監督:ヴァンニャ・ダルカンタラ
出演:イザベル・カレ、國村隼、安藤政信、門脇麦
フランス。アリスは、夫の仕事も順調で何不自由ない暮らしをしている。ある夜、夫に誘われ気の乗らないパーティに行くが、途中で抜けて一人で家に帰ると、笑い声が聞こえてくる。長らく不在にしていた弟ナタンが日本から帰ってきて、子どもたちと戯れていた。腕に「久美子」の入れ墨をした弟は、ダイスケという人物に出会って、生きる意味を教わった、日本にまた戻るので一緒に行こうという。姉の満ち足りてない心を察しての誘いだったが、家庭があるからとアリスは断ってしまう。
数日後、バイクに乗っていた弟が交通事故に巻き込まれ、亡くなってしまう。遺留品のナップザックの中に、日本人の恋人・久美子との幸せそうなツーショットを見つけたアリスは、日本で何が弟の人生を変えたのかを探りに旅立つ。
久美子を訪ねあて、弟と出会った離島の崖のそばで、自殺志願者に声をかけて思い留ませるダイスケという元警察官のことを聞かされる。アリスは、ダイスケの見守る崖に向かう・・・
ベルギーの女性監督ヴァンニャ・ダルカンタラが、日本を舞台に描いた心の再生の物語。外国人が日本で撮影すると、こんな風になるのかと興味深い。美しい風景とともに、都会の雑踏も捉えている。圧倒的な大自然を前に、心静かに人生を振り返り、何人もの人に自殺を思いとどまらせたダイスケと接することで、あらたな一歩を踏み出すアリスに寄り添った物語。なんともいえない不思議な余韻。ただ、ダイスケを演じる國村隼さんも、島の女子高校生を演じる門脇麦さんも、英語がとても流暢で、ちょっと違和感。
自殺名所の絶壁というと、真っ先に思い浮かぶのが東尋坊。本作では、各地を巡った結果、島根県隠岐の知夫里島(ちぶりじま)の知夫赤壁(ちぶせきへき、ちぶりせきへき)を撮影地に選んだとのこと。一般には赤壁(あかかべ)と呼ばれているところで、30年以上前に一度訪れたことがあるが、まさに絶景。まだまだ生きていたいと思わせてくれる壮大な光景!(咲)
2016年/ベルギー・フランス・カナダ/95分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:ブースタープロジェクト
公式サイト:http://www.kokoro-movie.jp/
★2017年11月4日(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次公開