2018年01月21日

デトロイト(原題:Detroit)

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監督:キャスリン・ビグロー
脚本:マーク・ボール
撮影:バリー・アクロイド
音楽:ジェームズ・ニュートン・ハワード
出演:ジョン・ボイエガ(ディスミュークス)、ウィル・ポールター(クラウス)、ジャック・レイナー(デメンズ)、ベン・オトゥール(フリン)、オースティン・エベール(ロバーツ)、ジョン・クラシンスキー(弁護士)、アルジー・スミス(ラリー)、ジェイソン・ミッチェル(カール)、アンソニー・マッキー(グリーン)、ジェイコブ・ラティモア(フレッド)、ハンナ・マリー(ジュリー)、ケイトリン・デヴァー(カレン)

1967年7月23日、アメリカ デトロイト。ベトナムから帰還した黒人兵のパーティに警官が押し入り、有無を言わさず解散させた。これがきっかけで、普段から警察の横暴に不満を持つ黒人が暴徒化した。暴動は激化するばかりで、ミシガン州は鎮圧のため警察に加えて陸軍州兵を出動させた。
暴動発生から3日目、せっかくの晴れ舞台が中止になってしまった黒人ボーカルグループのメンバーがアルジェモーテルにチェックインする。大勢の若い黒人客で賑わい、シンガーのラリーはプールサイドで白人の女性客と親しくなる。暴動から離れた静かな地区でだったのが、泊り客の一人カールがふざけて鳴らした競技用の空砲で一変。周辺にいた警官たちが銃撃の音と誤認、またたくまにモーテルは警官と軍隊に囲まれてしまう。真っ先に突入してきたデトロイト市警の白人警官クラウスは、逃げようとしたカールを背後から射殺。さらにモーテルの客たちを一堂に集めて、執拗な尋問を始めた。

実際に起きたデトロイト暴動では5日間で43人が死亡、1189人が負傷したそうです。映画は記録に残っている中からモーテルでの一夜にスポットをあて、息詰まるような濃密な時間に観客を閉じ込めます。キャスリン・ビグロー監督は事件の生存者をアドバザーとして撮影現場に招き、映画に生々しく再現しました。
人種差別警官クラウス役のウィル・ポールターは『リトル・ランボーズ』(2007)のやんちゃな男の子です。『なんちゃって家族』(2013)『メイズ・ランナー』(2014)などではそのまま大きくなった感じでしたが、こんなに鬼気迫る演技を見せるとは!同じような役ばかりが今後続くのではとちょっと心配。冷静な民間警備員ディスミュークスは『スター・ウォーズ フォースの覚醒』(2015)でフィン役に抜擢されたジョン・ボイエガ。アクション映画で活躍する若手俳優も出演していますが、ひたすら拷問に耐えることになるのが史実とはいえ、歯がゆくて辛いです。それだけリアルということで、観終わってやっと緊張が解けました。人を分断・排除しようという空気が見え隠れするこのごろ、この作品は必見。(白)


2017年/アメリカ/カラー/ビスタ/142分
配給:ロングライド
(C)2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
http://www.longride.jp/detroit/
★2018年1月26日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 17:57| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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