監督:ルカ・グァダニーノ (『ミラノ、愛に生きる』)
脚色:ジェームズ・アイヴォリー(『日の名残り』)
挿入曲:「ミステリー・オブ・ラヴ」スフィアン・スティーヴンスほか
出演:ティモシー・シャラメ、アーミー・ハマー、マイケル・スタールバーグ、アミラ・カサール
1983年夏。17歳のエリオは、北イタリアにある母が相続した17世紀に建てられたヴィラで家族と共に過ごしている。アメリカの大学でギリシャ・ローマの美術史を教えている父のもとに、博士課程に在学中の24歳のオリヴァーがやって来る。父は研究を手伝ってくれるインターンを毎夏ヴィラに呼ぶのだ。「今年の彼は素敵ね」と、さっそく女性たちが品定めしている。エリオとオリヴァーは、共用バスで繋がった部屋で過ごすことになる。エリオはオリヴァーの「後で」という口癖が横柄に思えて、ちょっと意地悪をするが、自転車で一緒に町に出かけたりしているうちに、お互い惹かれあうようになる・・・
男どうしの恋というより、人が人に自然に惹かれていく様子が描かれていて、さっぱりとした後味。ティモシー・シャラメ演じるエリオが実に初々しくて、オリヴァーが恋するのもわかります。(可愛かったティモシーも、『レディ・バード』では、女の子を軽くあしらう、ちょっと生意気な男の子)
アーミー・ハマーは、本作ではちょっと大味な感じ。いかにもアメリカの青年! 最初に登場した時の胸元にダビデの星が光っていて、おっユダヤ人!と思ったら、実はエリオの家族もユダヤ系。「クリスマスも祝うよと」いうエリオですが、映画の後半では、ユダヤ教の祭ハヌカを祝う言葉が出てきます。やっぱりユダヤの伝統を守る家族なのでした。
あと、もう一つ、私の心に響いたのが、オリヴァーが到着した時に、父である教授が、ある言葉の語源を彼に確認する場面。アラビア語が語源と言いかけて、その前の、ギリシャからアラビア語経由と言い直すのです。(たぶん、そうだったと! このあたり、ちょっと記憶があいまいです) いずれにしても、教授が引っかけ問題として出したもの。オリヴァーは見事正解して、教授の信頼を得ます。
皆そろっての食卓では、英語(米語)の合間に、イタリア語やフランス語など、いろんな言語が飛び交って、語学オタクには楽しい作品。(咲)
2017年/イタリア・フランス・ブラジル・アメリカ/132分
配給ファントム・フィルム
公式サイト:http://cmbyn-movie.jp
★2018年4月27日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ他全国ロードショー