監督・脚本 :諏訪敦彦(『M/OTHER』『ユキとニナ』)
出演:ジャン=ピエール・レオー、ポーリーヌ・エチエンヌ、モード・ワイラー、アルチュール・アラリ、イザベル・ヴェンガルテン
南仏コート・ダジュール。年老いた俳優ジャンが死の瞬間をどう演じるか悩んでいた矢先、相手役の女優の準備が整わず撮影は延期となる。ジャンは赤いグラジオラスの花束を抱えて、かつて愛した女性ジュリエットの住んでいた古い屋敷を訪ねる。美しい姿のまま現われるジュリエット。これは現実なのか、夢なのか。ジャンがベッドで横たわっていると、屋敷に忍び込んだ地元の子どもたちから、自分たちが撮る映画に出て欲しいと頼まれる。子どもたちは脚本を作り、ジャンも気に入り、撮影が始まる。数日後、いよいよラストシーンを撮るために皆で湖に向かう途中、ジャンは上機嫌で「ライオンが今夜死んだのだ」と歌いだす・・・
大男のジャンに、最初はおっかなびっくりの子どもたち。ジャンも子どもたちを脅かして楽しんでいます。やがて始まる映画作り。子どもたちが伸び伸びと映画を撮る姿に、自由な心で表現することの素晴らしさを感じさせてくれます。この映画が撮影されたのは、映画の父であるリュミエール兄弟の作品の舞台であるラ・シオタ。諏訪監督がここをロケ地に選んだのも、映画の原点を感じたかったからでしょうか。
諏訪監督が名優ジャン=ピエール・レオーと知り合ったのは、2012年のラ・ロシュ・シュル・ヨン映画祭。ジャンに映画的なポエジーを感じた諏訪監督は、いつか彼を主役に撮りたいと思ったのが、この映画の発端。その後、ジャンが来日した折に、好きな歌は?と尋ねたところ、「ライオンは今夜死ぬ」を歌ってくれて、タイトルがひらめく。さらに、劇中でジャンがこの歌を歌うことも決め、そこから物語を作っていったそうです。
かつて愛したジュリエットは実はもう亡くなっていて、ジャンの前に現われるのは幻。子どもたちの中に、7歳の時に父親を交通事故で亡くした少年がいて、「思えば会える」と語りかけます。誰もが直面する「死」についても考えさせられる物語。
諏訪監督の前作『ユキとニナ』のユキを演じたノエ・サンピが、成長した姿を一瞬ですが見せてくれます。どうぞお見逃しなく。(咲)
2017年/フランス・日本/103分
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:http://www.bitters.co.jp/lion/
★2018年1月20日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほかにて 全国順次公開
2018年01月21日
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