2017年10月08日

ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ   原題:The Price of Desire

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監督:メアリー・マクガキアン
出演:オーラ・ブラディ、ヴァンサン・ペレーズ、ドミニク・ピノン、アラニス・モリセット

アールデコからモダニズムへと時代が変わった1920年代。
家具デザイナーとして脚光を浴びていたアイリーン・グレイは、恋人の建築家であり評論家のジャン・バドヴィッチと共に、建築デビュー作として南フランスのカップ・マルタンの海辺にヴィラ E.1027を完成させる。それは、ル・コルビュジエが提唱してきた「近代建築の 5 原則」を具現化した、まさにモダニズムの記念碑といえる傑作だった。ル・コルビュジエはアイリーンの才能を絶賛し、親交を深める。が、賞賛の思いはやがて嫉妬に変わり、アイリーンの留守中にル・コルビュジエは壁に下品なフレスコ画を描く。彼女は激怒し、彼らの関係は断たれ、E1027は放置されてしまう・・・

本作は、長い間ル・コルビュジエの作とされてきたヴィラE1027を軸に、モダニズムの時代を先導した二人の人物を描いたもの。

戦後、すっかり荒れ果てたE1027が競売にかけられた時、自分のものにしようと奔走したル・コルビュジエ。1965年、E1027を見晴らすカップ・マルタンで海水浴中に心臓発作で亡くなっている。なんとも皮肉な運命!

ル・コルビュジエといえば、2016年に近代建築への顕著な貢献として、世界各地16の建築作品が世界文化遺産登録された建築家。日本では上野の国立西洋美術館が有名。以前からル・コルビュジエの手がけた建物として知っていたけど、どこがいいのかわからなかった建築物。本作を観て、ル・コルビュジエという人物、建物同様、どうにも好きになれないと思った、一方で、本作を通じて、アイルランド出身のアイリーン・グレイという才能豊かな女性のことを知ることができた。生涯にわたって自分のスタイルを貫いた女性とのこと。頼もしい。(咲)


2015年/ベルギー・アイルランド/108分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給トランスフォーマー
公式サイト:http://www.transformer.co.jp/m/lecorbusier.eileen/
★2017年10月14日(土)Bunkamura ル・シネマほか、全国順次公開



posted by sakiko at 18:07| Comment(0) | ベルギー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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