2017年07月02日

裁き  原題:Court

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監督:チャイタニヤ・タームハネー
出演:ヴィーラー・サーティダル、ヴィヴェーク・ゴーンバル

インド、ムンバイ。アパートの一室で子どもたちに勉強を教え終え、広場での「ワドガオン虐殺抗議集会」に急ぐ初老の男。民衆詩人カンブレだ。特設舞台に立ち、カースト、民族、宗教等々、我々は差別の森にいると力強く歌っている途中で、警察に連行される。マンホール内で下水清掃人の死体が見つかり、カンブレの扇動的な歌が自殺を促したという容疑だった。
下級栽培所で裁判が始まる。
人権擁護派の若手弁護人は、それなりに背景を探る。中年の女性検察官は有罪と決め付け、裁判よりも今夜の献立の事で頭がいっぱい。裁判官は、もうすぐやってくる1ヵ月の休暇が待ち遠しく、さっさと決着をつけたい・・・

裁判は、最初マラーティー語で質疑応答が行われていたのに、途中で英語かヒンディー語でと指示が出て、マラーティー語しかわからない被告のカンブレは困ってしまいます。多言語国家インドならではの光景。
*注 マラーティー語:インド西部のマハーラーシュートラ州の公用語。州都ムンバイ(ボンベイ)で作られる、いわゆるボリウッド映画は主としてヒンディー語(インド全体の連邦公用語)で作られている。また、英語は準公用語。

『court』という原題から、法廷での場面が続くのかと思ったら、物語は被告人、弁護人、検察官、裁判官の法廷外の日常を映し出していきます。弁護人が訪ねていく死んだ下水清掃人の遺族の住むアパートは狭苦しく、人々も貧しい身なり。女性検察官の住まいは、中流らしく、そこそこの広さ。裁判官は瀟洒な豪邸に住んでいて、貧富の差の激しさを見せつけてくれます。カーストの壁が立ちはだかって、職業も好きに選べないインド。被告人カンブレにいたっては、そのカーストの外に位置づけられる不可触民。こぶしを挙げて、声高らかに歌うカンブレの姿がやるせない。(咲)


2015年のアジアフォーカス福岡国際映画祭上映作品。

2014年/インド/カラー/2.35:1/マラーティー語、ヒンディー語、英語、グジャラート語/116分
配給:トレノバ
公式サイト:http://sabaki-movie.com/
★2017年7月8日(土)より、ユーロスペースほか全国順次ロードショー
posted by sakiko at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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