監督・編集:松原保
プロデューサー:榛葉健
撮影:名木政憲
音楽:ウォン・ウィンツァン
ナレーション:竹下景子
2011年福島第一原発事故後、国は20q圏内を“警戒区域”に指定、立ち入を厳しく制限した。5月、農水省は放射能に汚染された食肉が流通することのないよう、その区域にいる家畜は所有者の同意を得て殺処分と通達した。当時区域内の牛は3500頭。通達までに、取り残された牛の多くが繋がれたまま餓死してしまった。ほとんどの畜産農家は生き残った牛を泣く泣く処分したが、殺処分に同意しなかった十数軒は経済価値のなくなった牛を生かすことを選んだ。しかし故郷も仕事も失くした身に負担は重く、反対農家は5軒と減ってしまった。それでも500頭余りの牛を今も飼い続けている。そして一部の牛たちに白い斑点が現れてきた。
出荷することができない牛を殺処分せず、世話を続けている畜産農家の方々を追ったドキュメンタリーです。30年以上も前、福島県相馬地方の伝統行事「相馬野馬追」の撮影をしたことのある松原監督は、震災後の6月に相馬野馬追を取材する中で、被ばく牛を飼育している畜産農家の方々と知り合います。その後5年も続くことになる取材の始まりでした。
ここに登場する人たちは原発事故の被害者であり、様々な困難を抱えながらも、今生きている命を守り続けています。都会の生活が元に戻り、災害や事故の記憶が薄れていっても“フクシマ”は元に戻ることができません。動物たちがもの言うことができたなら、と思わず想像してひやりとしました。この映画がたくさんの人に届きますように。福島映像祭で上京された松原監督にお話を伺うことができました。HP特別記事に掲載いたします。(白)
2017年/日本/カラー/104分
配給:太秦
(C)2017 Power-I,Inc.
http://www.power-i.ne.jp/hibakuushi/
★2017年10月28日(土)より東京・ポレポレ東中野ほか全国順次ロードショー