2017年08月06日

海の彼方  原題:海的彼端   英題:After Spring, the Tamaki Family…

uminokanata.jpg

監督:黄インイク(黄胤毓/Huang Yin-Yu/コウ・インイク)
ナレーション:玉木慎吾
出演:玉木玉代、玉木秋雄、登野城美奈子、玉木美枝子、吉原美佐子、玉木茂治、志良堂久美子、玉木文治、玉木慎吾、登野城忠男

1930年代、日本統治時代の台湾から、八重山諸島(石垣島を含む10の島々)に集団移民した台湾農民たちがいた。
本作は、玉木家の3世代を軸に、八重山の台湾移民の歴史を辿ったドキュメンタリー。

沖縄県石垣島。
88歳になる玉木玉代おばあの米寿のお祝いに、100人を超す家族が各地から駆けつける。
やがて、おばあが生きているうちに、もう一度里帰りさせようと、娘や孫がおばあを連れて台湾に赴く・・・

1935年、総督府がパイン産業の国営化を図ったために、農民たちは困窮し、八重山諸島に集団移民した。10年経ち、ようやく安定した頃に、沖縄に米国が侵攻し戦局が悪化する。台湾に疎開した人たちの一部が、終戦後、密入国の形で再度八重山に移り住む。
アメリカによる27年間の沖縄統治時代、台湾移民は無国籍だったが、1972年沖縄が本土復帰した折、日本国籍を取得する。共産中国の国籍となるよりはとの政策だった。

台湾が日本に統治されていた時代、国家政策でパイン生産が国営化されたために台湾から八重山諸島に移住せざるを得なかった人たちがいたことを知りました。そして、戦後も無国籍で苦労した人たち・・・ 
それにしても、玉代さんはすごい! 7人の子供たちが、たくさんの子を産んで、曾孫まで含めると、その数、100人! 歴史に翻弄された人生だけど、それだけでも幸せな人生だなぁ〜と! 人口増加に貢献していない私は、うらやましく思う次第です。(咲)

私が沖縄に行ったのは1977年。船で2泊くらいかけて行った。その船は台湾行きで、途中の那覇で下りたのだった。那覇のあとは石垣を経て、次は台湾の基隆港だったので「沖縄と台湾はそんなに近いんだ」と、その時思った記憶がある。そして、石垣島ではパイナップル畑を歩いた。周り一面パイナップルで、パイナップル特有の匂いが一面に漂っていた。その頃東京では、今みたいに生のパイナップルはほとんど売っていなくて缶詰だったので、生のパイナップルの甘酸っぱい匂いを初めて嗅いだ。その時に実のなり方も知った。実が地面近くにあり上に向かってなっているという、なんとも不思議な光景だった。その時は、まさか台湾の人たちが、パイナップルの栽培技術を持ってきたとは全然思ってもみなかった。
そのことを知ったのは、2015年に公開された『はるかなるオンライ山 〜八重山・沖縄パイン渡来記〜』(本郷義明監督)だった。こちらは、沖縄へパイナップルをもたらした台湾からの入植者たちの歴史をひも解き、沖縄と台湾という2つの文化が出会った過去から未来を見つめていくドキュメンタリーだった。
『海の彼方』は、玉木家の家族を中心に、八重山にパイナップルを根付かせた台湾の人たちの物語になっていた。いろいろな視点から歴史の掘り起こしで昭和史を知るのはとても興味深い。黄監督は、台湾から八重山へ移住した人たちの歴史を3部作で描いていると語っていた。そちらもぜひ見てみたい(暁)。


台湾・日本/2016年/日本語・台湾語/カラー/123分/16:9/5.1ch/DCP/ドキュメンタリー
配給・宣伝:太秦
協賛・後援:台湾文化部、リウボウ、台湾新聞社
公式サイト:http://www.uminokanata.com
★2017年8月12日(土)より ポレポレ東中野ほか全国順次公開!
posted by sakiko at 18:36| Comment(0) | 台湾 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: