2015年02月16日

スペシャルID 特殊身分(原題:特殊身分 Special ID)

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監督:クラレンス・フォク
製作:ドニー・イェン、ピーター・パウ
撮影:ピーター・パウ
アクション監督:ドニー・イェン
スタントコーディネイター:谷垣健治
出演:ドニー・イェン(チェン・チーロン)、アンディ・オン(ルオ・ジーウェイ、サニー)、ロナルド・チェン(チャン警部)、コリン・チョウ(ホン)、ジン・ティエン(ファン・ジン)、テレンス・イン(テリー)、パウ・ヘイチン(エイミー)

警官のロンはケンカっ早いため上層部のウケが悪く、チャン警部の「警察に残りたいならこれをするしかない」と勧められ、しぶしぶヤクザ組織の潜入捜査官となった。それから8年、ボスのホンに信頼され、取引の情報が得られるまでになっていた。警察に戻れるのもあとわずかの辛抱と思った矢先、兄弟分のサニーの裏切りにより仲間が殺され、ホンからサニーを探すように命じられる。同時にチャン警部からも「特殊身分」として、女性刑事ジンと協力するようにと要請があった。

『ワンス・アポン・ア・タイム 天地大乱』(1992年)で、ジェット・リーとの対決に目を見張ったのが最初のドニー体験でした。以来、俳優としてアクション監督として名を馳せてきたドニーさんを注目してきましたが、久しぶりの現代劇です。
香港映画にはよくある潜入捜査官というロンですが、『インファナル・アフェア』シリーズのトニー・レオンのように深刻に悩むでもなく、もう一つの身分を楽しんでいるように見えます。しかし母親(パウ・ヘイチン)には内緒にしている孝行息子。お2人親子ほどの年齢差はないのですが、きっとドニーさんが実年齢より若い設定なのでしょう。
アンディ・オンとの長いガチバトルが終盤の見せ場ですが、ドニーさんらしくものすごくこだわり、時間をかけて撮ったそうです。アクションコーディネイターをつとめた谷垣健治さんによると、高速道路脇の建物の工事が進んでいっているのだとか。試写のときはアクションに釘付けでそちらには目がいきませんでした。これからご覧になる方は、背景にもちょっとだけ目をやってみてください。試写は来なかったですが、『アイスマン』3月、『モンキー・マジック 孫悟空誕生』が5月上映と主演作が続きます。(白)


2013年/中国・香港/カラー/シネスコ/99分
配給:彩プロ
(C)2013 Beijing Starlit Film and TV Culture Ltd.co.
http://www.specialid.ayapro.ne.jp/
★2015年2月21日(土)より新宿武蔵野館 他にて全国順次公開
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2015年02月15日

クリミナル・アフェア 魔警(原題:魔警)

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監督・原案・脚本:ダンテ・ラム
撮影:ケニー・ツェー
出演:ダニエル・ウー(デイブ・ウォン)、ニック・チョン(ホン・コン)、アンディ・オン(ペン・チャン)、リウ・カイチー(マン)

正義感の強い警官デイブが救急病院内の派出所に一人勤務していたとき、腹に重傷を負ってやってきた男がいた。同じ血液型だったため、輸血に応じ、男は命を取り留める。男を追ってきた香港警察特捜部によると、男は凶悪な強盗集団の一人、ホンだった。まだ誰とも知れない怪我人を見殺しにはできなかったデイブだが、仲間を殺された特捜部にホンを助けたことをとがめられる。

香港の俳優で警官姿が似合うのは…アンディ・ラウとダニエル・ウーという人が多いのではないでしょうか?この作品ではすがすがしい制服姿を見せるものの、ホンに遭遇したことで、蓋をしていた過去の闇にとらわれていく辛い役回り。かたやニック・チョンは公開されたばかりの『激戦 ハート・オブ・ファイト』(これもダンテ・ラム監督)のファイとは全く違う、憎憎しいキャラです。ダンテ・ラム監督お得意のひとくくりにできない善悪の攻防が展開されていく、心理サスペンスの色濃い見ごたえある作品。(白)

2014年/中国・香港/カラー/111分
配給:フリーマン・オフィス
(C)2014 Emperor Film Production Company Limited
http://cmaf-makei.jp/
★2015年2月14日(土)より、シネマート六本木ほかにて全国順次公開
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2015年01月29日

激戦 ハート・オブ・ファイト(原題:激戦 Unbeatable)

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監督・原案:ダンテ・ラム
出演:ニック・チョン(ファイ)、エディ・ポン(スーチー)、メイ・ティン(クワン)、ワン・バオ(チャ)、クリスタル・リー(シウタン)

ボクシング界でチャンピオンまで上り詰めながら、八百長に関与したと栄光の座から転落したファイ。借金取りに追われた挙句マカオへと逃げ、ジムの下働きにありついた。ファイが間借りしているのは、娘と2人暮らしのクワンの家。クワンは不注意から幼い息子を亡くし、夫から捨てられて心身が不安定になった女だった。小学生のシウタンはそんな母親を支えて暮らしている。日雇いのスーチーは元は資産家の御曹司だったが、父が破産して激変した生活から抜け出そうともがいている。MMM(総合格闘技)の高額な賞金を知ったスーチーは、再起をかけようとファイの働くジムを訪れる。

心も暮らしもどん底のファイとクワンとスーチーの3人。這い上がろうとするスーチーに手を貸したファイも、激しい特訓をしながら甦っていく。心が壊れたままに見えたクワンも、娘が懐くファイに信頼を寄せ、わずかずつ笑顔を取り戻す…と話は進み、お約束のように試練がやってきます。
ダンテ・ラム監督といえば警察・黒社会・銃撃・アクションと浮かんできますが、この作品は人間ドラマに重きが置かれています。それに加えてニック・チョンとエディ・ポンの鍛え上げた身体と、特訓を重ねたという格闘技に目を見張りました。
2013年の東京国際映画祭でいちはやく上映、公開までしばらくかかってしまいましたが忘れっぽい筆者にも強い印象を残しています。香港でも大ヒットし、「香港電影金像奨」ではニック・チョンが主演男優賞を受賞しています。授賞式の記事はこちら。(白)

大規模カジノや高層ビルが林立して、すっかり様相の変わってしまったマカオですが、ファイが身を寄せたアパートは、古びた一角。椰子の木並木のある昔ながらの面影を残す海沿いをジョギングしている場面もありました。
ボクシングや総合格闘技ときいて、ちょっと引いてしまったのですが、ニック・チョンが金像奨で主演男優賞を取ったとあっては逃せない!と観てみました。心に傷を負った男二人と母娘が心を通い合わせていく素敵な物語でした。サイモン&ガーファンクルの「サウンド・オブ・サイレンス」をポーランドのアニア・ダブロウスカがカヴァーした曲がしみじみと心に響きます。格闘技が苦手な方にもお勧めです。(咲)


2013年/中国・香港/カラー/116分
配給:カルチュア・パブリッシャーズ、ブロードメディア・スタジオ
(C)2013 Bona Entertainment Company Limited All Rights Reserved.
http://gekisen-movie.jp/

★2015年1月24日(土)より新宿武蔵野館ほかにて新春第2弾ロードショー
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2014年10月05日

ファイアー・レスキュー(原題:救火英雄 英題:As the Light Goes out)

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監督:デレク・クォック
脚本:デレク・クォック、ジル・レオン、フィリップ・ユン
撮影:ジェイソン・クワン
音楽:テディ・ロビン、トミー・ワイ
出演:ニコラス・ツェー(ホー・ウィンサム大隊長)、ショーン・ユー(ヤウ・ボンチウ隊長)、サイモン・ヤム(リー・プイトウ監督)、フー・ジュン(ホイ・ヨン隊員)、バイ・ビン(ヤン・リン/発電所パイプライン技師)、アンディ・オン(イップ・チーファイ署長)、ウィリアム・チャン(チョン・マンキン隊員)、リウ・カイチー(タム・チーコン消防本部長)、アンドリュー・ラウ(消防庁長官)、ジャッキー・チェン(CMのスター)

消防隊員のホー、ヤウ、イップの3人は火事現場で命令に従わなかったため負傷し、諮問委員会にかけられる。ヤウ1人が責任を負う形になり昇進が遅れてしまった。1年後イップ署長の下で働いていたホーは栄転が決まり、最後の1日を努めるはずだった。醸造酢を作る工場で火災が起き、鎮火させて撤退する寸前、ホーは近くにある発電所に繋がる天然ガスパイプに気づく。地熱が下がっていないため2次災害を警戒するよう進言するが、上官の視察予定で頭が一杯のイップは取り合わない。悪い予感が的中し、夜になってガスパイプの火災が発生する。瞬くまに発電所も火に包まれ、香港の街では大停電が起きてしまった。

ガスや水、電気が供給されて当たり前の日常に慣れてしまうと、ないときにどうなるのか想像力が追いつきません。災害を伴ってやってくるとなおさらのこと。災害が起こったときに対処してくれるプロの人の存在にやっと気づくのもそんなときです。
この作品には、仕事の上でありがちな上下の問題も挿入されますが、メインはまさに命がけで火の中に飛び込む人々の活躍。演じる香港の人気スターたちが、みないい顔をしていて頼もしい限りです。
大きな制作費をかけたこの作品に采配を振るったのが、『燃えよ!じじぃドラゴン 龍虎激闘』でも注目されたデレク・クォック監督というのもまた嬉しいです。07年の『野・良犬』でアジア海洋映画祭に参加したときに、インタビューさせていただいたのでした。丁寧に答えてくださったのを思い出します。(白)


2013年/中国・香港合作/カラー/116分/スコープサイズ
配給:フリーマン・オフィス
(c)2013 Emperor Film Production Company Limited Media Asia Film International Limited All Rights Reserved
http://www.fire-r.jp/
★2014年10月11日(土)りシネマート六本木、シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
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2014年09月28日

レクイエム 最後の銃弾(原題:掃毒 英題:The White Storm)

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監督:ベニー・チャン
出演:ラウ・チンワン(マー・ホーティン)、ルイス・クー(ソー・ギンチャウ)、ニック・チョン(チョン・チーワイ)、ロー・ホイパン(ブッダ)、ヨランダ・ユアン(チャウの妻)、ベン・ラム(ハク)

麻薬取締官のティン、チャウ、ワイは幼馴染でそろって警官になり、今も親友だ。チャウは仕事とはいえ家庭を犠牲にしてハクの組織に潜入している。外してもらいたいのだがなかなか叶わない。ハクの信頼を得たチャウはタイの麻薬王ブッダとの取引の情報を手に入れ、3人はタイ警察の協力のもと現場に向かう。しかし内通者の通報で、ブッダは傭兵と大型ヘリを用意していた。警察側は壊滅的な打撃を受け、3人はブッダの娘を人質に逃げるも追い詰められてしまう。交換条件で苦渋の選択をしたティンとチャウは、生き残ったもののワイを見殺しにしてしまった。そして5年の月日が流れた。

ベニー・チャン監督が、香港映画界を牽引する3人を存分に活躍させ「こんな映画が観たかった!」と拍手したくなるような作品を送り出しました。息もつかせないアクション、カーチェイス、怒涛のクライマックス場面はもちろんいいのですが、何よりもこの3人の交情にぐっとつかまれるのです。21世紀版『男たちの挽歌』と配給の筒井さんが力説していたのがよ〜くわかりました。
ティンとチャウはそれぞれ、ワイの母親を見舞い、年取った母親は息子だと思っています。病院での場面には涙。3人が子どものころ夢中でみたテレビドラマの主題歌「誓要入刀山」を歌う場面があり、調べたら1978年の「陸小鳳之武當之戰」で、鄭少秋(アダム・チェン)が歌っていました。まあ懐かしい。youtubeで見つかります。
ラウ・チンワンは知り始めのとき、すでに名優でしたが、あんちゃんタイプだったルイス・クーやニック・チョンがすっかりいい俳優になって…と自分の香港ファン歴も長くなったと遠い目になるのでした。興行成績が良ければ続集ができると監督が芸能ニュースで答えているのを観ましたので、期待しています。(白)


2013年/中国=香港合作/カラー/134分/
配給:フリーマン・オフィス
(c)2013 Universe Entertainment Ltd. All Rights Reserved.
http://requiem-hknr.jp/

★2014年10月4日(土)よりシネマート新宿、シネマート心斎橋ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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