2018年07月15日

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

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監督:湯浅弘章
原作:押見修造「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」(太田出版刊)
脚本:足立紳
撮影:今村圭佑
音楽:まつきあゆむ
出演:南沙良(大島志乃)、蒔田彩珠(岡崎加代)、萩原利久(菊地強)、山田キヌヲ (担任・小川悦子)、奥貫薫(志乃の母・大島由美)

高校に入学し、教室での自己紹介が始まった。大島志乃は何度も家で練習したにも関わらず、やっぱり出だしでつまづいてしまった。名前も言えないまま着席し、クラス中に笑われてしまう。友だちもできず、一人ぼっちで過ごしていた志乃は、ギター好きの岡崎加代に出会う。歌が好きでたまらないのに音痴で音が外れてしまう加代、吃音が悩みだけれど歌は上手い志乃の2人はバンド「しのかよ」を始めることにした。文化祭での発表に向けて猛練習を続けている2人に、クラスで浮いている男子・菊池強が声をかけてくる。

人生の中で、もしかしたら一番輝いているけれど、一番傷つきやすくて生きづらい青春時代。ここを難なく過ごして大人になった人はきっと少ないはず。たいていは何かとつまづいて転んだり、悩んで泣いたりしたんじゃないでしょうか?ここに登場する3人の高校生はそれぞれにコンプレックスを持ち、人とうまく関われません。とてもリアルな「青春あるある」がたくさんつまっていました。
志乃役の南沙良さんは『幼な子我らに生まれ』(2017)での、血の繋がらない父と実父の間で揺れる長女を演じて、強い印象を残しました。今回、吃音のためたくさんの思いを口に出せずにいた志乃が泣く場面があります。ここが溜めていた感情を全力で出し切った感じのするシーンで、涙も鼻水も流れ放題。監督の演出なのか、一度も拭かないんです。一回くらい拭きたくなるんじゃないかと思ったのですが、それだけ志乃の感情が強かったということなのでしょう。根性のある女優さんになりそうです。湯浅弘章監督はこれがデビュー作。脚本は『百円の恋』『お盆の弟』『14の夜』『嘘八百』などの足立紳さん。
もう遥か遠くに過ぎてしまった青春の日々を遠い目で思い出すシネジャスタッフ(白)でした。


2017年/日本/カラー/シネスコ/110分
配給:ビターズ・エンド
(C)押見修造/太田出版 (C)2017「志乃ちゃんは自分の名前が言えない」製作委員会
http://www.bitters.co.jp/shinochan/
★2018年7月14日(土)ロードショー
posted by shiraishi at 10:54| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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