2017年01月08日

天使にショパンの歌声を  原題:La Passion D'Augustine

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監督:レア・プール(『天国の青い蝶』『翼をください』)
出演:セリーヌ・ボニアー、ライサンダー・メナード、ディアーヌ・ラヴァリー、ヴァレリー・ブレイズ、ピエレット・ロビタイユ、マリー・ティフォ、エリザベス・ギャニオン

1960年代、カナダ、ケベック州の広野にたたずむ修道院の運営する女子寄宿学校。音楽教育に力を入れ、ピアノコンクール入賞者も輩出する名門校だが、政府の進める近代化で公立学校が増え、存続の危機に見舞われていた。そんな折、校長オーギュスティーヌの姪アリスが転校してくる。両親に見捨てられたと思い込んで心を閉ざすアリスだが、彼女にピアニストとしての才能を見出した校長は、学校存続の鍵にもなると彼女を中心にイベントを企画する。ところがイベント前夜、アリスはクラスメイトをかばって頑固なシスターと喧嘩し、怒りのあまり無断外出してしまう・・・

カナダの女性監督、レア・プールが、長編映画監督デビューから35年となる2015年に製作した渾身の最新作。
ケベック州は、カナダの中で唯一のフランス語文化圏。カトリック教会が大きな力を持ち、教育も従来教会の支配下に置かれていた。1960年の選挙で革新的な自由党が勝利し、産業・社会・教育・宗教など多岐にわたって「静かなる革命」が行われる。特に学校教育は政教分離の大改革が行われ、教会や修道会が直接運営してきた学校の多くが公立学校として世俗化された。
本作は、その時代を背景にした物語。
原題『La Passion D'Augustine(オーギュスティーヌの情熱)』の通り、校長オーギュスティーヌの教育に捧げる情熱を描いた物語。カナダでも、1960年代は、まだまだ女性の権利や自由、社会進出が認められていなかった時代だそうです。
音楽の力を信じて、学校を救おうと権力に立ち向かうシスターや女生徒たちの姿が眩しいです。そして、修道服を脱ぎ捨て、スーツ姿で現れるシスターたちの潔さ! 
ショパンを初め、リスト、バッハ、ドビュッシー、モーツァルト、ベートーヴェン等々、クラシックの名作の数々が心地よく響きます。
中でも、学校閉鎖の危機を救おうと開く記者会見で歌われるドビュッシーの「家なき子たちのクリスマス」は、第一次世界大戦勃発後の1916年に、ドイツ軍の侵攻で家を失いクリスマスを迎えられなくなった戦災孤児のためにドビュッシーが作詞作曲した合唱曲とプレス資料にありました。ぜひ歌詞に注目してご覧ください。(咲)


2015年/カナダ/フランス語/カラー/103分
配給:KADOKAWA
公式サイト:http://tenshi-chopin.jp/
★2017年1月14日(土)より、角川シネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国ロードショー
posted by sakiko at 15:00| Comment(0) | TrackBack(0) | カナダ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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