監督:トム・ボルフ
朗読:ファニー・アルダン
出演:マリア・カラス、グレース・ケリー、イブ・サン=ローラン、アリストテレス・オナシス
世界的な歌姫として知られるマリア・カラス(1923-1977)。トム・ボルフ監督は3年をかけてマリアの友人を訪ね、これまで目に触れることのなかった多くの手紙や映像の存在を知る。殊にマリア自身による言葉の力強さに感銘を受け、マリアの映像と未完の自叙伝、手紙を中心にこの作品をまとめあげた。浮かび上がるのは率直で自制心に富んだ努力家、歌と人を愛した一人の女性の姿。
マリアの手紙などを朗読しているのは『永遠のマリア・カラス』 (2002)で、晩年のマリアを演じたファニー・アルダン。それまでアーカイブで観・聞きしていたマリアの声とそっくり(2002年の作品を観ていなかった)なので、観ながら「これは誰〜?」と思っていました。さすがにベテランの女優さん、感情もこもっていて本人かと思うほどでした。
マリアは子どものころは強圧的な母、若くして結婚してからは年上の夫のマネージメントで働きづめでした。ようやく心から愛する人に出会ったかと思えば、手ひどく裏切られ、バッシングやスキャンダルにもさらされます。「間違っていた」と戻ってきたオナシスを看取り、復帰を目指していたはずなのに、急死とは残念でなりません。オペラの知識がなくとも、その人生に心を寄せることができるとても濃密な1本です。(白)
過去の公演やインタビュー映像、プライベート映像には自叙伝や友への手紙の朗読を被せて、マリア・カラスを紐解く。若い頃の弾けるような美しさが歳を重ねて豊かさを身につけていくのが一目瞭然。それに伴い、声に艶も感じられるようになる。
オナシスとの出会いと別れ、許しが彼女を支え、成長させた。亡くなる前にオナシスが伝えた言葉は何よりの愛情表現。
バッシングを受けることが多かったが、反論はせず。自らを高めることに意識を向けた生き方は誰にでもできることではない。舞台に立つために最後まで努力を続けた生き様に後悔はなかっただろう。(堀)
私は歌や音楽は好きだけど、オペラやミュージカルはどうも苦手。でも、さすがにマリア・カラスの名前だけは知っていました。でも、スキャンダルばかりが有名で、彼女の歌声を聴いたことはほとんどなかった。この作品で彼女の歌っているところや、歌声を聴き、やはりすごい歌手だったのだと思いました。そして、これまではわがままで、高慢な人なのかと誤解していたのかもしれないとも思いました。やはりこういう芸術家は繊細なのだなと感じ、この作品で遅ればせながら、彼女が生きた時代と人生に思いを馳せることができました(暁)。
2018年/フランス/カラー、白黒/114分
配給:ギャガ
(C)2017 - Elephant Doc - Petit Dragon - Unbeldi Productions - France 3 Cinema
https://gaga.ne.jp/maria-callas/
★2018年12月21日(金)TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー