2017年10月01日
ブルーム・オブ・イエスタディ 英題:The Bloom of Yesterday
監督:クリス・クラウス (『4分間のピアニスト』)
出演:トラース・アイディンガー、アデル・エネル
ホロコーストの加害者と被害者の孫が出会い、恋に落ちる!
ドイツ人でホロコースト研究者のトトは頑固者。同僚と口論しているそばで教授が急逝。遺された犬のガンジーを引き取り、「ホロコーストを語る会」の開催に向け奔走する。トトの祖父はナチスの戦犯で、その罪ほろぼしに会を成功させたいと思っているのだ。そんな折、フランスからホロコースト研究者の女性ザジがやってくる。祖母がナチスの犠牲者となったユダヤ人で、親族の無念を晴らすために、なんとしても「ホロコーストを語る会」を成功させたいという。二人の目的は違うが、一緒に会の開催に向けてまい進することになる・・・
2016年・第29回東京国際映画祭のコンペティション部門で東京グランプリ(最高賞)およびWOWOW賞を受賞した作品。(映画祭上映時タイトル『ブルーム・オヴ・イエスタディ』)。
クリス・クラウス監督(左)とカトリン・レンメさん(プロデューサー)
東京国際映画祭上映の折のQ&Aでのクラウス監督談:
ドイツでは、8歳の頃からホロコーストについて学び続けるけれど、加害者の子孫であっても、個人的痛みとして感じていないことがほとんど。被害者側とのぎくしゃくした関係を克服するには、痛みに直接向き合うことが大切です。
また、ドイツでは、ユダヤ人の生き残りはいい人に見せないといけないという風潮がありますが、そのタブーを破って、嫌味なタイプの女性を登場させました。(「ホロコーストを語る会」に登場する経験者の年老いた女性)
コメディータッチで描きながらも、ホロコーストの痛みは持続させた作りにしました。
実は、昨年、東京国際映画祭で、ホロコースト絡みなので興味津々で観た映画なのですが、ブラックユーモアについていけなくて、あまり好きになれなかった作品。
公開を前に試写状をいただいたので、もう一度観てみました。ドイツ流の笑いのツボは、違うなぁ〜と思いつつ、監督が描こうとした思いは、ずっしりと伝わってきました。
ドイツの人たちが、ホロコーストにしっかり向き合う教育を受けてきたからこそ、加害者側にも被害者側にも、公平に思いを寄せることができるのではないでしょうか。
別れた男と女のその後も、この映画のみどころ。どこの世界にもありそうで、ドキッとする人もいるのでは。(咲)
2016年/ドイツ・オーストリア/2時間3分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:キノフィルムズ / 木下グループ
公式サイト:http://bloom-of-yesterday.com
★2017年9月30日(土)Bunkamuraル・シネマ他 全国公開
この記事へのコメント
コメントを書く