◆2/3(土)より渋谷のBunkamuraル・シネマ、3/17よりテアトル梅田で公開
監督・脚本:王家衛(ウォン・カーウァイ)
製作総指揮:アラン・タン
製作:ローヴァー・タン
撮影クリストファー・ドイル
編集:パトリック・タム
美術:ウィリアム・チョン
武術指導:董瑋(トン・ワイ)ほか
音楽:ザビア・クガート ロス・インディオス・タバハラス
キャスト
ヨディ:張國榮(レスリー・チャン)
スー:張曼玉(マギー・チャン)
ミミ:劉嘉玲(カリーナ・ラウ)
サブ:張学友(ジャッキー・チュン)
警官タイド:劉コ華(アンディ・ラウ)
ヨディの母:潘迪華(レベッカ・パン)
謎の人物:梁朝偉(トニー・レオン)
脚のない鳥がいるそうだ
ひたすら飛び続けて
疲れたら風に乗って眠る
地上に降りるのは死ぬ時だけだ
「1960年4月16日3時1分前、君は僕といた。この1分を忘れない。君とは"1分の友達"だ。」と、ヨディ(レスリー・チャン)はサッカー場の売店の女性スー(マギー・チャン)にそう話しかける。「夢で会おう」、「この1分を忘れない」などとせまるヨディを煙たがるが、スーは彼のことを好きになっていく。結婚を望んだスーだが、ヨディにはそのつもりはなかった。傷心のスーはヨディの元を去る。ヨディはダンサーのミミ(カリーナ・ラウ)とつきあい始めたが、ヨディの親友サブ(ジャッキー・チュン)もミミに恋心を抱くようになる。そして、傷心のスーを慰めた警官のタイド(アンディ・ラウ)は彼女に惹かれていく。
やがて、ヨディは母親(レベッカ・パン)が実の親ではないことを知り、実の母親を探しにフィリピンへと向かう。ミミは姿を消したヨディを探しまわる。ミミに想いを寄せるサブは、ヨディからもらった車を売りミミにお金を届ける。警官をやめて船乗りになったタイドは航海に出る。スーはタイドに連絡しようとするが電話は繋がらない。
60年代の香港を舞台に、ヨディの周りで交錯する若者たちの出会いと恋。夢と運命、若者たちのそれぞれの想いは満たされずすれ違う。
フィリピンでヨディとタイドは偶然知り合い、行動を共にすることになるが、二人の運命は…。香港での暗い色調の画面、フィリッピンの湿度の高さを感じさせる密林の青緑色の色調、そして明るさ。屋根の上を伝って逃げる二人や列車の中までの疾走感。もがきながら生きている若者たちの表現の仕方が当時新しかった。
『いますぐ抱きしめたい』『恋する惑星』『ブエノスアイレス』などで知られるウォン・カーウァイ監督の2作目。各国映画祭でセンセーションを巻き起こし、世界的な注目を浴びるきっかけとなった本作。それまでの香港映画と違う独特な浮遊感や疾走感が混じる語り口とクリストファー・ドイルによる映像美。豪華なトップスター6人を起用したキャスティング。数字やタイムスリップ的なや時へのこだわりや印象的な音楽が話題になり、ウォン・カーウァイ監督の独特なスタイルが確立されていった作品。
この作品がデジタル化され、13年ぶりの劇場公開とのこと。ぜひお見逃しなく。
この作品を何回観たことだろう。最初に観た時は、なんだか物語はよくわからないけど、映像の斬新さや、舞台設定の面白さ、音楽の使い方とか、そういうところに興味がいった。また、当時はフィリピンの映像も観たことがなかったので、ものめずらしかった。展開が??で、どうなっているのと思いながら、色彩と若者の疾走感が興味深かった。その後、香港に行ったときには、アンディが巡回してチェックをしていたあの公衆電話があった場所にも行ってみた。実際は公衆電話はなくて、ただのトンネルが残っているだけだったが、そこに立つと、『欲望の翼』での、警官姿のアンディの姿が思い出された。それも、もう15年以上前になってしまった。もしかしたら、その場所はもうないかもしれないけど、今度香港に行ったら、そこにまた行ってみようと思った、再度の『欲望の翼』鑑賞だった。ちなみに去年、その公衆電話の場所を探しに行った友人は「みつけることができなかった」と言っていたので、やはり、もうないのかも…。
今回、見直してみて、ヨディはこんなにも実の母親にこだわっていたんだったっけ?と思った私。最後のトニーが突然出てきたシーンも謎のままで気になる。やっぱり続編作られないのか…(暁)
1990年/香港/95分/カラー/モノラル/字幕翻訳:寺尾次郎
配給:ハーク
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