROUP CO., LTD. BEIJING GOING ZOOM MEDIA CO., LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
http://railroadtiger-movie.jp/
★2017年6月16日(金)運行開始!
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2017年04月23日

イップ・マン 継承(原題:葉問3)

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監督:ウィルソン・イップ
脚本:エドモンド・ウォン
撮影:ツェー・チュントー
アクション監督:ユエン・ウーピン
音楽:川井憲次
出演:ドニー・イェン(イップ・マン)、リン・ホン(ウィンシン)、マックス・チャン(チョン・ティンチ)、マイク・タイソン(フランク)、パトリック・タム(サン)、ケント・チェン(ポー)、チャン・クォックワン(ブルース・リー)

1959年の香港。イップ・マンは愛妻と小学生の息子とこの街に暮らし、“詠春拳”の普及に力を注いでいる。気がかりなのは妻の体調が思わしくないこと。
好景気に沸く中、悪徳不動産業者が小学校の土地に目を付け、いやがらせを繰り返していた。裏社会を牛耳っている不動産王フランクが、立ち退かせようと手をまわしていたのだった。イップ・マンは街と妻子を守るために、人々と共に立ち向かうのだが。

『イップ・マン 序章』(2008)『イップ・マン 葉問』 (2010)に次ぐ第三弾。どちらもウィルソン・イップ監督。日本では2010年の東京国際映画祭で2本同時に上映されましたが、一般公開は順序が逆になりました。
2010年11月『イップ・マン 葉問』公開時に行われた「『イップ・マン 葉問』〜ブルース・リー誕生日記念イベント〜」のレポがこちらに。
第3弾の本作は香港の生活になじんだイップ・マンが、悪徳不動産業者と戦いますが、それがマイク・タイソンとは、びっくりしました。どういういきさつでこのキャスティングだったのか?!商売では冷酷でも自分の家族には良き父親で、闘いでは潔いところがあるなかなかいい設定でした。ドニーさんのイップ・マンは端正で愛妻家、俺様なところが微塵もなくて女子からの好感度高いです。
『グランド・マスター』(2012年/ウォン・カーウァイ監督)の目の覚めるようなアクションで一躍有名になったマックス・チャンが父兄の一人で登場します。いろいろとありましてイップ・マンと一線交えることになり、それが超重量級のタイソン戦とはまた違う見どころ。マックス・チャンはユエン・ウーピンの「袁家班(ユエン・アクションチーム)」に20代から所属していて、スタントやアクション指導を長く勤めていた人。奥様が香港のスター、エイダ・チョイ(蔡少芬)、第33回香港電影金像奨で助演男優賞を受賞したとき、彼が無名のころから支え続けた夫人の嬉し涙にくれる様子が映っています。本人も涙をこらえつつ挨拶(動画サイトで検索を)。主人公の敵役で腕はたつが冷酷、という役がこれまで多かったのですが、笑顔全開のいい役もたまには振ってほしいものです。
パトリック・タムのチンピラぶりと、お約束のブルース・リーの登場シーンもお見逃しなく。(白)


2015年/中国・香港合作/カラー/シネスコ/105分
配給:ギャガ・プラス
(C)2015 Pegasus Motion Pictures (Hong Kong) Ltd. All Rights Reserved.
http://gaga.ne.jp/ipman3/
★2017年4月22日(土)新宿武蔵野館 ほか 全国順次ロードショー
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2017年04月16日

草原の河  原題:河   英題:River

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監督・脚本:ソンタルジャ
出演:ヤンチェン・ラモ、ルンゼン・ドルマ、グル・ツェテン

広大なチベット高原で暮らす6歳の少女ヤンチェン・ラモ。春のはじめ、父グルのバイクの後ろに乗って、祖父に会いに行く。祖父は村から離れた洞窟に篭って仏教の修行をしていて、村人から行者さまと呼ばれ尊敬されている。でも、父は4年前の出来事が許せないと言って会いたがらない。重い腰をあげて出かけたが、凍った河を走って氷が割れてお見舞いの品が水浸しになってしまう。手ぶらでは会えないという父の頼みで、ヤンチェンは一人で祖父に会いにいく。
ある日、母羊が狼に襲われる。遺された子羊にジャチャと名づけて母親代わりをするヤンチェン。一方、母のお腹に赤ちゃんが宿ったことを知ったヤンチェンは、お母さんを独占できなくなってしまうと面白くない・・・

海抜3000メートルを越える厳しい自然環境の中で半農半牧の暮らしを営むチベットの家族の物語。
少女ヤンチェン・ラモの仕草が、とにかく可愛い。子羊に、「ジャチャ、ジャチャ」と呼びかけながらミルクをあげるところなど絶品。上海国際映画祭2015で最優秀女優賞を受賞しています。
実は、彼女ありきで出来たのが本作。ソンタルジャ監督が、初監督作品『陽に灼けた道』(2011年)発表後、次は子どもが主人公の映画を撮りたいと考えていた時に、故郷の青海省同徳県で出会ったのが遠い親戚であるヤンチェン・ラモ。彼女を軸に、映画を撮りながら脚本を書いたそうです。
子羊や生まれてくる赤ちゃんへのヤンチェンの思いだけでは物足りないと登場させたのがお祖父さん。文革で一度僧衣を脱いだけれど、改革解放の時代になって、再び僧衣を着て修行をしているという人物。ヤンチェンの家を訪ねてくる母方のおじさんも、文革前にはお祖父さんと同じお寺で学んでいた設定で、かつては一家に一人はお寺で修行していたことを思い起こしました。
撮影も、ヤンチェン・ラモの実際の家族の牧草地やテント、監督の実家などで行っています。チベット人であるソンタルジャ監督だからこそ描けた、チベットの人たちのリアルな姿。変わりゆくチベットの人たちの暮らしを映画に留めた意義は大きいと思います。(咲)


2015年、第28回東京国際映画祭のワールド・フォーカス部門で『河』のタイトルで上映。
チベット人監督作品として、日本で初めて劇場公開される映画。

『草原の河』公開記念 二つのイベント
http://www.tufs.ac.jp/event/tufs_cinema_20170405.html

◆TUFS Cinema チベット映画特集(@東京外大府中キャンパス)
2017年4月15日(土)12:30〜 
『ティメー・クンデンを探して』 『オールド・ドッグ』
いずれも監督:ペマ・ツェテン、撮影:ソンタルジャ

2017年4月22日(土)12:30〜
『チベット牧畜民の一日』撮影:カシャムジャ
『陽に灼けた道』監督:ソンタルジャ
トークイベント(1作目上映後)
「東北チベットの暮らしとソンタルジャの世界」
三浦順子(翻訳家)×星泉(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
司会:武井みゆき(映画配給会社ムヴィオラ代表)

◆『草原の河』公開記念チベット映画傑作選〜ソンタルジャとの出会い〜
@大阪第七藝術劇場
5月6日(土)〜12日(金)

2015年/中国/チベット語/98分/DCP/ヴィスタサイズ
配給:ムヴィオラ
公式ページ:http://moviola.jp/kawa/
★2017年4月29日(土) 岩波ホール他全国順次公開
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2017年04月09日

グレートウォール(原題:長城/英語題:The Great Wall)

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監督:チャン・イーモウ
脚本:カルロ・バーナード、ダグ・ミロ、トニー・ギルロイ
出演:マット・デイモン(ウィリアム・ガリン)、ジン・ティエン(リン・メイ司令官)、ペドロ・パスカル(ペロ・トバール)、ウィレム・デフォー(バラード)、アンディ・ラウ(ワン軍師)、ルハン(ホン・ヨン)、チャン・ハンユー(シャオ将軍)、エディ・ポン(ウー司令官)、ケニー・リン(チェン司令官)、ホアン・シェン(ドン司令官)、ワン・ジュンカイ(皇帝)、チーニー・チェン(皇帝警備)、チェン・カイ(シェン特使)

シルクロードを旅する傭兵のウィリアム一行は金品を狙う馬賊に遭遇。数名が逃げ出せたが洞窟で未知の獣に襲われ、生き残ったのはウィリアムとトバールだけとなった。ウィリアムが切り落とした獣の手首を持って逃げた先には見たこともないほど巨大で果てのない城壁があった。甲冑に身を固めた兵士に囲まれ、武器を捨てて中に入った二人は、この城壁が外敵から首都を守るために築かれた強固な要塞と知る。敵とは古くから60年に一度現れる伝説の怪物「饕餮(とうてつ)」、ウィリアムが戦った獣だった。

人類史上最大の建造物「万里の長城」は21196,18km。建造に費やした年数1700年。数多くの伝説に彩られている。ハリウッドの脚本でチャン・イーモウがメガホンを取ったこの作品は、宋の時代を想定したファンタジー色の濃いものです。製作費は150億円! 圧倒的な数と力を誇る敵に命を惜しまず身を捧げる禁軍の戦士と、自分の金と名声のためだけに生きて来た西洋の傭兵の出会いから始まります。
まず目を奪われるのが壮大な長城。ハリウッド式の外壁を作ってそれと見せるものでなく、レンガと石と土で作られたというのに恐れ入りました。きりりとしたリン司令官の指揮のもと女性兵士が戦うのも珍しく、戦闘ゲームの登場人物が生身でいる感覚です。しかしきりなく襲撃してくる「饕餮(とうてつ)」相手では、人間の被害が大きすぎます。あれは絵的には美しくても戦術的にはまずくないか?と思ってしまいました。
中華圏で人気の若手俳優たち、ルハン、ホアン・シェン、エディ・ポン、チーニー・チェン、ケニー・リンらが出演していますが、凛々しい甲冑姿です。軍隊ごとに5色に分けられた兵士たちの武具や衣装は、一時停止してじっくり見たくなるような美しく手の込んだものでした。
『インファナル・アフェア』シリーズのアンディ・ラウと、それを基に作られた『ディパーテッド』のマット・デイモン、共に警察に潜入したマフィアの男を演じた二人が共演したのも興味深いところです。現場では冗談を言い合ったとか。マットは弓の名手役のため猛特訓、アンディは軍師役なのでアクション場面は多くありませんが、かなり多い英語のセリフを感情こめて言えるように練習を重ねたそうです。
3Dではいろんなものがガンガン飛んできますので、心して観るのをお勧めします。(白)


2017年/中国、アメリカ合作/カラー/シネスコ/103分
配給:東宝東和
(C)Universal Pictures
http://greatwall-movie.jp/
★2017年4月14日(土)よりロードショー
posted by shiraishi at 20:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月16日

ブラインド・マッサージ  (推拿 Blind Massage)

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監督:ロウ・イエ
原作:ビー・フェイユィ 脚本:マー・インリー 撮影:ツォン・ジエン
音楽:ヨハン・ヨハンソン 編集:コン・ジンレイ 
出演:ホアン・シュアン、チン・ハオ、グオ・シャオトン 他

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『スプリング・フィーバー』ロウ・イエ監督の、南京の盲人マッサージ院を舞台にした劇場公開新作。2014年、福岡で開催されたアジアフォーカスでも上映された http://cinemajournal-review.seesaa.net/article/404154699.html 幼少期に事故に遭い視力を失った青年、目が不自由だが見合いを繰り返す院長、美人すぎる盲人マッサージ師など、様々な視覚障害者の人間模様を描く。目の不自由な人たちにとって美とは?愛とは?生きるとは?

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『スプリング・フィーバー』に比べたら多少明るく思える今回のロウ・イエ作品。とは言え相変わらず暗いし黒いし雨降りシーンが多い…。そのドシャ降りシーンに切なく流れるヨハン・ヨハンソンの音楽が印象的。中国のひとりっこ政策により現在、国内に約1億人いるといわれるセクシャル・マイノリティだが盲人もマイノリティであり、その立場は非常にあやういようだ。しかし、目が見えないからこそ、そのひとの本当がわかると言う。そして日常生活を送り、生きてゆく。障害は先天的なものと後天的な場合とがある。私の母も0歳の時、水の事故で聴覚を失い、右耳が少し聴こえるだけで、ほぼ先天的な障害者。けれども「むしろ、これで充分」だと昔から言っていた。しょうがいとは障害なのか?健常者とは何者を指すのか?聴覚障害者の子どもである私は健常者なのか?私は小さい頃から、このことについてずっと疑問に思っていた。自分の中で答えが見つからないのだ…いまだに…。ヘレン・ケラーの言葉 ”闇は不滅の魂の躍進を阻むものではありません” が思い起こされた。原作も是非読んでみたい。劇場公開初日にロウ・イエ監督の大ファンを公言しているサニーデイ・サービスの曽我部恵一さんによるトークショーが約15分ほどあり、そのレポートはスタッフBLOGに近々UPします!! (千)


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この作品、曽我部さんが言われるように、「美しいもの」に辿り着くまでが重い…。ひたすら重い…。重すぎて、 目をそむけたい。オラはこんなの見るのヤダ、耐えきれん、どうにかしてっ!と叫んでみてもどうにもならず、見る端から忘れたいのに、なぜ かいつまでも忘れられないような…ホントに嫌になる映画でした。嫌なんだけど、これは大傑作と言われると、「なるほどーそうかーそうかも なーそうなんだべなー、んだんだ、そうにちげえねー」と、潜在意識のほうから認めてしまいそう。そんなに美しくなくてもいいから、こんな につらくなければいいのにー。 (せ)




2014年/中国、フランス/115分/中国語/カラー/1:1.85/DCP
日本語字幕:樋口裕子 配給・宣伝:アップリンク
公式サイト http://www.uplink.co.jp/blind/
★2017年1月14日より渋谷アップリンクほか全国順次公開





posted by chie at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする