監督:塚原あゆ子
原作:川口俊和
脚本:奥寺佐渡子
撮影:笠松則通
主題歌:YUKI
出演:有村架純、健太郎、波瑠、林遣都、深水元基、松本若菜、薬師丸ひろ子、吉田羊、松重豊、石田ゆり子
時田数(有村架純)が叔父で店主の時田流(深水元基)と切り盛りする喫茶店「フニクリフニクラ」には、不思議な都市伝説があった。それは店内の【ある席】に座ると、望んだとおりの時間に戻ることができるというもの。今日も不思議な噂を聞いた客がこの喫茶店に訪れる。
アメリカに行ってしまった幼馴染の賀田多五郎(林遣都)とケンカ別れをしてしまった三十路直前の独身キャリアウーマン清川二美子(波瑠)。
若年性アルツハイマーに侵された妻・高竹佳代(薬師丸ひろ子)と、そんな高竹を優しく見守る夫・房木康徳(松重豊)。
故郷の妹(松本若菜)を裏切って、一人スナックを営む平井八絵子(吉田羊)。
数に次第に惹かれていく大学生・新谷亮介(伊藤健太郎)。
過去に戻れるという【ある席】にいつも座っている謎の女(石田ゆり子)。
タイムリープにはルールがあり、どんなことをしても現実は決して変わらない。それでも客たちは過去に戻り、会いたかった人との再会を望む。そこには思いもかけない事実が待っていた。
原作は舞台の脚本家や演出家として活躍する川口俊和の小説デビュー作「コーヒーが冷めないうちに」である。2015年の発売以降、口コミで広がり、17年には本屋大賞にもノミネート。私の地元の図書館では、映画が公開された2018年9月21日の段階で250人を超える人が順番を待っているほどの人気ぶり。シリーズ続編「この嘘がばれないうちに」とともについに映画化された。
この喫茶店のタイムリープには5つのルールがある。
1. 過去に戻って、どんなことをしても、現実は変わらない。
2. 過去に戻っても、喫茶店を出ることはできない。
3. 過去に戻れるのは、コーヒーをカップに注いでから、そのコーヒーが冷めてしまうまでの間だけ。コーヒーが冷めないうちに飲み干さなければならない。
4. 過去に戻れる席には先客がいる。席に座れるのは、その先客が席を立った時だけ。
5. 過去に戻っても、この喫茶店を訪れたことのない人には会うことができない。
「もしも、あの時に戻ることができたら……」。誰もが一度は経験があるだろう。それは過去に戻って現実を変えたいから。しかし、この喫茶店のタイムリープではそれが叶わない。それでも可能性を信じ、トライした人たちは過去に戻って相手の気持ちを聞き、自分の思いを伝える。
過去は変えられないが、自分の意思で未来は変わる。悲しい事実は受け止めつつ、新しく歩み出せばいいのだ。
私の年齢になると、どの話にも共感できるが、アルツハイマーになった妻への愛を語る夫に涙が止まらなかった。自分が将来、アルツハイマー病になったなら、夫から同じようにされたいと思う。それにしても妻役の薬師丸ひろ子の可愛らしさは歳を重ねても変わらない。こんな風になりたいものだ(堀)
2018年/日本/カラー/シネスコ/116分
配給:東宝
(C)2018「コーヒーが冷めないうちに」製作委員会
http://coffee-movie.jp/
★2018年9月日21日(金)ロードショー
2018年09月23日
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