2018年11月04日

スマホを落としただけなのに

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監督:中田秀夫
原作:志駕晃『スマホを落としただけなのに」(宝島社文庫)
主題歌:ポルカドットスティングレイ「ヒミツ」(UNIVERSAL SIGMA)
出演:北川景子、千葉雄大 、バカリズム、要潤、高橋メアリージュン、酒井健太、筧美和子、原田泰造、成田凌、田中圭

彼氏の富田(田中圭)に電話をかけた麻美(北川景子)は、スマホから聞こえてくる聞き覚えのない男の声に言葉を失った。たまたま落ちていたスマホを拾ったという男から、富田のスマホが無事に戻ってきて安堵した麻美だったが、その日を境に不可解な出来事が起こるようになる。
身に覚えのないクレジットカードの請求や、SNSで繋がっているだけの男からのネットストーキング。落としたスマホから個人情報が流出したのか?
ネットセキュリティ会社に勤める浦野(成田凌)に、スマホの安全対策を設定してもらい安心していた麻美だったが、その晩、何者かにアカウントを乗っ取られ、誰にも見られたくなかった写真がSNSにアップされてしまう。「違う! それ私じゃない! 私、何もやってない!」時を同じくして、人里離れた山の中で次々と若い女性の遺体が見つかり、事件を担当する刑事・加賀谷(千葉雄大)は、犯人が長い黒髪の女性ばかりを狙っていたことに気が付く。
スマホを拾ったのは誰だったのか。連続殺人事件の真犯人はいったい誰なのか。そして明らかになる“奪われた麻美の秘密”とは?
ただ、スマホを落としただけなのに……。

彼がスマホを落としたことで個人情報が漏洩。SNSが乗っ取られ、情報操作により人間関係が壊されるだけでなく、過去の秘密まで握られてしまった主人公の恐怖を描く。
恋人にプロポーズされ、幸せいっぱいの笑顔。同性さえ虜にする、北川景子の美しさを存分に味わうことができる。しかし、それ以上に北川景子らしさが発揮されたのが、犯人をキッと睨みつける顔。犯人がストーカーしたくなった気持ちが理解できてしまいそう。
その犯人を演じた役者もいい人の顔と狂気を解き放った顔を見事に演じ分けた。
便利な生活にはリスクが伴う。2時間かけてたっぷり教えられた。しかし、リスクを描くくだけでなく、正しい対処法を挟み込んでくれればさらにいいのにと思う。(堀)


2018年/日本/カラー/116分
配給:東宝
(C) 2018映画「スマホを落としただけなのに」製作委員会 http://sumaho-otoshita.jp/
★2018年11月2日(金)全国東宝系にてロードショー
posted by shiraishi at 11:22| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ビブリア古書堂の事件手帖

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監督:三島有紀子
原作:三上延「ビブリア古書堂の事件手帖」(メディアワークス文庫/KADOKAWA 刊)
脚本:渡部亮平、松井香奈
出演:黒木華、野村周平、成田凌、夏帆

亡くなった祖母が遺した古い夏目漱石全集。青年・五浦大輔(野村周平)は祖母が買ったと思われる古書店にその本を持ち込む。洞察力と推理力の優れた女店主・篠川栞子(黒木華)は祖母の秘めた恋に気がつく。これをきっかけに青年は古書店でアルバイトを始めた。そして女店主が大事にしている太宰治「晩年」初版本を巡り、不審なことが起こり始める。それは青年にも関わりのあることだった。

本人も気がつかない、栞子に対する仄かな思い。ライバルの登場でやっと気がつき、自分なりのやり方で栞子を理解しようとする。恋に不器用な大輔に野村周平本人の誠実さが滲み出るよう。同業者の稲垣は栞子の前で知的に振る舞い、大輔に嫉妬心を抱かせるが、忍び寄るように狂気に蝕まれていく。妖しげな色気で成田凌にははまり役。
一方、大輔の祖母、絹子の若き日の秘めた愛を描く過去パートは原作に描かれていないエピソードが盛り込まれ、絹子を演じた夏帆の清純な愛らしさに切なさが増す。恋の行方をしっかり見届けたい。(堀)


神保町でアルバイトをしていたとき、よく古書店をのぞきました。今は何でもネットで済ませられますが、棚の間を歩き、目についた本を手にとる楽しみはかけがえのないものです。黒木華さん演じる栞子の佇まいがいいです。三島監督の『繕い裁つ人』の市江にも通じるものがありました。絶滅危惧種な女子だと思われますが、あの古書堂に行きたくなります。
本を通したやりとりは秘めやかで、ロマンチック。けれど、帰り道で頭に浮かぶのは「カツ丼食べたい」でした(映画に出てくる)。
本が詰まった棚の重さは相当なもののはず、下敷きになったらてっきり大怪我と思ったのに不死身(笑)。そして本の大敵は水と火だけれど、水に投じられたあの本が気になります。
三上延著の原作はシリーズ7巻の後、「ビブリア古書堂の事件手帖 〜扉子と不思議な客人たち〜」が今年9月に発売されました。これから読むと、黒木華さんと野村周平くんの姿で動き出すはず。(白)


2018年/日本/カラー/121分
配給:20世紀フォックス映画、KADOKAWA
(C) 2018「ビブリア古書堂の事件手帖」製作委員会 https://biblia-movie.jp/
★2018年11月1日(木) 全国ロードショー
posted by shiraishi at 11:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年11月03日

ぼけますから、よろしくお願いします。

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監督・撮影:信友直子
プロデューサー:大島新、濱潤
出演:
テレビディレクターの信友直子さんは広島県呉市で生まれ育ったが、18歳で大学進学のために上京して以来ずっと東京在住だ。ひとり仕事に打ち込む娘を呉の両親は見守り続けてきた。45歳で乳がんの手術をした信友監督は、母親の助けにより病気を克服する。実家に帰るたび年取ってきた両親の記録を残しておこうとカメラを向けたことから、少しずつ変化していく母のようすに気づくことになった。母は認知症とわかり、仕事をやめて実家に帰ろうか悩む信友監督に、父は「介護はわしがする」と宣言する。

題名はお母さんが監督にぽつりと言ったひとこと。聡明でしっかり者だったお母さんが自分の変化に気づいたとき、どれだけショックだったろうと胸がつまります。老化の物忘れでなく、脳の病変により神経細胞が欠落するのがアルツハイマー型認知症。だんだん進行し、日常生活にも支障をきたします。家に帰る道や料理の順番がわからなくなるのは、想像するだけでも辛い。それまでお母さんに任せきりだった家事を、意を決したお父さんが担当。慣れない家事を引き受けたお父さんが、ある日疲れがたまったのか声を荒げる場面がありました。それはためないで、小出しにするのがいいですよ、と声をかけたくなりました。介護担当の人も自分の楽しみを見つけて、元気を充電しないと両方が不幸せになってしまいます。
子どもが成長するのと逆で、衰えていく親の介護は先が見えません。終わるのは亡くなるときです。だから介護はたくさんの手で支えることが肝心です。疲れたときに休みをとれるように、お役所の力も遠慮せずに使って、たくさんの人に応援を頼んで甘えてください。
監督のご両親に向ける目はやさしくて、それまでたくさん愛されて育ったんだとわかります。誰もが迎える老いの日々、幕を閉じるその日まで穏やかにすごせますように。(白)


「2週間前と同じ服を着ている」。娘が気付いた母の異変。指摘された母は洗濯機に溜め込まれていた汚れ物をぶちまけ、その中にうずくまったまま眠り込んでしまう。台所と洗濯機は母の領分で、たとえ娘であっても侵食してくることは我慢できない。しかし、認知症の母にはどうしたらいいのか分からないのだ。衝撃的だった。何年か先の自分の姿かもしれないと不安に駆られる。とても他人事には思えない話である。母の認知症は加速度つけて進み、ヘルパーの助けを受けるように。思うように動かない体に苛立つ母だが、ヘルパーはそれを父に構ってほしい気持ちの表れだという。強い絆ゆえの甘えにちょっぴりうらやましくなった。(堀)

2018年/日本/カラー/シネスコ/102分
配給:ネツゲン
(C)「ぼけますから、よろしくお願いします。」製作・配給委員会
http://www.bokemasu.com/
★2018年11月3日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 23:52| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ボクはボク、クジラはクジラで泳いでいる。

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監督:藤原知之 
脚本:菊池誠 
撮影:高木風太
音楽:稲岡宏哉 
主題歌:清水理子「Colorful〜あなたといた時間〜」
出演:矢野聖人(鯨岡太一)、武田梨奈(白石唯)、岡本玲(真柴望美)、末野卓磨、 秋吉織栄、長濱慎、葉山昴、近藤芳正(市長 特別出演) 鶴見辰吾(富樫館長)

和歌山県太地町にはクジラだけを飼育している「太地町立くじらの博物館」がある。鯨岡太一はクジラを愛する純朴な青年。「クジラすげー!」という自分の気持ちをみんなにも感じてほしいと思っている。来場者が減っていく今の状況を変えようと、館長は太一を飼育員のリーダーに任命する。反発した係員がやめて、東京の水族館からピンチヒッターに白石唯がやってきた。太一と学芸員の望美と同じ宿舎に入り、のんびりした太一と何かにつけ衝突する。一緒に働き、退勤後も一緒になる3人は次第に意気投合して、博物館を盛り上げるためにイベントを計画する。

クジラが好きで好きでたまらない太一くん、目をキラキラさせてクジラのことを語るようすがさかなクンそっくり。入館者を増やし、クジラへの関心が高まるようにと奮闘する若い飼育員たちの青春のひとこまが描かれます。裏方のご苦労も垣間見られ、クジラの豆知識も増えるお子様にもお奨めできる作品。大技を決める武田梨奈さんの勇姿もみどころです。
実在の「太地町立くじら博物館」が撮影に全面協力、出演者への指導もしているそうです。和歌山ラーメンもおいしそう、いつか訪ねてみたいところです。
武田梨奈さんインタビューはこちら
完成披露舞台挨拶はこちら
(白)


2018年/日本/カラー/16:9/DCP/117分
配給:キュリオスコープ
(c)2018映画「ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。」製作委員会.All Rights Reserved.
http://bokujira.com/
★2018年11月3日(土)シネ・リーブル池袋ほか全国順次公開
10月12日和歌山先行ロードショー
posted by shiraishi at 10:34| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年10月28日

ライ麦畑で出会ったら 原題:Coming Through the Rye

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監督:ジェームズ・サドウィズ
出演:アレックス・ウルフ、ステファニア・オーウェン、クリス・クーパー

1969年、アメリカ・ペンシルベニア州。学校一冴えない高校生のジェイミー(アレックス・ウルフ)は、周囲ともなじめない孤独な生活を送っていた。そんなある日、若者のバイブル「ライ麦畑でつかまえて」に感銘を受け、演劇として脚色することを思いつく。しかし、舞台化には作者であるJ.D.サリンジャーの許可が必要だと知る。そこで、連絡を取ろうと試みるものの、隠遁生活をする作家の居所はつかめないまま。その最中、学校である事件が発生し、ジェイミーは寮を飛び出してしまう。そして、演劇サークルで出会った少女のディーディー(ステファニア・オーウェン)とともに、サリンジャー探しの旅に出ることを決意するのだった。新たな一歩を踏み出したジェイミーが見つけた“人生のヒント”とは……?

サリンジャーの「ライ麦畑でつかまえて」の要素が散りばめられており、ファンにはうれしい。しかし、未読でも問題なく、本作だけでも楽しめる青春グラフィティ。
周囲に馴染めず、人に責任を求めていた主人公がサリンジャーを探す旅に出ることで自らに向き合い、抱えていた苦悩を乗り越える。ジェームズ・サドウィズ監督の実体験を基に描かれた。秋の夕日に輝く綿毛が舞うシーンは過ぎてしまった青春の象徴。思わず涙が流れた。ロケ地巡りをしたくなる。
サリンジャーは見つかるのか。演劇として上演できたのか。それはぜひ、作品を見て確認してほしい。(堀)


2015年/アメリカ/英語/97分/シネマスコープ/5.1カラー/PG12
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
(C) 2015 COMING THROUGH THE RYE, LLC ALL RIGHTS RESERVED
http
★10月27日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 23:20| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする