監督・脚本:R.バールキ
出演:アクシャイ・クマール、ソーナム・カプール、ラーディカー・アープテー
北インドの小さな村。結婚式を挙げたばかりのラクシュミは、新妻ガヤトリを喜ばせようと、自動玉ねぎカット機を手作りしたりするアイディアマン。妻が生理になった時、部屋を穢してはいけないと廊下で寝ている上、清潔とはいえない古布を使っていることを知って衝撃を受ける。市販のナプキンはあまりに高価で、妻は使えないというのだ。愛する妻のために、なんとか清潔で安価なナプキンを作りたい! 試行錯誤してナプキンを作るラクシュミを村人や妻の家族たちは変人扱い。ガヤトリは実家に連れ戻されてしまう。ラクシュミは都会インドールに出て研究を続ける。ついに、セルロース・ファイバーを素材にしてナプキンを作る簡易製作機を発明する。たまたまデリーからイベント出演のためにやってきた女子大生パリーが、ナプキンの観客第一号となる。パリーは、ラクシュミをデリーでの発明コンペに出場させて賞金を獲得させる。パリーと共に、農村の女性たちにナプキン製造から販売までを行うことができるよう、起業も手助けする。やがて、ラクシュミたちの草の根活動に注目した国連から講演依頼が舞い込み、ラクシュミはパリーと共にニューヨークへ赴く・・・
「パッドマン」として知られる社会企業家アルナーチャラム・ムルガナンダム氏をモデルにした映画。1962年、南インドのタミル・ナードゥ州コインバトールで機織り職人の家に生まれたムルガナンダム氏。低コストで衛生的な製品を製造できるパッド製作機の発明者。2014年には米タイム誌の「世界で最も影響力のある100人」に選ばれた。また、2016年にはインド政府から褒章パドマシュリも授与されている。
本作では、ムルガナンダム氏をモデルにしたラクシュミだけでなく、パリ―という聡明で積極的に事業をサポートする女性も描いていて、爽快。映画を通じて、インドの女性たちの自立を促すマイクロ・クレジット(小規模融資)などのプログラムの認知度もあがったという。
この映画を観て思い出したのが、父方の祖父のこと。昭和の初めの頃、祖父は友人と共に生理用ナプキンを開発して、「レデーメン」と名付けて東京で売っていたのです。祖母も営業を手伝って留守がちだったそうです。そして、まだ小学生だった父も、近くの家や、時には電車に乗って渋谷まで届けに行ったことがあるとか。その後、祖父は、漢字の書き取り帳を作り、それが東京中の小学校で採用される大ヒット。父は、「書き取り屋の息子」とからかわれていたそうですが、祖父が書き取り帳を作らなければ、「レデーメン屋の息子」と言われていたかもしれません。
思えば祖父は、その後、別の仕事をしていたようなので、父に聞いてみたら、昭和11年、226事件のあと、物資の統制が厳しくなり、紙が手に入らなくなって、レデーメンも書き取り帳も作れなくなってしまったとのこと。時代ですねぇ・・・(咲)
◆公式サイトに掲載されている松岡環さんによる“『パッドマン』をより楽しむための7つの知識”を是非お読みください。
2018年/インド/2時間17分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
公式サイト:http://www.padman.jp/site/
★2018年12月7日(金) TOHOシネマズ シャンテ他 全国公開