2018年07月20日
人間機械 原題:MACHINES
監督・脚本:ラーフル・ジャイン
インド、北西部グジャラート州にある繊維工場。
機械の大きな音が響く中、黙々と働く人々。
化学染料の取り扱いにも、それほど気を使ってない。
汗まみれになって彼らが作り出すのは、美しい花柄の布。
まさに機械としてしか見られていない、そこで働かざるをえない人々・・・
「故郷で働くことが出来れば、ここには来ない」
「1600キロ離れた地から、36時間すし詰めの列車で来た」
家族を養うため、家族と離れて、過酷な環境の中で働く人たちの言葉に、もう虚しさしかない。
ここで働く人たちの楽しみは、嗜好品のパーン。一日2ルピーの楽しみ。煙草は、5〜10ルピーもするので買えないのだ。映画大国インドだけど、彼らにとって映画館で映画を楽しむ余裕もないのだろう。
ラーフル・ジャイン監督は、小さい頃、祖父の所有する繊維工場を遊び場にしていたという。繊維工場を初監督作品の舞台にしたのは、その強烈な記憶。地獄のような劣悪な環境の中で働く人々のことを知らしめ、世の中を動かしたいという思いもあるのだろう。けれども、その地獄をあまりに芸術的に描いていて、所詮、富める層のおごりと感じてしまう。
もちろん、このような世界があることを知らないよりは知ったほうがいい。ボリウッド映画や『バーフバリ』でインドに目覚めた方には、対極にある『人間機械』もぜひご覧いただきたい。(咲)
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017上映作品
2016年/インド・ドイツ・フィンランド/DCP/カラー/71分
配給:株式会社アイ・ヴィー・シー/配給協力:ノーム
公式サイト:http://www.ivc-tokyo.co.jp/ningenkikai/
★2018年7月21日(土) 渋谷ユーロスペースほかにて全国順次ロードショー
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