監督 陳梓桓(チャン・ジーウン)
エグゼクティブプロデューサー 崔允信(ヴィンセント・チュイ)
プロデューサー 任硯聰(ピーター・ヤム) 、陳梓桓(チャン・ジーウン)
コプロデューサー 張鐵樑(チョウ・テツリョウ)
編集 胡靜(フー・ジン) 陳梓桓(チャン・ジーウン)
音楽 何子洋(ジャックラム・ホ)
制作 影意志(雨傘運動映像ワークショップ)
監修 倉田徹
2014年9月〜12月まで、香港の民主的な選挙を求めて3ヶ月に及ぶ道路占拠に至った雨傘運動。「香港特別区行政長官選挙に親中派のみが立候補できる」という通達が2014年8月、中国共産党から出され、これに反発する学生や市民が「民主的な選挙」を求めて行動を起こした。警官隊が発射する催涙弾に対して雨傘をかざして抵抗したことから「雨傘運動」と呼ばれた。これは単に選挙だけの問題だけでなく、香港人としてのアイデンティティを保つための闘いでもあった。道路占拠は中環(セントラル)、金鐘(アドミラリティ)、旺角(モンコク)、銅鑼湾(トンローワン)と広がったけど、雨傘運動に参加した人たちの思いは達成することはできないまま収束した。
当時27歳の陳梓桓監督はこの雨傘革命を記録に残そうと、デモの現場で撮影を始め、現場で出会った若者たちが変化していく様子を丹念に追い、主に7人の若者たちを中心にまとめた。警官との対峙や衝突の場面、道路占拠の状況を記録しつつ、若者たちが活動にのめりこんでいく姿、行動を続ける若者たちの思いに寄り添う。3ヶ月近くたって、進展がなく、結果が出ないことに悩む若者たち。そんな彼らの青春物語でもあり、未来に向かってのメッセージを込めた作品になっている。
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017、「アジア千波万波」部門で小川紳介賞を受賞した。
*シネマジャーナル記事
本誌
シネマジャーナル101号に陳梓桓(チャン・ジーウン)監督インタビュー記事掲載
シネマジャーナルHP
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017 各賞発表
http://cinemajournal.seesaa.net/article/454107706.html
山形国際ドキュメンタリー映画祭2017レポート
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yamagata/index.html
山形 陳梓桓(チャン・ジーウン)監督インタビュー記事
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yellowing/index.html
『乱世備忘-僕らの雨傘運動』立教大学での先行特別試写会に陳梓桓(チャン・ジーウン)監督登壇
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/460534957.html
去年(2017)山形で観た時、これは単なる雨傘運動を記録したドキュメンタリーに留まらず、香港の若者たちの青春物語になっていると思った。単にデモの状態を映しただけでなく、若者たちの悩みと成長、さらには監督自身の迷いや、思いも伝わる作品になっていた。それで、監督に話を聞かなくてはと思いインタビューさせてもらった。撮影にあたって、危険な目、怖い目にもあったということだったけど、監督は飄々と語っていた。
2015年の山形で、やはり雨傘運動を撮った『革命まで』の郭達俊(クォック・タッチュン)監督と江瓊珠(コン・キンチュー)監督にもインタビューしたが、こちらは、雨傘運動の3時間におよぶ堂々たる記録だった。監督は、どうしてもこの運動の記録を残すには3時間が必要だったと語っていたが、こちらはあくまでこの運動の現場で起こっていたことの記録で、それはそれで将来的に貴重な記録だったと思う。
シネマジャーナルHP 特別記事『革命まで』2015年 香港
郭達俊(クォック・タッチュン)監督&江瓊珠(コン・キンチュー)監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2016/kakumeimade/index.html
この運動を映像で記録していた人はけっこういたらしいが、短編はともかく、長編作品としてまとめられた人というのは何人もいないとのこと。香港の人たちが、ここまでこの運動にのめりこんでいったというのが心強かったけど、1997年の香港返還の時に保障されていた1国2制度は50年もたたないうちに崩れてきてしまっているということは事実。香港人でなくても香港の未来がどうなるか気になる。
日本公開された日に、再度、陳梓桓監督にインタビューさせていただきました。それはのちほどアップします。(まとめ&写真 暁)
香港/2016年/128分カラー/広東語
公式サイト:www.amagasa2018.com