監督・脚本:イヴァン・コトロネーオ
撮影:ルカ・ビガッツィ
出演:リマウ・グリッロ・リッツベルガー(ロレンツォ)、ヴァレンティーナ・ロマーニ(ブルー)、レオナルド・パッツァーリ(アントニオ)、トマス・トラバッキ(レナト/ロレンツォの父)、デニス・ファゾーロ(サントロ先生)、アレッサンドロ・スペルドゥーティ(マッシモ/アントニオの兄)
イタリア北部の町。孤児のロレンツォに里親が決まった。養父母となった2人は心から彼を歓迎し、新しい部屋に案内する。転入する高校の前まで送ってもらい、出たときと違うポップな服に着替えて一人教室へと入るロレンツォ。さっそくに意地悪な視線にさらされるが、ひるまずに言い返す。同じように学校で浮いている女子生徒ブルーに自分はゲイだと明かすが、ブルーは「ゲイの友だちは初めて」と全く気にしない。バスケットボール部のアントニオは、ブルーを秘かに思っていたが、内気で声をかけることができない。ブルーを中傷する落書きを一人消し続けていた。そんなアントニオにロレンツォは惹かれ、3人はこれまでと違う高校生活を満喫するようになる。
男子2人と女子1人の青春のひとときを描いた作品。2008年にアメリカで実際にあった事件をもとに、コトロネーオ監督が小説「UN BACIO」を書き、それを映画化したもの。主演の3人が私には初めてだったので、何の色もつけずに観ることができました。くっきりした目鼻立ちが印象的なリマウ・グリッロ・リッツベルガーは、インドネシア人の父とオーストリア人の母とのハーフ。これが初の映画出演。
ロレンツォはスターになるのが夢で、わが道をゆくタイプ。アントニオがブルーを好きなのを知っていても、アントニオへの気持ちを抑えられません。年上の恋人に傷つけられても認めたくないブルー。1人浮いていても、耐えられる強さがあります。アントニオは兄が若くして死んで、両親の過干渉や兄の亡霊(アントニオの妄想?)に悩まされています。三者三様の屈託があるのですが、いっとき楽しい日々を送ります。そのシーンが眩しすぎるくらい明るいので、若くて無知なゆえに引き寄せてしまう痛切なラストにため息が出ました。救いは「もしも・・・だったら」という、もう一つのラストが示されること。
3人の家庭環境が特に悪いわけでもなく、それぞれの親たちも愛情を注ぐのに、悲劇は起こってしまいました。3人と同世代の若い人たちにぜひ観てほしい作品です。(白)
2016年/イタリア/カラー/シネスコ/106分
配給:ミモザフィルムズ
(c)2016 Indigo Film - Titanus
http://onekiss-movie.jp/
★2018年6月2日(土)ロードショー