2018年09月29日
運命は踊る 原題:Foxtrot
監督・脚本:サミュエル・マオズ
出演:リオル・アシュケナージ、サラ・アドラー、ヨナタン・シライ
イスラエル、テルアビブ。瀟洒なアパートで暮らすフェルドマン家に、軍の役人が息子ヨナタンの戦死を知らせにくる。卒倒する母ダフナ。葬儀は軍で仕切るので心配いりませんという役人に、父ミハエルは、ただ黙っている。やがて、従軍ラビ(ユダヤ教の聖職者)が葬儀の打ち合わせにやって来るが、遺体は見せられないという。そうこうするうち、再び軍の役人がやって来て、戦死したのは同姓同名の別人だったという。ミハエルは怒りを抑えきれず、「ヨナタンを即刻帰宅させろ!」と怒鳴る。
当のヨナタンは、イスラエル北部国境付近の殺風景な検問所の基地であるコンテナの中で、スケッチしながら同僚たちと退屈な任務についていた。夜中に若者たちが車で通りかかり、事件が起こる。車から投げ捨てた缶を手榴弾と勘違いしてヨナタンが発砲してしまったのだ。死者が出るが、車ごと砂に埋め、上官は「戦争で起こったこと。何もなかったことにする」と皆に伝える。そこへ、ヨナタンを即刻帰宅させよとの連絡が来る・・・
男女共に徴兵義務のあるイスラエル。たいした実戦はなくても戦死はありえるのだと思い知りました。本作では、戦死を知らされた時の両親の気持ち、誤報だったと知らされた時の安堵の気持ち、折々の夫婦の間の感情の動きも丁寧に描かれています。徴兵され無為な日々を過ごす若者たちの思いも、ずっしり伝わってきます。
そして、誤報がもたらす思わぬ運命!
チラシに描かれている駱駝が運命を握っています。
原題Foxtrotは、1910年代はじめにアメリカで流行した、4分の4拍子、2分の2拍子の社交ダンス。「前へ、前へ、右へ、ストップ。後ろ、後ろ、左へ、ストップ」と、元の場所に戻って来るステップ。どうあがいても、運命は変えられない? (咲)
第74回ヴェネチア国際映画祭審査員グランプリ受賞
2017年/イスラエル,ドイツ,フランス,スイス/113分/ビターズ・エンド/DCP
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/foxtrot/
★2018年9月29日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
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