2017年04月09日
午後8時の訪問者(原題:La fille inconnue)
監督・脚本:ジャン=ピエール・ダルデンヌ、リュック・ダルデンヌ
出演:アデル・エネル(ジェニー)、オリビエ・ボノー(ジュリアン)、ジェレミー・レニエ(ブリアンの父)、ルカ・ミネラ(ブリアン)
将来を嘱望されている女医のジェニーは、今勤めている小さな診療所を近々出て、大きな病院へ移る予定だった。高待遇が約束され、歓迎会も知らされたばかり。診療時間を大幅に過ぎた午後8時、帰リ支度をしていると誰かがベルを鳴らす。研修医のジュリアンが応対しようとしたが、ジェニーは「出なくていい」と彼を制止する。翌日、近くで身元不明の少女の遺体が発見された。警察が少女の足取りを調べ、診療所のカメラに残った画像から、ベルを押していた少女だとわかる。ジェニーは{あのときドアを開けていたら死なせずに済んだのではないか」と自分を責める。名前も知らない少女の顔写真を携帯に保存し、ジェニーは彼女を知る人を探し始めた。
「あのときああすれば」という経験は、誰もが大なり小なりしているはずです。この作品では見知らぬ少女が死んでしまったことで、自責の念にかられる若い女医が主人公です。医師は常に沈着冷静な判断を期待され、感情に流されないことも大切な職業。しかし、ジェニーはこの事件後、少女の身元を知りたいと捜し歩き、危険な目にあってもやめません。次第に真実に近づくまでサスペンスタッチで進みます。ジェニーの患者から思わぬ手がかりを得、話が広がり収束しラストにもっていくストーリーがうまいです。そういえばヒロインが人を訪ね回る『サンドラの週末』も同じダルデンヌ監督作品でした。
ジェニー役のアデル・エネルは『水の中のつぼみ』(2007)から見ていますが、今も高校生役ができそうなほど若々しいです。昨年のTIFF“東京グランプリ”受賞作品『ブルーム・オヴ・イエスタディ』(クリス・クラウス監督)にも主演していましたが、そっちはいつ公開になるのかな。(白)
2016年/ベルギー・フランス合作/カラー/ビスタ/106分
配給:ビターズ・エンド
(C)Christine Plenus
http://www.bitters.co.jp/pm8/
★2017年4月8日(土)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
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