2018年03月04日
修道士は沈黙する 原題:le confession
監督・原案・脚本:ロベルト・アンドー(『ローマに消えた男』)
出演:トニ・セルヴィッロ、ダニエル・オートゥイユ、コニー・ニールセン、モーリッツ・ブライプトロイ、マリ=ジョゼ・クローズ
ドイツ、バルト海沿いハイリゲンダムの空港に降り立つイタリア人修道士、ロベルト・サルス。向かう先はG8財務相会議が開催される高級リゾートホテル。会議の前夜、国際通貨基金(IMF)のダニエル・ロシェ専務理事が自身の誕生日を祝う夕食会に、各国の財務相8名に加え、著名ロックスター、女性絵本作家と修道士のサルスを招いたのだ。賑やかな夕食会の後、サルスはロシェから部屋に呼ばれ、告解がしたいと言われる。翌朝、ロシェがビニール袋をかぶって窒息死しているのが発見される。自殺か、他殺か? 監視カメラでロシェの部屋から最後に出てきたサルスの姿が確認され、サルスに殺人の容疑がかかる。戒律に従って沈黙の誓いを立てているサルスは、自分の不利になろうともロシェの告解の内容を話そうとしない。
翌日のG8財務相会議では、貧富の格差を拡大させるような決定がされようとしているという設定。富を追求する大国の財務相たちとは真逆の、清貧を尊び精神世界に生きる神父を登場させた物語。
冒頭、神父の登場前に、ブルカ、チャードル、スカーフにコートなど、様々なヒジャーブ姿(イスラームを信仰する女性が髪の毛や身体の線を隠す格好)の女性たちの集団が出てきて、お〜っと思ったのですが、その後、彼女たちが映画に登場することはありませんでした。
ロシェの葬儀ミサでのサルスの説教は、今の世界にはびこる合理主義や拝金主義に警鐘を鳴らした痛烈な内容でした。冒頭でヒジャーブ姿の女性たちを登場させた思いを監督に聞いてみたいものです。抑圧された女性たちではなく、精神世界に生きる女性たちという解釈を私はしたいところです。富を追及する財務相会議と同じ場所で、ムスリマ(イスラーム女性)の権利拡大のために各地の女性たちが集まる大会が開かれているという設定なら、面白いと思いました。(咲)
「イタリア映画祭2017」で『告解』(原題の直訳)のタイトルで上映
2016年/イタリア・フランス/イタリア語・フランス語/カラー/108分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
配給ミモザフィルムズ
公式サイト:http://shudoshi-chinmoku.jp
★2018年3月17日(土)よりBunkamura ル・シネマほか全国にて順次公開
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