2017年07月30日
ロスト・イン・パリ(原題:Paris pieds nus)
監督・脚本:ドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン
出演:ドミニク・アベル(ドム)、フィオナ・ゴードン(フィオナ)、エマニュエル・リヴァ(マーサおばさん)、ピエール・リシャール
雪深いカナダの田舎に住む図書館司書のフィオナのもとに、パリに住んで48年のマーサおばさんから手紙が届いた。「フィオナ助けて!老人ホームに入れられてしまう」とあった。フィオナは生まれて初めての大都会パリへと訪ねて行く。ようやく家を探し当てたけれど、おばさんはいなかった。探しながら町を歩くうちに、セーヌ川に落ちて、全てが入ったバッグパックと携帯をなくしてしまう。カナダ大使館で思わず泣きだしたフィオナに、気の毒になった大使館員は食事券を差し出す。
フィオナのバッグを拾い上げたのはホームレスのドムだった。思わぬ臨時収入に喜んだドムはレストランで食事、そこにやってきたフィオナを誘ってダンスをしたりとご機嫌。一方マーサおばさんは、ホームに入れられるのを嫌って逃げ回っていた。
製作、脚本、監督のドミニク・アベル、フィオナ・ゴードン夫妻の本業はクラウン(道化師)。長年培った身体そのものの表現力で、観客の目をくぎ付けにします。台詞がないときでも軽妙な動きで豊かな感情が現れてきます。考え抜かれたアニメーションのキャラクターが動いているようにも見えます。二人のほかに登場するのは、ベテランの名優たち。
マーサおばさん役のエマニュエル・リヴァは、ミヒャエル・ハネケ監督作『愛、アムール』(2012)の演技によりアカデミー賞R 主演女優賞に史上最年長でノミネートされました。惜しくも2017年1月89歳で亡くなられましたが、この作品に“物忘れはするけれど自立心旺盛なマーサ”の元気で愛らしい姿が残りました。(白)
2016年/フランス、ベルギー/カラー/1:1.85/83分
配給:サンリス
cCourage mon amour-Moteur s'il vous plaît-CG Cinéma
http://www.senlis.co.jp/lost-in-paris/
★2017年8月5日(土)渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック