2017年01月29日

王様のためのホログラム  原題:A Hologram for the King

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監督・脚本・音楽:トム・ティクヴァ(『パフューム ある人殺しの物語』)
出演:トム・ハンクス、アレクサンダー・ブラック、サリタ・チョウドリー、シセ・バベット・クヌッセン、ベン・ウィショー、トム・スケリット

アラン・クレイは大手自転車メーカーの取締役を解任され、家も財産も失い、妻にも見捨てられてしまう。愛娘の学費を捻出するため、必死になって職探し。やっとのことで、サウジアラビアの国王に最先端の映像装置〈3Dホログラム〉を売り込む仕事にありつく。さっそくジェッダに飛ぶアラン。翌朝、寝坊したアランは国王がいるという砂漠の中の経済・貿易新都市への連絡バスに乗り遅れてしまう。国際免許がなく、運転手付きの車をホテルに紹介してもらう。やってきたのは、調子のいい男ユセフ。しかも、人妻と親しくなり、旦那に命を狙われ、車に爆弾を仕掛けられているかもなどと口走る。
何もない砂漠をひた走り、ようやく目的地へ。約束していた担当者カリームを訪ねると、今日は戻らない、明日と受付嬢に言われてしまう。
ジェッダに戻り、翌朝、再び寝坊し、ユセフの車で出向くと、担当者カリームはまたしても不在。部下の女性ハンナから、ここへ来て1年半、国王は一度も現われてないと聞かされる。ショックを受けたアランに、ハンナは禁制のお酒を差し出す。ホテルで酔いつぶれ体調を崩したアランをユセフは病院に連れていく。美しい女医ザーラ・ハキムの診察を受け、アランはこの国に来て初めて心を癒される。そんなアランに、本社のボスから、いつ国王に会えるのかと責め立てる電話が入る・・・

アランが大手IT企業に再就職出来た決め手は、「王様の甥と知り合い」というひと言でした。もちろん、ちょっと会ったことがあっただけなのですが。例え、すごく親しかったとしても、その王様の甥がどの位のステイタスなのかが問題。何しろ、王様の甥ともなれば、何人もいるはず。運転手のユセフが道中、車に乗せた従弟も父親に何人か妻がいて、関係が複雑。
それにしても、サウジアラビアが舞台ということで、もう、それだけで興味津々。
原作は、ピューリッツァー賞、全米図書賞ノミネート経験を持つベストセラー作家デイヴ・エガーズがサウジアラビアの旅の経験を基に書いた小説。ぜひ映画化したいとトム・ティクヴァ監督はサウジアラビアへリサーチに。依頼したガイドが偶然にも作家がユセフのモデルにした人物。映画の中で、道路の「非ムスリム出口」標識を見落として、メッカに行ってしまいます。これは監督が実際に経験したことだそうです。
ハラムと字幕に出てくるのが、メッカのカーバを囲むマスジド・アルハラーム(聖モスク)のこと。ガイドのユセフが、ムスリムっぽく見せれば大丈夫と、アラブ風のスカーフをアランに被らせます。(私もよくモスクに行くと、スカーフを被ってにわかムスリマになります!)
監督は実際にサウジアラビアで撮影したいと望んだのですが、それは叶わず、モロッコの南部の何もない砂漠の中に王様の経済・貿易新都市を再現。それはそれで、ロケは苛酷なものだったようです。
撮影地に、モロッコのほか、サウジアラビア、エジプトとあり、メッカはさすがに本物。あとのどの部分がどこなのか気になるところ。
さて、具合の悪くなったアランを診るのが女医というのも、実はサウジアラビアでは恐らく有り得ない光景。ユセフも「有り得ない」と口走っています。でも、禁制のお酒がちゃんと手に入るように、これも有りなのでしょう!
女医ザーラ・ハキムを演じるサリタ・チョウドリーは、ミーラー・ナーイル監督、デンゼル・ワシントン共演の『ミシシッピー・マサラ』(91)でスクリーンデビューしたイギリス生まれのインド系の女優。
トム・ティクヴァ監督作品で常連のベン・ウィショーも、もちろん出ています。
さて、アランは王様から仕事を取れるのか、そして、ザーラとの出会いの行方は?
いろいろお楽しみがいっぱい。ぜひ結末はスクリーンで! (咲)


2016年/アメリカ/スコープサイズ/ドルビーデジタル/98分
配給:ポニーキャニオン
公式サイト:http://hologram-movie.jp/
★2017年2月10日(金)よりTOHOシネマズシャンテ他全国公開
posted by sakiko at 10:16| Comment(0) | TrackBack(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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