監督: クリント・イーストウッド
出演: アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン
2015年8月21日、15時17分アムステルダム発パリ行きの高速列車タリス#9364。ヨーロッパを旅行中だったアメリカ人の青年、アンソニー、アレク、スペンサーの3人が乗り込む。
17時49分、列車が北フランスとベルギーとの国境を猛スピードで走っていたとき、ただ一人起きていたアレクは、突如、銃声とガラスが割れるような音を聞く。乗務員が乗務員室に逃げ込んでいく。振り返ると、重装備した典型的なテロリスト風の男が自動小銃を構えていた・・・
テロリストを取り押さえた3人の青年が、本人役を演じた実話
本作は、列車に乗り合わせていたアメリカの3人の青年アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーンが、イギリス人やフランス人の乗客と共に果敢にもテロリストを取り押さえ、554名の乗客をテロから救った実話に基づく物語。
事件の数日後、3人は、一緒に犯人を取り押さえたイギリス人のクリストファー・ノーマンと共にエリゼ宮殿に招待され、フランス最高の勲章を大統領から受け取る。
その後、3人は、米国スパイクTVが視聴者の投票によって選ぶ「ガイズ・チョイス賞」のヒーロー賞を受賞。イーストウッドは、プレゼンターとして3人に出会う。その折、3人が本を書いていることを知り、本が出来上がったら読ませてくれと頼む。約束通り、書き終えてすぐゲラをイーストウッドに送る。その本には、武装した男に挑んだ向こう見ずな行動と共に、3人が幼い頃から築いてきた友情について書かれていた。校長室に呼び出される常連だったことも! しかも、3人は、イーストウッドも青年期を過ごしたカルフォルニア州サクラメントの郊外で育った幼馴染だった。
3人のうち、アレクとスペンサーは、壁一つ隔てた家で、ともにシングルマザーに育てられた、5歳の頃からの友達。中学に入り、アンソニーが仲間に入る。きっかけは、ファミリーネームのアルファベット順に並ばされて隣だったから。(実に、私の高校時代からの親友も、50音順で席を決められて、隣だったから!)
イーストウッドは映画化権を獲得。有名な俳優をキャスティングすることも考えたそうだが、3人と映画の詳細について話すうち、本人たちに自身を演じて貰うことが最善だと、出演をオファーする。演技経験もない3人だったが、イーストウッドは幼いときからの憧れのスターであり監督。これは引き受けるしかないと思い切る。
それぞれの道を歩んでいた幼馴染の3人。軍人としてアフガニスタンに駐留していたアレクの引き上げ時期と、ポルトガルのラジェス航空基地に駐留していたスペンサーの仕事明けが偶然一致。大学生のアンソニーにも声をかけ、実現した3人のヨーロッパの旅。
3人は、撮影を通じて、その旅も追体験する。3人とも、とても爽やかで、ほんとに自分自身を自然に演じていて、そのまま役者になれそう。
幼い頃のエピソードも、丁寧に語られている。勇気ある人になりたいと密かに思っていたことも。
「この映画はごく普通の人々に捧げた物語である」と、クリント・イーストウッド。
テロに出会うことも、今の世の中、誰しもに起こりうること。その時、どう対処するのか、瞬発力が試されることになる。そんな目にあいたくないけれど! この映画を観て思い出したのが、韓国映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』。あちらはありえないゾンビ発生に逃げ惑う話だけど、理屈は同じ。協力しあって対処することが、助かる道だと、本作も教えてくれました。(咲)
2018年/アメリカ/94分/スコープサイズ/5.1chリニアPCM+ドルビーサラウンド7.1(一部劇場にて)
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式サイト:http://1517toparis.jp/
★2018年3月1日(木)より丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー