2018年05月20日

ガチ星

gachibosi.jpg

監督:江口カン
脚本:金沢知樹
撮影:許斐孝洋(このみたかひろ)
出演:安部賢一(濱島浩司)、福山翔大(久松孝明)、モロ師岡(校長)、西原誠吾(教官)、博多華丸(ラーメン店店長)、林田麻里、船崎良(選手)、吉澤尚吾(ベテラン選手)

濱島浩司39歳。8年前までプロ野球選手だったが、戦力外通告を受けてその場でやめてしまった。以来酒とパチンコに溺れた自堕落な毎日を送り、妻子は呆れて家を出ていった。実家に戻って親友の店を手伝ってはいるが、とても本業とはいえず母親に金をせびっている始末。ずっと応援してくれたその親友をも裏切り、崖っぷちにいた濱島は、たまたま耳にした競輪に再起をかけようとする。年齢制限はなく、体力には自信のある濱島は競輪学校に入学できた。そこまでは良かったが、周りは若者ばかり。傲慢な彼に年下からのいやがらせが始まる。意地とプライドで厳しい授業に耐えるが、緩みきった心身は音を上げ始める。またしても投げ出そうとしたとき、トップの成績をあげながら一人練習に打ち込む久松の姿に釘付けになる。久松は心身ともに弱ってしまった母親を病院に託し、競輪しかないと悲愴な覚悟で望んでいた。同郷の若者に奮起させられて、ペダルを踏み込む濱島。

この作品に出会って、野球選手の戦力外通告や競輪のことを知りました。小倉が競輪発祥の地で、日本競輪学校は伊豆市にあり女子選手も育成していること。その学校で撮影されています。年齢制限がないので濱島も挑戦できたわけですが、訓練は吐くほど過酷。鬼教官が「もがけ!」と叫んでいましたが、この俳優さん素敵でした。厳しいばかりでなく、後でちゃんといい見せ場があります。校長役のモロ師岡さんもいい味。ラーメン店の店長さん博多華丸さんは次の『めんたいぴりり』で主演。
江口カン監督に初の劇場映画となったこの作品にかけた思いや、キャスティングなどについて伺いました。こちらです。お話しするうちに「ダメな男を甘やかしているのは女です(特に母親)」と意見が一致。私自身もいろいろ心当たりあり。父と息子のエピソードもぐっと来ますので、お楽しみに。(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/110分
配給:マグネタイズ
(C)2017空気/PYLON
http://gachiboshi.jp/
★2018年5月26日(土)より新宿K’sシネマ、小倉昭和館ほかにて全国順次公開
posted by shiraishi at 19:30| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

友罪

yuzai.jpg

監督・脚本:瀬々敬久
原作:薬丸岳「友罪」集英社刊
撮影:鍋島淳裕
音楽:半野喜弘
出演:生田斗真(益田純一)、瑛太(鈴木秀人/青柳健太郎)、佐藤浩市(山内修司)、夏帆(藤沢美代子)、山本美月(杉本清美)、富田靖子(白石弥生)、奥野瑛太(清水)、飯田芳(内海)、忍成修吾(達也)、佐藤浩市(山内修司)ほか

益田純一は、出版社で働いていたが、あることからジャーナリストの夢を手放した。所持金も心細くなり、寮のある町工場に勤めることにする。同じ日に入社した鈴木秀人はどこか影があり、益田よりももっと人との距離をとっている。寮でも誰とも関わらず、そんな鈴木を先輩の清水と内海は疎ましく思っていた。2人は鈴木の不在を狙って部屋を物色し、裸婦像の描かれたスケッチブックを見つける。
ある晩、鈴木は男に追いかけられていた若い女性にすがられて、男に一方的になぐられる。鈴木を巻き込んだ女性は、藤沢美代子。追いかけていたのは元彼で、美代子をアダルトビデオに出して金づるにしていたのだ。美代子は自分のことを知っても動揺しない鈴木に好感を持つようになる。
益田は仕事中に機械で指を切断してしまうが、鈴木のおかげで指はつなげることができた。入院中の益田を元彼女だった清美が訪ねてきた。最近起きた児童殺人事件の取材に行き詰まっているという。事件の概要から、17年前の連続児童殺傷事件の犯人の再犯ではないかと噂が流れていた。益田は世間を震撼させた犯人の少年Aこと青柳健太郎の写真に鈴木の面影をみる。

加害者と被害者、そして家族のその後を描いた作品。罪を犯した人は、糾弾され裁かれますが、それだけでは終わりません。亡くなった人は戻らず、時間が経っても癒えない傷は心の奥深くに残ったままです。では刑期を終えて世間に出てきた人は、生きていてはいけないのか、笑ってはいけないのか?罪を償うとはどういうことなのか?それは一生終わらないのか?
タクシー運転手の山内は、交通事故を起こした息子のため家族が離散。謝罪に行っても罵倒されます。何をしようが戻らない子を思うと、目の前にいる山内を責めるしかない家族もまた悲痛。益田と鈴木ばかりではなく、鈴木に出会った美代子も暗い闇を抱えています。医療刑務所で青柳健太郎を担当した白石弥生もまた、少なくない影響を受けていました。どっちを見ても悲しくて、それでも生きていかなければならない・・・人生って理不尽です。
羊の木』でも感じたのですが、自分がどう思うのか深く問いかけられる“踏み絵”のような作品でした。瑛太さんは『光』(2017/大森立嗣監督)よりももっと感情を抑えた演技で、それを受ける生田斗真さんもまた良かったです。(白)


2018年/日本/カラー/シネスコ/129分
配給:ギャガ
(C)薬丸岳/集英社 (C)2018 映画「友罪」製作委員会
http://gaga.ne.jp/yuzai/
★2018年5月25日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 15:17| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月13日

海を駆ける

umiwokakeru.jpg
    
監督・脚本・編集:深田晃司(『淵に立つ』)
出演者:ディーン・フジオカ、太賀、阿部純子、アディパティ・ドルケン、セカール・サリ、鶴田真由

インドネシア、一番西の端の町バンダ・アチェ。
海から男がやってきて、波打ち際に倒れる。
その日、NPO法人で災害復興の仕事をしている貴子は、息子タカシの同級生クリスと、その幼馴染でジャーナリスト志望のイルマから取材を受けていた。身元不明の日本人らしき男が海辺で発見されたので、至急来て欲しいと連絡が入る。折りしも、日本からやって来る親戚のサチコは、息子のタカシたちに空港に迎えに行かせる。
貴子は、記憶を失っている男の身元捜しをする間、家で預ることになる。海辺で発見された男に、インドネシア語で海という意味の「ラウ」と名付ける。いつも静かに微笑んでいるラウ。イルマは、ラウが起こした不可思議なマジックのような現象を動画に撮り、スクープとして取り上げて貰おうとする・・・

2004年12月26日に起こったインド洋津波。アチェ州では17万3000人が犠牲になった。アチェ州では、30年にわたってインドネシア政府からの独立を目指して内戦状態が続いていたが、津波をきっかけに独立運動は終結。内戦と津波の二つの災いからの復興の道を歩んでいる。
深田監督は、2011年12月、京都大学とアチェのシアクアラ大学が共同で開催した津波と防災のシンポジウムの撮影を依頼され、バンダ・アチェを訪れる。インドネシア自体が始めての訪問だった。津波で家族が亡くなったのも神様が望んだことという運転手。日本の津波被災者とは違う捉え方に、価値観の違いをずっしり感じたという。帰路には、アチェで映画を撮りたいと思い始めていたところ、縁あってアチェで映画を撮ることになり、脚本を執筆。全編、アチェで撮影している。

ジャーナリスト志望の女性イルマは、元々裕福な家庭で育ったが、津波で家を流され、津波で足を悪くした父親と共に復興住宅で暮らしている。大学に行くのも諦め、自力でジャーナリストとなるべく頑張っているという設定。ラウという男の起こす摩訶不思議な現象を映像に捉えて、スクープとして発信しようとしたのに、まんまとプロのジャーナリストに横取りされてしまいます。イルマは、髪の毛もきっちり隠したムスリマ。幼馴染で大好きなクリスから告白されたのに、宗教の違いから振ったという過去がある。そのクリスは、日本から来たサチコに惚れて、タカシから日本語での殺し文句を教えてもらうのですが撃沈・・・ という場面も。
青春群像劇が繰り広げられる中、ディーン・フジオカが、言葉少ない謎の男を存在感たっぷりに演じている。

先日、深田監督のお話を伺う機会があり、その中で印象的だったのが、インドネシア特有のスタッフの話。撮影費用が膨れ上がったので、なんとか減らせないかと、目をつけたのが、rain stopper。ところが、インドネシア側からは、これは外せないと進言されたそうだ。確かに、雨が降りそうな空模様の時に、彼が祈祷すると撮影中に雨は降らなかったとか。
エンドロールに、ちゃんと二人、お名前が載っているのを確認! (咲)


2018年/日本・フランス・インドネシア/107分/5.1ch/ヨーロピアンビスタ/カラー/デジタル
配給:日活 東京テアトル
公式サイト:http://umikake.jp
★2018年5月26日(土)テアトル新宿、有楽町スバル座ほか全国ロードショー






posted by sakiko at 19:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月06日

台湾巨匠傑作選2018

劇場初公開の『スーパーシチズン 超級大国民』を含む28本一挙上映!

期日:2018年4月28日(土)〜6月15日(金)
劇場:新宿 K's cinemaほか全国順次公開

    東京都新宿区新宿3−35−13 SHOWAKANビル3F
    TEL : 03-3352-2471
配給:オリオフィルムズ
スケジュールなど詳細はHPへ
http://taiwan-kyosho2018.com/
facebookで席の状況などお伝えしています。

=上映作品=

『スーパーシチズン 超級大国民』ワン・レン監督
1995年/120分
出演:リン・ヤン、スー・ミンミン、コー・イーチェンほか

●キン・フー監督作品
『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿』(67)
『俠女』(71)

●ホウ・シャオシェン+ワン・レン監督作品
『坊やの人形』(83)

●ホウ・シャオシェン監督作品
『風櫃の少年』(83)
『冬冬の夏休み』(84)
『童年往事 時の流れ』(85)
『恋恋風塵』(87)
『ナイルの娘』(87)
『悲情城市』(89)
『憂鬱な楽園』(96)

●エドワード・ヤン監督作品
『光陰的故事』(82)
『台北ストーリー』(85)
『恐怖分子』(86)
『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件』(91)
『ヤンヤン 夏の想い出』(00)

●ツァイ・ミンリャン監督作品
『青春神話』(92)
『愛情萬歳』(94)
『河』(97)
『郊遊 ピクニック』(13)

●台湾映画秀作集
『推手』(91)アン・リー監督
『ウェディング・バンケット』(93)アン・リー監督
『恋人たちの食卓』(94)アン・リー監督
『藍色夏恋』(02)イー・ツーイェン監督 4Kデジタル初上映
『モンガに散る』(10)ニウ・チェンザー監督
『あの頃、君を追いかけた』(11)ギデンズ・コー監督
『台湾新電影時代』(14)シエ・チンリン監督 ドキュメンタリー
『あの頃、この時』(14)ヤン・リーチョウ監督 ドキュメンタリー
posted by shiraishi at 20:02| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2018年05月05日

ミッドナイト・サン タイヨウのうた 原題:Midnight Sun

midnight sun.jpg

監督:スコット・スピアー
音楽:ナサニエル・ウォルコット
出演:ベラ・ソーン、パトリック・シュワルツェネッガー、ロブ・リグル、クイン・シェパード、ケン・トレンブレット、スレイカ・マシュー

ケイティ・プライス(ベラ・ソーン)、17歳。幼い頃、色素性乾皮症(XP)という難病と診断され、太陽の光にあたってはいけない為、昼間は出歩けない。学校にも通えず、ケイティの話し相手は、父のジャック(ロブ・リグル)と、学校が終わると家に来てくれる親友のモルガン(クイン・シェパード)だけだった。そんな彼女にも気になる男の子がいた。いつも家の前を行き来するチャーリー・リード(パトリック・シュワルツェネッガー)。もう何年も、彼が通ると姿を追っていた。
そんなケイティの日課は、昼間は家でギター片手に曲を作り、太陽が沈んで暗くなると駅前に行き、通行人に自作の歌を聴かせること。ある夜、いつものように駅前で弾き語りをしていると、その歌声に惹かれてチャーリーが近づいてくる。ケイティに一目惚れしたチャーリーは、デートに誘う。星空のもとで初めてのキス。普通の女の子として付き合いたいと、チャーリーに病気のことは明かさずに夜のデートを重ねるケイティ。一方のチャーリーは、高校の水泳部のエースとして活躍していたのに怪我で試合に出れなくなって意気消沈していたが、ケイティとの出会いで明るさを取り戻していくのだった・・・

2006年にYUI主演で大ヒットした日本映画『タイヨウのうた』のリメイク。
何年も憧れていたチャーリーとの思わぬ出会いから、普通の女の子としての幸せを享受するケイティ。それでも、難病のことは片時も忘れてはいけない。爆弾を抱えながらの恋なのです。心から愛してくれている彼には、病のことも明かしてこそ、末永い幸せな日々に繋がるでしょう。
チャーリーを演じているのは、アーノルド・シュワルツェネッガーの息子。今回がメジャーな映画への初出演。爽やかな好青年で、今後が楽しみです。(咲)


2018年/アメリカ/92分/シネスコ
配給:パルコ
公式サイト:http://midnightsun-movie.jp/
★2018年5月11日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー




posted by sakiko at 21:07| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする