12/2(土)〜アップリンク渋谷にてロードショー、以下全国順次公開
監督 朴壽南(パク・スナム)
プロデューサー 朴麻衣
撮影 大津幸四郎 ハン・ジョング チャン・ソンホ
日本の植民地支配による朝鮮人犠牲者の沈黙に光をあててきた在日朝鮮人2世の朴壽南(パク・スナム)監督が、半世紀の沈黙を破って立ち上がったハルモニたちに寄り添ったドキュメンタリー。
慰安婦についてのもうひとつの歴史
韓国、忠清北道の村で暮らす90歳の李玉先(イ・オクソン)さんは、17歳の時、北満州の慰安所に連行され、数年に渡って日本兵たちの性暴力にさらされ続けた。1994年、李さんは「法的責任は解決済み」という日本政府に公式謝罪と個人補償を求めるため、半世紀の沈黙を破って14人の仲間とともに立ち上がった。
韓国内の支援団体から独立して「被害者の会」を結成した彼女たちは直接交渉を開始。その後3年に渡って来日を続け尊厳の回復を訴えた。主流派の挺対協派の支持なしに少数派の元慰安婦たちは日本政府相手に戦いを挑むが門前払い。
94〜98年の日本政府相手の孤立無援の闘いに朴壽南監督が寄り添い、彼女たちの恨(ハン)を映像に記録した。あれから20余年、闘いの主人公の多くが亡くなった。2015年、日韓両政府が合意した「解決」は当事者の問いに答えているのか。朴監督の記録映像で李さんの人生を振り返り、ハルモニたちの姿を伝える。
朴壽南(パク・スナム)
在日朝鮮人2世の作家として小松川事件の死刑囚・李珍宇少年との往復書簡『罪と死と愛と』(63年)を出版し民族差別問題に向き合い、映像では、広島での朝鮮人被爆者の実態を描いた『もうひとつのヒロシマーアリランのうた』(86年)、連行され沖縄戦に投入された朝鮮人軍属と「慰安婦」のことを伝えた『アリランのうたーオキナワからの証言』(91年)。『ぬちがふぅ(命果報)-玉砕場からの証言-』(2012)では沖縄戦の「玉砕」の真実に迫った。
日本の植民地支配による悲劇の歴史の中で無念の思いを抱いたまま亡くなった慰安婦たち。戦後も沈黙を強いた社会で生き抜いてきたハルモニたち。「従軍慰安婦」とは何だったのか。身を置き換えて、それがもし母だったら、娘だったら、自分だったらと、思いを巡らす。慰安婦たちに、生涯をかけて密着し、記録し続けた朴壽南監督の勇気に感服。ずっしりと心に響く。(暁)
製作年2017年 製作国 日本・韓国合作
配給 アリランのうた製作委員会
上映時間117分
公式https://tinmoku.wixsite.com/docu
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