監督/脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勳)
出演:リン・メイシウ(林美秀)、トニー・ヤン(楊祐寧)、キミ・シア(夏于喬)
かつて台湾では、祝いごとがあると屋外で宴が開かれ、総舗師(ツォンポーサイ)と呼ばれる宴席料理人が腕を振るったものだった。20年前、台湾には北部の「人」、中部の「鬼」、南部の「神」と呼ばれた3人の伝説の料理人がいた。
神と称された蝿師を父に持つシャオワン(キミ・シア)は、モデルを夢見て台北に行ったが、恋人の借金を抱えて追い出されるように帰郷。父亡き後、継母の経営する食堂は閑古鳥が鳴いていた。旅する料理ドクター、ルーハイ(トニー・ヤン)の手助けで持ち直す。
ある日、50年越しの初恋を実らせた老カップルが訪ねてくる。出会った時の宴会料理で結婚披露宴を開きたいというのだ。なんとか彼らの願いを叶えたいと思うシャオワンだが、料理は初心者。亡父のレシピを頼りに全国宴席料理大会に挑む決意をする。賞金で借金を返したいという思いもあった。借金取りまでをも助っ人にするが、さてはて、優勝することはできるのか・・・
冒頭に出てくる素朴な壁画に惹きこまれました。監督に伺ったら、洪通(ホントン)さんという素人の方の民画が好きで、その画風を真似て美術担当に描いてもらったものとのこと。
『熱帯魚』(95)『ラブゴーゴー』(97)で世を沸かせたチェン・ユーシュン監督の16年ぶりの長編映画。前2作では、いわゆる美男美女が出て来ませんでしたが、今回の主演二人は違います。料理中でも、取材が入るというと化粧直しに余念のないシャオワンが、とってもキュート。♪ドソラシファ・・・と、ギター片手に歌う料理ドクターのルーハイは、これまでのトニー・ヤンのイメージを崩す2枚目半ですが、やっぱり美男です。
太っちょの継母が廟の前で客引きのために踊ったり、ウー・ニエンチェン監督が演じるホームレスがありあわせの材料で見事な料理を作ったりするなど、楽しい場面満載の作品。
そして、宴席料理大会で思い出したのが、レスリー・チャン主演の『金玉満堂〜決戦!炎の料理人』。テイストはもちろん違うのですが、最後の最後まで、どちらが勝つかハラハラドキドキは同じでした。(咲)
特別記事 『祝宴!シェフ』チェン・ユーシュン監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2014/shukuen/index.html
配給:クロックワークス
日本語字幕:鮑智行
後援:台北駐日経済文化代表処
2013年/台湾/145分/中国語、台湾語/カラー/スコープ/DCP5.1ch
公式サイト:http://shukuen-chef.com
★2014年11月1日(土)シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー