監督:ボニー・コーエン、ジョン・シェンク
出演:アル・ゴア
2016年に製作され、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞・主題歌賞を受賞した『不都合な真実』の第2弾。前作で地球の気候変動が人類を滅亡させる可能性もあることを訴え、人間が創りだした温室効果ガスの削減への対策の必要性を問うたアル・ゴア元アメリカ副大統領。
あれから10年。アル・ゴアは地球環境問題啓発に貢献したとしてノーベル平和賞を受賞し、さらに自身のすべてを気候変動問題解決の道に賭けてきた。今、出来ることは何か?を問い、2015年にはパリ協定が締結され、全世界が温室効果ガス削減に向け心を一つにした。
ところが、トランプ大統領が就任。地球温暖化はないと言い切り、パリ協定離脱を宣言する。この絶望的な状況の中でも、アル・ゴアは諦めない。「人類の運命は今の私たちに懸かっている。未来の子どもたちを救おう!」と、温厚なアル・ゴアが珍しく声を荒げる・・・
まずは、政治家の判断が、地球の将来をも左右することを見せつけられました。
アメリカ・ファーストを掲げるトランプ大統領ですが、アメリカの企業もパリ協定合意の内容に沿って軌道修正しているはず。アメリカ国内各地で洪水被害も起こり、ニューヨークのグランドゼロも水浸しになった現実をどう考えているのでしょう。国土が荒れては、元も子もないはずです。
本作では、アル・ゴアを追って、グリーンランド、インド、ヨーロッパ、アジア、アメリカへと撮影隊は権力者や科学者と精力的に接する彼の姿を映し出します。
印象に残ったのは、発展途上国の視点での再生可能エネルギーの利用への転換です。
インドでは、化石燃料による大気汚染が深刻な問題になっていますが、インフラ整備も進んでいない中、低コストの化石燃料に頼らざるを得ない実情があります。3億人の貧困層は、そのエネルギーを使うことすらできないでいることに胸を痛めます。太陽光や風力利用のエネルギー開発に転換することで両方の問題を解決すべく、アル・ゴアは資金援助してくれるところを必死になって探します。その努力が実って、低金利の世銀借款が決まったとのこと。
さて、今、私たちが地球の未来のためにできることは?
皆が映画を観て、感じて、実行していけば、きっと大きな力になっていくと思います。(咲)

第30回東京国際映画祭 クロージング作品として上映され、登壇したアル・ゴア元アメリカ副大統領。

コンペティション部門審査員長のトミー・リー・ジョーンズとはハーバード大学でルームメイトだった仲。
思わぬ東京での再会となりました。
2017年/アメリカ/98分/カラー/英語
配給:東和ピクチャーズ株式会社
公式サイト:http://futsugou2.jp/
★2017年11月17日 (金) TOHOシネマズ みゆき座ほか全国ロードショー